公開日 2012/01/23 10:06
エプソン開発者が語る − シースルーモバイルビューアー“MOVERIO”誕生秘話
大画面を“持ち歩く”インパクト
エプソンから、表示画面と周囲の状況を同時に確認できる“シースルー表示”に対応した、3D/2D対応モバイルビューアー“MOVERIO”(モベリオ)「BT-100」が発売された。今回は本機の開発を担当したエプソンのキーパーソンを、評論家の林正儀氏、海上忍氏が訪ねてインタビューを行った。
今回インタビューに応えていただいたのは、セイコーエプソン(株)ビジュアルプロダクツ事業部 VA事業推進部 課長の馬場宏行氏、ならびに主査 津田敦也氏のお二人だ(以下、文中敬称略)。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
“MOVERIO”のコンセプトは「大画面を持ち歩いて楽しめること」
− お二人は新製品“MOVERIO”「BT-100」の商品開発について、それぞれどの部分をご担当されていますか。
馬場:私が“MOVERIO”商品化推進リーダーを担当しています。津田は商品企画とエンジニアリングの実務全体を管理しています。
林:ヘッドマウントディスプレイという製品カテゴリーには、これまでいくつかの商品がありましたが、シースルーでかつモバイル用途に対応した商品は“MOVERIO”「BT-100」が初めてではないでしょうか。本商品の企画が誕生したのはいつ頃ですか。
馬場:“MOVERIO”の企画が生まれたのは今から約2年ほど前に遡ります。ご指摘の通り、これまでにもヘッドマウントスタイルで楽しむディスプレイには幾つかの先行商品がありましたが、これらの特徴や当時の市場での受け止められ方などを、当社で独自に分析を重ねながら“MOVERIO”のコンセプトを固めてきました。
エプソンには、フロントプロジェクターで培ってきたマイクロディスプレイ・デバイス技術、光学系の設計技術、樹脂材料の高精度成形技術がありますので、これらの社内保有技術を融合させれば、これまでにないHMDを創造できるのではということで、“MOVERIO”の開発に着手しました。
当時のヘッドマウントディスプレイには、例えば画質があまり良くなかったり、大画面をうたっていながらも実際にはあまり大画面で見えなかったり、さらにはメガネのように手軽に装着できないというデメリットがあると言われてきました。そこで私たちは「いつでも、どこでも大画面」という基本コンセプトを打ち立てながら、「持ち歩いて楽しめる」ことを商品の絶対必要条件としました。そうなると、ディスプレイ部が「クローズド」では映像が見られる環境が家の中に限定されてしまいますので、必然的に「シースルー」という回答に辿り着きました。
海上:私はエプソンがストレージを内蔵したフォトビューアー(関連ページ)を商品化した時に、その発想の自由さに驚かされました。今回の“MOVERIO”も大変面白い製品だと感じています。新しいカテゴリーの製品に、着想から開発まで素速く取り組みながら商品化まで、辿り着けるのがエプソンの強みではないでしょうか。
馬場:“MOVERIO”の開発に取りかかった当時も、既にモバイル型のヘッドマウントは複数モデル商品化されていました。でも、それらのほとんどがフルクローズタイプの製品で、しかも外部機器をつながないとコンテンツを視聴できない製品でした。私たちは、エプソンならではのヘッドマウントをつくろうと考え、モバイルで楽しむための「シースルー」、スタンドアロンでもコンテンツが楽しめる「Android搭載」というコンセプトを打ち立てました。
林:確かに持ち歩きながら視聴できる良さは他にないものだと思いますが、家に帰ってから外部機器につないで映画などを楽しむという用途については想定されなかったのでしょうか。
馬場:そこは意図して割り切ることにしました。リビングで大画面を楽しむ際には、エプソンにはフロントプロジェクター“dreamio”のラインナップがありますので。“MOVERIO”の場合は、あれもこれも楽しめるというよりも、本機ならではの特徴である「大画面を持ち歩いて楽しめること」を、より明確にした方が良いだろうと判断しました。
林:シースルーであることによって、視聴中は背景に見える風景などが「ノイズ」として感じられてしまうということに不安はありませんでしたか。
馬場:ディスプレイ部には外付けの シェードが装着できますので、仮に完全に遮光するフィルターを提供すればクローズドの製品と近い視聴感にはなります。でも、そうすると“MOVERIO”の「持ち歩いて楽しめる」という大事なメリットを損なってしまいます。そこは「シースルー」によって周囲が見えることを優先しました。
今回インタビューに応えていただいたのは、セイコーエプソン(株)ビジュアルプロダクツ事業部 VA事業推進部 課長の馬場宏行氏、ならびに主査 津田敦也氏のお二人だ(以下、文中敬称略)。
“MOVERIO”のコンセプトは「大画面を持ち歩いて楽しめること」
− お二人は新製品“MOVERIO”「BT-100」の商品開発について、それぞれどの部分をご担当されていますか。
馬場:私が“MOVERIO”商品化推進リーダーを担当しています。津田は商品企画とエンジニアリングの実務全体を管理しています。
林:ヘッドマウントディスプレイという製品カテゴリーには、これまでいくつかの商品がありましたが、シースルーでかつモバイル用途に対応した商品は“MOVERIO”「BT-100」が初めてではないでしょうか。本商品の企画が誕生したのはいつ頃ですか。
馬場:“MOVERIO”の企画が生まれたのは今から約2年ほど前に遡ります。ご指摘の通り、これまでにもヘッドマウントスタイルで楽しむディスプレイには幾つかの先行商品がありましたが、これらの特徴や当時の市場での受け止められ方などを、当社で独自に分析を重ねながら“MOVERIO”のコンセプトを固めてきました。
エプソンには、フロントプロジェクターで培ってきたマイクロディスプレイ・デバイス技術、光学系の設計技術、樹脂材料の高精度成形技術がありますので、これらの社内保有技術を融合させれば、これまでにないHMDを創造できるのではということで、“MOVERIO”の開発に着手しました。
当時のヘッドマウントディスプレイには、例えば画質があまり良くなかったり、大画面をうたっていながらも実際にはあまり大画面で見えなかったり、さらにはメガネのように手軽に装着できないというデメリットがあると言われてきました。そこで私たちは「いつでも、どこでも大画面」という基本コンセプトを打ち立てながら、「持ち歩いて楽しめる」ことを商品の絶対必要条件としました。そうなると、ディスプレイ部が「クローズド」では映像が見られる環境が家の中に限定されてしまいますので、必然的に「シースルー」という回答に辿り着きました。
海上:私はエプソンがストレージを内蔵したフォトビューアー(関連ページ)を商品化した時に、その発想の自由さに驚かされました。今回の“MOVERIO”も大変面白い製品だと感じています。新しいカテゴリーの製品に、着想から開発まで素速く取り組みながら商品化まで、辿り着けるのがエプソンの強みではないでしょうか。
馬場:“MOVERIO”の開発に取りかかった当時も、既にモバイル型のヘッドマウントは複数モデル商品化されていました。でも、それらのほとんどがフルクローズタイプの製品で、しかも外部機器をつながないとコンテンツを視聴できない製品でした。私たちは、エプソンならではのヘッドマウントをつくろうと考え、モバイルで楽しむための「シースルー」、スタンドアロンでもコンテンツが楽しめる「Android搭載」というコンセプトを打ち立てました。
林:確かに持ち歩きながら視聴できる良さは他にないものだと思いますが、家に帰ってから外部機器につないで映画などを楽しむという用途については想定されなかったのでしょうか。
馬場:そこは意図して割り切ることにしました。リビングで大画面を楽しむ際には、エプソンにはフロントプロジェクター“dreamio”のラインナップがありますので。“MOVERIO”の場合は、あれもこれも楽しめるというよりも、本機ならではの特徴である「大画面を持ち歩いて楽しめること」を、より明確にした方が良いだろうと判断しました。
林:シースルーであることによって、視聴中は背景に見える風景などが「ノイズ」として感じられてしまうということに不安はありませんでしたか。
馬場:ディスプレイ部には外付けの シェードが装着できますので、仮に完全に遮光するフィルターを提供すればクローズドの製品と近い視聴感にはなります。でも、そうすると“MOVERIO”の「持ち歩いて楽しめる」という大事なメリットを損なってしまいます。そこは「シースルー」によって周囲が見えることを優先しました。
次ページ「遠くを見るほど、画面が大きく見える」“MOVERIO”の映像
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