公開日 2011/05/06 11:42
高級木材「ムテンエ」を採用 − ケンウッド“Kseries”「U-K525LT」リミテッドモデルを聴く
新製品スペシャルレポート
レギュラーモデル「U-K525」をベースにした、ケンウッド直販サイトでの台数限定販売モデル。ベースモデル「U-K525」と共通の概要は、iPodデジタル接続対応ドックとCD搭載のオールインワンシステム。プリとパワーの両段をデジタルアンプで構成するフルデジタルプロセッシングが特長。電源回路をシールドして他の回路から隔離、ボディ内部に独立したスピーカーキャビネットを備えるなど、オーディオ的な作り込みも万全だ。
ベースモデルとの違いは見ての通り、本体の材質だ。U-K525と同じく高剛性アルミ材を基盤とするが、その表面に突板材が貼られている。これは化粧板としての意味と、特性の全く異なる材を貼り合わせることで、振動をより高度に制御する狙いもある。加えて、ボディとキャビネットの間に吸音材を装着するなど、改めてチューニングも施している。
その突板材はアフリカ原産の“ムテンエ”である。オーディオや楽器の分野では聞き慣れないが、高級家具やビリヤードのキューに用いられている材だという。用例の前者はその美しさの、後者はその硬度や弾性、狂いの少なさの証明と言える。なるほど、オーディオにもうってつけの材だ。オーディオでおなじみのローズウッドに似た色合いと落ちつきであるので、外観の違和感もない。
Helge Lien Trio「Spiral Circle」収録曲「Take Five」は強烈なアタックが印象的だが、その再現性は十分。そのアタックに続く、ベースやドラムスの胴の木質の響きも豊かに引き出している。この要素については特に、ベースモデルからの進化が大きいと感じた。音源に含まれる響きの成分がより素直に綺麗に出ている印象だ。
ベースが実によく弾む太さを持つ点は、基本となるモデルのU-K525譲り。シンバルの音色は金属質の粘り気を増し、この音源の”らしさ”をより引き出してくれる、好印象だ。女性ボーカルの主役感、音像の適度な大柄さもベースモデル譲りだが、感触は柔らかさを少し増したようだ。筆者としては本機の方がより好みである。
このように音質面での違いもあるが、やはり身にまとう雰囲気の違いが大きい。精悍なU-K525か、暖かみのあるU-K525LTか。大きなセレクトのポイントはここになるだろう。
【SPEC】<アンプ部>●実用最大出力:20W+20W ●入力端子:D.AUDIO IN、AUX、光デジタル、USB2.0(Full Speed) ●出力端子:録音出力 ●再生対応ディスク:CD、CD-R/RW ●再生対応ファイル形式:MP3/WMA AAC(DRM非対応) ●外形寸法:390W×119.5H×267Dmm ●質量:5.8kg ●問い合わせ先:ケンウッド カスタマーサポートセンター TEL/0570-010-114
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
ベースモデルとの違いは見ての通り、本体の材質だ。U-K525と同じく高剛性アルミ材を基盤とするが、その表面に突板材が貼られている。これは化粧板としての意味と、特性の全く異なる材を貼り合わせることで、振動をより高度に制御する狙いもある。加えて、ボディとキャビネットの間に吸音材を装着するなど、改めてチューニングも施している。
その突板材はアフリカ原産の“ムテンエ”である。オーディオや楽器の分野では聞き慣れないが、高級家具やビリヤードのキューに用いられている材だという。用例の前者はその美しさの、後者はその硬度や弾性、狂いの少なさの証明と言える。なるほど、オーディオにもうってつけの材だ。オーディオでおなじみのローズウッドに似た色合いと落ちつきであるので、外観の違和感もない。
Helge Lien Trio「Spiral Circle」収録曲「Take Five」は強烈なアタックが印象的だが、その再現性は十分。そのアタックに続く、ベースやドラムスの胴の木質の響きも豊かに引き出している。この要素については特に、ベースモデルからの進化が大きいと感じた。音源に含まれる響きの成分がより素直に綺麗に出ている印象だ。
ベースが実によく弾む太さを持つ点は、基本となるモデルのU-K525譲り。シンバルの音色は金属質の粘り気を増し、この音源の”らしさ”をより引き出してくれる、好印象だ。女性ボーカルの主役感、音像の適度な大柄さもベースモデル譲りだが、感触は柔らかさを少し増したようだ。筆者としては本機の方がより好みである。
このように音質面での違いもあるが、やはり身にまとう雰囲気の違いが大きい。精悍なU-K525か、暖かみのあるU-K525LTか。大きなセレクトのポイントはここになるだろう。
【SPEC】<アンプ部>●実用最大出力:20W+20W ●入力端子:D.AUDIO IN、AUX、光デジタル、USB2.0(Full Speed) ●出力端子:録音出力 ●再生対応ディスク:CD、CD-R/RW ●再生対応ファイル形式:MP3/WMA AAC(DRM非対応) ●外形寸法:390W×119.5H×267Dmm ●質量:5.8kg ●問い合わせ先:ケンウッド カスタマーサポートセンター TEL/0570-010-114
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。