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ガジェット 公開日 2024/08/15 06:40
ARグラスなしでも遊べる!「XREAL Beam Pro」を映像&音楽好きの目線からレビュー
約3.3万円でできる空間ビデオ撮影
中国のテックカンパニー、XREALが発売したXRコンテンツプレーヤー「XREAL Beam Pro」。同社ARグラスのコンパニオンデバイスとしての立ち位置が基本だが、実はほかにも単体で色々な楽しみ方が発掘できそうだ。
本機には、本体のデュアルレンズカメラで撮った空間ビデオや空間写真を、ケーブルでつないだXREAL ARグラスで再生するための、コンテンツプレーヤー機能を搭載する。3万円台前半から買える “スマホのようなモバイルエンターテインメントデバイス” の魅力に迫っていこう。
XREALは本機よりも先に「XREAL Beam」というコンパニオンデバイスを発売している。XREAL ARグラスをゲーム機やPCなど様々なデバイスにつなぐためのハブとしても機能するコンテンツプレーヤーだ。
名前に「Pro」を加えた新製品のXREAL Beam Proは、6.5インチの液晶ディスプレイを搭載。さらにクアルコムの「Snapdragon 6 Gen 1」チップをベースにカスタマイズした「Snapdragon spatial companion processor」を載せたことで、Android 14ベースのNebulaOSの上で様々なAndroidアプリがサクサクと動く。Google Playストアも使えるので、動画配信やモバイルゲームのアプリを追加して楽しめる。
XREALのオンラインストアでは、6GBのRAM/128GBのストレージを内蔵するモデルが32,980円(税込)で販売されている。microSDカードによるストレージ拡張にも対応する。
本体の見た目は、まるでスマホだ。背面には空間ビデオ・空間写真が撮れるデュアルレンズカメラがある。自然な視差による立体コンテンツを撮影できるように、2つのレンズは人間の左右の目の間隔に近い50ミリのギャップを設けて配置している。もちろん2Dのビデオや写真も撮れる。
スマホとの大きな違いは、SIMによるモバイルネットワーク通信がないところ。電話もできない。ただ、Wi-Fiに接続すればデータ通信は可能だ。モバイルネットワーク通信ができないことを前提に、映画や音楽のコンテンツをあらかじめ本体にダウンロードしておくなど、環境を整えれば不自由を感じることなく使えるだろう。
XREAL Beam Proのハードウェアとしての特徴を際立たせているポイントはふたつある。ひとつが先述のデュアルレンズカメラを搭載した端末であること。そしてもうひとつが、XREAL ARグラスと合わせて空間モバイルコンピューティングが楽しめることだ。
まずはふつうに2Dで撮った写真をMacに取り込み、比較のためiPhone 15 Plusの写真も並べてみる。明るい場所ではそこそこ健闘するが、やはり少し暗い場所は苦手なようでノイズがやや多めだ。
写真とビデオの撮影は、等倍と0.5倍(14mm相当)の超広角撮影を切り替えられる。望遠撮影は最大2倍までのデジタルズームが限界なので表現できる幅に限りがある。iPhoneは光学2倍ズームが行えるので、望遠の画質はiPhoneが有利だろう。
なお、XREAL Beam Proで空間ビデオ・空間写真を撮るときは倍率が固定となってしまい、ズーミングには対応しない。そして、最も立体視に適しているのは1〜2.5メートルの範囲で撮影した被写体のため、ユーザーがカメラを構えたまま被写体に近付いて撮る必要がある。
XREAL Beam Proで空間ビデオ・空間写真を撮る際には、本体を横位置に構える必要がある。ビデオの最大解像度はフルHD/60p・30p。XREAL AirシリーズのディスプレイはフルHDなので、ちょうどその解像度にマッチする。
空間ビデオ・空間写真を、XREAL Air 2 Proに接続して視聴した。同機は、最大解像度はフルHD、明るさ5000nits、120Hzのリフレッシュレートを実現しているメガネ型ディスプレイだ。表示デバイスには、ソニーセミコンダクタソリューションズ製の0.55型マイクロOLEDパネルを搭載する。
XREAL Beam Proの本体側面には、2つのUSB-C端子が設けられている。このうち、グラスのアイコンが印字されている方の端子にプラグインするだけで、XREAL Air 2 Proによる視聴がシンプルに楽しめるところがいい。なお、もう一つの端子は主に本体充電に利用する。
画質の傾向は2Dで撮影したビデオと写真と変わらない。特別に画づくりの手を加えず、素直に被写体をありのまま捉える。XREAL Air 2 Proで視聴すると、何より被写体がむやみに迫り出してくるような強調感がなく、映像の中に自然に入り込めるような視聴感が心地よい。カメラユニットの配置間隔を最適化したことによる成果だろう。
XREAL Beam Proで撮った空間ビデオを「Apple Vision Pro」で視聴してみたいと思い立った。空間ビデオの記録方式は、XREAL Airシリーズが対応するSide by Side(SBS)に最適化されている。ファイルのコンテナ形式はMP4となる。
SBSデータのままではvisionOS上で空間ビデオのコンテンツとして認識されない。そのため、KANDAOが公開している変換ツール「QooCam EGO 空間ビデオおよび画像コンバーター」をMacに入れて、Apple Vision Proが読み込めるデータを作る必要がある。
変換した空間ビデオのデータは、AirDropでApple Vision Proに転送。これらの手順を踏むことで、XREAL Beam Proで撮影した空間ビデオ・空間写真をApple Vision Proでも楽しめた。特に表示を「イマーシブで見る」モードに切り替えると迫力が増して良かった。
Apple Vision Proのユーザーの多くが、空間ビデオ撮影に対応するiPhone 15 Proを選んでいると思う。もちろん、Apple Vision Pro本体に内蔵するカメラで空間ビデオや空間写真のキャプチャも楽しめる。
それに加えて「第3の空間コンテンツカメラ」として、3万円台でゲットできるXREAL Beam Proを遊ぶのはアリだ。子どもに持たせて、家族で旅行の思い出を空間コンテンツに残すためのサブカメラにしてもいい。
XREAL Beam Proは、LDAC、aptX Adaptive(96kHz/24bit)の両方に対応しているBluetoothオーディオプレーヤーとしても楽しみ甲斐があった。
ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 4」とペアリングしてみたところ、LE AudioのAuracastブロードキャストにも対応しているようだった。最新のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの実力が引き出せるプレーヤーが3万円台で手に入るのであれば物欲をかき立てられる。
ただ、繰り返しになるが本機にはSIMによる通信機能がない。音楽配信サービスのストリーミング再生はWi-Fiを使うか、または本体のストレージにあらかじめ保存しておく必要がある。本機は最近は稀少になった「microSDカードが使えるスマホ型端末」なので、ダウンロード購入した音楽コンテンツとの相性も悪くなかった。
基本的に本機は、XREALのARグラスユーザー向けではある。だが、様々なAndroidアプリが楽しめる “通信機能付き空間カメラ” として、単体でも遊び甲斐があるデバイスだ。
本機には、本体のデュアルレンズカメラで撮った空間ビデオや空間写真を、ケーブルでつないだXREAL ARグラスで再生するための、コンテンツプレーヤー機能を搭載する。3万円台前半から買える “スマホのようなモバイルエンターテインメントデバイス” の魅力に迫っていこう。
■6.5型ディスプレイを搭載。Androidアプリも使える
XREALは本機よりも先に「XREAL Beam」というコンパニオンデバイスを発売している。XREAL ARグラスをゲーム機やPCなど様々なデバイスにつなぐためのハブとしても機能するコンテンツプレーヤーだ。
名前に「Pro」を加えた新製品のXREAL Beam Proは、6.5インチの液晶ディスプレイを搭載。さらにクアルコムの「Snapdragon 6 Gen 1」チップをベースにカスタマイズした「Snapdragon spatial companion processor」を載せたことで、Android 14ベースのNebulaOSの上で様々なAndroidアプリがサクサクと動く。Google Playストアも使えるので、動画配信やモバイルゲームのアプリを追加して楽しめる。
XREALのオンラインストアでは、6GBのRAM/128GBのストレージを内蔵するモデルが32,980円(税込)で販売されている。microSDカードによるストレージ拡張にも対応する。
本体の見た目は、まるでスマホだ。背面には空間ビデオ・空間写真が撮れるデュアルレンズカメラがある。自然な視差による立体コンテンツを撮影できるように、2つのレンズは人間の左右の目の間隔に近い50ミリのギャップを設けて配置している。もちろん2Dのビデオや写真も撮れる。
スマホとの大きな違いは、SIMによるモバイルネットワーク通信がないところ。電話もできない。ただ、Wi-Fiに接続すればデータ通信は可能だ。モバイルネットワーク通信ができないことを前提に、映画や音楽のコンテンツをあらかじめ本体にダウンロードしておくなど、環境を整えれば不自由を感じることなく使えるだろう。
■空間ビデオ・写真を撮影。XREAL ARグラスで見る
XREAL Beam Proのハードウェアとしての特徴を際立たせているポイントはふたつある。ひとつが先述のデュアルレンズカメラを搭載した端末であること。そしてもうひとつが、XREAL ARグラスと合わせて空間モバイルコンピューティングが楽しめることだ。
まずはふつうに2Dで撮った写真をMacに取り込み、比較のためiPhone 15 Plusの写真も並べてみる。明るい場所ではそこそこ健闘するが、やはり少し暗い場所は苦手なようでノイズがやや多めだ。
写真とビデオの撮影は、等倍と0.5倍(14mm相当)の超広角撮影を切り替えられる。望遠撮影は最大2倍までのデジタルズームが限界なので表現できる幅に限りがある。iPhoneは光学2倍ズームが行えるので、望遠の画質はiPhoneが有利だろう。
なお、XREAL Beam Proで空間ビデオ・空間写真を撮るときは倍率が固定となってしまい、ズーミングには対応しない。そして、最も立体視に適しているのは1〜2.5メートルの範囲で撮影した被写体のため、ユーザーがカメラを構えたまま被写体に近付いて撮る必要がある。
XREAL Beam Proで空間ビデオ・空間写真を撮る際には、本体を横位置に構える必要がある。ビデオの最大解像度はフルHD/60p・30p。XREAL AirシリーズのディスプレイはフルHDなので、ちょうどその解像度にマッチする。
空間ビデオ・空間写真を、XREAL Air 2 Proに接続して視聴した。同機は、最大解像度はフルHD、明るさ5000nits、120Hzのリフレッシュレートを実現しているメガネ型ディスプレイだ。表示デバイスには、ソニーセミコンダクタソリューションズ製の0.55型マイクロOLEDパネルを搭載する。
XREAL Beam Proの本体側面には、2つのUSB-C端子が設けられている。このうち、グラスのアイコンが印字されている方の端子にプラグインするだけで、XREAL Air 2 Proによる視聴がシンプルに楽しめるところがいい。なお、もう一つの端子は主に本体充電に利用する。
画質の傾向は2Dで撮影したビデオと写真と変わらない。特別に画づくりの手を加えず、素直に被写体をありのまま捉える。XREAL Air 2 Proで視聴すると、何より被写体がむやみに迫り出してくるような強調感がなく、映像の中に自然に入り込めるような視聴感が心地よい。カメラユニットの配置間隔を最適化したことによる成果だろう。
■Beam Proで撮った空間ビデオをApple Vision Proで見る
XREAL Beam Proで撮った空間ビデオを「Apple Vision Pro」で視聴してみたいと思い立った。空間ビデオの記録方式は、XREAL Airシリーズが対応するSide by Side(SBS)に最適化されている。ファイルのコンテナ形式はMP4となる。
SBSデータのままではvisionOS上で空間ビデオのコンテンツとして認識されない。そのため、KANDAOが公開している変換ツール「QooCam EGO 空間ビデオおよび画像コンバーター」をMacに入れて、Apple Vision Proが読み込めるデータを作る必要がある。
変換した空間ビデオのデータは、AirDropでApple Vision Proに転送。これらの手順を踏むことで、XREAL Beam Proで撮影した空間ビデオ・空間写真をApple Vision Proでも楽しめた。特に表示を「イマーシブで見る」モードに切り替えると迫力が増して良かった。
Apple Vision Proのユーザーの多くが、空間ビデオ撮影に対応するiPhone 15 Proを選んでいると思う。もちろん、Apple Vision Pro本体に内蔵するカメラで空間ビデオや空間写真のキャプチャも楽しめる。
それに加えて「第3の空間コンテンツカメラ」として、3万円台でゲットできるXREAL Beam Proを遊ぶのはアリだ。子どもに持たせて、家族で旅行の思い出を空間コンテンツに残すためのサブカメラにしてもいい。
■BluetoothオーディオはLDAC/aptX Adaptive対応
XREAL Beam Proは、LDAC、aptX Adaptive(96kHz/24bit)の両方に対応しているBluetoothオーディオプレーヤーとしても楽しみ甲斐があった。
ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 4」とペアリングしてみたところ、LE AudioのAuracastブロードキャストにも対応しているようだった。最新のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの実力が引き出せるプレーヤーが3万円台で手に入るのであれば物欲をかき立てられる。
ただ、繰り返しになるが本機にはSIMによる通信機能がない。音楽配信サービスのストリーミング再生はWi-Fiを使うか、または本体のストレージにあらかじめ保存しておく必要がある。本機は最近は稀少になった「microSDカードが使えるスマホ型端末」なので、ダウンロード購入した音楽コンテンツとの相性も悪くなかった。
基本的に本機は、XREALのARグラスユーザー向けではある。だが、様々なAndroidアプリが楽しめる “通信機能付き空間カメラ” として、単体でも遊び甲斐があるデバイスだ。