公開日 2010/06/02 14:00
3Wayモニター・スピーカー「8260A」登場 − GENELECのキーパーソンに訊く新製品の開発秘話
スペシャルインタビュー
オタリテック(株)が取り扱うGENELEC社より、DSPを内蔵したアクティブスピーカーシステム「8260A」が発売された(関連ニュース)。今回は日本国内で開催された新製品発表会のため、本国フィンランドから来日したジェネレック(株)工学名誉博士 取締役会長のイルポ・マルティカイネン氏、国際セールスマネージャーのラルス・ウーロフ・ヤンフルード氏に、新製品8260Aにかける意気込みと、同社のスピーカー技術についてお話をうかがった。(インタビュー:Phile-web編集部)
■GENELECが持つスピーカー技術の粋を結集した新製品「8260A」
− ニューモデル「8260A」がいよいよ発売されましたが、世界各国での評価はいかがでしょうか。また春からの日本市場への投入に向けた意気込みをお聞かせ下さい。
ヤンフルード氏:欧米では今年の1月に本機を発売しましたが、各国での反応は上々です。ドイツやイギリスなどでは早くも本機のレビューが紹介され、いずれも高い評価をいただいています。おかげさまで現在まで数多くのオーダーをいただき、いま生産体制をフル稼働させてスピーカーをつくっています。
マルティカイネン氏:先日都内で開催された新製品発表会に出席させていただいて、日本のマーケットの手応えも大変良いと実感しました。本機の発売によってさらに多くのGENELECユーザーを獲得できる可能性を感じています。当社には90年代に発売したヒットモデル「S30」、その後継機種の「S30D」がありますが、これらのスピーカーの使い勝手をさらに高めた3Wayアクティブ・モニターとも言える「8260A」が、GENELECスピーカーの新規導入や買い換えを考えている方々のベストアンサーになるはずです。
− 8260Aに搭載された新開発の中高域用同軸ユニット「MDC(Minimum Diffraction Coaxial Mid/High Driver Technology)」の開発経緯をお聞かせ下さい。
マルティカイネン氏:GENELECのスピーカーにウェーブガイドを設け、音の指向性をコントロールするという発想は、1983年に開発をスタートして、その後1985年に発売した「1022A」という3Wayモニター・スピーカーに採用され、その後のモデルにも受け継がれています。一方で、同軸ドライバーの開発は、最初1996年前後に着手しましたが、いったん少しのあいだ開発をストップしていた時期がありました。その後、コンパクトな3Wayのモニター・スピーカーを製品化するために、再び2007年の5月から開発を再開し、その後も数多くの構造や素材を検証しながら、8260Aで実現したウェーブガイド内に同軸ユニットを用いるというかたちでの基本設計を造り上げたのが2008年の夏でした。その後、本機のプロトタイプをつくり、音質評価を積み重ねていきながら、本年からの量産化に至ったわけです。
− GENELECのスピーカー開発の現場では、どのような方が、どのような方法で音質評価を行っているのでしょうか。
マルティカイネン氏:まずは一般的なスピーカーの測定基準に従って、周波数特性、指向性、歪率などのクオリティを検証するところから評価を始めます。その後、リスニングテストを繰り返して音質を決定していくわけですが、その段階ではGENELEC社内のスタッフや、国内外の信頼できるレビュワーに評価を求めることもあります。私自身もよくスピーカーを家に持ち帰って、リスニングルームで時間をかけて試聴しています。
− アクティブ・スピーカーとして8260Aを完成へと導くにあたって、アンプやDSPなどエレクトロニクスの面でご苦労された点はありますか。
マルティカイネン氏:本機に採用されているエレクトロニクスの部分は、これまで発売してきた“8000シリーズ”の開発過程でも既に確立されていましたので、これを8260Aに組み込む段階で特別に困難なことはありませんでした。当社は創立から今日まで32年のあいだ、常にナンバーワンブランドとしてアクティブ・スピーカーをつくり続けてきましたが、その長い過程の中で蓄積してきたノウハウを、エンジニアが活かしながら発展させてきた技術・開発力が私たちの誇る強みです。そこに派手さはありませんが、これらの深い知識と伝統的な技術を組み合わせることによって、結果として8260Aという革命的な新製品が誕生したのです。その成果である8260Aは、どんなスピーカーよりも優れているという自負が私たちにはあります。
■コンシューマースピーカーのブランドとしても人気の高いGENELEC
− 日本国内では、GENELECのコンパクト・アクティブ・スピーカー「6010A」も、デスクトップオーディオを高音質に楽しめるスピーカーとして注目を集めています。GENELECのコンシューマー用スピーカーにおける反響はいかがでしょうか。
ヤンフルード氏:フィンランドの市場動向を例に挙げれば、GENELECのスピーカーの売上げは約50%がコンシューマー需要で占められています。特に“8000シリーズ”はコンシューマー市場でも大きな成功を収めた製品です。フィンランド以外にもスウェーデンをはじめ、欧州ではGENELECの製品がコンシューマー用スピーカーとして多くの支持を集めています。6010Aに関しても、同様にコンシューマー用途で大変評判の良いスピーカーです。フィンランドではリビングや家具と調和性の高いオーディオを求める、“インテリアオーディオ”の志向性がユーザーに強くあるため、本機はホームオーディオのショップばかりでなく、インテリアショップからの引き合いも多くあります。また6010Aは多くの女性ユーザーを獲得しているスピーカーである点も特徴です。
マルティカイネン氏:当社はスピーカーのデザインをより良くするため、80年代からプロダクトデザイナーを開発スタッフに招き入れています。“8000シリーズ”からは、世界的に有名なプロダクトデザイナーであるHarri Koskinen氏(Webサイト)にスピーカーのデザインを依頼していますが、6010Aも彼のデザインによる製品です。
− 新製品8260Aが発売されたばかりで、少し気の早い質問かもしれませんが、GENELECが次に取り組んでいる最新技術や製品についてご紹介いただけますか。
マルティカイネン氏:GENELECではイーサーネット接続によるIP環境をベースに、ネットワーク上のスピーカーコンフィグやモニタリングを統合的に行えるシステムを確立していますが、現在はイーサーネットケーブルによってオーディオデータも伝送できる技術の開発を進めています。システムは最大で500台のスピーカーを接続したネットワークのコントロールも想定しており、マルチチャンネルシステムでのシンクロ性能と、低遅延伝送を高レベルに実現することが目下最大のテーマになっています。システムのリモートコントロールの核になるIPボックス、コントロールソフトをただいま開発しています。このシステムにはGENELECの過去に発売されたスピーカーも含むネットワークが構築できるような、互換性も持たせたいと考えています。
− ありがとうございました。
■GENELECが持つスピーカー技術の粋を結集した新製品「8260A」
− ニューモデル「8260A」がいよいよ発売されましたが、世界各国での評価はいかがでしょうか。また春からの日本市場への投入に向けた意気込みをお聞かせ下さい。
ヤンフルード氏:欧米では今年の1月に本機を発売しましたが、各国での反応は上々です。ドイツやイギリスなどでは早くも本機のレビューが紹介され、いずれも高い評価をいただいています。おかげさまで現在まで数多くのオーダーをいただき、いま生産体制をフル稼働させてスピーカーをつくっています。
マルティカイネン氏:先日都内で開催された新製品発表会に出席させていただいて、日本のマーケットの手応えも大変良いと実感しました。本機の発売によってさらに多くのGENELECユーザーを獲得できる可能性を感じています。当社には90年代に発売したヒットモデル「S30」、その後継機種の「S30D」がありますが、これらのスピーカーの使い勝手をさらに高めた3Wayアクティブ・モニターとも言える「8260A」が、GENELECスピーカーの新規導入や買い換えを考えている方々のベストアンサーになるはずです。
− 8260Aに搭載された新開発の中高域用同軸ユニット「MDC(Minimum Diffraction Coaxial Mid/High Driver Technology)」の開発経緯をお聞かせ下さい。
マルティカイネン氏:GENELECのスピーカーにウェーブガイドを設け、音の指向性をコントロールするという発想は、1983年に開発をスタートして、その後1985年に発売した「1022A」という3Wayモニター・スピーカーに採用され、その後のモデルにも受け継がれています。一方で、同軸ドライバーの開発は、最初1996年前後に着手しましたが、いったん少しのあいだ開発をストップしていた時期がありました。その後、コンパクトな3Wayのモニター・スピーカーを製品化するために、再び2007年の5月から開発を再開し、その後も数多くの構造や素材を検証しながら、8260Aで実現したウェーブガイド内に同軸ユニットを用いるというかたちでの基本設計を造り上げたのが2008年の夏でした。その後、本機のプロトタイプをつくり、音質評価を積み重ねていきながら、本年からの量産化に至ったわけです。
− GENELECのスピーカー開発の現場では、どのような方が、どのような方法で音質評価を行っているのでしょうか。
マルティカイネン氏:まずは一般的なスピーカーの測定基準に従って、周波数特性、指向性、歪率などのクオリティを検証するところから評価を始めます。その後、リスニングテストを繰り返して音質を決定していくわけですが、その段階ではGENELEC社内のスタッフや、国内外の信頼できるレビュワーに評価を求めることもあります。私自身もよくスピーカーを家に持ち帰って、リスニングルームで時間をかけて試聴しています。
− アクティブ・スピーカーとして8260Aを完成へと導くにあたって、アンプやDSPなどエレクトロニクスの面でご苦労された点はありますか。
マルティカイネン氏:本機に採用されているエレクトロニクスの部分は、これまで発売してきた“8000シリーズ”の開発過程でも既に確立されていましたので、これを8260Aに組み込む段階で特別に困難なことはありませんでした。当社は創立から今日まで32年のあいだ、常にナンバーワンブランドとしてアクティブ・スピーカーをつくり続けてきましたが、その長い過程の中で蓄積してきたノウハウを、エンジニアが活かしながら発展させてきた技術・開発力が私たちの誇る強みです。そこに派手さはありませんが、これらの深い知識と伝統的な技術を組み合わせることによって、結果として8260Aという革命的な新製品が誕生したのです。その成果である8260Aは、どんなスピーカーよりも優れているという自負が私たちにはあります。
■コンシューマースピーカーのブランドとしても人気の高いGENELEC
− 日本国内では、GENELECのコンパクト・アクティブ・スピーカー「6010A」も、デスクトップオーディオを高音質に楽しめるスピーカーとして注目を集めています。GENELECのコンシューマー用スピーカーにおける反響はいかがでしょうか。
ヤンフルード氏:フィンランドの市場動向を例に挙げれば、GENELECのスピーカーの売上げは約50%がコンシューマー需要で占められています。特に“8000シリーズ”はコンシューマー市場でも大きな成功を収めた製品です。フィンランド以外にもスウェーデンをはじめ、欧州ではGENELECの製品がコンシューマー用スピーカーとして多くの支持を集めています。6010Aに関しても、同様にコンシューマー用途で大変評判の良いスピーカーです。フィンランドではリビングや家具と調和性の高いオーディオを求める、“インテリアオーディオ”の志向性がユーザーに強くあるため、本機はホームオーディオのショップばかりでなく、インテリアショップからの引き合いも多くあります。また6010Aは多くの女性ユーザーを獲得しているスピーカーである点も特徴です。
マルティカイネン氏:当社はスピーカーのデザインをより良くするため、80年代からプロダクトデザイナーを開発スタッフに招き入れています。“8000シリーズ”からは、世界的に有名なプロダクトデザイナーであるHarri Koskinen氏(Webサイト)にスピーカーのデザインを依頼していますが、6010Aも彼のデザインによる製品です。
− 新製品8260Aが発売されたばかりで、少し気の早い質問かもしれませんが、GENELECが次に取り組んでいる最新技術や製品についてご紹介いただけますか。
マルティカイネン氏:GENELECではイーサーネット接続によるIP環境をベースに、ネットワーク上のスピーカーコンフィグやモニタリングを統合的に行えるシステムを確立していますが、現在はイーサーネットケーブルによってオーディオデータも伝送できる技術の開発を進めています。システムは最大で500台のスピーカーを接続したネットワークのコントロールも想定しており、マルチチャンネルシステムでのシンクロ性能と、低遅延伝送を高レベルに実現することが目下最大のテーマになっています。システムのリモートコントロールの核になるIPボックス、コントロールソフトをただいま開発しています。このシステムにはGENELECの過去に発売されたスピーカーも含むネットワークが構築できるような、互換性も持たせたいと考えています。
− ありがとうございました。
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