公開日 2015/09/30 15:53
クリプトン、密閉型2ウェイスピーカー「KX-5P」。“熟成を極めた”第10弾モデル
内部配線に自社製PCOCC-Aケーブルを採用
クリプトンは、2ウェイ密閉型スピーカーシステム「KX-5P」を10月下旬より発売する。価格は485,000円/ペア(税抜)。
本機は2010年に発売された同社ブックシェルフ型スピーカーの上位モデル「KX-5」をベースに、新たにピアノフィニッシュ仕上げのエンクロージャーを採用。併せて内部配線材の変更など音質チューニングを施したモデルとなる。なお、KX-5は今後も平行してラインナップされる。
発表会では、同社のスピーカー開発担当である渡邉 勝氏が本機の詳細を説明。今年はクリプトンがピーカーシステムを商品化して10年という節目であることを紹介。さらにKX-5Pがスピーカーシステム第10弾となるモデルであることにも言及し、「我々は『よみがえるメイド・イン・ジャパン』をテーマにここまでスピーカーを開発してきましたが、KX-5Pは10年の歴史を経て“熟成の極み”という境地に達したといえるモデルです」と、新製品の完成度に胸を張っていた。
またピアノ仕上げモデルの開発背景として、フラグシップモデル「KX-1000P」直系モデルでありラインナップ中核に位置付けられるKX-5にもピアノ仕上げが欲しいというユーザーの声もあった。ユニットはKX-5を踏襲しつつも、エンクロージャーをピアノ仕上げに変更することで音質傾向もまったく別物になってしまうため、新たにチューニングが施されたという。
トゥイーターはKX-5に引き続き、50kHzまでの再生が可能な砲弾型イコライザー付き35mmピュアシルク・リングダイアフラム・トゥイーターを採用。KX-1000Pで開発されたこのトゥイーターを採用することで、エッジワイズ・ボイスコイルとアルニコ壺型内磁気回路との相乗効果により、超高域再生までリニアリティや歪を改善している。
ウーファーにも引き続き、170mmクルトミューラーコーン・ウーファーを採用。こちらはエッジワイズ・ロングトラベルボイスコイルとあるニコ壺型内磁気回路によって能率を確保し、駆動力と共に、大幅振幅時の磁気回路外れに対応。極めて歪みのない再生を可能にした。
エンクロージャーの表面仕上げは、KX-5がパープルウッドつき板の6面ポリウレタン材塗装仕上げなのに対して、KX-5Pはオール天然材つき板の高級ピアノ塗装(ポリエステル塗装)による鏡面6面仕上げを採用。エンクロージャーは、いずれも針葉樹系高密度18mm厚パーチクルボードを採用した高剛性密閉型としている。
KX-5Pの採用された高度なピアノ仕上げは、クリプトンがKX-1000PやKX-3PIIなどの代表モデルで培ってきたもの。渡邊氏は「ピアノ塗装の場合、塗膜が厚くなって箱を押さえ込むために、音質ががらっと変わってしまいます。ですから、KX-5Pではゼロからチューニングを行ったのです」と紹介していた。
このKX-5Pの音作りでポイントとなったのが、低域を調整するための吸音材によるチューニングと、内部配線材の見直しだったとのこと。
密閉型スピーカーでは特に、“低域制動特性”が低域のトランジェント(音の正確な立ち上がり/立ち下がり)を決定づけるとのこと。KX-5Pでは吸音材に「ウール100%の低密度フェルト」と、同社の独自吸音材「ミスティックホワイト」をハイブリット使用することで制動特性を調整。ウーファーの優れた低域特性との相乗効果により、トランジェントの良い、豊かで伸びやかな低域再生を実現したという。
また渡邊氏は、「スピーカーから音が出るとき、エンクロージャーももちろん振動しています。そして、スピーカーユニットの振動板に比べたら、エンクロージャーの面積はとても大きいわけです。私はエンクロージャーも、音をつくる重要な振動板であると考えてスピーカーを設計しています」と、自身のスピーカー設計における哲学も紹介していた。
渡邊氏は日本ビクター在籍時代から「SX-3」など数々の密閉型スピーカーを手がけてきた技術者だ。吸音材を使った低域のチューニングは、特性の測定だけでは難しいもので、長年の密閉型スピーカー開発で培ったノウハウや感覚があればこそ可能になったとのこと。
もうひとつのチューニングの肝が、ウーファー・トゥイーター用の内部配線材をKX-5で使用していたinakustik製のものから、同社製のPCOCC-A導体を用いたスピーカーケーブルに変更したこと。また話題のPC-Triple Cではなく、あえて生産終了した貴重なPCOCC-A導体を用いたとのこと。「私はスピーカーケーブルとしては、まろやかで強調感のすくないPCOCC-Aが好みですね」と渡邊氏はコメントしていた。
ネットワーク部については、歪を抑えるために抵抗値の低い直径1.2mmの空芯コイル(OFC材)、ケース入りのピッチ材で振動を抑えた低損失メタライズドフィルムコンデンサーなどのネットワーク素子を採用する。
またウーファーとトゥイーターそれぞれのインピーダンスを合わせたインピーダンスマッチング設計とし、金メッキ端子など厳選した部品も採用。素子間の結線はハンダフリーのかしめ方式としている。スピーカー端子については、バイワイヤリング方式を採用している。
なお、価格はピアノ仕上げを採用しつつ、KX-5から3.5万円アップ(KX-5は450,000円/ペア・税抜)にとどめた。サランネットについては、KX-5は西陣紗織の絹サランネットを採用しているが、KX-5Pでは通常のジャージ素材としている。
定格入力は50W、最大出力は150W。能率は87dB/W・m、インピーダンスは6Ω、クロスオーバー周波数は3.5kHz。再生帯域は40Hz〜50kHz。外形寸法は、KX-5および「KX-3PII」と同じで224W×380H×319Dmm。質量は11.0kgとなる。
発表会の冒頭ではクリプトンの代表取締役社長である濱田氏も挨拶。「今は音楽ストリーミングの登場など音楽を試聴する環境が大きく変化する時期です。クリプトンはどんな音楽を聴くにしても、それを最も上質に聴ける環境を提供していく所存です。あわせて、これからも音楽を忠実に再現すること、手軽に高音質を楽しめることも追求していきます」とコメント。「万が一クリプトンが上質さを忘れて安易な方法に向かうようなことがあったら、みなさんで叱ってください」とも述べ、会場の笑いを誘っていた。
本機は2010年に発売された同社ブックシェルフ型スピーカーの上位モデル「KX-5」をベースに、新たにピアノフィニッシュ仕上げのエンクロージャーを採用。併せて内部配線材の変更など音質チューニングを施したモデルとなる。なお、KX-5は今後も平行してラインナップされる。
発表会では、同社のスピーカー開発担当である渡邉 勝氏が本機の詳細を説明。今年はクリプトンがピーカーシステムを商品化して10年という節目であることを紹介。さらにKX-5Pがスピーカーシステム第10弾となるモデルであることにも言及し、「我々は『よみがえるメイド・イン・ジャパン』をテーマにここまでスピーカーを開発してきましたが、KX-5Pは10年の歴史を経て“熟成の極み”という境地に達したといえるモデルです」と、新製品の完成度に胸を張っていた。
またピアノ仕上げモデルの開発背景として、フラグシップモデル「KX-1000P」直系モデルでありラインナップ中核に位置付けられるKX-5にもピアノ仕上げが欲しいというユーザーの声もあった。ユニットはKX-5を踏襲しつつも、エンクロージャーをピアノ仕上げに変更することで音質傾向もまったく別物になってしまうため、新たにチューニングが施されたという。
トゥイーターはKX-5に引き続き、50kHzまでの再生が可能な砲弾型イコライザー付き35mmピュアシルク・リングダイアフラム・トゥイーターを採用。KX-1000Pで開発されたこのトゥイーターを採用することで、エッジワイズ・ボイスコイルとアルニコ壺型内磁気回路との相乗効果により、超高域再生までリニアリティや歪を改善している。
ウーファーにも引き続き、170mmクルトミューラーコーン・ウーファーを採用。こちらはエッジワイズ・ロングトラベルボイスコイルとあるニコ壺型内磁気回路によって能率を確保し、駆動力と共に、大幅振幅時の磁気回路外れに対応。極めて歪みのない再生を可能にした。
エンクロージャーの表面仕上げは、KX-5がパープルウッドつき板の6面ポリウレタン材塗装仕上げなのに対して、KX-5Pはオール天然材つき板の高級ピアノ塗装(ポリエステル塗装)による鏡面6面仕上げを採用。エンクロージャーは、いずれも針葉樹系高密度18mm厚パーチクルボードを採用した高剛性密閉型としている。
KX-5Pの採用された高度なピアノ仕上げは、クリプトンがKX-1000PやKX-3PIIなどの代表モデルで培ってきたもの。渡邊氏は「ピアノ塗装の場合、塗膜が厚くなって箱を押さえ込むために、音質ががらっと変わってしまいます。ですから、KX-5Pではゼロからチューニングを行ったのです」と紹介していた。
このKX-5Pの音作りでポイントとなったのが、低域を調整するための吸音材によるチューニングと、内部配線材の見直しだったとのこと。
密閉型スピーカーでは特に、“低域制動特性”が低域のトランジェント(音の正確な立ち上がり/立ち下がり)を決定づけるとのこと。KX-5Pでは吸音材に「ウール100%の低密度フェルト」と、同社の独自吸音材「ミスティックホワイト」をハイブリット使用することで制動特性を調整。ウーファーの優れた低域特性との相乗効果により、トランジェントの良い、豊かで伸びやかな低域再生を実現したという。
また渡邊氏は、「スピーカーから音が出るとき、エンクロージャーももちろん振動しています。そして、スピーカーユニットの振動板に比べたら、エンクロージャーの面積はとても大きいわけです。私はエンクロージャーも、音をつくる重要な振動板であると考えてスピーカーを設計しています」と、自身のスピーカー設計における哲学も紹介していた。
渡邊氏は日本ビクター在籍時代から「SX-3」など数々の密閉型スピーカーを手がけてきた技術者だ。吸音材を使った低域のチューニングは、特性の測定だけでは難しいもので、長年の密閉型スピーカー開発で培ったノウハウや感覚があればこそ可能になったとのこと。
もうひとつのチューニングの肝が、ウーファー・トゥイーター用の内部配線材をKX-5で使用していたinakustik製のものから、同社製のPCOCC-A導体を用いたスピーカーケーブルに変更したこと。また話題のPC-Triple Cではなく、あえて生産終了した貴重なPCOCC-A導体を用いたとのこと。「私はスピーカーケーブルとしては、まろやかで強調感のすくないPCOCC-Aが好みですね」と渡邊氏はコメントしていた。
ネットワーク部については、歪を抑えるために抵抗値の低い直径1.2mmの空芯コイル(OFC材)、ケース入りのピッチ材で振動を抑えた低損失メタライズドフィルムコンデンサーなどのネットワーク素子を採用する。
またウーファーとトゥイーターそれぞれのインピーダンスを合わせたインピーダンスマッチング設計とし、金メッキ端子など厳選した部品も採用。素子間の結線はハンダフリーのかしめ方式としている。スピーカー端子については、バイワイヤリング方式を採用している。
なお、価格はピアノ仕上げを採用しつつ、KX-5から3.5万円アップ(KX-5は450,000円/ペア・税抜)にとどめた。サランネットについては、KX-5は西陣紗織の絹サランネットを採用しているが、KX-5Pでは通常のジャージ素材としている。
定格入力は50W、最大出力は150W。能率は87dB/W・m、インピーダンスは6Ω、クロスオーバー周波数は3.5kHz。再生帯域は40Hz〜50kHz。外形寸法は、KX-5および「KX-3PII」と同じで224W×380H×319Dmm。質量は11.0kgとなる。
発表会の冒頭ではクリプトンの代表取締役社長である濱田氏も挨拶。「今は音楽ストリーミングの登場など音楽を試聴する環境が大きく変化する時期です。クリプトンはどんな音楽を聴くにしても、それを最も上質に聴ける環境を提供していく所存です。あわせて、これからも音楽を忠実に再現すること、手軽に高音質を楽しめることも追求していきます」とコメント。「万が一クリプトンが上質さを忘れて安易な方法に向かうようなことがあったら、みなさんで叱ってください」とも述べ、会場の笑いを誘っていた。