公開日 2010/04/20 13:19
アバターと楽しむVOD − ブロードメディアの新たな映像配信サービス「T's TV」をケースイが体験した
ベータ版サービス スタート直前
斬新なインターフェースを採用したビデオ・オン・デマンドサービス(以下VOD)がスタートする。それがブロードメディア(株)が4月23日にベータ版サービスの開始を予定している「T's TV」だ。対応機種はシャープの“AQUOS”シリーズと東芝“REGZA”の一部機種になっている。
VODとは家にいながらにして、レンタルビデオ店のように映画などのコンテンツを視聴できるサービスだ。実物のDVDディスクを貸し出すリアルのレンタル店に比べ、ソフトが「貸し出し中」で借りられないということがなく、ユーザーは視たい時に利用できるので、結果として延滞料金も発生しないのがメリット。何よりテレビの前にいながら、見たいコンテンツをスグに見つけて視聴できることが大きなメリットだ。
従来はケーブルテレビのような専用端末“セットトップボックス”が必要で導入しづらく、操作性もよくなかったが、最近では「アクトビラ」などテレビ単体でVODサービスを利用できるサービスモデルが増えている。
「T's TV」の魅力は大きく3つある。まず、アバターを使った楽しいインターフェースだ。これまでVODのインターフェースといえば、味気なくてどこか事務的な感じがして取っつきにくかった。しかし「T's TV」ではゲームキャラクターのような「アバター」を使いながら、バーチャル空間を移動してサービスが利用できる。操作性がよく、キビキビと動かせるのが印象的だった。
システムも画期的だ。これまでのVODが成功しない理由とされていたのはタイトル数が少ない事にあった。その原因は大きく2つあって、著作権の許諾をとる作業と、コンテンツを動画配信用にエンコード(変換)する手間がかかったからだ。これにより、本来なら既存のレンタル店よりもタイトルが多くあるべきサービス形態なのに、実際に利用するとラインアップがしょぼくて使い物にならないことが多々あった。
「T's TV」はDVDに使われているマスターデーターをサーバーにアップして、配信時に著作権保護をかけて配信する形態を採っている。これによりネット配信用の事前エンコードが不要になるだけでなく、DVDなどパッケージに収録されている特典映像も、権利許諾が得られているものであればそのまま利用できるようになる。音声と字幕の切替えもリアルタイムで行えるので、まるでディスクそのものを再生しているように扱えるのだ。アクトビラなどでは購入時に字幕や音声を指定しなければならず、作品によっては言語を選べないものも多い。もちろんパッケージの特典映像などは楽しめない。
3つ目は画質だ。配信時にはMPEG-4 AVCにアップコンバートも可能になるらしいので、購入時に標準画質と高画質が選べる仕様も検討されているという。ただし料金体系はそれぞれ異なる予定だ。
本サービスの開始は2010年夏頃ということなので、課金システムの詳細はまだ公開されていないが、筆者の予想ではかなり思い切った価格を打ち出してくるのではないかと考えている。理由は前述したエンコードの手間を極力省く部分で、従来のサービスと比べてコストダウンが可能だからだと予想している。
さらに本サービスでユニークなのは、すでに発売済みの“AQUOS”シリーズでもアクトビラ ビデオ・フルに対応している製品なら、「T's TV」のサービスも開始とともに利用できることだ。いままでのVODサービスは使いづらく、テレビが対応していても利用しなかったというユーザーでも、このインターフェースなら使ってみようという気になりそうだ。いまのところ東芝の“REGZA”は一部機種のみの対応に止まっているが、バージョンアップ等で対応機種を増やして欲しいところだ。
あくまでも筆者の予想だが…「T's TV」はアクトビラ ビデオ・フルと再生環境は同じなのではないだろうか?もしそうであれば、パナソニック、ソニーなどの製品で、アクトビラ ビデオ・フルに対応していれば「T's TV」を利用できるかもしれない。
「T's TV」のサービスでは当初100本のタイトルが無料配信されるという。ぜひ対応機種を持っている方はトライしてみてはいかがだろうか。
■動画でみる「T's TV」ベータ版のサービスイメージ
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
VODとは家にいながらにして、レンタルビデオ店のように映画などのコンテンツを視聴できるサービスだ。実物のDVDディスクを貸し出すリアルのレンタル店に比べ、ソフトが「貸し出し中」で借りられないということがなく、ユーザーは視たい時に利用できるので、結果として延滞料金も発生しないのがメリット。何よりテレビの前にいながら、見たいコンテンツをスグに見つけて視聴できることが大きなメリットだ。
従来はケーブルテレビのような専用端末“セットトップボックス”が必要で導入しづらく、操作性もよくなかったが、最近では「アクトビラ」などテレビ単体でVODサービスを利用できるサービスモデルが増えている。
「T's TV」の魅力は大きく3つある。まず、アバターを使った楽しいインターフェースだ。これまでVODのインターフェースといえば、味気なくてどこか事務的な感じがして取っつきにくかった。しかし「T's TV」ではゲームキャラクターのような「アバター」を使いながら、バーチャル空間を移動してサービスが利用できる。操作性がよく、キビキビと動かせるのが印象的だった。
システムも画期的だ。これまでのVODが成功しない理由とされていたのはタイトル数が少ない事にあった。その原因は大きく2つあって、著作権の許諾をとる作業と、コンテンツを動画配信用にエンコード(変換)する手間がかかったからだ。これにより、本来なら既存のレンタル店よりもタイトルが多くあるべきサービス形態なのに、実際に利用するとラインアップがしょぼくて使い物にならないことが多々あった。
「T's TV」はDVDに使われているマスターデーターをサーバーにアップして、配信時に著作権保護をかけて配信する形態を採っている。これによりネット配信用の事前エンコードが不要になるだけでなく、DVDなどパッケージに収録されている特典映像も、権利許諾が得られているものであればそのまま利用できるようになる。音声と字幕の切替えもリアルタイムで行えるので、まるでディスクそのものを再生しているように扱えるのだ。アクトビラなどでは購入時に字幕や音声を指定しなければならず、作品によっては言語を選べないものも多い。もちろんパッケージの特典映像などは楽しめない。
3つ目は画質だ。配信時にはMPEG-4 AVCにアップコンバートも可能になるらしいので、購入時に標準画質と高画質が選べる仕様も検討されているという。ただし料金体系はそれぞれ異なる予定だ。
本サービスの開始は2010年夏頃ということなので、課金システムの詳細はまだ公開されていないが、筆者の予想ではかなり思い切った価格を打ち出してくるのではないかと考えている。理由は前述したエンコードの手間を極力省く部分で、従来のサービスと比べてコストダウンが可能だからだと予想している。
さらに本サービスでユニークなのは、すでに発売済みの“AQUOS”シリーズでもアクトビラ ビデオ・フルに対応している製品なら、「T's TV」のサービスも開始とともに利用できることだ。いままでのVODサービスは使いづらく、テレビが対応していても利用しなかったというユーザーでも、このインターフェースなら使ってみようという気になりそうだ。いまのところ東芝の“REGZA”は一部機種のみの対応に止まっているが、バージョンアップ等で対応機種を増やして欲しいところだ。
あくまでも筆者の予想だが…「T's TV」はアクトビラ ビデオ・フルと再生環境は同じなのではないだろうか?もしそうであれば、パナソニック、ソニーなどの製品で、アクトビラ ビデオ・フルに対応していれば「T's TV」を利用できるかもしれない。
「T's TV」のサービスでは当初100本のタイトルが無料配信されるという。ぜひ対応機種を持っている方はトライしてみてはいかがだろうか。
■動画でみる「T's TV」ベータ版のサービスイメージ
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。