【PR】開発陣に詳細を聞いた
構想10年、DACを2チップに“分離”した成果とは? AKM「AK4191+AK4498」を聴いた
AK4191にデジタル領域を集約したことでどんなメリットがあるのか、中鉢氏にも尋ねてみた。
「分離することでデジタル設計の自由度が格段に上がりました。今まではデジタルフィルターをパワフルにするにはウェハー上の領域の制約だったり、アナログ部への干渉があって、やりたくてもできなかったのですが、セパレート化によって問題が解消したので、今回やってみようということになりました」。
AK4191の特徴の一つである、256倍オーバーサンプリングを実現したデジタルフィルター部のメリットとして、折り返しノイズの影響を避けられ、後段のローパスフィルターの構成を素直な特性に設計できることもある。これについて中鉢氏はこう説明する。
「デジタルフィルターは、基本的にオーバーサンプリング時に発生する不要なイメージ成分を抑制していますが、そのレベルを150dBまで落としています。バンド幅の高いところまで抑制できていますので、その様子はFFTアナライザを使えば一目瞭然です」。
中鉢氏は、高周波ノイズに対する取り組みはこれまでも実施してきたことだと説明する。「AK4490でもOSRダブラーを用い、ΔΣの帯域外ノイズを抑制しています。これまでも開発コンセプトとして、広帯域まで原音再生させるという点を大事にしてきました」。
デジタルフィルターの抑圧量を150dBにした理由については、佐藤氏がこう説明してくれた。
「一般的なハイレゾオーディオのデータ24bitのS/N=144dBよりも、イメージ成分が目立たない150dBという値が目標でした。既存の音を欠けることなく再生できること。それこそが『システムの解』ではないかと考えています」。
「従来の抑圧量100dBのものと比較すると、ホールでの響きの細かさに明らかな違いがあるように感じます。よく言われる『デジタル臭さ』のない自然なサウンドです。ただし今回のソリューションでは、抑圧量150dBの効果であるのか、256倍のオーバーサンプリングによる効果かがまだ明確に切り分けられませんが、確実に音質改善効果が認められました」。
AK4191ではアナログ部への干渉を抑えるため、高周波ノイズ対策についても考慮した設計としており、分離させたことのデメリットが出ないよう万全を期している。さらに機能面の特徴として、非同期動作にも対応しており、レジスタで機能ON/OFFを選択できるという。中元氏はこう語る。
「ストリーミングデータの再生時など、送られてくるデータとクロックがDACで動かしたいデータとクロックのレートが揃っていないケースがあり得ます。その揃っていないクロックを同期させる機能になります。サンプルレートコンバーターを凌駕するパワフルな演算を実現させていることがポイントです」。
「例えばデジタルフィルターが非力だと、意図しないイメージ成分や変調ノイズが発生して聴感に悪影響を及ぼします。AK4191は150dBの抑圧量のおかげでそうした問題は発生せず、聴感上の悪影響をも排除するというメリットがありますね」。