公開日 2009/10/30 15:37
高度な信頼性を持つ音質と音調 − BERKELEY AUDIO DESIGN「Alpha DAC」を藤岡誠氏が聴く
AEx2010「銅賞」受賞モデル・徹底レビュー
オーディオ評論家・藤岡誠氏が“能力・機能において当代最高峰のD/Aコンバーター”と評価するBERKELEY AUDIO DESIGN「Alpha DAC」が、オーディオ銘機賞2010において「銅賞」を獲得した。本機の魅力を藤岡氏が今回徹底レビューする
高度な信頼性を持つ音質と音調 DACのリファレンス的存在と呼べるモデル
今回の『オーディオ銘機賞2010』で、スピーカーシステム、アンプ、CDプレーヤーなど主力機器が百花繚乱の中にあって米バークレー・オーディオ・デザイン社のD/Aコンバーター「Alpha(α)DAC」が銅賞を受賞した。私自身も強力に推していたこともあり喜ばしい限りである。本機が昨年末に日本市場に導入された後、私は今年春先に自宅でチェックした。-80㏈の微小レベルのD/A変換精度、及びSN比に類まれな第1級の能力を持ちフィルタリングも様々な設定が自動・手動で可能。最終的な音質・音調も高度な信頼性が確保され、耳のいいオーディオマニアの方々にとっても100%の説得力を持っている。まずは能力・機能において当代最高峰のD/Aコンバーターだと高く評価する。
このブランドはHDCDを開発したパシフィック・マイクロソニックス社の完全業務用「Model Two(A/D+HDCDエンコーダー+D/Aで構成)」の開発メンバーが立ち上げている。本機はModel Twoを母体にDAC部を独立させた製品である。具体的な機能を幾つか紹介すると、デジタル入力はAES/EBU(XLR)、BNC、TOSを装備しており、すべてシングルAESで192kHz/24bitまで対応する。他にもBADAというRJ-45端子で対応する独自入力もあるが、将来の対応機導入は現在検討している段階だという。オーディオ出力はXLRとRCA。出力は0.1dB(60dBレンジ)で可変でき、L/Rバランスは0.05㏈ステップで調整できる。デジタルフィルターは入力信号により16bitと24bitそれぞれに4種類ずつを設ける。入力されるサンプリング周波数とbit数によってフィルターは自動的に最適化されるが手動選択もできる。これらの他、もちろんHDCDのデコーディング、位相切換、4段階ディマー、リモコンの付属など有効な機能を装備している。リモコンは、入力切換、位相切換、ミュート、4段階ディマーなどをコントロール。更に、音量・バランス調整などができる。様々な動作・操作モードはパネル中央のディスプレーやインジケーターで直視でき、多機能だが慣れると操作感はなかなかのものだ。ただし、電源のON/OFFスイッチはない。
音質・音調については本機において細かなコメントは不要だと私は思う。音の評価のすべてにおいて優れているからに他ならない。そして、再生装置のグレードが高いほど本領を発揮することは必定。下手な数字合わせのデジタル信号処理をしていないし、フィルタリングも巧妙・適切で音に違和感がない。手動で設定するのは自由だが、原則的には自動設定に任せるのがいいだろう。多入力でオーディオ出力もXLR(2番HOT)とRCAを持ち音量調整機能も有しているから、デジタルコントロールセンター的な使用にも適している。性能・能力から言って、今後においても本機を凌駕する製品はなかなか出現することはないだろう。一口で言えばDACのレファレンス的存在である。個人的にも安心してお薦めできるD/Aコンバーターだ。
【SPEC】●高調波歪み:-110dB FS ●最大出力レベル:バランス(XLR)+18dBu/アンバランス(RCA)3.25vrms ●入力端子:AES/EBU(XLR)×1、SPDIF(BNC)×1、SPDIF(TOS)×1、BADA(RG-45)×1 ●消費電力:30W ●外形寸法:420W×50H×265Dmm ●質量:3.6kg ●問い合わせ先:(株)ナスペック TEL/03-5313-3831(東京営業所)、TEL/058-215-7510(業務センター)
◆筆者プロフィール 藤岡誠 Makoto Fujioka
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。
高度な信頼性を持つ音質と音調 DACのリファレンス的存在と呼べるモデル
今回の『オーディオ銘機賞2010』で、スピーカーシステム、アンプ、CDプレーヤーなど主力機器が百花繚乱の中にあって米バークレー・オーディオ・デザイン社のD/Aコンバーター「Alpha(α)DAC」が銅賞を受賞した。私自身も強力に推していたこともあり喜ばしい限りである。本機が昨年末に日本市場に導入された後、私は今年春先に自宅でチェックした。-80㏈の微小レベルのD/A変換精度、及びSN比に類まれな第1級の能力を持ちフィルタリングも様々な設定が自動・手動で可能。最終的な音質・音調も高度な信頼性が確保され、耳のいいオーディオマニアの方々にとっても100%の説得力を持っている。まずは能力・機能において当代最高峰のD/Aコンバーターだと高く評価する。
このブランドはHDCDを開発したパシフィック・マイクロソニックス社の完全業務用「Model Two(A/D+HDCDエンコーダー+D/Aで構成)」の開発メンバーが立ち上げている。本機はModel Twoを母体にDAC部を独立させた製品である。具体的な機能を幾つか紹介すると、デジタル入力はAES/EBU(XLR)、BNC、TOSを装備しており、すべてシングルAESで192kHz/24bitまで対応する。他にもBADAというRJ-45端子で対応する独自入力もあるが、将来の対応機導入は現在検討している段階だという。オーディオ出力はXLRとRCA。出力は0.1dB(60dBレンジ)で可変でき、L/Rバランスは0.05㏈ステップで調整できる。デジタルフィルターは入力信号により16bitと24bitそれぞれに4種類ずつを設ける。入力されるサンプリング周波数とbit数によってフィルターは自動的に最適化されるが手動選択もできる。これらの他、もちろんHDCDのデコーディング、位相切換、4段階ディマー、リモコンの付属など有効な機能を装備している。リモコンは、入力切換、位相切換、ミュート、4段階ディマーなどをコントロール。更に、音量・バランス調整などができる。様々な動作・操作モードはパネル中央のディスプレーやインジケーターで直視でき、多機能だが慣れると操作感はなかなかのものだ。ただし、電源のON/OFFスイッチはない。
音質・音調については本機において細かなコメントは不要だと私は思う。音の評価のすべてにおいて優れているからに他ならない。そして、再生装置のグレードが高いほど本領を発揮することは必定。下手な数字合わせのデジタル信号処理をしていないし、フィルタリングも巧妙・適切で音に違和感がない。手動で設定するのは自由だが、原則的には自動設定に任せるのがいいだろう。多入力でオーディオ出力もXLR(2番HOT)とRCAを持ち音量調整機能も有しているから、デジタルコントロールセンター的な使用にも適している。性能・能力から言って、今後においても本機を凌駕する製品はなかなか出現することはないだろう。一口で言えばDACのレファレンス的存在である。個人的にも安心してお薦めできるD/Aコンバーターだ。
【SPEC】●高調波歪み:-110dB FS ●最大出力レベル:バランス(XLR)+18dBu/アンバランス(RCA)3.25vrms ●入力端子:AES/EBU(XLR)×1、SPDIF(BNC)×1、SPDIF(TOS)×1、BADA(RG-45)×1 ●消費電力:30W ●外形寸法:420W×50H×265Dmm ●質量:3.6kg ●問い合わせ先:(株)ナスペック TEL/03-5313-3831(東京営業所)、TEL/058-215-7510(業務センター)
◆筆者プロフィール 藤岡誠 Makoto Fujioka
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。