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公開日 2006/09/03 18:49

<IFA2006レポート:キーノートスピーチ>東芝・藤井美英氏が欧州に向けHD DVDの魅力を語る

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インターナショナル・キーノートスピーチに登壇した東芝の藤井美英氏
IFA2006開催第2日目、インターナショナル・キーノートスピーチの壇上に(株)東芝 デジタル・メディア・ネットワーク社社長の藤井美英氏が登り、「HD DVD」と「ハイビジョン」を核とした、欧州市場における東芝のビジネス戦略を紹介した。

イベントキャラクターのMISS IFAの紹介を受けて藤井氏が壇上に登った

会場には欧州のマスコミや業界関係者が多数詰めかけ、藤井氏のコメントに熱心に耳を傾けた。藤井氏の今回のスピーチは「次世代エンターテインメントの主役」となるHD DVDの特長や魅力について、BDフォーマットとの対決の構図を示しながら明らかにして行くスタイルではなく、「なぜ今“DVD以上”の次世代フォーマットが必要なのか、それがどうしてHD DVDなのか」について、壇上から欧州のコンシューマーに向けて丁寧に語りかけるような語り口だった。

今回のIFA2006の会場を俯瞰する限りでは、ハイビジョン・スタンダードの薄型テレビの出展が2003年、2005年のショー開催時より、また格段に数を増していることがわかる。特に今年のイベントではフルHD対応のテレビがデモンストレーションされ、多くの来場者を獲得しているのを目の当たりにすれば、欧州コンシューマーの関心が単純に「薄いテレビ」への興味から「画質の良い大画面」へと急速に変化していることが実感される。

AV業界のパラダイム・シフトが急速に進み、コンテンツの楽しみ方も変化・多様化しているとした

HD対応のディスプレイとHD DVDのベストマッチングを、藤井氏は強調した

藤井氏はスピーチの冒頭、欧州のAV業界の中でも「テレビのフラットパネル化・HD化」、あるいは機器のネットワーク化をはじめとするパラダイム・シフトが着実に進みつつあることを強調した。欧州コンシューマーの期待が高画質なHDTVに向き始めた今、革新的な技術によって高品位・高密度なコンテンツを収録できるHD DVDが、高画質ディスプレイと優れた相性持つメディアであることを、わかりやすく明解に図式化することが、東芝が欧州の市場で成功するための重要な課題であり、今回の講演において藤井氏が繰り返し主張したポイントであった。


IFA開催初日に東芝の欧州向けHD DVDプレーヤーが発表された
東芝はIFA開催初日となる9月1日に、欧州市場におけるHD DVD関連機器の投入を高らかに宣言し、欧州初の再生機となる「HD-XE1」、「HD-E1」を発表した(>>関連記事参照)。

上位機が899ユーロ(約13.5万円)という価格設定について藤井氏は「欧州マスコミの皆さんはこの価格を高いと報道されるかもしれないが、東芝が今年の年頭に米国でHD DVDプレーヤーを初めて発表した時には安すぎると批判されたものだ。まあ、将来的に様々な可能性を備える新しいジャンルの注目商品なので、どちらに値付けをしたところで批判をもらうことは覚悟の上だが」と語った。


欧州をはじめ、日本、北米でもハイビジョンテレビの需要が急速に高まっていることをグラフより紹介した

東芝はハイビジョン関連製品へのビジネスシフトを急速に進めていく
同社としては当面、「HDTVの実力をフルに活かせる高画質プレーヤー」として新製品、およびHD DVDの魅力を訴求していく考えだ。藤井氏は「私もかつて当社の社長に就任するまではDVD以上に高画質なコンテンツがなぜ必要なのかと疑問を感じていたものだったが、いまやAV機器の処理能力が向上し、当時は考えられなかったほどに大容量・高画質の情報コンテンツを扱うことができるようになった。今後欧州の方々にも、HD DVDの高画質、インタラクティブ機能を目の当たりにしていただければ、それが次世代のテレビが未来に求められているスペックとのギャップを埋める、最も有力なアプリケーションであるということを体感いただけるだろう」とコメントし、欧州市場へのHD DVDの認知拡大と普及に自信をのぞかせた。

藤井氏はさらに、現在東芝がハードディスクや光記録ディスク等の記録媒体から、高性能プロセッサー「Cell」、液晶ディスプレイのデバイス等、広範な次世代エンターテインメントに関連するコア技術や製品に関わり、大きな影響力を発揮している企業であると述べた。中でもハードディスクと光記録ディスクの技術においては業界のリーディングポジションにあることを強調しながら、日本国内では「HDD搭載HD DVD録画機」のビジネスに力を入れて取り組んでいることを紹介した。


日本ではHD DVD録画機能を搭載したレコーダー「RD-A1」を展開していることを紹介

HDDの大容量化が急速に進みつつあることをグラフで示した

プレーヤーと録画機、HDDとHD DVDそれぞれの魅力を活かしたビジネス展開を宣言
テレビ番組を録画することに対する欧州コンシューマーの関心は、現在のところまだ低いのが現実だ。日本においてもDVDレコーダーが全盛を極めていた頃、2003年に開催されたIFAでは、各ブースにもっと多くの録画機器の展示があったが、今回はBDやHD DVDの次世代機器に注目が集まり、録画機への来場者の関心は決して高くはない。欧州においては当面は魅力的な再生機としてのHD DVDプレーヤーをコンシューマーに訴求していくことがテーマとなるが、とは言え今後欧州でも「ハイビジョン」の本格的な普及とともに、コンシューマーのライフスタイルも「高画質・大容量」「オンデマンド」の方向へ、数年の間に急速にシフトする可能性も大いに考えられる。藤井氏は東芝の戦略として「今後DVDからHD DVDへ、ビジネスモデルを急速にシフトさせていく」ことを宣言し、録画機においては「HDD内蔵のハイブリッドモデルをスタンダードに、ハードディスクに録りためてHD DVDでアーカイブしていくという映像コンテンツの楽しみ方を訴求していきたい」と意欲を示した。


今後プレーヤーと録画機以外にも、HD DVD関連製品を充実させていくという

PCとのインターフェース、ダウンロード機能を強化していくことを明らかにした
続いて藤井氏は、「HD=ハイビジョン」を軸にした今後の東芝のビジネスプランについて紹介した。藤井氏は「以前は日本でもHDDと光ディスクを融合した商品が一般化することはないと考えられていたが、今日では録画機のみならずデジタルビデオカメラやカーエンターテインメントにもHDDとDVDのハイブリッド商品が絶大な支持を得ている。今後はHDDとHD DVDのメリットを時に融合したかたちで、あるいは時に単体で訴求しながら、東芝が描くHDワールドを実現させたい」と力強く語った。さらに具体的な未来型商品のイメージとしては「PCとのインターフェース、ダウンロード機能などを充実させ、HD DVD搭載のメディアステーションプレーヤーを実現してみたい」と意欲をのぞかせた。

スピーチの最後に藤井氏は「今回はIFAのように大規模なイベントにおいて、欧州の皆様に東芝の取り組みとHD DVDの魅力を紹介する機会をいただき本当に光栄に思う」とし、「来年ももし、このような機会をいただくことができれば、その際は東芝の高画質ディスプレイであるSEDを携えて、HD DVDと一緒に当社のHDワールドの魅力をご紹介したい」と語り、締めくくった。

(Phile-web編集部・山本)

[IFA2006REPORT]

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