公開日 2011/04/08 10:10
DIGAで録って簡単持ち出し − パナソニックのAndroidメディアプレーヤー「SV-MV100」を試す
BDレコーダーと組み合わせた使用感をチェック
最近発売されたBDレコーダーには次々と新機能が搭載され、内蔵HDDの容量も増加している。一方で録画がますます快適かつ手軽になるにつれて、とりあえず録画してみたものの、視聴できないままHDDにたまっていく番組が増えてしまう。
筆者はこれまでソニーのBDZシリーズとPSPやウォークマンを使って、移動中などに、どうすれば録りためた録画番組を効率的に消化できるか試行錯誤してきた。筆者が使ってきたソニー系の組み合わせ以外に、今回新たにパナソニックからAndroid OSを搭載したポータブルメディアプレーヤー「SV-MV100」が発売されることになり、モバイルで録画コンテンツを楽しめる機器の選択肢が広がった。今回はこの「SV-MV100」と、同社のBDレコーダー“DIGA”「DMR-BZT900」との組み合わせによる使用感をチェックしよう。
コンパクトかつハンドリングも快適な「SV-MV100」
まずポータブルメディアプレーヤー「SV-MV100」の機能から見ていこう。本機はアップルのiPod touchと同様、単体で動画/静止画/音楽再生が楽しめるだけではなく、ワイヤレスLAN機能を備えてインターネットブラウジングやYouTube再生もできる。今後、NECビッグローブのアプリケーションダウンロードサービスが開始されたら、アプリの追加も可能になる予定だ。
本体液晶はiPod touch 4Gと同じサイズの3.5インチ。4.3インチの液晶を搭載するソニーのPSPに比べやや小さく感じるが、その分本体もコンパクトなので、持ち運ぶ時にかさばらないメリットがある。
デザインはなめらかな曲線を描くラウンドフォルムが手になじむ。カラーはブラックとホワイトの2色。ブラックにはオレンジが、ホワイトには黄緑の縁取りがアクセントとして入っている。この配色は好みだろうが、アクセントカラーのチョイスが筆者にはなじめない。シンプルなソリッドカラーも選べたら、なおベターだったように思う。
液晶はタッチ操作に対応しており、フロントパネルには他にもホーム/メニュー/戻るボタンが配置されている。内蔵の加速度センサーにより、画面はタテ/ヨコ表示に向きが切換えられる。ヨコ表示はホームボタンを右側にして構えた場合にのみ対応しており、ホームボタンを左側にした場合は、画面は上下逆さまになってしまう。この仕様により、左手で持って使う際に片手操作がしづらい。通勤電車などで利用する場合、不便に感じたので改善を望みたい点だ。
ワンセグ視聴を山手線内でテストした。映像自体は精細感も十分だが、アンテナがやや弱いのか受信感度が低く、うまく受信できないことがあった。
番組表を使ったワンセグの録画予約画面。安定した条件で録画を行うためには、予め電波の受信感度のよい場所を調べてから録画したい。毎週予約にも対応している。
加速度センサーにより、画面のタテ・ヨコ表示が自動的に切換えられる。ホームボタンを左側にして持った場合は、画面が逆さまになってしまう。SDカードに記録した録画番組の再生画面。操作ボタンは大きめで使いやすい。スキップボタンはCM飛ばしに重宝する。ヨコ表示にすると画面にかぶりすぎな感がある。
マルチメディアデータは、本体内蔵16GBのメモリーのほか、SDメモリーカードに記録したデータも読み込める。本体メモリーへの予約可能番組数は最大4,095番組で、SDカードは最大99番組。本体のワンセグチューナーを使って録画する場合は最大12番組の予約が可能だ。連続最長録画時間は8時間。予約数はやや少ないと感じるが、それ以外は十分な録画機能を備えている。
DIGAの録画番組をワイヤレス/SDで持ち出し − 動画再生も高画質
DIGAで録画した番組をSV-MV100へ転送するには、以下の2通りの方法がある。
【1】SV-MV100とDIGAをワイヤレスでホームネットワークに接続して転送(「お部屋ジャンプリンク」機能)
【2】DIGAにSDカードを入れて動画を転送→SDカードをSV-MV100にセットして再生
SV-MV100に動画を持ち出せるDIGAの対応モデルは、それぞれ転送方法により以下の通りとなる(本稿初出の2011年4月8日時点)。すでにDIGAを持っていて、SV-MV100を購入して動画を持ち出して楽しみたいと考えている方は、購入前に対応モデルの確認が必要だ(最新の対応機種情報はこちら)。
【ワイヤレス転送】
・DMR-BZT900/BZT800/BZT700/BZT600/BWT500(2011年2月発売)
【SDカード】
・DMR-BZT900/BZT800/BZT700/BZT600/BWT500/BRT300(2011年2月発売)
・DMR-BWT3100/BWT2100/BWT1100(2010年9月発売)
・DMR-BW890/BW690/BR590(2010年9月発売)
・DMR-BR585(2010年11月発売)
・DMR-BF200(2010年11月発売)
SV-MV100に動画を転送する前には、あらかじめDIGAで録画予約を入れる際、番組ごとに「持ち出し番組」の設定を行っておく。持ち出し方法はネットワーク経由(ワイヤレス転送)かSDカード経由を選ぶことができ、VGA画質/約1.5Mbpsの高画質な動画も転送できる。さらにワイヤレス転送の場合、「かんたん自動転送」のメニューから転送時間を設定しておけば、たとえば前日に録画した番組を夜中のうちに転送して、朝起きてすぐにSV-MV100に入れて持ち出す、といった便利な使い方も可能だ。
なお、録画予約時に「持ち出し番組」の設定を行わなかった番組を、後から持ち出して見たくなった場合でも、DIGA側で持ち出し用のファイルに変換できるが、エンコードは等速で行われるので実時間が必要になる。
地デジの番組を録画する際、画質を「ワンセグ画質(QVGA)」に設定した場合、通常の番組録画と同時に作成されるので、録画終了後、すぐに持ち出せる動画ができあがっている。「高画質(VGA)」に設定した場合、またはBS/CSデジタル放送、スカパー!HDの番組から作成する場合は、通常の録画終了後に本体電源を切った後から持ち出し動画の作成がスタートするので、変換のための時間がかかってしまう。
動画転送については、録画予約時に番組ごとに入力する使い方だけでなく、常時持ち出し番組を作成する設定としておき、持ち出し方法や画質の設定を固定登録しておくことができれば、“持ち出し派”ユーザーにとってもっと使いやすくなると思う。例えばソニーのBDZシリーズでは、高速転送が可能な「おでかけ転送」用の動画ファイルを、録画を行う際にはいつも自動作成する設定にしておくことができる。スカパー!HD対応チューナーから録画したファイルなど、一部おでかけ転送用動画ファイルが同時に作成できない場合もあるが、毎回予約の度に設定する手間は省くことができる。
本体の液晶が高精細なこともあり、VGA画質で持ち出した映像は高品位で、文句なしに楽しめた。前述した左手の片手持ち操作さえできれば、もっと良かっただろう。筆者は日頃UQ WiMAXとiPod touchを利用してネットやメールチェックを行っているが、PSPのようにBDレコーダーで録画した番組をiPod touchに持ち出せないことに不満を感じている。SV-MV100ならDIGAとの組み合わせで録画したテレビ番組が持ち出せるほか、リアルタイムで放送されている番組はワンセグで見ることもできる。ウェブメールを利用すれば、外出先でのメールチェックも問題なさそうだ。対応するDIGAを所有するユーザーならば、SV-MV100を購入することでテレビの視聴環境がより快適になるだろう。
最後にDMR-BZT900のスカパー!HD録画機能にも触れておこう。DMR-BZT900は3TBの内蔵HDDに、デジタル放送3番組+スカパー!HD 1番組が同時録画できる。家族で1台のレコーダーを共有するならかなり心強い製品だと思う。最上位モデルのBZT900は価格がそれなりに高価なので、同じチューナー構成で1TBの内蔵HDDを持つDMR-BZT700を選ぶのも良いだろう。
DMR-BZT900なら同時刻に放送しているデジタル放送を3番組、スカパー!HDの番組を1番組、合計で4番組同時録画が可能だ。スカパー!HDを録画するためにあらかじめDLNA環境を設定しておく。録画画質の設定もできる。
【SPEC】●内蔵メモリー:16GB(ユーザー使用可能領域:約14.4GB) ●OS:Android OS 2.1 ●液晶ディスプレイ:3.5V型/854×480画素 ●対応記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●ビデオコーデック:H.264/MPEG-4/WMV ●再生可能音楽ファイル形式:AAC/MP3/WMA ●無線LAN:IEEE802.11g/b ●受信チャンネル:地上デジタル ワンセグ UHF13ch〜62ch ●外形寸法:119.7W×60.0H×14.7Dmm ●質量:約130g ●問い合わせ先:パナソニック お客様ご相談センター TEL/0120-878-365
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
筆者はこれまでソニーのBDZシリーズとPSPやウォークマンを使って、移動中などに、どうすれば録りためた録画番組を効率的に消化できるか試行錯誤してきた。筆者が使ってきたソニー系の組み合わせ以外に、今回新たにパナソニックからAndroid OSを搭載したポータブルメディアプレーヤー「SV-MV100」が発売されることになり、モバイルで録画コンテンツを楽しめる機器の選択肢が広がった。今回はこの「SV-MV100」と、同社のBDレコーダー“DIGA”「DMR-BZT900」との組み合わせによる使用感をチェックしよう。
コンパクトかつハンドリングも快適な「SV-MV100」
まずポータブルメディアプレーヤー「SV-MV100」の機能から見ていこう。本機はアップルのiPod touchと同様、単体で動画/静止画/音楽再生が楽しめるだけではなく、ワイヤレスLAN機能を備えてインターネットブラウジングやYouTube再生もできる。今後、NECビッグローブのアプリケーションダウンロードサービスが開始されたら、アプリの追加も可能になる予定だ。
本体液晶はiPod touch 4Gと同じサイズの3.5インチ。4.3インチの液晶を搭載するソニーのPSPに比べやや小さく感じるが、その分本体もコンパクトなので、持ち運ぶ時にかさばらないメリットがある。
デザインはなめらかな曲線を描くラウンドフォルムが手になじむ。カラーはブラックとホワイトの2色。ブラックにはオレンジが、ホワイトには黄緑の縁取りがアクセントとして入っている。この配色は好みだろうが、アクセントカラーのチョイスが筆者にはなじめない。シンプルなソリッドカラーも選べたら、なおベターだったように思う。
液晶はタッチ操作に対応しており、フロントパネルには他にもホーム/メニュー/戻るボタンが配置されている。内蔵の加速度センサーにより、画面はタテ/ヨコ表示に向きが切換えられる。ヨコ表示はホームボタンを右側にして構えた場合にのみ対応しており、ホームボタンを左側にした場合は、画面は上下逆さまになってしまう。この仕様により、左手で持って使う際に片手操作がしづらい。通勤電車などで利用する場合、不便に感じたので改善を望みたい点だ。
ワンセグ視聴を山手線内でテストした。映像自体は精細感も十分だが、アンテナがやや弱いのか受信感度が低く、うまく受信できないことがあった。
番組表を使ったワンセグの録画予約画面。安定した条件で録画を行うためには、予め電波の受信感度のよい場所を調べてから録画したい。毎週予約にも対応している。
加速度センサーにより、画面のタテ・ヨコ表示が自動的に切換えられる。ホームボタンを左側にして持った場合は、画面が逆さまになってしまう。SDカードに記録した録画番組の再生画面。操作ボタンは大きめで使いやすい。スキップボタンはCM飛ばしに重宝する。ヨコ表示にすると画面にかぶりすぎな感がある。
マルチメディアデータは、本体内蔵16GBのメモリーのほか、SDメモリーカードに記録したデータも読み込める。本体メモリーへの予約可能番組数は最大4,095番組で、SDカードは最大99番組。本体のワンセグチューナーを使って録画する場合は最大12番組の予約が可能だ。連続最長録画時間は8時間。予約数はやや少ないと感じるが、それ以外は十分な録画機能を備えている。
DIGAの録画番組をワイヤレス/SDで持ち出し − 動画再生も高画質
DIGAで録画した番組をSV-MV100へ転送するには、以下の2通りの方法がある。
【1】SV-MV100とDIGAをワイヤレスでホームネットワークに接続して転送(「お部屋ジャンプリンク」機能)
【2】DIGAにSDカードを入れて動画を転送→SDカードをSV-MV100にセットして再生
SV-MV100に動画を持ち出せるDIGAの対応モデルは、それぞれ転送方法により以下の通りとなる(本稿初出の2011年4月8日時点)。すでにDIGAを持っていて、SV-MV100を購入して動画を持ち出して楽しみたいと考えている方は、購入前に対応モデルの確認が必要だ(最新の対応機種情報はこちら)。
【ワイヤレス転送】
・DMR-BZT900/BZT800/BZT700/BZT600/BWT500(2011年2月発売)
【SDカード】
・DMR-BZT900/BZT800/BZT700/BZT600/BWT500/BRT300(2011年2月発売)
・DMR-BWT3100/BWT2100/BWT1100(2010年9月発売)
・DMR-BW890/BW690/BR590(2010年9月発売)
・DMR-BR585(2010年11月発売)
・DMR-BF200(2010年11月発売)
SV-MV100に動画を転送する前には、あらかじめDIGAで録画予約を入れる際、番組ごとに「持ち出し番組」の設定を行っておく。持ち出し方法はネットワーク経由(ワイヤレス転送)かSDカード経由を選ぶことができ、VGA画質/約1.5Mbpsの高画質な動画も転送できる。さらにワイヤレス転送の場合、「かんたん自動転送」のメニューから転送時間を設定しておけば、たとえば前日に録画した番組を夜中のうちに転送して、朝起きてすぐにSV-MV100に入れて持ち出す、といった便利な使い方も可能だ。
なお、録画予約時に「持ち出し番組」の設定を行わなかった番組を、後から持ち出して見たくなった場合でも、DIGA側で持ち出し用のファイルに変換できるが、エンコードは等速で行われるので実時間が必要になる。
地デジの番組を録画する際、画質を「ワンセグ画質(QVGA)」に設定した場合、通常の番組録画と同時に作成されるので、録画終了後、すぐに持ち出せる動画ができあがっている。「高画質(VGA)」に設定した場合、またはBS/CSデジタル放送、スカパー!HDの番組から作成する場合は、通常の録画終了後に本体電源を切った後から持ち出し動画の作成がスタートするので、変換のための時間がかかってしまう。
動画転送については、録画予約時に番組ごとに入力する使い方だけでなく、常時持ち出し番組を作成する設定としておき、持ち出し方法や画質の設定を固定登録しておくことができれば、“持ち出し派”ユーザーにとってもっと使いやすくなると思う。例えばソニーのBDZシリーズでは、高速転送が可能な「おでかけ転送」用の動画ファイルを、録画を行う際にはいつも自動作成する設定にしておくことができる。スカパー!HD対応チューナーから録画したファイルなど、一部おでかけ転送用動画ファイルが同時に作成できない場合もあるが、毎回予約の度に設定する手間は省くことができる。
本体の液晶が高精細なこともあり、VGA画質で持ち出した映像は高品位で、文句なしに楽しめた。前述した左手の片手持ち操作さえできれば、もっと良かっただろう。筆者は日頃UQ WiMAXとiPod touchを利用してネットやメールチェックを行っているが、PSPのようにBDレコーダーで録画した番組をiPod touchに持ち出せないことに不満を感じている。SV-MV100ならDIGAとの組み合わせで録画したテレビ番組が持ち出せるほか、リアルタイムで放送されている番組はワンセグで見ることもできる。ウェブメールを利用すれば、外出先でのメールチェックも問題なさそうだ。対応するDIGAを所有するユーザーならば、SV-MV100を購入することでテレビの視聴環境がより快適になるだろう。
最後にDMR-BZT900のスカパー!HD録画機能にも触れておこう。DMR-BZT900は3TBの内蔵HDDに、デジタル放送3番組+スカパー!HD 1番組が同時録画できる。家族で1台のレコーダーを共有するならかなり心強い製品だと思う。最上位モデルのBZT900は価格がそれなりに高価なので、同じチューナー構成で1TBの内蔵HDDを持つDMR-BZT700を選ぶのも良いだろう。
DMR-BZT900なら同時刻に放送しているデジタル放送を3番組、スカパー!HDの番組を1番組、合計で4番組同時録画が可能だ。スカパー!HDを録画するためにあらかじめDLNA環境を設定しておく。録画画質の設定もできる。
【SPEC】●内蔵メモリー:16GB(ユーザー使用可能領域:約14.4GB) ●OS:Android OS 2.1 ●液晶ディスプレイ:3.5V型/854×480画素 ●対応記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●ビデオコーデック:H.264/MPEG-4/WMV ●再生可能音楽ファイル形式:AAC/MP3/WMA ●無線LAN:IEEE802.11g/b ●受信チャンネル:地上デジタル ワンセグ UHF13ch〜62ch ●外形寸法:119.7W×60.0H×14.7Dmm ●質量:約130g ●問い合わせ先:パナソニック お客様ご相談センター TEL/0120-878-365
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。