【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群
電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開
オーディオアクセサリー銘機賞2022で圧倒的な支持を得てグランプリに輝いたのが、超低ノイズ仕様のACアダプター、iFi audioの「iPower Elite」だ。「ノイズの発生源」と言われてしまうACアダプター。リスニングルームにもACアダプターを使う機器が複数存在しているだろう。ここでは、オーディオ評論家6名の自宅にiPower Eliteを持ち込み、各環境で使われていたACアダプター機器の電源部を、iPower Eliteに交換、その効果と考察をレポートしよう。
【鈴木 裕の場合】オーディオ機器もノイズの発生源。フォノイコの電源で効果を検証
【土方久明の場合】NASへの電源対策も重要なポイント。古いNASが新たに蘇る
【林 正儀の場合】レコードとネットワーク再生を両立させたい場合の注意事項は?
【福田雅光の場合】ストリーミングの音に納得が行かない! そんな場合の対策は?
【炭山アキラの場合】ルーターなど非・オーディオ機器でも効果がある?
【野村ケンジの場合】「NEO iDSD」との組み合わせでヘッドホン再生もグレードアップ
鈴木 裕の場合
■オーディオ機器自体もノイズの発生源。電源対策は効果抜群
オーディオにとって電源は極めて大事だ。しかし現状、家電のインバーター電源やマイコンの存在、PCやルーター、あるいは空中を飛び交う各種電磁波がノイズとしてオーディオの再生音に悪影響を与えている。
もうひとつ言いたいのは、筆者が辿り着いた経験則で、実はオーディオ機器自体もノイズを発生させ、電源ケーブルを通して他のコンポーネントに悪い影響を与えているということ。 特にデジタルを扱うもの、モーターを持っているもの、大出力を発生させるものはノイズを発生させがちである。
iFi audioの「iPower Elite」はアクティブ・ノイズ・キャンセレーション2という方式により、ノイズフロアを1μV以下にまで減少させるACアダプターだ。まず、Eliteの基本的な効果やオーディオとしての音質を検証してみた。
拙宅のシステムは徹底した電源対策が施されているが、実験のためにあえて対策をしていない電源ボックスからフォノイコライザーiFi audioの「iPhono2」の電源を取ってみた。最初に同機発売当初に付属していた汎用スイッチング電源によるACアダプターの音を確認してから、iPower Eliteに換装して聴いた。その効果は歴然としていた。
フォノイコライザー付属の電源アダプターでは高域が歪みっぽく、低域の密度も低い。それを、iPower Eliteの15V(3.5A)に交換して聴くと、高域の歪みっぽさが見事になくなり、低域の密度も向上。ライブ盤での演奏している現場の空気感が濃密に出てくるし、サウンドステージの奥行き方向の深さ、見通しの良さも素晴らしい。ノイズがなくなるだけでなく、コクとか芳醇といった言葉が浮かんでくる音色感なのだ。
試しに電源ボックスとiPower Eliteの間の電源ケーブルを、付属のものから拙宅でのレファレンス(3万円程度のもの)に交換してみた。するとさらに音の重心が下がり、スケールが大きくなった。電源ケーブルの良さを素直に反映する電源アダプターであることを確認できた。
■USBハブにも効果あり!“裏”のデジタル部の音質対策も重要
続いて、PC、ルーター系のノイズ対策として、「USBハブ」のACアダプター部をiPower Eliteに換装する実験も行ってみる。まずはノイズ対策をしていない電源ボックスに、USBハブの付属ACアダプターの電源ケーブルを挿す(先のフォノイコのAC電源はEliteにしたまま)。
fidataミュージックサーバーとUSB-DACを接続するUSBケーブルの間に入れている、電源を使うタイプの一般的なUSBハブだ。fidataからハイレゾを再生し、USB-DACからのアナログ信号をプリアンプに入れつつも、同時にアナログプレーヤーも回し、聴いているのはレコードの音。いわゆる“裏”でデジタル系を再生している状態になる。
フォノイコにiPower Eliteを使っているおかげで、顕著な高域の歪みなどは聴こえないが、高音はキツイ感じになり、ステージの奥行き方向が浅くなったり、低音の深みが減少。音の重心も上がっている。実際にはハイレゾの音を聴いていないのに、稼働している機器の、対策をしていないACアダプターからのノイズの悪影響はけっこう強力だ。
ここで、USBハブの電源アダプターをiPower Eliteの5V(5A)に交換してみる。高域のキツサがなくなり、音の背景が決定的に静かに。音の浸透力が上がり、品格の高い感じの音色感。低域の音圧感やステージの奥行きも良くなるが、驚いたのはレコードの再生音に躍動感が出てくる点だ。
実際には聴いていないハイレゾの、その途中に入れたUSBハブのACアダプターを交換しただけなのに、レコードの音が良くなっている。フォノイコ単体で確認したようにノイズを除去するだけでなく、密度高く、コクのある音質をレコード再生中の音にもたらしてしまう。この変化の大きさは実際に聴かないと信用できないレベルだと思う。
今回検証できたのは、オーディオシステムの中に一般的なスイッチング電源を使ったACアダプターを使用すると、電源ケーブルを通して他のコンポーネントの再生にまで悪影響を与えること。そしてその対策としてiPower Eliteはノイズを除去するだけでなく、再生音の音色感に深みを与え、密度を高くし、空間表現力も高めてくれる。強く推薦できる電源アダプターとレポートしたい。
【鈴木 裕の場合】オーディオ機器もノイズの発生源。フォノイコの電源で効果を検証
【土方久明の場合】NASへの電源対策も重要なポイント。古いNASが新たに蘇る
【林 正儀の場合】レコードとネットワーク再生を両立させたい場合の注意事項は?
【福田雅光の場合】ストリーミングの音に納得が行かない! そんな場合の対策は?
【炭山アキラの場合】ルーターなど非・オーディオ機器でも効果がある?
【野村ケンジの場合】「NEO iDSD」との組み合わせでヘッドホン再生もグレードアップ
鈴木 裕の場合
■オーディオ機器自体もノイズの発生源。電源対策は効果抜群
オーディオにとって電源は極めて大事だ。しかし現状、家電のインバーター電源やマイコンの存在、PCやルーター、あるいは空中を飛び交う各種電磁波がノイズとしてオーディオの再生音に悪影響を与えている。
もうひとつ言いたいのは、筆者が辿り着いた経験則で、実はオーディオ機器自体もノイズを発生させ、電源ケーブルを通して他のコンポーネントに悪い影響を与えているということ。 特にデジタルを扱うもの、モーターを持っているもの、大出力を発生させるものはノイズを発生させがちである。
iFi audioの「iPower Elite」はアクティブ・ノイズ・キャンセレーション2という方式により、ノイズフロアを1μV以下にまで減少させるACアダプターだ。まず、Eliteの基本的な効果やオーディオとしての音質を検証してみた。
拙宅のシステムは徹底した電源対策が施されているが、実験のためにあえて対策をしていない電源ボックスからフォノイコライザーiFi audioの「iPhono2」の電源を取ってみた。最初に同機発売当初に付属していた汎用スイッチング電源によるACアダプターの音を確認してから、iPower Eliteに換装して聴いた。その効果は歴然としていた。
フォノイコライザー付属の電源アダプターでは高域が歪みっぽく、低域の密度も低い。それを、iPower Eliteの15V(3.5A)に交換して聴くと、高域の歪みっぽさが見事になくなり、低域の密度も向上。ライブ盤での演奏している現場の空気感が濃密に出てくるし、サウンドステージの奥行き方向の深さ、見通しの良さも素晴らしい。ノイズがなくなるだけでなく、コクとか芳醇といった言葉が浮かんでくる音色感なのだ。
試しに電源ボックスとiPower Eliteの間の電源ケーブルを、付属のものから拙宅でのレファレンス(3万円程度のもの)に交換してみた。するとさらに音の重心が下がり、スケールが大きくなった。電源ケーブルの良さを素直に反映する電源アダプターであることを確認できた。
■USBハブにも効果あり!“裏”のデジタル部の音質対策も重要
続いて、PC、ルーター系のノイズ対策として、「USBハブ」のACアダプター部をiPower Eliteに換装する実験も行ってみる。まずはノイズ対策をしていない電源ボックスに、USBハブの付属ACアダプターの電源ケーブルを挿す(先のフォノイコのAC電源はEliteにしたまま)。
fidataミュージックサーバーとUSB-DACを接続するUSBケーブルの間に入れている、電源を使うタイプの一般的なUSBハブだ。fidataからハイレゾを再生し、USB-DACからのアナログ信号をプリアンプに入れつつも、同時にアナログプレーヤーも回し、聴いているのはレコードの音。いわゆる“裏”でデジタル系を再生している状態になる。
フォノイコにiPower Eliteを使っているおかげで、顕著な高域の歪みなどは聴こえないが、高音はキツイ感じになり、ステージの奥行き方向が浅くなったり、低音の深みが減少。音の重心も上がっている。実際にはハイレゾの音を聴いていないのに、稼働している機器の、対策をしていないACアダプターからのノイズの悪影響はけっこう強力だ。
ここで、USBハブの電源アダプターをiPower Eliteの5V(5A)に交換してみる。高域のキツサがなくなり、音の背景が決定的に静かに。音の浸透力が上がり、品格の高い感じの音色感。低域の音圧感やステージの奥行きも良くなるが、驚いたのはレコードの再生音に躍動感が出てくる点だ。
実際には聴いていないハイレゾの、その途中に入れたUSBハブのACアダプターを交換しただけなのに、レコードの音が良くなっている。フォノイコ単体で確認したようにノイズを除去するだけでなく、密度高く、コクのある音質をレコード再生中の音にもたらしてしまう。この変化の大きさは実際に聴かないと信用できないレベルだと思う。
今回検証できたのは、オーディオシステムの中に一般的なスイッチング電源を使ったACアダプターを使用すると、電源ケーブルを通して他のコンポーネントの再生にまで悪影響を与えること。そしてその対策としてiPower Eliteはノイズを除去するだけでなく、再生音の音色感に深みを与え、密度を高くし、空間表現力も高めてくれる。強く推薦できる電源アダプターとレポートしたい。
次ページNASへの電源対策も重要なポイント。古いNASが新たに蘇る