公開日 2014/09/12 14:52
クリプトン、実売25万円のハイレゾ対応アルミ筐体アクティブスピーカー「KS-7HQM」
HDMI入力も搭載。FPGA内蔵デジタルアンプを自社開発
クリプトンはハイレゾ対応オーディオシステムの新モデルとして「KS-7HQM」を10月上旬より発売する。価格はオープンだが、250,000円前後での販売が予想される。
KS-7HQMは、192kHz/24bitに対応したUSB入力、光デジタル入力に加え、HDMI入力を搭載したアンプ内蔵型のアクティブスピーカー。ステレオミニ端子のアナログ入力も搭載している。スピーカーは2ウェイで、リングダイアフラム型トゥイーターとウーファーの構成。バイアンプ方式で駆動され、総合出力は160Wとなる。
クリプトンは本日、このKS-1HQMおよび、スピーカーシステム「KX-1」(関連ニュース)の発表会を開催。発表会冒頭では、自ら製造現場にまで足を運ぶほどだったという同社の濱田正久社長が登場。「KS-7HQMは、ハイレゾ再生を通してユーザーに“驚きと感動”を与えてくれる製品です。その音を聞けば、きっと驚いていただけるはず」と新製品に込めた想いを語っていた。
クリプトンは、2010年6月にハイレゾ対応オーディオシステムの第一世代モデルとなるUSB入力搭載アクティブスピーカー「KS-1HQM」(関連ニュース)を発売、2012年10月には192kHz/24bitに対応した第二世代モデル「KS-3HQM」(関連ニュース)を発売した。KS-7HQM は、これらに次ぐ第三世代機になるという。発表会では、KS-7HQMの開発に携わった同社の渡邉 勝氏が製品の詳細について紹介してくれた。
■新DDC/DSP/フルデジタルアンプ構成
本機に入力されたデジタル信号は、DDC(D/Dコンバーター)を経て、FPGAを用いたDSP、デジタルクロスオーバーネットワークを含む独自開発のフルデジタルアンプにデジタルのまま送られる。この方式によってアナログ変換することなくダイレクトにデジタルアンプまで信号が送り届けられるので、変換ロスが避けた忠実な再現が可能になった。
また、バイアンプ方式が採用され、4基のアンプが各ユニットを個別に駆動。このフルデジタルアンプは同社が新規に設計したもので、ハイレゾ音源の高解像度な音を低歪、高S/Nに再現できるとのこと。FPGAについては、デジタルアンプ特有の折り返し歪みを回避するためのデジタルフィルターを構成。また、やはりFPGAを用いたデジタルクロスオーバーネットワークを採用し、2ウェイの高域と低域を分け駆動することで、各ユニットの干渉を防ぎ極めて歪の少ない音質を実現している。
渡邉氏はFPGAを搭載したフルデジタルアンプを開発した背景についても説明。「デジタルアンプは音が悪いと言う方がいますが、一番の問題はアンプ内のデジタルフィルターにあります。デジタルフィルターが折り返しノイズを戻してしまうことが、デジタルアンプが音が悪いと言われる原因なのです。よって本機はFPGAでプロトコルを入れて、デジタルアンプの折り返しノイズを出さないようにデジタルフィルターを設定しています」(渡邉氏)。
再生中の曲のサンプリング周波数を、Rchスピーカーのフロントに設けられたLED点灯でわかりやすく表示してくれる機能も追加された。なお、リモコンでレゾリューション表示のLEDを消すこともできる。
■ハイレゾ対応の新設計リングフラムトゥイーターを採用
スピーカー部は、ホールデッドダクトによるチューンドバスレフ方式を採用。折り曲げたダクトにより低域再生限界周波数を下げ、キャビネット内の共鳴音をホールデッドダクトを通して位相反転することで、ピュアな低域再生を実現する。なお、湾曲したダクトを用いた理由については、小さな筐体で低域を十分に再生するためにはバスレフダクトを長くする必要があるが、一方でダクトが筐体に収まらなくなるため、こうした形状のダクトになったとのことだ。
スピーカーユニットについても、ハイレゾ再生に対応するために厳選。ハイレゾ再生用として60kHzの超高域が再生可能な新設計30mmリングダイアフラム・トゥイーターを採用した。またトゥイーターの中央には、高域周波数レンジ拡大を図るための砲弾型イコライザーが配置されている。ウーファーは、Tymphany製の84mmコーンが用いられた。
従来のKSシリーズからデザインも刷新し、厚さ8mmのオールアルミ製高級仕上げのエンクロージャーを採用。剛性を高めることで共振を抑え、エンクロージャーの“鳴き”を排除した。さらにラウンドフォルムを採用することで、箱型スピーカーの欠点であるディフラクション(回折)効果の反射を改善し、滑らかな音を実現する。
共鳴を抑えるためにエンクロージャーの剛性にこだわった理由のひとつに、ニアフィールド試聴における定位感の向上がある。「箱鳴りを止めるということはスピーカー造りにおける一大テーマで、多くの技術者がエンクロージャーの振動を止めるための工夫を重ね、様々な技術革新もありました。一方で、箱鳴りを止めるのは難しいから、どうせなら良く鳴らそうとエンクロージャーに木を用いる方法があります。しかし、ニアフィールド試聴では、こうした振動が定位などに悪影響を与えます。KS-7HQMは全体に8mm厚のアルミを用いることで、極力箱鳴りを無くすことを目指しました」(渡邉氏)。
本体とは別構成で、ネオフェード・カーボンマトリックス3層材のインシュレーターが付いたモアビ材製スピーカーベースも用意。こちらは従来のような高さがあるものではなく、薄型のベースだ。ネオフェード・カーボンマトリクスは、同社のハイエンド・オーディオボードにも採用されている素材で、振動を熱に変換することで高い制振効果を発揮する。本機においてはスピーカー本体の振動を十分に吸収することで、置き場所に関わらずS/Nの良い豊かな低音を引き出すことを可能にしているという。
■HDMI端子搭載でBDオーディオなども楽しめる
アクティブスピーカーでは他に類を見ないと言える、HDMI入力端子の搭載も大きな特徴だ。これはHDMIケーブル1本でBDディスクプレーヤーと接続して、BDオーディオのハイレゾ音源も楽しむことを念頭としたもの。また、映像をディスプレイに送るためのHDMIスルーアウト出力も搭載する。
従来モデルに引きつづきUSB入力端子も搭載。光デジタル端子(S/PDIF)、アナログ(ステレオミニ)の入力端子を備えている。各デジタル入力が対応するサンプリング周波数/ビットレートは44.1、48、88.2、96、176.4、192 kHz/24bitとなる。USB入力は、DSDには非対応となる。
本機にはリモコンが付属し、音量調整や入力切り替えが可能。設置場所によるミラー効果(低音量増加)を防ぐ低域音量調整機能を搭載。テーブルに置く場合と、テレビの横や壁際に設置した場合では、ミラー効果により低音の量感が変化するが、本機はリモコンで低音の量を2つのモード(大・小)から選択でき、最適な低音量に調整できる。
クロスオーバー周波数は3,500Hz、周波数特性は60Hz〜60kHz。外形寸法は130W×200H×170Dmm(スピーカーベース含む)、スピーカーセット部の質量は右側が約3.0kg、左側が約2.9kgとなる。
KS-7HQMは、192kHz/24bitに対応したUSB入力、光デジタル入力に加え、HDMI入力を搭載したアンプ内蔵型のアクティブスピーカー。ステレオミニ端子のアナログ入力も搭載している。スピーカーは2ウェイで、リングダイアフラム型トゥイーターとウーファーの構成。バイアンプ方式で駆動され、総合出力は160Wとなる。
クリプトンは本日、このKS-1HQMおよび、スピーカーシステム「KX-1」(関連ニュース)の発表会を開催。発表会冒頭では、自ら製造現場にまで足を運ぶほどだったという同社の濱田正久社長が登場。「KS-7HQMは、ハイレゾ再生を通してユーザーに“驚きと感動”を与えてくれる製品です。その音を聞けば、きっと驚いていただけるはず」と新製品に込めた想いを語っていた。
クリプトンは、2010年6月にハイレゾ対応オーディオシステムの第一世代モデルとなるUSB入力搭載アクティブスピーカー「KS-1HQM」(関連ニュース)を発売、2012年10月には192kHz/24bitに対応した第二世代モデル「KS-3HQM」(関連ニュース)を発売した。KS-7HQM は、これらに次ぐ第三世代機になるという。発表会では、KS-7HQMの開発に携わった同社の渡邉 勝氏が製品の詳細について紹介してくれた。
■新DDC/DSP/フルデジタルアンプ構成
本機に入力されたデジタル信号は、DDC(D/Dコンバーター)を経て、FPGAを用いたDSP、デジタルクロスオーバーネットワークを含む独自開発のフルデジタルアンプにデジタルのまま送られる。この方式によってアナログ変換することなくダイレクトにデジタルアンプまで信号が送り届けられるので、変換ロスが避けた忠実な再現が可能になった。
また、バイアンプ方式が採用され、4基のアンプが各ユニットを個別に駆動。このフルデジタルアンプは同社が新規に設計したもので、ハイレゾ音源の高解像度な音を低歪、高S/Nに再現できるとのこと。FPGAについては、デジタルアンプ特有の折り返し歪みを回避するためのデジタルフィルターを構成。また、やはりFPGAを用いたデジタルクロスオーバーネットワークを採用し、2ウェイの高域と低域を分け駆動することで、各ユニットの干渉を防ぎ極めて歪の少ない音質を実現している。
渡邉氏はFPGAを搭載したフルデジタルアンプを開発した背景についても説明。「デジタルアンプは音が悪いと言う方がいますが、一番の問題はアンプ内のデジタルフィルターにあります。デジタルフィルターが折り返しノイズを戻してしまうことが、デジタルアンプが音が悪いと言われる原因なのです。よって本機はFPGAでプロトコルを入れて、デジタルアンプの折り返しノイズを出さないようにデジタルフィルターを設定しています」(渡邉氏)。
再生中の曲のサンプリング周波数を、Rchスピーカーのフロントに設けられたLED点灯でわかりやすく表示してくれる機能も追加された。なお、リモコンでレゾリューション表示のLEDを消すこともできる。
■ハイレゾ対応の新設計リングフラムトゥイーターを採用
スピーカー部は、ホールデッドダクトによるチューンドバスレフ方式を採用。折り曲げたダクトにより低域再生限界周波数を下げ、キャビネット内の共鳴音をホールデッドダクトを通して位相反転することで、ピュアな低域再生を実現する。なお、湾曲したダクトを用いた理由については、小さな筐体で低域を十分に再生するためにはバスレフダクトを長くする必要があるが、一方でダクトが筐体に収まらなくなるため、こうした形状のダクトになったとのことだ。
スピーカーユニットについても、ハイレゾ再生に対応するために厳選。ハイレゾ再生用として60kHzの超高域が再生可能な新設計30mmリングダイアフラム・トゥイーターを採用した。またトゥイーターの中央には、高域周波数レンジ拡大を図るための砲弾型イコライザーが配置されている。ウーファーは、Tymphany製の84mmコーンが用いられた。
従来のKSシリーズからデザインも刷新し、厚さ8mmのオールアルミ製高級仕上げのエンクロージャーを採用。剛性を高めることで共振を抑え、エンクロージャーの“鳴き”を排除した。さらにラウンドフォルムを採用することで、箱型スピーカーの欠点であるディフラクション(回折)効果の反射を改善し、滑らかな音を実現する。
共鳴を抑えるためにエンクロージャーの剛性にこだわった理由のひとつに、ニアフィールド試聴における定位感の向上がある。「箱鳴りを止めるということはスピーカー造りにおける一大テーマで、多くの技術者がエンクロージャーの振動を止めるための工夫を重ね、様々な技術革新もありました。一方で、箱鳴りを止めるのは難しいから、どうせなら良く鳴らそうとエンクロージャーに木を用いる方法があります。しかし、ニアフィールド試聴では、こうした振動が定位などに悪影響を与えます。KS-7HQMは全体に8mm厚のアルミを用いることで、極力箱鳴りを無くすことを目指しました」(渡邉氏)。
本体とは別構成で、ネオフェード・カーボンマトリックス3層材のインシュレーターが付いたモアビ材製スピーカーベースも用意。こちらは従来のような高さがあるものではなく、薄型のベースだ。ネオフェード・カーボンマトリクスは、同社のハイエンド・オーディオボードにも採用されている素材で、振動を熱に変換することで高い制振効果を発揮する。本機においてはスピーカー本体の振動を十分に吸収することで、置き場所に関わらずS/Nの良い豊かな低音を引き出すことを可能にしているという。
■HDMI端子搭載でBDオーディオなども楽しめる
アクティブスピーカーでは他に類を見ないと言える、HDMI入力端子の搭載も大きな特徴だ。これはHDMIケーブル1本でBDディスクプレーヤーと接続して、BDオーディオのハイレゾ音源も楽しむことを念頭としたもの。また、映像をディスプレイに送るためのHDMIスルーアウト出力も搭載する。
従来モデルに引きつづきUSB入力端子も搭載。光デジタル端子(S/PDIF)、アナログ(ステレオミニ)の入力端子を備えている。各デジタル入力が対応するサンプリング周波数/ビットレートは44.1、48、88.2、96、176.4、192 kHz/24bitとなる。USB入力は、DSDには非対応となる。
本機にはリモコンが付属し、音量調整や入力切り替えが可能。設置場所によるミラー効果(低音量増加)を防ぐ低域音量調整機能を搭載。テーブルに置く場合と、テレビの横や壁際に設置した場合では、ミラー効果により低音の量感が変化するが、本機はリモコンで低音の量を2つのモード(大・小)から選択でき、最適な低音量に調整できる。
クロスオーバー周波数は3,500Hz、周波数特性は60Hz〜60kHz。外形寸法は130W×200H×170Dmm(スピーカーベース含む)、スピーカーセット部の質量は右側が約3.0kg、左側が約2.9kgとなる。