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公開日 2019/10/15 09:40
<CEATEC>液漏れしない「全固体電池」が完全ワイヤレスイヤホンにも/「ザク」の学習教材に「旧ザク」登場
ソニーは医療の切り口から展示を実施
10月15日〜18日にかけて、千葉・幕張メッセにて開催されるIT・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC 2019」。開幕を控えた10月14日、プレス向けに事前公開された一部ブースの模様をお伝えする。
■ライブ配信、観光、「音のVR」など、様々な5Gの活用例が提案
NTTグループ/KDDIのブースでは、昨年から引き続き高速/大容量の5G通信を活用したデモンストレーションが行われたが、来年2020年からの商用サービス開始を控え、両社で重ねてきた実証実験の成果が反映。特にVR/ARを組み合わせたコンテンツが目立った。
NTTグループのブースでは、動画配信/観光案内という2つの活用例を展示している。サンプルとしてアイドルのコンサートライブを取り上げた動画配信では、ライブステージの様々なアングルを、1画面に最大6つまでフルHD解像度で同時表示し、その中から好きなアングルを拡大表示して視聴することができる。また、パロニム(株)の技術により、出演者をタッチするだけで関連動画や情報が検索でき、後でまとめて目を通すことが可能だ。
視聴者側はコメントや定型句の投稿の他、いくつか用意されたテンプレートの中から好きな映像エフェクトを選び、動画上に重ねて投稿するなど、今までの動画配信以上の豊富なインタラクションが用意できることがアピールされていた。
観光案内の事例では、今年春にJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車「いさぶろう・しんぺい」車内で行われた実証実験用コンテンツを展示。アプリを通して、列車が通過している場所の精細な航空写真を表示する、端末のカメラで写した風景の地名を表示させる、各停車駅に設置したカメラからホームのリアルタイム映像を閲覧するなど、大容量でレスポンスの早い通信網を活かした新しい体験が提案された。
KDDIのブースでは、360度の映像と最大22.2chのサラウンド音声を組み合わせた「音のVR」や、カメラの映像からリアルタイムで行われる人体の行動認識など、5GにVRやクラウド処理を組み合わせたコンテンツを中心にデモンストレーションを行っている。
「音のVR」は、映像の一部をクローズアップすると音声も連動し、クローズアップしたエリアを中心に再生される。また、視点を左右に移動させると音声も合わせて移動し、アングルに応じた音声が再生される。これまでは主にVRゴーグルとヘッドホンを組み合わせるかたちでイベントに出展していたが、22.2chのシアター形式で公開するのは今回がはじめてとなる。
今回の映像は360度カメラで撮影し、円形に配置したスクリーンに複数のプロジェクターで投影。音声はカメラ搭載のマイクロホンアレイで収録した19ch分の録音を元に、22.2chへ合成している。シアター内に用意されたタブレットで任意のアングルだけを表示することができ、音声もアングルに応じたものがリアルタイムで合成/再生される。
その他にも、銃型デバイスとスマホを連動させた対戦型のARシューティングゲーム、スポーツ中継のマルチアングル映像をリアルタイムに合成し、視聴者が自由なアングルから観ることができる技術など、5GとVR/ARを組み合わせた提案が行われていた。
■完全ワイヤレスイヤホンへの採用も見えてきた、話題の「全固体電池」
ハードウェアの技術で注目を集めていたのが、村田製作所が開発している新型の「全固体電池」だ。
現在使われている電池には、一般的に電解液と呼ばれる液体が用いられるが、全固体電池では電解液と同じ働きをする固体の素材を採用している。これにより、液漏れの心配がない、燃えにくい、熱に強いといった安全面で大きなアドバンテージが得られる反面、製造には高度な技術が必要であり、各社が研究/開発を進めている。
今回、同社が発表した全固体電池は、同社が持つ積層セラミックコンデンサーや多層デバイスのノウハウを投入したもの。縦5〜10mm/横5〜10mm/高さ2〜6mmの小型サイズで、既存製品を大きく上回る最大25mAhの容量と、同サイズのリチウムイオン電池と同等の最大3.8Vの出力電圧を実現。熱にも強いことから基板に直接はんだ付けができ、さらなる小型化や製造コストの削減をはかれるという。
このような特性から、同社が活用先のひとつとして挙げたのが、完全ワイヤレスイヤホンなど耳に装着するヒアラブル機器。その他、これまでは電池を組み込むことができなかった、高熱/高圧で殺菌される医療機器などでも利用できるとしていた。
なお、スマホやタブレットなどモバイル端末に搭載できる、より大きな全固体電池は開発できるのかブース担当者に尋ねたところ、主に製造の難易度とコストの面から、現時点での実現は難しいとのことだった。当面は小型/高容量モデルの開発に力を入れていくという。
ブースでは全固体電池専用のワイヤレス充電モジュールも展示され、全固体電池を搭載したミニカーを、ピットでワイヤレス充電しつつ走らせる、というデモンストレーションも行われていた。
■「ザク」でロボティクスを学べる「ZEONIC TECHNICS」に“旧ザク” モデル
バンダイは、『機動戦士ガンダム』に登場する「ザク」を組み立てながら、ロボティクスやプログラミングについて学べる学習プログラム「ZEONIC TECHNICS」を出展。実際に学習内容の解説を行った。
「ZEONIC TECHNICS」は、これまでにもおもちゃショーなどで展示されていた、「ザク」のミニチュア制作やスマートフォンアプリからのプログラミングを通じてロボットの構造や制御について学ぶことができる、組み立てキットを含む学習コース。教本は「ザク」開発企業のジオニック社で実際に使われているものという体裁でまとめられ、コースをすべて完了するとジオニック社の「受講証明書」が発行されるなど、ファンサービスの面でも手厚いコースとなっている。
すでに同社直販サイト「プレミアムバンダイ」などで、10月11日より98,890円(税込)にて予約販売を開始しているほか、整備兵やパイロットのフィギュア、格納庫型の台座のディスプレイ用セットも16,280円(税込)で取り扱っている。
会場では、キット内容やコースの手順などについて詳しく解説されたほか、参考出展として旧型ザク(ザクI)の外装を取り付けたバリエーションモデルも登場した。ブース担当者によれば、この「旧ザク」モデルもユーザーからの反響によっては発売を検討するとしつつ、あくまで学習教材として、例えば無限軌道や6本足の脚部など“機構” のバリエーションの充実を優先していくと話していた。
■ソニーは技術の医療活用がテーマ
久々のCEATEC出展となるソニーは、同社技術の医療分野への活用例という一味違った切り口から展示を実施。4K、広色域ディスプレイ、ブルーレイなど民生品で活躍する技術が、医療の現場でどのように用いられ、社会に貢献しているかを紹介している。
デジタルカメラ「αシリーズ」で採用されている裏面照射型CMOSイメージセンサーを活用した高精細/高感度のカメラや内視鏡システム、4K放送と同じ BT.2020に対応し、手術中の患部を正確に表示するモニター、長期にわたりデータの保存が可能なアーカイブシステムといった、民生品とも共通点の多い製品から、光ディスクの加工技術を応用した細胞分析装置のような、普段は目にすることの少ない医療に特化させた技術まで取り上げている。
■ライブ配信、観光、「音のVR」など、様々な5Gの活用例が提案
NTTグループ/KDDIのブースでは、昨年から引き続き高速/大容量の5G通信を活用したデモンストレーションが行われたが、来年2020年からの商用サービス開始を控え、両社で重ねてきた実証実験の成果が反映。特にVR/ARを組み合わせたコンテンツが目立った。
NTTグループのブースでは、動画配信/観光案内という2つの活用例を展示している。サンプルとしてアイドルのコンサートライブを取り上げた動画配信では、ライブステージの様々なアングルを、1画面に最大6つまでフルHD解像度で同時表示し、その中から好きなアングルを拡大表示して視聴することができる。また、パロニム(株)の技術により、出演者をタッチするだけで関連動画や情報が検索でき、後でまとめて目を通すことが可能だ。
視聴者側はコメントや定型句の投稿の他、いくつか用意されたテンプレートの中から好きな映像エフェクトを選び、動画上に重ねて投稿するなど、今までの動画配信以上の豊富なインタラクションが用意できることがアピールされていた。
観光案内の事例では、今年春にJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車「いさぶろう・しんぺい」車内で行われた実証実験用コンテンツを展示。アプリを通して、列車が通過している場所の精細な航空写真を表示する、端末のカメラで写した風景の地名を表示させる、各停車駅に設置したカメラからホームのリアルタイム映像を閲覧するなど、大容量でレスポンスの早い通信網を活かした新しい体験が提案された。
KDDIのブースでは、360度の映像と最大22.2chのサラウンド音声を組み合わせた「音のVR」や、カメラの映像からリアルタイムで行われる人体の行動認識など、5GにVRやクラウド処理を組み合わせたコンテンツを中心にデモンストレーションを行っている。
「音のVR」は、映像の一部をクローズアップすると音声も連動し、クローズアップしたエリアを中心に再生される。また、視点を左右に移動させると音声も合わせて移動し、アングルに応じた音声が再生される。これまでは主にVRゴーグルとヘッドホンを組み合わせるかたちでイベントに出展していたが、22.2chのシアター形式で公開するのは今回がはじめてとなる。
今回の映像は360度カメラで撮影し、円形に配置したスクリーンに複数のプロジェクターで投影。音声はカメラ搭載のマイクロホンアレイで収録した19ch分の録音を元に、22.2chへ合成している。シアター内に用意されたタブレットで任意のアングルだけを表示することができ、音声もアングルに応じたものがリアルタイムで合成/再生される。
その他にも、銃型デバイスとスマホを連動させた対戦型のARシューティングゲーム、スポーツ中継のマルチアングル映像をリアルタイムに合成し、視聴者が自由なアングルから観ることができる技術など、5GとVR/ARを組み合わせた提案が行われていた。
■完全ワイヤレスイヤホンへの採用も見えてきた、話題の「全固体電池」
ハードウェアの技術で注目を集めていたのが、村田製作所が開発している新型の「全固体電池」だ。
現在使われている電池には、一般的に電解液と呼ばれる液体が用いられるが、全固体電池では電解液と同じ働きをする固体の素材を採用している。これにより、液漏れの心配がない、燃えにくい、熱に強いといった安全面で大きなアドバンテージが得られる反面、製造には高度な技術が必要であり、各社が研究/開発を進めている。
今回、同社が発表した全固体電池は、同社が持つ積層セラミックコンデンサーや多層デバイスのノウハウを投入したもの。縦5〜10mm/横5〜10mm/高さ2〜6mmの小型サイズで、既存製品を大きく上回る最大25mAhの容量と、同サイズのリチウムイオン電池と同等の最大3.8Vの出力電圧を実現。熱にも強いことから基板に直接はんだ付けができ、さらなる小型化や製造コストの削減をはかれるという。
このような特性から、同社が活用先のひとつとして挙げたのが、完全ワイヤレスイヤホンなど耳に装着するヒアラブル機器。その他、これまでは電池を組み込むことができなかった、高熱/高圧で殺菌される医療機器などでも利用できるとしていた。
なお、スマホやタブレットなどモバイル端末に搭載できる、より大きな全固体電池は開発できるのかブース担当者に尋ねたところ、主に製造の難易度とコストの面から、現時点での実現は難しいとのことだった。当面は小型/高容量モデルの開発に力を入れていくという。
ブースでは全固体電池専用のワイヤレス充電モジュールも展示され、全固体電池を搭載したミニカーを、ピットでワイヤレス充電しつつ走らせる、というデモンストレーションも行われていた。
■「ザク」でロボティクスを学べる「ZEONIC TECHNICS」に“旧ザク” モデル
バンダイは、『機動戦士ガンダム』に登場する「ザク」を組み立てながら、ロボティクスやプログラミングについて学べる学習プログラム「ZEONIC TECHNICS」を出展。実際に学習内容の解説を行った。
「ZEONIC TECHNICS」は、これまでにもおもちゃショーなどで展示されていた、「ザク」のミニチュア制作やスマートフォンアプリからのプログラミングを通じてロボットの構造や制御について学ぶことができる、組み立てキットを含む学習コース。教本は「ザク」開発企業のジオニック社で実際に使われているものという体裁でまとめられ、コースをすべて完了するとジオニック社の「受講証明書」が発行されるなど、ファンサービスの面でも手厚いコースとなっている。
すでに同社直販サイト「プレミアムバンダイ」などで、10月11日より98,890円(税込)にて予約販売を開始しているほか、整備兵やパイロットのフィギュア、格納庫型の台座のディスプレイ用セットも16,280円(税込)で取り扱っている。
会場では、キット内容やコースの手順などについて詳しく解説されたほか、参考出展として旧型ザク(ザクI)の外装を取り付けたバリエーションモデルも登場した。ブース担当者によれば、この「旧ザク」モデルもユーザーからの反響によっては発売を検討するとしつつ、あくまで学習教材として、例えば無限軌道や6本足の脚部など“機構” のバリエーションの充実を優先していくと話していた。
■ソニーは技術の医療活用がテーマ
久々のCEATEC出展となるソニーは、同社技術の医療分野への活用例という一味違った切り口から展示を実施。4K、広色域ディスプレイ、ブルーレイなど民生品で活躍する技術が、医療の現場でどのように用いられ、社会に貢献しているかを紹介している。
デジタルカメラ「αシリーズ」で採用されている裏面照射型CMOSイメージセンサーを活用した高精細/高感度のカメラや内視鏡システム、4K放送と同じ BT.2020に対応し、手術中の患部を正確に表示するモニター、長期にわたりデータの保存が可能なアーカイブシステムといった、民生品とも共通点の多い製品から、光ディスクの加工技術を応用した細胞分析装置のような、普段は目にすることの少ない医療に特化させた技術まで取り上げている。