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公開日 2013/11/13 17:17
【Inter BEE】ソニー、4K制作ソリューション大幅拡充 − 30型4K有機ELモニター参考出品
ワールドカップや20年東京五輪が追い風に
13日から開幕した「Inter BEE(国際放送機器展)2013」に出展するソニーは、同社の展示内容を紹介する記者説明会を開催した。
冒頭にソニー(株)執行役EVP プロフェッショナル・ソリューション事業本部 事業本部長の根本章二氏が登壇。挨拶の中で根本氏は「かつてのハイビジョン化の時と同じくらい、日本の4K映像制作の動向に世界中からの注目が集まっている。ソニーとしてその期待にどう応えるか、示すべき時が来たと実感している。今回のInter BEEを契機に時代が大きく変わっていくだろう」と述べた。
■2014 FIFAワールドカップまでに4K制作ソリューション拡充を目指す
続いてソニー(株)業務執行役員SVP 大西俊彦氏が登壇し、同プロフェッショナル・ソリューション事業本部の取り組みを紹介した。
大西氏はハリウッドメジャーを中心に2008年頃から映画コンテンツ制作のデジタル化へのニーズが高まってきた頃から、ソニーが4K化も見据えたデジタルコンテンツ制作やプロジェクション技術のサポートを積極的に取り組んできたとし、「現在4K化の波は映画だけでなく、テレビ放送の分野にも広がっている。またソニーの事業領域も劇場コンテンツや医療、ビジネス、セキュリティ、サイネージなどを拡大してきた。ソニーは4Kのビジネススローガンとして掲げる“Beyond Definition”のもと、解像度にとどまらない領域で映像の付加価値を提供したい」と考えを述べた。
大西氏はまた、4Kの登場によって放送局を取り巻く環境が急速に変化しつつあると述べ、ソニーの開発方針は、環境変化に対して顧客が求める価値を最大化できる商品を提供すること、と説明を続ける。かつてHD化の際に蓄積したノウハウが、今回の4K化でも大きく貢献すると述べ、「映像の高画質化だけでなく、ワークフローの効率化も合わせて実現していくことが重要」とした。
4Kビジネスに関連する取り組みとして、今夏に実施したFIFAコンフェデレーションズカップの4Kライブ制作のトライアルを実施したことについて触れた大西氏は、2014年にブラジルで開催されるFIFAワールドカップの決勝戦についても、ソニーが4K撮影など技術提供を行うと紹介。制作面だけでなく、パブリックビューイングの環境作りにも協力していきたいとし、「決勝戦以外の試合についても4K制作ができないか、提案を続けていきたい」と意欲を示した。
また4K映像制作の技術を応用し、2台の4Kカメラでサッカーのフィールド全体を撮影し、その全景映像の任意部分をHDで切り出す「4Kスティッチング」技術も確立できたと説明。ソニーではスティッチングソフト「PWA-4KS」、および切り出したHD映像に選手データなどのグラフィックを追加するためのテレストレーターソフト「PWA-TS1」を12月から欧米で展開する計画だという。日本国内の展開については現在検討が進められている段階だ。
他にも2台の4Kプロジェクターを使い、7,680×2,160画素の高解像映像を同時に上映する「4Kエッジブレンディング技術」についても大西氏より紹介された。同技術では2つのプロジェクターから投写される4K映像を、重なり合う横幅512ドットのつなぎ目が目立たなくなるよう高精度に調整し、超高解像映像として上映を可能にするもの。
今回、Inter BEEの会場となる幕張メッセ・国際会議場2階に設けられた特設シアタールームでは、ソニーの業務用4K SXRDプロジェクター新製品「SRX-T615」を2台使用し、200インチを2面並べた巨大スクリーンに、ソニーのCineAltaカメラ「F65」で撮影した8K RAW映像を上映するデモを体験dけいる。大西氏は「4台以上の4Kプロジェクターによるエッジブレンディング技術を活用したマルチプロジェクションにも成功している。4Kを活用して、今まで実現できなかった映像を提供したい」とコメントした。
ワークフローの効率化については、ソニーが展開する青紫色レーザーを利用した業務用ビデオカメラ“XDCAMシリーズ”の販売が全世界で好調に推移していると説明。大西氏は、特にニュース番組などスピーディーなコンテンツ制作が求められる現場で、ソニーの提案するファイルベースオペレーションのワークフローソリューションが支持を集めている」としながら、今後も放送局やグローバルに事業を展開する大企業に導入を呼びかけたいとした。
また次世代アーカイブソリューションについても、放送局などを中心にテープメディアからの置き換えを積極的に呼びかけるとともに、今年の年初から発売を開始した大容量のオプティカルディスク・アーカイブシステムのメリットを強くアピールした。同技術はコンパクトなカートリッジに、Blu-rayの技術を応用した12枚の光ディスクを内蔵し、ひとつの大容量ストレージとしてファイルベースでデータを扱うもの。Inter BEE会場のソニーブースでは、業務用として展開するオプティカルディスク・アーカイブのドライブユニットや、ライブライリーマスターユニットなど新製品が展示されている。
■放送業界の4K化もソニーが積極的にサポートしていく
続いてソニー(株)業務執行役員SVP ソニービジネスソリューション(株)代表取締役の花谷慎二氏が、国内の放送機器に関連するビジネスの展開を説明した。
市場環境の現状について花谷氏は「東京オリンピックの2020年開催が決定したことが、放送業界の4K/8K化を大きく後押した。放送業界にも4Kの芽が出てきて、勢いがついている。今後どう4Kを活用していくかポジティブな意見が交わされるようになった。4Kが追い風になって業界が前進しつつあるのを感じている」と手応えを述べた。
今年ソニーはInter BEEの展示テーマとして「Beyond Definition 進化・創造・挑戦」を掲げる。4Kの高付加価値化については、高画質化だけでなく、映画以外の様々なコンテンツに4Kが「新しい見せ方」を提供する可能性についても言及する。花谷氏は「音楽やドラマ、ドキュメンタリー、あるいはゴルフや野球、サッカーなどのスポーツコンテンツにおいて、4Kカメラによるトライアルを実施しながら用途拡大を図りたい」とコメントした。
4K制作のプロダクトチェーンを充実化させることも大きなテーマであるという。花谷氏は放送局など顧客が制作システムを4K/8K化する際に投資を最大限活用できるよう、従来のHDコンテンツ制作のワークフローにも対応する製品をラインナップするなど、スムーズな環境移行を実現する製品を提案していくとした。
ライブシステムへのソリューション提案については、ソニーがHDの黎明期から今日まで多数のライブシステムを納入してきた実績があるとしながら、安定性と信頼性に高い評価を得ていることをアピール。花谷氏は、今後に向けて普及拡大が期待されているIPベースのライブ伝送やプロダクション技術についても注力していく考えを示した。
またファイルベースの制作ソリューションについても急速に普及が拡大しつつあるとしながら、コンテンツの収録からアーカイブまで、トータルソリューションを提供できるソニーのXDCAMのメリットを積極的に提案していくと説明を加えた。
■可搬型の有機EL「PVMモニター」や業務用4Kカムコーダー新製品を展示
ソニーはInter BEEの展示ホール7にブースを構え、同社のプロフェッショナル向け映像制作機器を一堂に展示している。
業務用有機ELモニターは、本体を大幅に軽量化したポータブル対応の25型「PVM-A250」、17型「PVM-A170」を発表。パネルの解像度はともにフルHD対応となる。
有機ELパネルモジュールを構造から見直し、信号処理基板や素材、部品まで徹底的に軽量化を図り、制作現場への可搬性を高めている。モニター部にはソニー独自のSuper Top Emission構造を採用し、正確な色/正確な画像/高い信頼性を確保した「TRIMASTER EL」技術を搭載する。筐体自体の強度を高めながら、運搬時のダメージからモニターを保護するための保護パネルやコーナーバンパーなどもオプションとして用意されている。
ブースの一角には30型の4K有機ELモニターの試作機も展示されていた。商品化時期は来年が予定されているが、価格の見通しや、業務用モニターのラインナップにどのような位置づけで加わるかについてなど、詳しい情報は今回のイベントでは公表されなかった。
4Kカムコーダーは11月から販売がスタートした、4,096×2,160解像度での4K/60p撮影に対応するハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z100」や、10月から販売を開始したレンズ交換対応のフルHD機「PMW-300」のタッチ&トライが注目を集めている。
ソニーの業務用カムコーダーに接続して、プロキシファイル記録やファイル転送が行えるワイヤレスアダプターも展示が行われている。アダプターに装着したSDカードへ記録されたプロキシファイルは、3G/LTE/4G通信に対応するUSBデータカードやモバイルWi-Fiルーターを使って撮影現場からすぐにスタジオなど外部へ転送できる機能を装備。ニュースの速報素材を撮ってすぐに送信したり、遠隔ロケの素材確認を手軽に行えるツールとして新たな使い勝手をアピールする。専用のコントローラー/ビュワーアプリ「Content Browser Mobile」をインストールしたスマートフォンやタブレットから、Wi-Fi経由でプロキシファイルのプレビューやカムコーダーの操作などが行えることも特徴だ。
他にもCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」をベースとした4Kライブ制作ソリューションや、電波法の改正に伴って実施される周波数帯移行にいち早く対応したデジタルワイヤレスマイクシステムの製品群などがブースで紹介されている。
冒頭にソニー(株)執行役EVP プロフェッショナル・ソリューション事業本部 事業本部長の根本章二氏が登壇。挨拶の中で根本氏は「かつてのハイビジョン化の時と同じくらい、日本の4K映像制作の動向に世界中からの注目が集まっている。ソニーとしてその期待にどう応えるか、示すべき時が来たと実感している。今回のInter BEEを契機に時代が大きく変わっていくだろう」と述べた。
■2014 FIFAワールドカップまでに4K制作ソリューション拡充を目指す
続いてソニー(株)業務執行役員SVP 大西俊彦氏が登壇し、同プロフェッショナル・ソリューション事業本部の取り組みを紹介した。
大西氏はハリウッドメジャーを中心に2008年頃から映画コンテンツ制作のデジタル化へのニーズが高まってきた頃から、ソニーが4K化も見据えたデジタルコンテンツ制作やプロジェクション技術のサポートを積極的に取り組んできたとし、「現在4K化の波は映画だけでなく、テレビ放送の分野にも広がっている。またソニーの事業領域も劇場コンテンツや医療、ビジネス、セキュリティ、サイネージなどを拡大してきた。ソニーは4Kのビジネススローガンとして掲げる“Beyond Definition”のもと、解像度にとどまらない領域で映像の付加価値を提供したい」と考えを述べた。
大西氏はまた、4Kの登場によって放送局を取り巻く環境が急速に変化しつつあると述べ、ソニーの開発方針は、環境変化に対して顧客が求める価値を最大化できる商品を提供すること、と説明を続ける。かつてHD化の際に蓄積したノウハウが、今回の4K化でも大きく貢献すると述べ、「映像の高画質化だけでなく、ワークフローの効率化も合わせて実現していくことが重要」とした。
4Kビジネスに関連する取り組みとして、今夏に実施したFIFAコンフェデレーションズカップの4Kライブ制作のトライアルを実施したことについて触れた大西氏は、2014年にブラジルで開催されるFIFAワールドカップの決勝戦についても、ソニーが4K撮影など技術提供を行うと紹介。制作面だけでなく、パブリックビューイングの環境作りにも協力していきたいとし、「決勝戦以外の試合についても4K制作ができないか、提案を続けていきたい」と意欲を示した。
また4K映像制作の技術を応用し、2台の4Kカメラでサッカーのフィールド全体を撮影し、その全景映像の任意部分をHDで切り出す「4Kスティッチング」技術も確立できたと説明。ソニーではスティッチングソフト「PWA-4KS」、および切り出したHD映像に選手データなどのグラフィックを追加するためのテレストレーターソフト「PWA-TS1」を12月から欧米で展開する計画だという。日本国内の展開については現在検討が進められている段階だ。
他にも2台の4Kプロジェクターを使い、7,680×2,160画素の高解像映像を同時に上映する「4Kエッジブレンディング技術」についても大西氏より紹介された。同技術では2つのプロジェクターから投写される4K映像を、重なり合う横幅512ドットのつなぎ目が目立たなくなるよう高精度に調整し、超高解像映像として上映を可能にするもの。
今回、Inter BEEの会場となる幕張メッセ・国際会議場2階に設けられた特設シアタールームでは、ソニーの業務用4K SXRDプロジェクター新製品「SRX-T615」を2台使用し、200インチを2面並べた巨大スクリーンに、ソニーのCineAltaカメラ「F65」で撮影した8K RAW映像を上映するデモを体験dけいる。大西氏は「4台以上の4Kプロジェクターによるエッジブレンディング技術を活用したマルチプロジェクションにも成功している。4Kを活用して、今まで実現できなかった映像を提供したい」とコメントした。
ワークフローの効率化については、ソニーが展開する青紫色レーザーを利用した業務用ビデオカメラ“XDCAMシリーズ”の販売が全世界で好調に推移していると説明。大西氏は、特にニュース番組などスピーディーなコンテンツ制作が求められる現場で、ソニーの提案するファイルベースオペレーションのワークフローソリューションが支持を集めている」としながら、今後も放送局やグローバルに事業を展開する大企業に導入を呼びかけたいとした。
また次世代アーカイブソリューションについても、放送局などを中心にテープメディアからの置き換えを積極的に呼びかけるとともに、今年の年初から発売を開始した大容量のオプティカルディスク・アーカイブシステムのメリットを強くアピールした。同技術はコンパクトなカートリッジに、Blu-rayの技術を応用した12枚の光ディスクを内蔵し、ひとつの大容量ストレージとしてファイルベースでデータを扱うもの。Inter BEE会場のソニーブースでは、業務用として展開するオプティカルディスク・アーカイブのドライブユニットや、ライブライリーマスターユニットなど新製品が展示されている。
■放送業界の4K化もソニーが積極的にサポートしていく
続いてソニー(株)業務執行役員SVP ソニービジネスソリューション(株)代表取締役の花谷慎二氏が、国内の放送機器に関連するビジネスの展開を説明した。
市場環境の現状について花谷氏は「東京オリンピックの2020年開催が決定したことが、放送業界の4K/8K化を大きく後押した。放送業界にも4Kの芽が出てきて、勢いがついている。今後どう4Kを活用していくかポジティブな意見が交わされるようになった。4Kが追い風になって業界が前進しつつあるのを感じている」と手応えを述べた。
今年ソニーはInter BEEの展示テーマとして「Beyond Definition 進化・創造・挑戦」を掲げる。4Kの高付加価値化については、高画質化だけでなく、映画以外の様々なコンテンツに4Kが「新しい見せ方」を提供する可能性についても言及する。花谷氏は「音楽やドラマ、ドキュメンタリー、あるいはゴルフや野球、サッカーなどのスポーツコンテンツにおいて、4Kカメラによるトライアルを実施しながら用途拡大を図りたい」とコメントした。
4K制作のプロダクトチェーンを充実化させることも大きなテーマであるという。花谷氏は放送局など顧客が制作システムを4K/8K化する際に投資を最大限活用できるよう、従来のHDコンテンツ制作のワークフローにも対応する製品をラインナップするなど、スムーズな環境移行を実現する製品を提案していくとした。
ライブシステムへのソリューション提案については、ソニーがHDの黎明期から今日まで多数のライブシステムを納入してきた実績があるとしながら、安定性と信頼性に高い評価を得ていることをアピール。花谷氏は、今後に向けて普及拡大が期待されているIPベースのライブ伝送やプロダクション技術についても注力していく考えを示した。
またファイルベースの制作ソリューションについても急速に普及が拡大しつつあるとしながら、コンテンツの収録からアーカイブまで、トータルソリューションを提供できるソニーのXDCAMのメリットを積極的に提案していくと説明を加えた。
■可搬型の有機EL「PVMモニター」や業務用4Kカムコーダー新製品を展示
ソニーはInter BEEの展示ホール7にブースを構え、同社のプロフェッショナル向け映像制作機器を一堂に展示している。
業務用有機ELモニターは、本体を大幅に軽量化したポータブル対応の25型「PVM-A250」、17型「PVM-A170」を発表。パネルの解像度はともにフルHD対応となる。
有機ELパネルモジュールを構造から見直し、信号処理基板や素材、部品まで徹底的に軽量化を図り、制作現場への可搬性を高めている。モニター部にはソニー独自のSuper Top Emission構造を採用し、正確な色/正確な画像/高い信頼性を確保した「TRIMASTER EL」技術を搭載する。筐体自体の強度を高めながら、運搬時のダメージからモニターを保護するための保護パネルやコーナーバンパーなどもオプションとして用意されている。
ブースの一角には30型の4K有機ELモニターの試作機も展示されていた。商品化時期は来年が予定されているが、価格の見通しや、業務用モニターのラインナップにどのような位置づけで加わるかについてなど、詳しい情報は今回のイベントでは公表されなかった。
4Kカムコーダーは11月から販売がスタートした、4,096×2,160解像度での4K/60p撮影に対応するハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z100」や、10月から販売を開始したレンズ交換対応のフルHD機「PMW-300」のタッチ&トライが注目を集めている。
ソニーの業務用カムコーダーに接続して、プロキシファイル記録やファイル転送が行えるワイヤレスアダプターも展示が行われている。アダプターに装着したSDカードへ記録されたプロキシファイルは、3G/LTE/4G通信に対応するUSBデータカードやモバイルWi-Fiルーターを使って撮影現場からすぐにスタジオなど外部へ転送できる機能を装備。ニュースの速報素材を撮ってすぐに送信したり、遠隔ロケの素材確認を手軽に行えるツールとして新たな使い勝手をアピールする。専用のコントローラー/ビュワーアプリ「Content Browser Mobile」をインストールしたスマートフォンやタブレットから、Wi-Fi経由でプロキシファイルのプレビューやカムコーダーの操作などが行えることも特徴だ。
他にもCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」をベースとした4Kライブ制作ソリューションや、電波法の改正に伴って実施される周波数帯移行にいち早く対応したデジタルワイヤレスマイクシステムの製品群などがブースで紹介されている。