公開日 2009/10/21 18:28
専用ソフトで使い勝手が大きく向上 − “国内最適化”でiPodを追撃する新ウォークマンを試す
一条真人の体当たり実験室
読者の方もご存知の通り、ここ数年、国内ポータブルオーディオ市場はiPodの天下だったわけだが、今年の夏には国内のポータブルオーディオ市場シェアで、ウォークマンがiPodを販売台数で抜いたという調査もあり、やや状況が変わってきているようだ。
この数年、iPodを愛用し続けている僕としては、これはかなり興味深い状況と言える。ウォークマンの何が変わったのか。何がそんなに人を引きつけているのだろうと考えていたら、この秋にウォークマンの新機種AとSがリリースされた。今回の記事では、このSシリーズのスピーカーつきモデルである「NW-S744K」のレビューをお送りしたい。
また、今回の新機種の1つの特徴はソフトが非常に強化されたことで、新たな試みとして「歌詞ピタ」機能も搭載した。これらの新機能についても紹介していく。
■Sシリーズのポジションとは?
まず、NW-S744Kについて簡単に紹介しよう。同時に発表されたAシリーズはフルデジタルアンプ搭載や大容量メモリに加え、より大型で高画質な有機ELディスプレイを搭載するなど、高音質かつビデオ視聴も意識したモデルだ。
これに対してSシリーズはより一般向けなモデルなわけだが、バッテリー駆動時間がより長いなど、ポータブル用途では有利な面もある。Aよりもボリュームゾーンを狙った商品だ。また、Sシリーズの特徴として、ウォークマン本体をセットして使える小型スピーカーをセットしたKモデルが用意されていることがある。
このスピーカーは総合出力2Wというごく小さなもので、本格的な音楽鑑賞には向かないが、スピーカーから手軽に音楽を聴きたい人には十分だし、歌詞ピタ機能での簡易的なカラオケの伴奏として使うこともできる。ACアダプタ駆動だけでなく、ウォークマン本体のバッテリでも駆動できるため、外出先でも使用できるのが便利だ。
また、Aシリーズ、Sシリーズともにオプションの映像/音声出力ケーブルWMC-NWV10を使うことで、画面と音をテレビに出力し、より多くの人と一緒に楽しむこともできる。
■操作環境と音質
操作環境は液晶ディスプレイに表示されるメニューを前面下部のボタンで操作するというもので、従来機種と基本的には変わらない。
メニュー項目を選択するためのカーソルをボタン類の中央に配置し、そのカーソルの中央に決定(および再生)ボタンを配置しているため、あまり指を動かさずに選択決定ができる。また、カーソル左上のメニューから戻るボタンは長押しでメニュー表示となり、右上のオプション機能起動ボタンは長押しで電源オフとなる。
これらは実に使いやすく、最小の指の動きですべての操作ができる最適化されたボタン配置と言える。このあたりは長年AV機器を作り続けて鍛え上げられたノウハウなのだろう。
メインメニュー自体は1画面に基本項目が表示され、そこから目的の項目を選択していけばいいため、使用にはあまり慣れを必要としない。
本体の再生音質に関しては、ウォークマンSはウォークマンのなかでは特に高音質なモデルではないが、僕が現在愛用している第2世代iPod Touchと比較して、よりS/Nが高くクリアで、繊細でありながら、安定した音調も備えていると感じた。
ノイズキャンセリングに対応した付属ヘッドフォンはカナル型で、13.5mmのドライバーユニットを採用しているということだが、ドライバーユニットを垂直に配置したおかげかフィット感が高い。また、イヤーピースが通常のカナル式ヘッドフォンよりも柔らかいため、装着時に耳に無理がかからないのも快適だ。
ノイズキャンセリング機能の動作も十分で、電車乗車時のノイズを大幅に減少させてくれるし、自動車の騒音の多い町中でも効果的であり、より静粛な視聴環境を得ることができた。
■進化したメディア管理環境「x-アプリ」
今回のウォークマンの新機種AとSでは付属アプリが大きく変わり「x-アプリ」というものが付属する。歌詞ピタ機能はこのソフトのアドオンなので、歌詞ピタを使うにはこのソフトを使う必要がある。しかし、x-アプリは単に歌詞ピタに対応しているだけでなく、さまざまな機能を持っている。
まずは、「x-Pict Story」、「x-Scrap Book」、「x-chronology」という3つのXアプリケーションを搭載し、写真や動画などを新しい角度から楽しむことができる。
x-Pict Storyは写真とBGMを選ぶだけで、自動的にプロモーションビデオのようなオシャレな動画をジェネレートしてくれる機能だ。これは同社のブルーレイレコーダー、BDZシリーズにも搭載されている機能だが、BDZシリーズがレコーダー内に用意された曲しか選べないのに対して、このソフトでは自分の好きな曲を選択できる点が異なる。また、写真に合った曲がなければ、x-アプリに用意された曲を選択することもできる。
作成したビデオはx-アプリに登録され、ウォークマンに転送できるほか、サイズが小さければメールを送ることもできる。
「x-Scrap Book」は、デジタル画像をあらかじめ用意されたデザインテンプレートでアルバム的に表示し、BGMを再生する機能。BGMはx-アプリに登録された曲から自動的に選択され、アルバム1枚ごとに曲が変わる。作成したスクラップブックはウォークマン向けにも出力できるが、この場合、BGMなしで画像だけが出力されため、楽しみが半減してしまうのがやや残念だ。
この数年、iPodを愛用し続けている僕としては、これはかなり興味深い状況と言える。ウォークマンの何が変わったのか。何がそんなに人を引きつけているのだろうと考えていたら、この秋にウォークマンの新機種AとSがリリースされた。今回の記事では、このSシリーズのスピーカーつきモデルである「NW-S744K」のレビューをお送りしたい。
また、今回の新機種の1つの特徴はソフトが非常に強化されたことで、新たな試みとして「歌詞ピタ」機能も搭載した。これらの新機能についても紹介していく。
■Sシリーズのポジションとは?
まず、NW-S744Kについて簡単に紹介しよう。同時に発表されたAシリーズはフルデジタルアンプ搭載や大容量メモリに加え、より大型で高画質な有機ELディスプレイを搭載するなど、高音質かつビデオ視聴も意識したモデルだ。
これに対してSシリーズはより一般向けなモデルなわけだが、バッテリー駆動時間がより長いなど、ポータブル用途では有利な面もある。Aよりもボリュームゾーンを狙った商品だ。また、Sシリーズの特徴として、ウォークマン本体をセットして使える小型スピーカーをセットしたKモデルが用意されていることがある。
このスピーカーは総合出力2Wというごく小さなもので、本格的な音楽鑑賞には向かないが、スピーカーから手軽に音楽を聴きたい人には十分だし、歌詞ピタ機能での簡易的なカラオケの伴奏として使うこともできる。ACアダプタ駆動だけでなく、ウォークマン本体のバッテリでも駆動できるため、外出先でも使用できるのが便利だ。
また、Aシリーズ、Sシリーズともにオプションの映像/音声出力ケーブルWMC-NWV10を使うことで、画面と音をテレビに出力し、より多くの人と一緒に楽しむこともできる。
■操作環境と音質
操作環境は液晶ディスプレイに表示されるメニューを前面下部のボタンで操作するというもので、従来機種と基本的には変わらない。
メニュー項目を選択するためのカーソルをボタン類の中央に配置し、そのカーソルの中央に決定(および再生)ボタンを配置しているため、あまり指を動かさずに選択決定ができる。また、カーソル左上のメニューから戻るボタンは長押しでメニュー表示となり、右上のオプション機能起動ボタンは長押しで電源オフとなる。
これらは実に使いやすく、最小の指の動きですべての操作ができる最適化されたボタン配置と言える。このあたりは長年AV機器を作り続けて鍛え上げられたノウハウなのだろう。
メインメニュー自体は1画面に基本項目が表示され、そこから目的の項目を選択していけばいいため、使用にはあまり慣れを必要としない。
本体の再生音質に関しては、ウォークマンSはウォークマンのなかでは特に高音質なモデルではないが、僕が現在愛用している第2世代iPod Touchと比較して、よりS/Nが高くクリアで、繊細でありながら、安定した音調も備えていると感じた。
ノイズキャンセリングに対応した付属ヘッドフォンはカナル型で、13.5mmのドライバーユニットを採用しているということだが、ドライバーユニットを垂直に配置したおかげかフィット感が高い。また、イヤーピースが通常のカナル式ヘッドフォンよりも柔らかいため、装着時に耳に無理がかからないのも快適だ。
ノイズキャンセリング機能の動作も十分で、電車乗車時のノイズを大幅に減少させてくれるし、自動車の騒音の多い町中でも効果的であり、より静粛な視聴環境を得ることができた。
■進化したメディア管理環境「x-アプリ」
今回のウォークマンの新機種AとSでは付属アプリが大きく変わり「x-アプリ」というものが付属する。歌詞ピタ機能はこのソフトのアドオンなので、歌詞ピタを使うにはこのソフトを使う必要がある。しかし、x-アプリは単に歌詞ピタに対応しているだけでなく、さまざまな機能を持っている。
まずは、「x-Pict Story」、「x-Scrap Book」、「x-chronology」という3つのXアプリケーションを搭載し、写真や動画などを新しい角度から楽しむことができる。
x-Pict Storyは写真とBGMを選ぶだけで、自動的にプロモーションビデオのようなオシャレな動画をジェネレートしてくれる機能だ。これは同社のブルーレイレコーダー、BDZシリーズにも搭載されている機能だが、BDZシリーズがレコーダー内に用意された曲しか選べないのに対して、このソフトでは自分の好きな曲を選択できる点が異なる。また、写真に合った曲がなければ、x-アプリに用意された曲を選択することもできる。
作成したビデオはx-アプリに登録され、ウォークマンに転送できるほか、サイズが小さければメールを送ることもできる。
「x-Scrap Book」は、デジタル画像をあらかじめ用意されたデザインテンプレートでアルバム的に表示し、BGMを再生する機能。BGMはx-アプリに登録された曲から自動的に選択され、アルバム1枚ごとに曲が変わる。作成したスクラップブックはウォークマン向けにも出力できるが、この場合、BGMなしで画像だけが出力されため、楽しみが半減してしまうのがやや残念だ。