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公開日 2008/10/21 11:54

2,460万画素と新ファインダーが生み出す圧倒的な感動 − ソニー「α900」を写真家・藤井智弘氏がレビュー

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ミノルタ、そしてコニカミノルタのAF一眼レフ、αを引き継いだソニー。その1号機となるα100は2006年に発売された。そして翌年、北米最大の写真映像見本市、PMA(Photo Marketing Association)2007で、α100の上位機となるミドルクラスとフラッグシップモデルの開発を発表。ミドルクラスは、同年にα700として発売された。そして待ちに待ったフラグシップ機がついに姿を現した。それがα900だ。

ソニー「α900」

■フルサイズ機ながら軽量でホールディング感も良好

外観は昔ながらの三角形をしたペンタ部が目立つ。最新デジタル一眼レフながら、懐かしい雰囲気だ。また35mmフルサイズ機は大柄な機種が多かったが、α900は高さ116.9mmで比較的小さい。しかも重量は850gを実現し、手にすると軽く感じる。またグリップの形状も手によく馴染み、ホールディング感は快適だ。

本体上面、いわゆる軍艦部と呼ばれている部分には、露出補正やドライブ、ホワイトバランス(WB)、ISO感度などのボタンと液晶表示パネル、さらにモードダイヤルを備える。今までAF一眼レフを使った経験のある人なら、迷わず操作できるだろう。背面にはジョイスティックタイプのマルチセレクターを装備し、スピーディーな操作ができる。とても扱いやすいカメラという印象を受けた。

本体上面にはモードダイヤルや各種ボタンを配置

背面にはジョイスティックタイプのマルチセレクターを装備

■2,460万画素のCMOSと「デュアルBIONZ」を搭載

さてα900のひとつの目玉と言える2,460万画素のセンサーは、ソニー独自開発のCMOS「Exmor(エクスモア)」。そして画像処理エンジンは「BIONZ(ビオンズ)」を2基搭載した「デュアルBIONZ」を採用している。

ExmorとデュアルBIONZは、ノイズ除去にも大きな力を発揮。画像信号は電荷電圧変換時にノイズが入ってしまうが、Exmorではアナログノイズリダクションとデジタルノイズリダクションの「オンチップ・カラムAD変換+デュアルノイズリダクション」を可能にした。ノイズが少ないデジタル信号はデュアルBIONZに送られ、さらにノイズリダクション処理が行われる。その結果、低ノイズで滑らかな階調再現が実現できた。

左が本機に搭載されたソニー独自開発のCMOS「Exmor(エクスモア)」

画像処理エンジンは「BIONZ(ビオンズ)」を2基搭載

■ボディ内手ブレ補正と広いファインダーにも注目

αは、ソニーが受け継ぐ前のコニカミノルタ時代から、ボディ内手ブレ補正機能を搭載していることで知られていた。α900は35mmフルサイズながら撮像素子のシフト方式によるボディ内手ブレ補正を実現。これは世界初だ。しかもボディ内で駆動しているため、ミノルタ時代を含むすべてのαレンズで手ブレ補正効果が得られるのが嬉しい。望遠撮影や暗い場所、さらに近接撮影にも威力を発揮する。

α900はファインダーにも注目だ。目指したのは、かつてのミノルタのプロ向け一眼レフ、α-9。当時最高性能のファインダーと言われていた。α900のデザインの特徴である三角形のペンタ部の中には、大型のガラス製ペンタプリズムが入っている。その下には、ハイワパワーコンデンサーレンズを配置。そして接眼光学系は高屈折率で構成。さらにほぼすべてのレンズ面とプリズムには多層膜ARコートが施され、光のロスを最小限に抑えている。おかげで極めて明るく、クリアなファインダーを作ることに成功した。視野率は100%。しかも可動式の視野枠を持ち、ファインダーで見た像と実際に写った画像に誤差がないよう、視野枠調整が行われている。これだけ凝ったファインダーは、すべての一眼レフの中でα900だけ。まさにα-9を凌駕したと言える。

本機が採用した大型のガラス製ペンタプリズム

実際に使用した印象でも、ファインダーの良さがすぐに実感できた。優れたファインダーで撮影するのはとても気分がいい。シャッター音がやや大きい点が気になったが、2460万画素ながら5コマ/秒の連写ができ、35mmフルサイズ機としては軽快だ。正直なところ、もう少し高級感が欲しいが、防塵・防滴構造や約10万回の耐久性を持つシャッターなど、プロ仕様と言っても過言ではない仕上がりだ。

2,460万画素の画質は、驚くほど高精細だ。パソコンで100%に拡大すると、その高精細さにさらに驚くはず。拡大してみるとわずかにノイズっぽい、ザラっとした画質だが、ISO800まで感度を上げても十分実用的だった。なお、画像データはさすがに大きい。JPEGでも15MB以上ある。ハイパワーなパソコンは必須だ。



広角24mmで撮影。35mmフルサイズは、24mmが24mmとして使えるため、フィルムに慣れたユーザーは感覚的に馴染みやすい。レンガでできた橋は、その質感が手に取るように伝わってくる。2460万画素の威力だ。<バリオゾナーT*24〜70mmF2.8 絞り優先AE(絞りF11・1/320秒) WB太陽光 ISO200>
→実写画像はこちら



24〜70mmの70mm側で撮影。薄暗い場所だったので、ISO400に設定した。α900はベース感度のISO200でも拡大するとわずかにノイズが感じられるが、ISO800までは安定している。カールツァイスレンズは、さすが絞り解放でも画面周辺まで画質が落ちない。<バリオゾナーT*24〜70mmF2.8 絞り優先AE(絞りF2.8・1/50秒) WBオート ISO400>
→実写画像はこちら




24〜70mmの70mm側で植物をクローズアップ。2460万画素の高解像力は、わずかなブレも目立ってくる。しかも近接撮影はとてもブレやすい。そんな時に心強いのが手ブレ補正機能だ。効果は非常に高く、しっかり手ブレを防いでくれた。<バリオゾナーT*24〜70mmF2.8 絞り優先AE(絞りF4・1/160秒) WBオート ISO200>
→実写画像はこちら



大口径広角レンズで夜のショーウィンドーをスナップ。35mmフルサイズは大きなボケが楽しめる。シャドーの階調コントロールができる、ダイナミックレンジオプティマイザーをスタンダードに設定し、暗部の階調も重視した。またホワイトバランスは、あえて太陽光を選び、夜の雰囲気を強調している。<ソニー35mmF1.4G 絞り優先AE(絞りF1.4・1/200秒) WB太陽光 ISO200>
→実写画像はこちら

■BRAVIAでの表示もおすすめ。プロも見逃せない出来映えだ

これだけ高精細な画像を、日常でどうやって楽しめばいいのだろうか。もちろんA3ノビにプリントしても十分楽しめるはず。それ以外でキーとなるのが、同社のテレビ、BRAVIAだ。「ブラビアプレミアムフォト」対応のモデルを選べば、40インチや50インチの大画面で写真が楽しめる。そして2,460万画素は、拡大しても高精細が大画面のまま維持できる。画作りという点では、BRAVIAはまだ発展中だが、十分鑑賞できるレベルになってきた。これまで「写真=プリント」だったのが、「写真=テレビ画面」が当たり前になる時代がすぐそこまで来ているのを感じる。

α900は、デジタル一眼レフでも一般的になったライブビューはなく、撮影前に効果が確認できるインテリジェントプレビューを採用。撮影前に結果がわかり、さらにそこから調整し、そのまま実際の撮影ができる。つまり基本は優れたファインダーで撮影を楽しむカメラなのだ。このファインダーと2,460万画素の画質は、他では味わえない感動が得られるはず。ソニーでは「プロ向け」とは謳っていないものの、プロも見逃せないカメラだと断言できる。




(藤井智弘)

執筆者プロフィール
東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。96年に東京新宿コニカプラザ(現コニカミノルタプラザ)で写真展「PEOPLE」を開催後、フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、各種雑誌や広告で活動。また国内や海外の街を撮影している。社団法人日本写真家協会会員。

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