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公開日 2017/01/12 12:23
<CES>今年は“ビジュアルの当たり年”!「CES 2017」の高画質の話題を総ざらい
有機EL、液晶、ドルビービジョンetc
例年、IT/AVの業界の1年を先取りするイベントとなるCES。オーディオビジュアルという観点から見ると、2017年はまさしく“ビジュアルの当たり年”となった。毎年恒例となるが「CES 2017」の映像関係のネタを総まとめしよう。
■パナソニック、ソニー、LGが高画質を競った「有機ELテレビ」
CES 2017では、発表順にパナソニック、ソニーと2社から有機ELテレビが登場した。パナソニックの「EZ1000」は65型の1機種のみの発表、ソニーの「BRAVIA OLED A1Eシリーズ」は65/77型が発表されている。またCES会期後になるが、東芝も国内で有機ELテレビの市場投入を発表した。
いずれも明言していないが、パネルサプライヤーはLGディスプレイと見て間違いないだろう。
同じ有機ELパネルを使った日本メーカー製テレビが同時期に発表されたことになるが、パナソニックとソニーはいずれも両社のノウハウを活かし、よくチューニングされた画質で、有機ELパネルでしか成し得ない黒の締まりと共に、昨年のLG製有機ELテレビにあった暗部のノイズなどの課題についても、非常によくコントロールされている。
それを踏まえた上で画質の違いを言えば、パナソニックの「EZ1000」は徹底的なマスターモニター志向の画質。特に同社は昨年から有機ELのマスターモニターBVM-X300を文字通り横に並べ、画質ターゲットにしている。映像制作現場向けに、専用の3Dルックアップテーブルを利用できるのもプロ志向だ。
ソニーの「BRAVIA OLED A1Eシリーズ」は、高画質エンジン「X1 Extreme」の画作りが活きている。同エンジンは既に液晶テレビのトップモデル「Z9Dシリーズ」に採用されているが、HDR信号のなかでも高域、中域、低域に分けて信号を高精細化する。積極的に画作りを行うのが特徴と言える。
製品レベルでは「EZ1000」にも画作りしたモード、「A1Eシリーズ」にも原画志向のモードは搭載されるだろうが、有機ELテレビの時代に、改めて各メーカーの目指す「理想の画」が問われることになりそうだ。
さて、CESの会場で最も盛り上がっていた有機ELはというと、韓国LGが展示していた薄さ2.57mmという超薄型の「LG OLED W」に軍配が上がる。
“壁掛け”を越えて“壁貼り”の域に到達、それがコンセプトモデルでではなく2017年中に発売予定となると、“モノ”としてのインパクトが圧倒的に強い。LGの現在のラインナップから考えると、日本で発売される可能性も高く、薄型テレビのフォームファクターのあり方を問う存在として注目だ。
■液晶テレビのスペック競争も激化。1000nitsオーバーが当たり前に
液晶テレビに関しては、ソニーの「SlimBacklight +」(関連ニュース)、LGの「Nano Cell」(関連ニュース)、サムスンの「QLED」(関連ニュース)が主な発表となった。
各方式技術ともアプローチは異なるが、いずれも高輝度化、DCIをほぼ100%カバーする広色域化を打ち出し、現在のテレビのトレンドに求められる性能を網羅している。
特に強く印象付けられたのは、昨年「Ultra HD Alliance」が決めた輝度スペックの基準が、早くも余裕でクリアされる段階に来たことだ。
液晶テレビでの要求基準は、Ultra HD Blu-rayの基準である1,000nits。昨年はソニーの液晶テレビフラグシップ「Z9D」がトップを走っていたが(数値は未公表)、2017年のサムスン「QLED」の輝度スペックは1,500-2,000nitsに到達。他社は輝度スペックを公開していないが、最上位に次ぐミドルレンジ機まで1,000nitsをクリアしたのが今年の特徴だ。
なお有機ELについても、パナソニックやソニーの採用する有機ELパネルも、ピーク輝度は800nitsに到達。実際に有機ELでHDR映像を見ても、HDRらしい映像表現の一つである”眩しさ”を体験でき、黒の表現はそのままに、ピーク輝度についても2年ほど前の液晶テレビの水準まで届いている。
HDR画質の本来の価値は、ピークの眩しさのみならず、コントラストやさらにその中間の階調表現にあると言われるが、新たな基準が定まると、1年間でそれを克服し越えていくパネル進化の早さに驚かされる。
■対応機種増「ドルビービジョン」、4方式対応がトレンドへ
HDR規格についてもいくつかニュースがあった。
まず、ソニーがシングルレイヤーのみの対応ながら「ドルビービジョン」に対応したことは、AVファンにとってポジティブなニュースだ。配信最大手Netflixをはじめ、OTTが先行していた同方式だが、Ultra HD Blu-rayでもハリウッドのスタジオ4社が対応タイトル発売を発表した(関連ニュース)。
そのほか、LG製のUHD BDプレーヤーがドルビービジョン対応で発表されるなど(残念ながらソニーの「UBP-X800」は非対応)、徐々に対応機器を広げている。ダイナミックメタデータによる正確なHDR表示と12bit信号というメリットが活かされそうだ。
HDRの伝送方式では、LGは他にもHLG、そしてテクニカラー方式にも対応を表明。特定の方式に肩入れするというより、現存する4つのHDR方式すべてに対応するという意味合いも強く、世界中の放送、配信サービスを睨んだ全対応がトレンドとなるかもしれない。
もう一つAVファンとしては飛び道具的なニュースになるが、動画志向のミラーレス一眼として出展されていたパナソニックのLUMIX GH5が、後日のアップデートにより、HLGによる4K/HDR撮影に対応する(関連ニュース)。
HDRというと映画スタジオ、シネマカメラというもっぱら映像制作のプロの領域で用いられてきたものだが、セミプロ、アマチュアもHDRコンテンツ制作に参入できるようになると、YouTubeへのHDR動画という新たな映像体験の可能性も広がってくる。
以上、振り返ってみても「有機EL」と「HDR」に関連する話題がズラリ。今年は高画質の話題が盛り上がる1年になる。日本国内での発表を期待して待つとしよう。
■パナソニック、ソニー、LGが高画質を競った「有機ELテレビ」
CES 2017では、発表順にパナソニック、ソニーと2社から有機ELテレビが登場した。パナソニックの「EZ1000」は65型の1機種のみの発表、ソニーの「BRAVIA OLED A1Eシリーズ」は65/77型が発表されている。またCES会期後になるが、東芝も国内で有機ELテレビの市場投入を発表した。
いずれも明言していないが、パネルサプライヤーはLGディスプレイと見て間違いないだろう。
同じ有機ELパネルを使った日本メーカー製テレビが同時期に発表されたことになるが、パナソニックとソニーはいずれも両社のノウハウを活かし、よくチューニングされた画質で、有機ELパネルでしか成し得ない黒の締まりと共に、昨年のLG製有機ELテレビにあった暗部のノイズなどの課題についても、非常によくコントロールされている。
それを踏まえた上で画質の違いを言えば、パナソニックの「EZ1000」は徹底的なマスターモニター志向の画質。特に同社は昨年から有機ELのマスターモニターBVM-X300を文字通り横に並べ、画質ターゲットにしている。映像制作現場向けに、専用の3Dルックアップテーブルを利用できるのもプロ志向だ。
ソニーの「BRAVIA OLED A1Eシリーズ」は、高画質エンジン「X1 Extreme」の画作りが活きている。同エンジンは既に液晶テレビのトップモデル「Z9Dシリーズ」に採用されているが、HDR信号のなかでも高域、中域、低域に分けて信号を高精細化する。積極的に画作りを行うのが特徴と言える。
製品レベルでは「EZ1000」にも画作りしたモード、「A1Eシリーズ」にも原画志向のモードは搭載されるだろうが、有機ELテレビの時代に、改めて各メーカーの目指す「理想の画」が問われることになりそうだ。
さて、CESの会場で最も盛り上がっていた有機ELはというと、韓国LGが展示していた薄さ2.57mmという超薄型の「LG OLED W」に軍配が上がる。
“壁掛け”を越えて“壁貼り”の域に到達、それがコンセプトモデルでではなく2017年中に発売予定となると、“モノ”としてのインパクトが圧倒的に強い。LGの現在のラインナップから考えると、日本で発売される可能性も高く、薄型テレビのフォームファクターのあり方を問う存在として注目だ。
■液晶テレビのスペック競争も激化。1000nitsオーバーが当たり前に
液晶テレビに関しては、ソニーの「SlimBacklight +」(関連ニュース)、LGの「Nano Cell」(関連ニュース)、サムスンの「QLED」(関連ニュース)が主な発表となった。
各方式技術ともアプローチは異なるが、いずれも高輝度化、DCIをほぼ100%カバーする広色域化を打ち出し、現在のテレビのトレンドに求められる性能を網羅している。
特に強く印象付けられたのは、昨年「Ultra HD Alliance」が決めた輝度スペックの基準が、早くも余裕でクリアされる段階に来たことだ。
液晶テレビでの要求基準は、Ultra HD Blu-rayの基準である1,000nits。昨年はソニーの液晶テレビフラグシップ「Z9D」がトップを走っていたが(数値は未公表)、2017年のサムスン「QLED」の輝度スペックは1,500-2,000nitsに到達。他社は輝度スペックを公開していないが、最上位に次ぐミドルレンジ機まで1,000nitsをクリアしたのが今年の特徴だ。
なお有機ELについても、パナソニックやソニーの採用する有機ELパネルも、ピーク輝度は800nitsに到達。実際に有機ELでHDR映像を見ても、HDRらしい映像表現の一つである”眩しさ”を体験でき、黒の表現はそのままに、ピーク輝度についても2年ほど前の液晶テレビの水準まで届いている。
HDR画質の本来の価値は、ピークの眩しさのみならず、コントラストやさらにその中間の階調表現にあると言われるが、新たな基準が定まると、1年間でそれを克服し越えていくパネル進化の早さに驚かされる。
■対応機種増「ドルビービジョン」、4方式対応がトレンドへ
HDR規格についてもいくつかニュースがあった。
まず、ソニーがシングルレイヤーのみの対応ながら「ドルビービジョン」に対応したことは、AVファンにとってポジティブなニュースだ。配信最大手Netflixをはじめ、OTTが先行していた同方式だが、Ultra HD Blu-rayでもハリウッドのスタジオ4社が対応タイトル発売を発表した(関連ニュース)。
そのほか、LG製のUHD BDプレーヤーがドルビービジョン対応で発表されるなど(残念ながらソニーの「UBP-X800」は非対応)、徐々に対応機器を広げている。ダイナミックメタデータによる正確なHDR表示と12bit信号というメリットが活かされそうだ。
HDRの伝送方式では、LGは他にもHLG、そしてテクニカラー方式にも対応を表明。特定の方式に肩入れするというより、現存する4つのHDR方式すべてに対応するという意味合いも強く、世界中の放送、配信サービスを睨んだ全対応がトレンドとなるかもしれない。
もう一つAVファンとしては飛び道具的なニュースになるが、動画志向のミラーレス一眼として出展されていたパナソニックのLUMIX GH5が、後日のアップデートにより、HLGによる4K/HDR撮影に対応する(関連ニュース)。
HDRというと映画スタジオ、シネマカメラというもっぱら映像制作のプロの領域で用いられてきたものだが、セミプロ、アマチュアもHDRコンテンツ制作に参入できるようになると、YouTubeへのHDR動画という新たな映像体験の可能性も広がってくる。
以上、振り返ってみても「有機EL」と「HDR」に関連する話題がズラリ。今年は高画質の話題が盛り上がる1年になる。日本国内での発表を期待して待つとしよう。