公開日 2022/08/08 10:57
【販売店レポート】ヨドバシAkiba、コロナ禍にオーディオ人気が盛り上がる。若者の姿も
“旬”のオーディオの楽しみ方
■レコードプレーヤー目的にレコード持参の若いお客様
コロナ禍のホームエンタメとして俄然注目が高まるオーディオ。実にアウトレットを含めた単品オーディオのフロア面積が855.5平米、アクセサリーを含めた取り扱いアイテム3,000点以上という都内最大級の品揃えを誇るヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでも、単品コンポを中心としたオーディオが盛り上がりを見せている。
「なかでも目につくのが、オーディオは初めてという若いお客様です」と語る志田安土マネージャ。「最近、レコード盤を出すアーティストが増えたこともあってか、購入した好きなアーティストのレコード盤をわざわざ持参して、『これを聴けるものをください』とリクエストされるケースも増えています」とレコード人気の裾野の拡がりを実感する。
レコードプレーヤーを購入すれば、レコードを聴けると思っている人も少なくないそうで、他にもアンプとスピーカーが必要になることやレコードの楽しみ方を丁寧に説明する。レコードプレーヤーコーナーにもPOPを掲げて案内している。さらに、ハードルをできるだけ引き下げる狙いから、Bluetoothで接続できるレコードプレーヤーとスピーカーをセットで提案。手軽な組み合わせとして人気を集めている。
吹き込む新しい風に「とにかくレコードが聴ければいい方もいれば、オーディオにはまっていきそうなこだわりの強い方もいらっしゃいます。お客様それぞれの要望に叶ったシステムをご提案していますが、少しでもオーディオの奥深さに触れてもらえたらうれしいですね」と期待を膨らませる。
レコードに並び盛り上がりを見せるのはネットワークオーディオ。自宅で動画配信を視聴するならもっと大きな画面で見ようと、テレビ離れしていた若者の回帰も伝えられているが、音楽の楽しみ方も同様だ。「イヤホンで楽しむだけでなく、家で単品スピーカーから空気を震わせて音楽を聴いてみたい、そんな未知の世界に目を向ける人が確実に増えているようです」と注目する。
「お客様の現状としては“ふわっと”はわかっています。ところが一歩踏み出そうとすると、説明してもらえる場所や機会が圧倒的に少ないんです」と課題を指摘する志田氏。そこで同店ではエントリー層向けの「コンポコーナー」を、オーディオコーナーとは同フロアながら、少し距離を置いて配置する。通路を挟んだ向かいはイヤホン・ヘッドホンコーナー。照明もオーディオコーナーの落ち着いたトーンに対し、明るく馴染みやすい。「オーディオというと、どうしても自分とは縁遠い世界だとイメージされてしまう傾向も否定できません。そこを、敷居をでき得る限り低くして、誰もが手の届く世界であることを感じていただくことを大切にしました」と説明する。
コンポコーナーでは通路に面し、「ネットワークアンプ」と「ネットワークスピーカー」を核にした組み合わせを“ヨドバシ オススメ”として展開、お客様の関心を引き寄せている。前者では人気のレコードプレーヤーもネットワークアンプに接続。置き場所もスッキリ収まるブックシェルフスピーカーとの組み合わせを提案。スマホを使い、アンプとスピーカーで手軽に高音質に音楽を楽しめることを訴えかける。
ブックシェルフスピーカーには聴き比べができるコーナーが設けられている。マランツ「M-CR612」のようなオールインワンのシステムも人気が高く、デザインを含めた多彩な選択肢を確認することができる。「おおよその予算の目安としては、区切りの良い10万円で設定されているケースが多いように感じます。コロナ禍を契機に若い人がオーディオに対して何かしら関心を持っていただけたことは間違いありません。予算を飛び出してしまうケースも珍しくありませんが、そこは徐々にステップアップしてくこともまた、オーディオならではの楽しさですから」。
■圧巻の品揃えアクセサリー。遠方から足を運ぶマニアも
エントリー層のみならず、コアなオーディオファンの動きも活発だ。コロナ禍に予定していた旅行に行けなくなり、浮いた資金で新しいモデルに買い替えるといったケースもよく見受けられたという。
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaのオーディオコーナーで特筆できるひとつの大きな特長が、圧倒的な品揃えを誇るアクセサリーコーナー。目指すものが取り寄せではなく、その場で手に入れ持ち帰ることができ、はるばる遠方から足を運ぶオーディオファンも少なくないという。
アクセサリーと言えば最近、注目を集めたのが専門誌「オーディオアクセサリー誌」が付録にした接点安定材。同店はオーディオやホームシアター関連の専門誌コーナーが充実することでも知られており、その販売実績は全国の大型書店を含めてもトップクラス。「オーディオアクセサリー誌で付録となったアンダンテラルゴの接点安定材『SuperTMD』は注目度も高く、オーディオアクセサリー誌を2冊購入されていくお客様や、付録についていたものと同じ接点安定材を追加で購入されていくお客様の姿も多く見受けられました」と大きな話題を提供した。
広い売り場の随所に魅力が満載する同店だけに、「専門誌の付録や特集をきっかけに、売り場を回遊することで新たな発見をしていただくこともありますし、来店そのものの動機づけにもなります。今後、オーディオやホームシアターの裾野をさらに広げるような話題作りにも力を入れてほしいですね」と期待を寄せる。
その一方で、現在、オーディオでは世界的な半導体や部品の不足、輸送の遅延・混乱などから商品供給が大変厳しい状況にある。そのようななかで注目の高まっているのが「アウトレットコーナー」だ。ヨドバシカメラ全店の単品オーディオの展示品が、ここマルチメディアAkibaに一堂に集められ、「アウトレットコーナー」として展開されている。
「新製品に比べて少し安い価格で手に入れられることに加え、例えば目指す新製品が入荷待ちで入手に時間がかかってしまう場合、その場ですぐ手に入れられることが大きな魅力となっています」と背景を説明する。お客様もオーディオ製品の品薄の状況については認識しており、さらなる選択肢のひとつとして、ご希望の内容に合わせて適宜案内しているとのこと。
「今後は単品のオーディオへの誘導路に工夫を凝らし、間口をもっと拡げていきたい」と抱負を語る志田氏。7月にはテクニクスサウンドトレーラーが駆け付けイベントが開催された。DJ BUNTA氏によるDJパフォーマンスも披露され、テクニクスの話題のレコードプレーヤー『SL-1200M7L』をクローズアップして紹介した。「大盛況で、特に若い人の姿が目についたのはうれしかったですね。興味を持ってもらえるきっかけとなるような様々な取り組みをこれからも行っていきたい」と力を込める。
オーディオに関心を抱く若い人も増えて、レコードもブームになっているものの、どのようにしたら再生できるのか、その知識は驚くほど不足している。そんなときにこそ頼りできるのがオーディオショップ。「専門店ではどうしても敷居が高いという方も、気軽にお立ち寄りいただけると思います。商品展示数はトップクラス。納得がいくまで試聴いただける環境が整っています。足を運んでいただき、実際にオーディオの音を一度聴いてみてください。スタッフに気軽に声を掛けていただければ、レコードプレーヤーの操作を試していただくこともできます」と呼び掛ける。奥深いオーディオの世界の扉を気軽に叩くことができる、そんな機会を提供してくれるヨドバシカメラ マルチメディアAkiba。4階オーディオフロアに足を運んでみてはいかがだろうか。