公開日 2024/05/27 17:00
マランツ、幅22cmの“サイズ超え音質”プリメイン「MODEL M1」。HDMIやHEOS対応、高出力Class Dアンプ搭載
天面メッシュ構造など型破りなデザイン
ディーアンドエムホールディングスは、マランツブランドより、幅217mmのコンパクトな筐体に「こだわり抜いたHi-FiクオリティのハイパワーClass Dアンプを搭載した」という、HDMI端子搭載の“ワイヤレス・ストリーミング・アンプ”「MODEL M1」を6月中旬に発売する。価格は154,000円(税込)。
独自のネットワーク機能「HEOS」に対応し、各種音楽配信サービス再生を始めとするネットワークオーディオが利用可能なプリメインアンプ。eARC対応のHDMI端子も装備し、テレビと接続してテレビ番組や動画配信サービスのコンテンツもHi-Fiオーディオクオリティで楽しめるとしている。
外形寸法217W×84H×239Dmm、質量2.2kgという小型な筐体が特長で、同社のフルサイズ機の約半分というコンパクトサイズを実現。マランツの高山氏は「フルサイズの44cmは特に奥行きで場所を選ぶため、オーディオラックに置かざるをえない。しかし、今回の22cmなら一般的なラックなどどこにでも置くことができる。オーディオの制約からひとつ解き放たれるサイズではないか」と、狙いを説明する。
一方で、「どこにも音質的な妥協を感じない実力を実現した」ともコメント。小型でありながらもHi-Fiクオリティを実現したモデルだとアピールした。
その音質的こだわりのひとつが、同社が長年培ってきた技術を基にしたClass Dアンプを搭載している点。オランダのAxign社と共同開発したClass Dアンプを搭載している。「このサイズでこの出力を求めたときに最適なものを、と探して今回はAxign社との共同開発に至った」(マランツのサウンドマスター 尾形氏)という。
同アンプでは、スピーカー出力の直前からフィードバックをかけるポストフィードバック方式を採用することで、全周波数帯域において超低歪みを実現したとのこと。また、デジタルフィルターには、マランツのCDプレーヤーで採用している独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装している。
マランツがHi-Fiオーディオカテゴリーの製品にClass D方式のパワーアンプを採用したのは2015年の「HD-AMP1」が始まり。以来、プリメインアンプのフラグシップモデル「PM-10」や「MODEL 30」、16chパワーアンプ「AV 10」に至るまで、Class Dパワーアンプを上級モデルに採用してきた。そして今回、MODEL M1の設計に、この過程で培われたClass Dアンプ開発にまつわる回路設計技術やパーツ選定、サウンドチューニングのノウハウなど、あらゆる成果を活用したという。
4チャンネル分のClass Dパワーアンプを搭載しており、これらのアンプをBTL構成で用いることで、8Ω負荷で100W+100W、4Ω負荷で125W+125Wという出力を実現。また、電圧の振幅および電流の幅を大きく取れる回路構成とし、スペック上の出力値以上にスピーカー駆動力に影響する瞬時電流供給能力を高め、入力に対してリニアなスピーカー駆動を実現したとアピールしている。
出力段のローパスフィルターには、AMP 10で採用している高品質コイルをMODEL M1に合わせてダウンサイジングしたものを採用。コンデンサーには10種類以上の候補の中からサウンドマスターが厳選したというBevenbi社のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサーを採用するなど、様々な面で音質に配慮している。
回路の小型化と安定した電流供給能力の両立を図るため、スイッチング方式を採用した専用の電源回路を新たに開発。加えて、サウンドマスターによるリスニングテストを繰り返して選び抜かれた高音質コンデンサーなどの高品位なパーツを投入することで、電源回路のサウンドクオリティアップも図っている。
小型筐体で広大な空間表現と開放的なサウンドを実現することを狙い、キャビネットには樹脂をあえて採用。シャーシは4mm厚のアルミベースプレートを採用し、放熱機能(ヒートシンク)と高剛性の両立を図っている。また、筐体は加水分解しない日本製の特別なラバー塗装を施してプレミアム感を演出している。
筐体天面には、非磁性体のステンレス製メッシュ構造を採用。「Waved Top Mesh」と名付けられたトップカバーは、光の当たり方で様々な表情を見せることに加えて、従来の放熱孔を設けたアルミニウムトップカバーよりも大きな開口面積を備えており、高い放熱性はもちろん、さらに開放感に優れた空間表現を可能にするという。
燻R氏は、こうした新デザインを「Class Dアンプのためのデザイン」だと表現。「従来のオーディオでは、外部の電波ノイズ遮断のためにメタルで筐体を囲むが、小型スイッチングアンプのハンドリングにおいてメタルは必ずしも最適階ではないと我々は考えている」と続ける。
そして「鉄で囲うと回路に対する影響が大きいと考え、マランツの上位機では非磁性体のアルミを天板に採用しているが、コストがかかってしまう。そこで、磁性体として鉄が回路に与える影響を最小化するためのデザインとして、今回のWaved Top Mesh構造でアルミ天板と同様の効果を狙っている」と説明した。
なお、底面にも穴を開けて空気を対流させる構造にすることでも熱へ対策。ファンレスで高い放熱安定度を実現することで、静かな環境においてもファンノイズでリスニングを邪魔しないよう配慮している。
端子類には、金メッキ加工を施したスピーカー端子や前述のHDMIのほか、USB Type-A、光デジタル音声入力、アナログ音声入力(RCA)、サブウーファー出力などを装備。LAN端子と、IR端子も備えている。
HDMIはARCおよびeARCに対応しており、テレビからHDMIケーブルを通してリニアPCM信号やDolby Digital Plus信号を入力可能。マルチチャンネル信号はステレオにダウンコンバートして再生される。
なお、eARCに対応させるため、MODEL 40nやSTEREO 70sなどで採用してきた独自のHDMI信号経路の高音質化技術は本機では不採用。しかし「HDMI回路に独自高音質化を施したときと同等のサウンドクオリティを本機でも実現している」と同社は説明している。
そのほかHDMIはHDMI CECにも対応し、本機と接続したテレビに連動した電源オン/オフや音量調整、テレビリモコンによる本機の操作などが可能。ユーザーのテレビがHDMI CECに対応していない場合でも、主要メーカーのテレビに対応するリモコンプリセット機能やリモコン学習機能を使って、テレビのリモコンで音量を調整することができる。なお本機にはリモコンは付属せず、本体前面のタッチボタンか、前述のようにテレビリモコンなどで操作することになる。
また、光デジタル音声入力は最大192kHz/24bitのPCM信号とDolby Digital信号の入力に対応。HDMI ARCに対応していないテレビやメディアプレーヤーなども光デジタル端子へ接続して楽しめるようにしている。
HEOS Built-inによるネットワークオーディオ再生や、USB入力からのオーディオ再生においては、最大でDSD 5.6 MHzおよびPCM 192kHz/24bitに対応。DSD、WAV、 FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応する。
スマートフォン/タブレット用のHEOSアプリは、Amazon Music HDをはじめ、AWA、Spotify、SoundCloudなど様々な音楽ストリーミングサービスに対応。ユーザー自身のNASやPC内の楽曲や各種音楽配信サービスなどを統合的に操作することができる。
なお、Wi-Fiは2.4GHz/5GHzのデュアルバンド対応。そのほかワイヤレス音楽再生では、BluetoothやAirPlay 2などにも対応。Bluetoothは最大8台までのBluetooth機器とペアリング可能で、バージョンは4.2、対応コーデックはSBC。
前述の高山氏は、MODEL M1という製品名について「Hi-Fiの新たなはじまりとなる『Marantz』のモデルナンバー『1』」という意味を込めたと説明。同社の上位機を生産する日本の自社工場「白河オーディオワークス」で本機も製造していることも紹介し、コンパクトでありながらも音質へ徹底的にこだわった製品であることをあらためてアピールした。
また、尾形氏も「コンパクトなモデルを白河工場で生産するのは結構珍しいケース」だとコメント。「(似たような機能を持ち本機同様にコンパクトな)ミニコンポの『M-CR612』からは価格が上がるが、この価格帯の純粋なフルサイズのHi-Fiアンプにも決して負けない、それを超えるものを目指して取り組んだ」とし、「SN感や静けさ、サウンドステージ、空間表現をちゃんと表現できるところを目指して開発した」と語った。
■様々なこだわりを投入し幅約22cmのコンパクトさでHi-Fi音質を目指す
独自のネットワーク機能「HEOS」に対応し、各種音楽配信サービス再生を始めとするネットワークオーディオが利用可能なプリメインアンプ。eARC対応のHDMI端子も装備し、テレビと接続してテレビ番組や動画配信サービスのコンテンツもHi-Fiオーディオクオリティで楽しめるとしている。
外形寸法217W×84H×239Dmm、質量2.2kgという小型な筐体が特長で、同社のフルサイズ機の約半分というコンパクトサイズを実現。マランツの高山氏は「フルサイズの44cmは特に奥行きで場所を選ぶため、オーディオラックに置かざるをえない。しかし、今回の22cmなら一般的なラックなどどこにでも置くことができる。オーディオの制約からひとつ解き放たれるサイズではないか」と、狙いを説明する。
一方で、「どこにも音質的な妥協を感じない実力を実現した」ともコメント。小型でありながらもHi-Fiクオリティを実現したモデルだとアピールした。
■オランダのAxign社と共同開発したClass Dアンプを搭載
その音質的こだわりのひとつが、同社が長年培ってきた技術を基にしたClass Dアンプを搭載している点。オランダのAxign社と共同開発したClass Dアンプを搭載している。「このサイズでこの出力を求めたときに最適なものを、と探して今回はAxign社との共同開発に至った」(マランツのサウンドマスター 尾形氏)という。
同アンプでは、スピーカー出力の直前からフィードバックをかけるポストフィードバック方式を採用することで、全周波数帯域において超低歪みを実現したとのこと。また、デジタルフィルターには、マランツのCDプレーヤーで採用している独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装している。
マランツがHi-Fiオーディオカテゴリーの製品にClass D方式のパワーアンプを採用したのは2015年の「HD-AMP1」が始まり。以来、プリメインアンプのフラグシップモデル「PM-10」や「MODEL 30」、16chパワーアンプ「AV 10」に至るまで、Class Dパワーアンプを上級モデルに採用してきた。そして今回、MODEL M1の設計に、この過程で培われたClass Dアンプ開発にまつわる回路設計技術やパーツ選定、サウンドチューニングのノウハウなど、あらゆる成果を活用したという。
4チャンネル分のClass Dパワーアンプを搭載しており、これらのアンプをBTL構成で用いることで、8Ω負荷で100W+100W、4Ω負荷で125W+125Wという出力を実現。また、電圧の振幅および電流の幅を大きく取れる回路構成とし、スペック上の出力値以上にスピーカー駆動力に影響する瞬時電流供給能力を高め、入力に対してリニアなスピーカー駆動を実現したとアピールしている。
出力段のローパスフィルターには、AMP 10で採用している高品質コイルをMODEL M1に合わせてダウンサイジングしたものを採用。コンデンサーには10種類以上の候補の中からサウンドマスターが厳選したというBevenbi社のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサーを採用するなど、様々な面で音質に配慮している。
回路の小型化と安定した電流供給能力の両立を図るため、スイッチング方式を採用した専用の電源回路を新たに開発。加えて、サウンドマスターによるリスニングテストを繰り返して選び抜かれた高音質コンデンサーなどの高品位なパーツを投入することで、電源回路のサウンドクオリティアップも図っている。
■「Waved Top Mesh」構造の新デザインを採用
小型筐体で広大な空間表現と開放的なサウンドを実現することを狙い、キャビネットには樹脂をあえて採用。シャーシは4mm厚のアルミベースプレートを採用し、放熱機能(ヒートシンク)と高剛性の両立を図っている。また、筐体は加水分解しない日本製の特別なラバー塗装を施してプレミアム感を演出している。
筐体天面には、非磁性体のステンレス製メッシュ構造を採用。「Waved Top Mesh」と名付けられたトップカバーは、光の当たり方で様々な表情を見せることに加えて、従来の放熱孔を設けたアルミニウムトップカバーよりも大きな開口面積を備えており、高い放熱性はもちろん、さらに開放感に優れた空間表現を可能にするという。
燻R氏は、こうした新デザインを「Class Dアンプのためのデザイン」だと表現。「従来のオーディオでは、外部の電波ノイズ遮断のためにメタルで筐体を囲むが、小型スイッチングアンプのハンドリングにおいてメタルは必ずしも最適階ではないと我々は考えている」と続ける。
そして「鉄で囲うと回路に対する影響が大きいと考え、マランツの上位機では非磁性体のアルミを天板に採用しているが、コストがかかってしまう。そこで、磁性体として鉄が回路に与える影響を最小化するためのデザインとして、今回のWaved Top Mesh構造でアルミ天板と同様の効果を狙っている」と説明した。
なお、底面にも穴を開けて空気を対流させる構造にすることでも熱へ対策。ファンレスで高い放熱安定度を実現することで、静かな環境においてもファンノイズでリスニングを邪魔しないよう配慮している。
■HDMI eARCやCEC対応でテレビリモコンでの操作にも対応
端子類には、金メッキ加工を施したスピーカー端子や前述のHDMIのほか、USB Type-A、光デジタル音声入力、アナログ音声入力(RCA)、サブウーファー出力などを装備。LAN端子と、IR端子も備えている。
HDMIはARCおよびeARCに対応しており、テレビからHDMIケーブルを通してリニアPCM信号やDolby Digital Plus信号を入力可能。マルチチャンネル信号はステレオにダウンコンバートして再生される。
なお、eARCに対応させるため、MODEL 40nやSTEREO 70sなどで採用してきた独自のHDMI信号経路の高音質化技術は本機では不採用。しかし「HDMI回路に独自高音質化を施したときと同等のサウンドクオリティを本機でも実現している」と同社は説明している。
そのほかHDMIはHDMI CECにも対応し、本機と接続したテレビに連動した電源オン/オフや音量調整、テレビリモコンによる本機の操作などが可能。ユーザーのテレビがHDMI CECに対応していない場合でも、主要メーカーのテレビに対応するリモコンプリセット機能やリモコン学習機能を使って、テレビのリモコンで音量を調整することができる。なお本機にはリモコンは付属せず、本体前面のタッチボタンか、前述のようにテレビリモコンなどで操作することになる。
また、光デジタル音声入力は最大192kHz/24bitのPCM信号とDolby Digital信号の入力に対応。HDMI ARCに対応していないテレビやメディアプレーヤーなども光デジタル端子へ接続して楽しめるようにしている。
■独自ネットワーク「HEOS」でハイレゾ再生も
HEOS Built-inによるネットワークオーディオ再生や、USB入力からのオーディオ再生においては、最大でDSD 5.6 MHzおよびPCM 192kHz/24bitに対応。DSD、WAV、 FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応する。
スマートフォン/タブレット用のHEOSアプリは、Amazon Music HDをはじめ、AWA、Spotify、SoundCloudなど様々な音楽ストリーミングサービスに対応。ユーザー自身のNASやPC内の楽曲や各種音楽配信サービスなどを統合的に操作することができる。
なお、Wi-Fiは2.4GHz/5GHzのデュアルバンド対応。そのほかワイヤレス音楽再生では、BluetoothやAirPlay 2などにも対応。Bluetoothは最大8台までのBluetooth機器とペアリング可能で、バージョンは4.2、対応コーデックはSBC。
前述の高山氏は、MODEL M1という製品名について「Hi-Fiの新たなはじまりとなる『Marantz』のモデルナンバー『1』」という意味を込めたと説明。同社の上位機を生産する日本の自社工場「白河オーディオワークス」で本機も製造していることも紹介し、コンパクトでありながらも音質へ徹底的にこだわった製品であることをあらためてアピールした。
また、尾形氏も「コンパクトなモデルを白河工場で生産するのは結構珍しいケース」だとコメント。「(似たような機能を持ち本機同様にコンパクトな)ミニコンポの『M-CR612』からは価格が上がるが、この価格帯の純粋なフルサイズのHi-Fiアンプにも決して負けない、それを超えるものを目指して取り組んだ」とし、「SN感や静けさ、サウンドステージ、空間表現をちゃんと表現できるところを目指して開発した」と語った。