【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群
電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開
炭山アキラの場合
■アナログ電源すら遥かに凌駕する低歪み!
昨今は高効率のPWMアンプやUSB-DACなど、ACアダプターで給電されるオーディオ装置が珍しくなくなった。また、一部のNASやハブなどといったネットオーディオ関連機器も、ACアダプター付属の製品がいくつもある。そんなこの頃にあって、単体高級ACアダプターという製品は複数の社から登場してきており、そのいくつかは私もテストしたことがある。
今回はiFi audioのiPower Eliteを試す機会に恵まれた。自宅サブレファレンスのPWMアンプは20Vで、合う製品がなく残念だったが、ネットオーディオのNASとハブ代わりに使っているWi-Fi中継器がともに12Vだったので、2台用意してもらって音を純正アダプターと聴き比べる。
まず愛用のNAS、アイ・オー・データ機器の「RockDisk for Audio」の純正アダプターが本当にごく標準的なものなので、そりゃもう変わるだろうと先入観を持ちつつの試聴だったが、音質の圧倒的な差にはもう仰天である。音のギスギスしたところがきれいさっぱり拭い去られ、音場が何倍にも広がり、しかも空気が澄み切っている。Dレンジも抑制が一気に外れ、楽器も歌も青天井に歌う、歌う!
一般的なスイッチング電源はおろか、トランスとコンデンサーによるアナログ電源をすら遥かに凌駕する低歪み、低ノイズを誇るだけのことはある。何といってもヘッドフォンのノイズキャンセル同様、アクティブにノイズを検知してその逆特性を付加することでほぼ完璧な静寂を得た電源の効果は歴然だ。
■5000円のWi-Fi機器に4万円弱の電源、効果のほどは?
ならばWi-Fi中継器に使ってみたらどうなるか。音の変わり方はNASとほぼ同様だったが、音の向上っぷりはこちらの方が上なのではないか、と感じさせる。NASは曲がりなりにもオーディオ用だが、中継器は本当に単なる汎用品だから、その辺の差が出たのかもしれない。
せっかく2台用意してもらったのだからと両方へEliteをつないだら、効果は素直に2倍とはいかなかった。もっと遥かにランクアップしてしまった感じだ。ほんの5000円もしないWi-Fi機器に高価な電源をおごるというのは勇気が必要かもしれないが、たったの4万円やそこいらでこれだけの音質変化が手に入るなら、これはもうハイCPなどという紋切り型で語ることは許されない。我がレファレンスへ取りついているありとあらゆるアダプターを本機へ交換したい誘惑に駆られた。
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