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構想10年、DACを2チップに“分離”した成果とは? AKM「AK4191+AK4498」を聴いた

公開日 2020/09/30 06:45 岩井喬
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試聴で完全分離構成ならではの魅力を実感した

AKM設計陣との対談の後、場所を日比谷のAKMオフィス内にある商品検討用試聴室に移し、AK4191+AK4498のサウンドを聴かせていただいた。

AKMの商品検討用試聴室で実際の評価用機材を確認した

AK4497を搭載した評価機と今回のAK4191+AK4498を搭載した評価機を交互に試聴した

比較用に同じ回路規模のAK4497ボードも用意いただき、セパレート構成の音質がいかに向上したのか、そのクオリティの差についても確認を行う。

まずはAK4497ボードの音を確認し、AK4191+AK4498ボードに切り替え同じ音源を比較したが、いずれにおいても音像の分離の良さ、音場の静寂感、奥行き表現の深さの点でAK4497の音を上回る印象だ。

AK4191の256倍オーバーサンプリングの効果か、CDクオリティの44.1kHz/16bit音源であってもS/N良く澄み切ったサウンドが展開。余韻の階調性も高く、質感描写の丁寧な見通し良い表現である。決して繊細になり過ぎず、フォーカス感を保ちながら音像の密度を保った描写性も見事であり、リズム隊のコシは太く、キックドラムやベースの描き分けも的確だ。

96kHz/24bit音源のクラシックは管弦楽器の描写がより緻密で、低域方向の響きも収束が早く、ハーモニーの響きも落ち着き良い。音場の広がりや奥行きの表現も深みがあり、躍動感に満ちたサウンドを実感できた。

192kHz/24bit音源になると全体の分解能も向上し、音離れの良さと音像の輪郭感、質感描写のリアルさがより引き立つ。AK4497よりも潤い感や細やかなニュアンスを拾い上げてくれる印象で、ボーカルの口元の柔らかさや動きの細やかさ、余韻やリヴァーブ処理の質感まで生々しくトレースしてくれる。

試聴を行う岩井喬氏。AK4497との大きな差を実感していた

ハイレートな音源であってもどこか余裕のある、伸び良く誇張のないサウンドであり、ステージの前後感も付帯感なく正確で、静寂から音が立ち上がる瞬間の空気感も克明に描き出す。これこそ “聴感上のS/Nの良さ” であり、セパレート構成ならではの有効性が実感できる瞬間であった。

一体型DACチップが抱える問題点に正面から向き合い、干渉の要因であるデジタル部を分離するというエンジニアリングの正攻法に則った、2チップ構成の新たなDACソリューション。ワンチップの世界とは一味違う静寂の深み、立体的な音像のリアリティが、AK4191+AK4498の組み合わせで堪能できる。

協力:旭化成エレクトロニクス

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