【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群
電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開
林 正儀の場合
■レコードプレーヤーの近くにネットワーク機器があることが気になっていた
我が家のネットワーク機器は、メインのオーディオシステムと同居している。広さはまぁあるのだが(16畳)、大もとの電源は、オーディオ機器も、ネットワーク機器も同じ分電盤のラインからとっている、ごく普通の環境だ。
ファイル再生機器としては、マランツの「NA8005」がメイン。QNAPのNASの電源を超低ノイズ仕様のiPower Elite(以下Elite)にグレードアップしたらどうなるか、が主なテーマであるわけだが、個人的にはもうひとつ、これらNASやハブ、ルーターといったネットワーク機器自体やACアダプターが発する高周波数の放射ノイズも気になっていた。
問題は、レコードプレーヤーがすぐ近くにあることだ。アナログはデリケートで、空中にまき散らされた雑音成分には無防備だろう。一度ネットワーク機器をコンセントごとオフにして音が良くなった経験はあるのだが、都度そんなことはやっていられない。
まず試してみたのが、ひかり電話ルーターのACアダプターを、Eliteに交換した場合としない場合。この音質差は大きい。アナログ再生のもやっとして汚れていた音場の空気が澄む。音の粒がきれいに立ってくるような変化だ。埋もれていた微細な情報のニュアンスが聴こえ出すから、スイッチング電源の放射ノイズがいかに盛大だったかが分かる。
Eliteは2機用意したのでWi-Fiアクセスポイントにも追加しよう。機器の位置や接続の仕方もあるだろうが、さらにノイズフロアが下がって、分解能や音の緻密さ、柔らかさが向上。ヴォーカルにもアナログの暖かな味わいが感じられた。一方、CD再生の場合、信号レベルの違いからなのか、アナログ再生時ほどの効果はないが、Eliteは電源回路に還流するノイズにも効くようで、録音の鮮度がアップして質感的な瑞々しさが加味されたようだ。デジタル臭さが抑えられる方向ともいえる。
■古さを感じていたプレーヤーの音がリフレッシュされた
さて、本命のネットワークプレーヤーだが、さらにダイレクトな効きがあると感じた。電源の交換の効果が高いのは、音源を保存するNASで、近頃古さを感じるようになっていたNA8005がリフレッシュされる。ギターの刻むリズムなど聴くと、CDリッピング、ハイレゾとも情報量や空気感が向上し、音源自体が新鮮に感じられた。しかも腰が座ってエネルギーバランスも安定する。まだまだ使いこなしの可能性がありそうな、興味深い電源アイテムだ。
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