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公開日 2008/10/21 11:15

DTS、プライベートイベントでDTS-HD Master Audio やSurround Sensationなどのデモを実施 − 開発担当者が来日

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DTS Japanは今年の「CEATEC 2008」では出展を行わなかったが、会場近くのホテルニューオータニ幕張のスイートルームにてプライベートイベントを行った。開催日にあわせてDTS,Inc.からR&D・シニアバイスプレジデントのポール・スミス氏、マーケティング・バイスプレジデントのトム・ディクソン氏が来日し各音声フォーマットを紹介した。


(左)Mr.Paul Smith Senior Vice President Research and Development DTS,Inc、(右)Mr.Tom Dixon Vice President,Marketing DTS,Inc

デモはDTSのロスレスフォーマット「DTS-HD Master Audio 7.1ch」に加え、最新サラウンド技術「DTS Surround Sensation」、そしてBDソフトに収録されるセカンダリー・オーディオの音声フォーマット「DTS Express」を体験できるという内容。

「DTS Surround Sensation」で自然なサラウンドを体感


まずはじめに体験したSurround Sensationは、スピーカー再生向けの「DTS Surround Sensation Speaker」とヘッドホン再生向けの「DTS Surround Sensation Headphone」というそれぞれの環境に特化したアルゴリズムがあるが、今回はどちらも試聴することができた。

試聴機はSurround Sensation対応のオンキヨー「BASE-V20HD」を使用。「BASE-V20HD」はAVセンサー、ブックシェルフスピーカー、サブウーファーで構成されるシアターシステムだが、今回はハードの影響を受けずより純粋なSurround Sensation音声技術を体験するため、AVセンサー部で2chにダウンミックスした信号をオンキヨーのAVアンプ「A-997」で出力し、同じくオンキヨーの2chスピーカーシステム「D-312E」で再生するというシステムで試聴。なおBDプレーヤーには「LX-80」を使用した。


DTS Surround Sensationはスピーカーとヘッドホンでデモ

Surround Sensation Speakerを視聴したシステム
再生ソフトにはDTS 5.1chのDVDソフトやDTS-HD Master Audio7.1ch収録のBDソフトのほか、DTS 5.1chを収録するDTSエンタテイメントソフト Alan Parsons「On Air」が選ばれ、通常のダウンミックスされた2ch音声とSurround Sensationモードをオンにした2ch音声の聴き比べを行った。

その違いは歴然で一度Surround Sensationモードの音を知ってしまうと、通常の音声をなんて寂しい音だろうと物足りなく感じてしまう。特に音声の差が顕著に表れていたのが Alan Parsonsの「On Air」だ。飛行機が真上を飛んでゆく音が収録されているのだが、Surround Sensationモードでは臨場感が増し、オフ時にはわからなかった飛行機がどこからやってきてどの方向へ飛んでいったのかという立体的な情報を得ることができた。

「Surround Sensationは極端に音をいじっておらず自然なサラウンドを楽しめるのが特徴。長時間聴いても疲れない」という説明の通り、強調されすぎないそのサラウンド感は違和感を感じることがない。作品に没頭できる主張しすぎない音声で好感がもてる仕上がりになっている。

続いてPCにヘッドホンを繋いで「DTS Surround Sensation Speaker」のデモを体験。Surround Sensation対応のArcSoftの市販メディアプレーヤー「Total Media Theater」を使用しての試聴を行った。「Total Media Theater」はDVDやBDなどの各種メディア再生に加えQuickTime/RealPlayer/DVD-MS/WMV HD/H.264 HDビデオなどのマルチメディアファイルにも対応する高性能メディアプレーヤーだ。

DTS-HD Master Audio5.1ch収録のBDソフトやDTS 5.1ch収録のDTSエンタテイメントソフト Les Brown&His Band of Renown「Session #55」(DVDオーディオ)を試聴した。「Session #55」はスウィングジャズの音源で、ステージに音がフォーカスするような独特の空気感があり演奏者のすぐそばにいるような生々しさを感じる録音だ。この音声をSurround Sensationモードで聴いてみると、会場後方からステージ全体を見渡しているような音場に変わる。オン、オフで好みの音声を楽しむこともできる。

最高音質フォーマット「DTS-HD Master Audio」とセカンダリー・オーディオ「DTS Express」



DTS-HD Master AudioはBDソフトのオプション音声として採用されている最高音質フォーマット。現在では10万円以下のエントリークラスのAVアンプでもHDオーディオデコーダーを搭載したモデルが多く発売されており、今やサラウンドフォーマットには欠かせない存在である。マランツのAVアンプ「SR8002」に再生機としてBDプレーヤー「BD8002」、PS3を組みあわせ、B&Wの「CM7」と「686」、サブウーファー「ASW750」で7.1chシステムを構築した。デモディスクにはDTS-HD Master Audio 7.1chや5.1chのBDソフトを使用した。


B&Wのスピーカーを組みあわせた7.1ch環境でデモ
また同じシステムでBDソフトに収録されているセカンダリー・オーディオの音声フォーマットDTS Expressも併せて試聴した。今回はBDソフトの映像特典として収録されているピクチャー・イン・ピクチャーでその実力を体験。「DTS Expressはプライマリー・オーディオとセカンダリー・オーディオを完璧にミックスするダイナミック・ミキシングという機能を備えており、本編からピクチャー・イン・ピクチャーの映像へ切り替える際に音声の切り替わりが自然になる」のだという。

DTS Expressは最大5.1chまで収録可能なフォーマットだが、今回試聴したセカンダリー・オーディオは2ch音声。しかしながら5.1chの本編から切り替えた際には、音声が急に“切り替わる"のではなくスムーズに“移行する"印象であった。

BDソフトの販売数増加、それに伴うBDプレーヤーの普及によりDTS Master Audio、DTS Expressがより一般的な音声フォーマットとして認識されてくるのは確実。DTSの今後に期待が高まる。

(Phile-web編集部)

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