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ガジェット 公開日 2023/09/07 10:49

「Galaxy Z Fold5」レビュー。折り畳みスマホとしての完成度は一層高まった

【連載】佐野正弘のITインサイト 第73回
Gadget Gate
佐野正弘
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NTTドコモとKDDIのauブランドで、9月1日に発売された韓国サムスン電子製の折り畳みスマートフォン新機種「Galaxy Z Flip5」「Galaxy Z Fold5」。今回はそのうち、横折りタイプで大画面でも使えるGalaxy Z Fold5の実機をお借りすることができたので、その詳細についてレビューしてみたいと思う。

■新折り畳みスマホ「Galaxy Z Fold5」。ヒンジ部分など一部外観に変化



まずは外観を確認すると、ディスプレイサイズは開いた状態のメインディスプレイが7.6インチ、閉じた状態で使用するサブディスプレイが6.2インチ。サイズも開いた状態で129.9W×154.9H×6.1Dmm、閉じた状態で67.1W×154.9H×13.4Dmm、重量は253gとなっており、前機種「Galaxy Z Fold4」と比べると重量が10gほど軽くなっているものの、サイズ感にあまり違いはない。

「Galaxy Z Fold5」を開いたところ。7.6インチの大画面とサイズ感はあまり変わっていない

だが、大きく変化しているのがヒンジ部分である。Galaxy Z Fold5は、ヒンジ部分のディスプレイを水滴状に折り曲げて収納する機構を採用したことで、本体を閉じた際にヒンジ部分も隙間が生じず、ぴったり閉じるようになったのだ。

画面を折り曲げたところ。従来機種同様、折り曲げた状態で固定できる特性を生かした機能も豊富になっている

これによって、閉じた状態でのヒンジ部分の薄型化に成功しており、Galaxy Z Fold4の厚さが14.2〜15.8mmであったのに対し、Galaxy Z Fold5の厚さは13.4mmと、最も厚い部分と比べると2mm以上薄くなっている。それでいて、ヒンジ開閉時の安定感は変わっておらず、ディスプレイの折れ曲がる部分に生じていた“しわ”も、以前と比べればかなり減少している。

最大の進化ポイントはヒンジで、新たな構造を採用したことでヒンジ部分がぴったり閉じるようになり、閉じた状態で2mm以上薄くなっている

加えて、IPX8の防水性能に対応する点などは変わっておらず、ここ最近のGalaxy Z Foldシリーズからしてみれば見た目には変化が少ないものの、折り畳みスマートフォンとしての完成度は一層高まった印象だ。初代「Galaxy Fold」が取り扱いに慎重さが求められたことを考えると隔世の感がある。

■折り畳みの特性を生かしたインターフェース周り



それだけハード面での完成度が高まってきたこともあってか、サムスン電子はここ最近、Galaxy Zシリーズのインターフェース面でも折り畳みスマートフォンの特性を生かすことに力を注いでいる。その1つとして新たに追加されたのが、「フレックスモードパネル」だ。

これは、本体を垂直に折り曲げた状態にした時にアプリを画面上部に表示して、画面下部にはコントロールパネルを表示する仕組みであり、利用するには事前設定が必要となる。コントロールパネルには通常、タッチパッドが表示されるのだが、アプリによっては専用のコントロールパネルが表示され、「YouTube」などはコントロールパネルから再生・停止などのコントロールができるので便利だ。

「フレックスモードパネル」をオンにして「YouTube」の動画を再生しているところ。折り畳んだ画面の上部に動画が、下部に再生をコントロールするボタンやバーなどが表示されているのが分かる

また、大画面を生かす仕組みも強化されており、その1つがタスクバーの強化だ。タスクバーからアプリアイコンをドラッグ&ドロップして、画面分割やフローティングウィンドウでの起動ができるのはもちろんだが、タスクバーの領域が広がり最大8つのアプリをピン留めできるほか、最近使用したアプリを4つまで表示できるようになった。

画面下部のタスクバーに表示できるアプリアイコンの数も増加しており、ピン留めしたアプリと最近使用したアプリを合わせて12のアプリアイコンを表示できるようになった

そしてもう1つは、両手を使ってのドラッグ&ドロップである。これを活用することで、例えば写真アプリとメモアプリを画面分割で起動した後、一方の指で写真アプリから画像を選び、もう一本の指を使ってメモアプリの中で写真を貼り付ける場所を決める、といった操作も可能となっている。

もちろんSペンにも対応しており、Sペンを利用することでメモを取ったり、細かな操作をしたりすることも可能だ。ただし従来機種同様、Sペンは内蔵されていないので、一緒に持ち歩くにはSペンが収納できる専用ケースを使う必要がある点は惜しい。

■AAAクラスのゲームも快適。気になるカメラ性能もチェック



性能面に目を移すと、Galaxy Z Fold5はチップセットに「Galaxy S23」シリーズと同様、Galaxyシリーズのハイエンドモデル向けにカスタマイズされたクアルコム製の「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を搭載。RAMは12GB、ストレージは256GB〜1TB(モデルによって異なる)で、ハイエンドモデルに相応しい性能を備える。

それゆえ、AAAクラスのゲームが快適に動作するのはもちろんのこと、7.6インチという大画面を生かすことでゲームプレイも快適だ。操作のため指で強く押し込んでも強度面の不安も感じることはなく、快適なゲームプレイができるのは嬉しい。

本体を開いた状態で「原神」をプレイ。7.6インチの大画面と高性能チップセットの搭載でゲームプレイは非常に快適だ

スマートフォンでもう1つ、重要なポイントとなるカメラについて確認すると、背面のカメラは5,000万画素/F値1.8の広角カメラと、1,200万画素/F値2.2の超広角カメラ、1,000万画素/F値2.4で光学3倍ズーム相当となる望遠カメラの3つを搭載。構成としてはGalaxy Z Fold4と変わっていないようだ。

カメラは3眼構成で、性能もGalaxy Z Fold4と大きく変わっていないようだ


超広角カメラで撮影した写真


広角カメラで撮影した写真


望遠カメラで撮影した写真

それゆえ、2億画素のカメラを搭載した「Galaxy S23 Ultra」などと比べればさすがに性能は落ちるが、十分快適に撮影できる性能は備えている。また、90度折り曲げることで本体を置いた状態で撮影できるなど、折り畳み構造を生かした撮影が可能な点は、依然大きなメリットといえるだろう。

カメラアプリは折り畳み構造を生かしたインターフェースを備えているので、90度折り曲げた状態でテーブルなどに置けば安定した撮影がしやすくなる

一方のフロントカメラも、1,000万画素/F値2.2と変わっておらず、従来機種同様ディスプレイ埋め込み型ということもあって、撮影するとややぼやけた印象になってしまうのが弱点でもある。ただGalaxy Z Fold5の場合、サブディスプレイをモニターとして活用し、背面カメラでセルフィーを撮影することも簡単にできるので、セルフィーを重視するならこちらを活用するのがいいだろう。

フロントカメラでセルフィーを撮影したところ。ディスプレイの下にカメラがあるという構造上、どうしてもぼやけた部分が出てしまう


サブディスプレイにカメラアプリの画面を表示することも可能なので、こちらを使えば背面の充実したカメラでセルフィーを撮影できることから便利だ
加えてバッテリーを確認すると、こちらは4,400mAhでGalaxy Z Fold4と変わっていない。最近のハイエンドスマートフォンは5,000mAhを搭載していることを考えると、やや少ない印象は受けるが、折り畳める構造であることを考えれば十分大容量だろう。

全体的に見ると、Galaxy Z Fold5は確かにGalaxy Z Fold4と比べ、変化が少ない印象を受けるが、ヒンジの構造やインターフェースなどいくつかの部分で進化を遂げ、より洗練された内容となっていることは間違いない。それゆえ、Galaxy Z Fold4から買い替えるべきとは言い難いが、それ以前のモデルからの買い替え、あるいは初めて折り畳みスマートフォンを買うという人には、十分お勧めできるモデルといえる。

ただ、昨今の円安の影響が直撃してか、NTTドコモ、auどちらの販売価格も最も安い256GBモデルで一括25万程度となるなど、より一層値段が高く、買いづらくなってしまったのが残念でもある。折り畳みスマートフォンの完成度は年々高まっているだけに、その普及を進める上でも、今後はより安価な価格帯のモデルの登場にも期待したい。

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