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公開日 2007/05/13 10:55

<岩井喬のハイエンドショウレポート(2)>真空管・アナログオーディオの必見アイテム

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「ハイエンドショウトウキョウ2007スプリング」の会場にて、ライターの岩井喬氏が見つけた真空管オーディオ、スピーカーシステム、アナログアクセサリーを中心とした注目製品をレポートする。

■トライオード:トップモデル「TRV-M88PP」の風格/Zonotoneケーブル登場

今回が初お披露目となる5極管・KT88を用いたプリメインアンプ「TRV-88SE」及びモノラルパワーアンプ「TRV-M88PP」を中心に、元オルトフォンジャパン社長の前園俊彦氏が立ち上げた「Zonotone」ブランドケーブルの発表も行われ、試聴タイムでは常に活況を呈していた。会場内いくつかのブースにおいてトライオード製アンプを試聴用システムとして用いていたので、広くその音を確認することができる。


トライオードのブース

パワーアンプのフラグシップ「TRV-M88PP」
「TRV-88SE」は出力管にEL34を用い、「TRV-35SE」をベースに出力管をKT88に換えたバージョンで力強い中低域の表現が特徴だ。ボーカルも深みがあり聴きやすいサウンドにまとめ上げている。「TRV-M88PP」はKT88・AB級デュアルパラプッシュプル構成となる同社のフラッグシップモデルだ。UL接続と3極管接続を選択でき、それぞれの動作時はメーターパネル照明が青と紫に切り替わるため、動作状況も一目瞭然、意匠的にも優れたポイントだろう。なお固定バイアス回路を採用しており、出力管は1本ごとに電流調整が行える。このときメーター照明は赤表示となるそうだ。本機の試聴ではスペンドール「SP-100」が用いられており、圧倒的な音圧感を誇るサウンドに弾力ある豊潤な低域が加わり、迫力があっても聴きやすいサウンド傾向であると感じた。全体的にバランスの取れた音色であり、丹精で繊細な再生もこなす、まさにトップモデルの風格が漂う管球アンプだ。


■ネットワークジャパン:個性豊かなクアドラル「TITAN VII」のサウンドとは?

ネットワークジャパンのブースではひときわ目立つ風貌の大型スピーカー、クアドラル「TITAN VII」の試聴を行っていた。独特の外観から、一体どのような音が出てくるのか?誰しも興味を持つようなスタイルを有しているといえる。


クアドラル「TITAN VII」を出展
38cmウーファー、21cmミッドレンジ、そして静磁場型リボントゥイーターを用いた3ウェイで、振動板素材は合金系で揃え、音色の統一を図っている。非常に素直な音色で女性ボーカルもとても澄んでいる。音場もクリアで透き通っており、2.2kHz以上の広帯域を担当するリボントゥイーターの特色が良い形で現れている。また全体にとてもスケール感豊かで、量感とアタック感を兼ね備えた低域が音楽の再生の柱になっている。クラシックやジャズ系ソースはもとより、ポピュラーなソースの再生でも一切破綻するようなところを感じさせない。


■バック工芸社:期待の真空管コンポーネントを多数出品

オランダDUROB AUDIO BV社が展開する「AH!」ブランドから、EL34プッシュプル・アンプ「IA11」とKT88とEL34どちらでも使用可能なプッシュプル・アンプ「IA21」を中心とした試聴を行っており、CDプレーヤーも同ブランド発・真空管クロック搭載「Njoe Tjoeb 4000 Superb」を用い、管球システムでまとめた構成となっている。


「AH!」の真空管コンポーネント新製品に注目

CDプレーヤー「Njoe Tjoeb 4000 Superb」
この「NT4000 Superb」はマランツ「CD4000」をベースにしており、DAC部やアナログ回路をふくめてカスタム設計となっている。このアナログステージは双三極管を2本用いた真空管回路構成としているそうだ。このシステムの再生音であるが、重厚な低音と、ブライトな音色の解像度が高い高音とが融合したサウンドで、華やかかつリッチな音場空間を再現していた。こちらもジャンルに関らず統一感あるサウンドでまとめ上げており、破綻をきたすような音を感じることがなった。


■ORB:かゆいところに手が届くアナログアクセサリーが勢揃い

ORBブランドはアナログ再生における“こういったものがあれば便利なのに”という思いに応えてくれる、便利なアクセサリーを数多く手がけるメーカーだ。またケーブル関連製品も比較的ローコストでクオリティの高いものを供給している注目の存在でもある。


携帯型静電気除去装置「SN-02」

アナログレコードプレス機「DF-01」
今回はアナログディスクに帯電した静電気を除去するデスタットハンディ「SN-02」を出展していた。これはスタティックニュートライザー「SN-01」をベースに小型化し、単3型電池4本で起動できるサイズを実現させた意欲作で、手軽に耳障りな静電気由来のノイズを除去できるものである。さらに新商品ということではないがアナログディスクの反りを修正する「DF-01」も同スペースに展示されており、興味を示す来場者も多いとのこと。既に多くのアナログコレクションを持っている方であれば重宝することは確実であるが、反りが原因で安く売られている中古アナログディスクを有効に活用できるアクセサリーともいえそうである。


■TRN:スタイリッシュな外観だけじゃない「Super12」の音質へのこだわり

音を出す出展スペースがないSルームでの出展ではあるが、同社のアンプはAルーム・美梼社ブースでも試聴用システムに組み込まれており、そのサウンドを確認することができた。発売以来、インテリアやファッション的な分野でも評判になっているという「Super12」がそのアンプである。


TRN「Super12」は美梼社ブースでも試聴機を展示
トランス、チョークコイルのシールドカバー塗装に赤やベージュ、マリンブルーなど6色のカラーリングを用意。MT管を中心にまとめたパネルに彩を添え、かわいらしい印象を持たせている。しかし本機のこだわりは外観だけでなく、内部も音質を追求し、基本を抑えたオーソドックスなつくりに徹している。通常はダイオードによる低コストな電源回路を用いるものが多い中、本機は整流管5AR4を採用し、管球式にこだわりを見せる。そしてヘッドホン端子も装備していることも使い勝手の良さに繋がっているポイントだ。美梼社「リビングミュージック」のシステムとの組み合わせではローコストな組み合せとは思えない、奥行きと左右の広がりを感じさせる、しっかりとしたものであり、いかに“基本”が大事であるのかを感じるサウンドであった。


■ディーフォース:独・ムンドルフの高級ネットワークを出展

高級スピーカーのネットワーク素子を手がける独・ムンドルフ社の高級コンデンサーやコイルなどを中心に出展。自作派としてはつい足が止まってしまう。昨年も展示されていた同社のAMT(エアー・モーション・トランスフォーマ−)ドライバーもラインナップが勢ぞろいしており、このAMTドライバーをトゥイーターに用いた2ウェイスピーカーも参考出品されていた。


AMTドライバーをトゥイーターに用いた2ウェイスピーカーも参考出品
このAMTはハイル・ドライバー技術を基にしており、ELACやADAMといったメーカーでも採用している方式である。そのレスポンスの良いハイスピードサウンドにはファンも多いと思うが、組み合わせるウーファーやミッドレンジユニットの性能も十分吟味しなくてはならないだろう。さらに特定有害物質の使用制限について定めたRoHS指令にも適合する、純銀99%+金1%の割合で製造された単線配線材や、銀や金を混合させたハンダ「M-SOLDER」シリーズも注目されている。


(レポート:岩井喬)

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