HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2007/09/03 15:36
<山之内正のIFA2007レポート(2)>プロジェクターの最新注目モデルを早速チェック
IFAが毎年この時期に開催されることになったおかげで、秋の新製品をいち早くこの目で確認できるようになったことは、大きなメリットである。日本ではCEATECまで待たないと見られないような発表直後の新製品がIFAの会場には展示されている。ここではそんな新製品のなかから家庭用プロジェクターの注目モデルについて、画質の第一印象を紹介しておこう。
■ビクター「DLA-HD100」
まずはビクターの「DLA-HD100」。コントラスト比を30000対1まで高め、レンズのズーム、フォーカス機構を自動化するなど、DLA-HD1のビッグマイナーチェンジモデルとでも呼ぶべき進化を果たした注目のD-ILAプロジェクターである。筆者は自宅視聴室でDLA-HD1を使っているので、画質がどう進化しているのか、大いに興味がある。そこでビクターのブースで特別にお願いし、時間外にデモソフト以外の手持ちのBDコンテンツを見させていただくことにした。
視聴したのは持参した『ドリーム・ガールズ』と『ボルベール』の2本。前者は日本でも見慣れている作品だが、どのシーンを見てもDLA-HD1の映像とは印象が少なからず異なることに気付く。ステージの背景など黒を基調にした部分が深みを増し、衣装の発色も明らかに純度が上がっている。DLA-HD1の黒再現も高い水準にあるが、本機はさらにその上を行くと断言できる。肌色の微妙なトーンを繊細に表現しているので女性3人それぞれの個性がはっきり見分けられるし、表情もとらえやすい。
『ボルベール』は、アルモドバル監督がこだわる原色の再現性が要注目。なにげない日常のシーンを描きながら、鮮やかな赤を随所に配して映像にリズムと緊張を作り出しているのだが、その赤の深みに目を引き付けられた。さらにじっくり見ていくと、ペネロペ・クルスをはじめとして、女優陣の肌のきめの柔らかさと透明感の高さにも目を奪われる。肌色のトーンについては今回設計陣がこだわったポイントだというが、その努力の成果をはっきりとうかがうことができた。
機能面では前述の自動化以外にガンマカーブの詳細な補正ができるようになったことが注目される。もうひとつ重要な改善は、動作音の低減である。吸・排気経路の振動モードを見直すなど、積極的な対策を導入してDLA-HD1からさらなる静音化を実現するという。その成果については当日はまだ確認できなかったので、あらためて量産モデルで検証することにしよう。
■三菱電機「LVP-HC6000」
三菱は別掲のレポートにあるように映画館を模したブースを設け、ひときわ目立つ展示を行った。シネコンを連想させる雰囲気作りはもちろんのこと、遮光・遮音が行き届いているし、予告編や編集版ではなく本編の一部を楽しめるので、実際に劇場にいるような錯覚に陥ってしまうし、もちろん画質を見きわめるにも好都合。展示方法の巧みさとオリジナリティという観点から、今回最も感心した展示の一つである。
筆者が見た「KINO1」では「LVP-HC6000」を使用して『M:I:III』と『ドリーム・ガールズ』を上映。特に『ドリーム・ガールズ』は前作のHC5000に比べて引き締まった黒を見せており、鮮鋭感と立体感のバランスも絶妙で、確実な進化をうかがうことができた。短時間の視聴の範囲ではアイリスの挙動にも不自然な要素はなく、透過型液晶モデルとしてほぼ最高水準のコントラスト感を堪能することができた。
■エプソン「EMP-TW2000」
エプソンは大スクリーンを用意したり、「Wii」をつないで大画面でゲームを楽しめるコーナーを併設するなど、意欲的な展示が好評を博していた。注目のフラグシップ機「EMP-TW2000」の上映コーナーは会場の都合で遮光が十分ではなく、暗部階調や黒再現の確認はできなかったが、大スクリーンでの上映で最大1600ルーメンという光源のパワーを実感することができた。2機種にラインナップを拡張したDVD一体型モデルの進化度は期待以上に大きく、特に720pパネルに格上げした「EMP-TWD10」の高密度な映像は一見の価値がある。この製品はまたもやヒット作になることを予感させた。
■三洋電機「LP-Z2000」
ポテンシャルの高さではサンヨーの「LP-Z2000」も大いに注目される一台だ。3LCDのブースでは一応暗室環境を作って上映していたが、暗部表現の確認は難しい。筆者が感心したのはフルハイビジョンならではの精細感とゆとりのあるフォーカス性能、そしてなめらかで温かみのあるトーンを両立させていることだ。あらためてじっくり見てみたいプロジェクターの筆頭候補に挙げておきたい。
(山之内正)
[IFA2007REPORT]
■ビクター「DLA-HD100」
まずはビクターの「DLA-HD100」。コントラスト比を30000対1まで高め、レンズのズーム、フォーカス機構を自動化するなど、DLA-HD1のビッグマイナーチェンジモデルとでも呼ぶべき進化を果たした注目のD-ILAプロジェクターである。筆者は自宅視聴室でDLA-HD1を使っているので、画質がどう進化しているのか、大いに興味がある。そこでビクターのブースで特別にお願いし、時間外にデモソフト以外の手持ちのBDコンテンツを見させていただくことにした。
視聴したのは持参した『ドリーム・ガールズ』と『ボルベール』の2本。前者は日本でも見慣れている作品だが、どのシーンを見てもDLA-HD1の映像とは印象が少なからず異なることに気付く。ステージの背景など黒を基調にした部分が深みを増し、衣装の発色も明らかに純度が上がっている。DLA-HD1の黒再現も高い水準にあるが、本機はさらにその上を行くと断言できる。肌色の微妙なトーンを繊細に表現しているので女性3人それぞれの個性がはっきり見分けられるし、表情もとらえやすい。
『ボルベール』は、アルモドバル監督がこだわる原色の再現性が要注目。なにげない日常のシーンを描きながら、鮮やかな赤を随所に配して映像にリズムと緊張を作り出しているのだが、その赤の深みに目を引き付けられた。さらにじっくり見ていくと、ペネロペ・クルスをはじめとして、女優陣の肌のきめの柔らかさと透明感の高さにも目を奪われる。肌色のトーンについては今回設計陣がこだわったポイントだというが、その努力の成果をはっきりとうかがうことができた。
機能面では前述の自動化以外にガンマカーブの詳細な補正ができるようになったことが注目される。もうひとつ重要な改善は、動作音の低減である。吸・排気経路の振動モードを見直すなど、積極的な対策を導入してDLA-HD1からさらなる静音化を実現するという。その成果については当日はまだ確認できなかったので、あらためて量産モデルで検証することにしよう。
■三菱電機「LVP-HC6000」
三菱は別掲のレポートにあるように映画館を模したブースを設け、ひときわ目立つ展示を行った。シネコンを連想させる雰囲気作りはもちろんのこと、遮光・遮音が行き届いているし、予告編や編集版ではなく本編の一部を楽しめるので、実際に劇場にいるような錯覚に陥ってしまうし、もちろん画質を見きわめるにも好都合。展示方法の巧みさとオリジナリティという観点から、今回最も感心した展示の一つである。
筆者が見た「KINO1」では「LVP-HC6000」を使用して『M:I:III』と『ドリーム・ガールズ』を上映。特に『ドリーム・ガールズ』は前作のHC5000に比べて引き締まった黒を見せており、鮮鋭感と立体感のバランスも絶妙で、確実な進化をうかがうことができた。短時間の視聴の範囲ではアイリスの挙動にも不自然な要素はなく、透過型液晶モデルとしてほぼ最高水準のコントラスト感を堪能することができた。
■エプソン「EMP-TW2000」
エプソンは大スクリーンを用意したり、「Wii」をつないで大画面でゲームを楽しめるコーナーを併設するなど、意欲的な展示が好評を博していた。注目のフラグシップ機「EMP-TW2000」の上映コーナーは会場の都合で遮光が十分ではなく、暗部階調や黒再現の確認はできなかったが、大スクリーンでの上映で最大1600ルーメンという光源のパワーを実感することができた。2機種にラインナップを拡張したDVD一体型モデルの進化度は期待以上に大きく、特に720pパネルに格上げした「EMP-TWD10」の高密度な映像は一見の価値がある。この製品はまたもやヒット作になることを予感させた。
■三洋電機「LP-Z2000」
ポテンシャルの高さではサンヨーの「LP-Z2000」も大いに注目される一台だ。3LCDのブースでは一応暗室環境を作って上映していたが、暗部表現の確認は難しい。筆者が感心したのはフルハイビジョンならではの精細感とゆとりのあるフォーカス性能、そしてなめらかで温かみのあるトーンを両立させていることだ。あらためてじっくり見てみたいプロジェクターの筆頭候補に挙げておきたい。
(山之内正)
[IFA2007REPORT]