公開日 2012/04/27 11:02
ヤマハのAirPlay対応AVアンプ入門機 RX-V473/573をレビュー
エントリークラスのCPを一気に高めた
先日、4万円台のエントリーAVアンプ「RX-V373」を発売したばかりのヤマハから、エントリークラスをさらに充実させる2モデル「RX-V473」「RX-V573」が登場した(関連ニュース)。両機種とも基本部分は共通なので、併せて紹介しよう。下位モデルRX-V373に対し、ネットワーク対応によって3つの大きなアドバンテージを得ている。
■ネットワーク機能搭載/AirPlay対応 − スマホ/タブレット連携強化
1つめはDLNA準拠のネットワーク再生機能。NASなどに保存してある音楽ファイルを、スマートフォンのアプリなどから操作して再生できる。その際には、FLAC形式で最大96kHz/24bitの音源に対応。エントリー機にしていわゆるハイレゾ環境を構築できる。
2つめはAirPlay。iPhoneやiPadなどのApple製品から簡単に利用できる、ネットワーク経由のワイヤレス再生機能だ。実はAirPlayへの対応は、ヤマハ製品においてこの2機種が初となる。iPhone等のユーザーへの強いアピールになるだろう。
3つめはiOS/Android OS向けの専用アプリ「AV CONTROLLER」からの基本操作が行える点だ。このアプリでは、非常に整理された画面でのタッチ操作を提供している。
最新バージョンでは、iPadなどのタブレットにもUIが最適化され、広い画面を活かして操作性をさらに向上させている。一方で、AVアンプ本体ではこのアプリからの操作を前提として、テレビに映し出すオンスクリーンメニューは簡略化された。実際に使用してみると、このアプリの出来映えは高く、オンスクリーンメニューのリモコン操作でなくともわかりやすく操作が行える。
■RX-V373と共通の新機能
RX-V373と共通の要素としては、まず「SCENE」機能を備える。本体フロントやリモコン、アプリに「BD/DVD」「TV」「NET」「RADIO」の4ボタンが装備されており、接続機器それぞれに対する音場モードなどの設定がプリセットされている。
例えば「BD/DVD」を押せば一発で、自動でテレビの電源が入り、外部入力はレコーダーを接続しているHDMIに変更され、アンプの音場モードも選択されるという便利な機能だ。プリセット内容は任意で変更可能なので、巧く使いこなしたい。
そして低消費電力設計もRX-V373と共通だ。待機時消費電力を抑えているほか、新機能「ECOモード」を有効にすることで、使用時の消費電力を同モードOFF時と比べて約20%も削減できる。
■「RX-V473」と「RX-V573」の音質は? 2機種まとめてチェック!
最後に、RX-V473とRX-V573の違いだが、まず前者が5.1ch機で後者は7.1ch機となる。それに伴いRX-V573のみ、メインの5.1chの他にもう一組の2chスピーカーに同時に音声を出力できる「Zone B」機能、フロントスピーカーを左右各2chのアンプで駆動する「フロントバイアンプ」機能に対応する。
さて音だが、まずは共通の印象から述べよう。
『ロスト・ワールド』のティラノサウルスの唸り声は、骨太で張りのある声でゴロゴロと深く響き、その大きさと怖さがしっかりと表現されている。雨に打たれるトレーラーハウスの扉が開いた瞬間には、雨音や気配が大きく広がり、音場の密閉感と開放感の対比も再現される。スコアも厚みのある音色で、大作映画らしいスケール感をさらに高めている。
また、音楽再生にも力を発揮。音調はややウォームな印象だ。ベースやドラムスなど低音を引き締めすぎていないために、リラックスしたグルーブ感が生まれている。女性ボーカルの適度にふくよかでダイナミックな歌いっぷりも好印象だ。
それをベースに、RX-V573の方が中低音の明確さに多少優れる。台詞や唸り声、トレーラーハウスの軋みがよりクリアだ。しかしそれほど大きな差ではないので、両機の選び分けはch数や機能面で行って良いだろう。
2モデルとも、ネットワーク機能の充実を筆頭に、エントリークラスのコストパフォーマンスを一気に高めた新製品である。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
■ネットワーク機能搭載/AirPlay対応 − スマホ/タブレット連携強化
1つめはDLNA準拠のネットワーク再生機能。NASなどに保存してある音楽ファイルを、スマートフォンのアプリなどから操作して再生できる。その際には、FLAC形式で最大96kHz/24bitの音源に対応。エントリー機にしていわゆるハイレゾ環境を構築できる。
2つめはAirPlay。iPhoneやiPadなどのApple製品から簡単に利用できる、ネットワーク経由のワイヤレス再生機能だ。実はAirPlayへの対応は、ヤマハ製品においてこの2機種が初となる。iPhone等のユーザーへの強いアピールになるだろう。
3つめはiOS/Android OS向けの専用アプリ「AV CONTROLLER」からの基本操作が行える点だ。このアプリでは、非常に整理された画面でのタッチ操作を提供している。
最新バージョンでは、iPadなどのタブレットにもUIが最適化され、広い画面を活かして操作性をさらに向上させている。一方で、AVアンプ本体ではこのアプリからの操作を前提として、テレビに映し出すオンスクリーンメニューは簡略化された。実際に使用してみると、このアプリの出来映えは高く、オンスクリーンメニューのリモコン操作でなくともわかりやすく操作が行える。
■RX-V373と共通の新機能
RX-V373と共通の要素としては、まず「SCENE」機能を備える。本体フロントやリモコン、アプリに「BD/DVD」「TV」「NET」「RADIO」の4ボタンが装備されており、接続機器それぞれに対する音場モードなどの設定がプリセットされている。
例えば「BD/DVD」を押せば一発で、自動でテレビの電源が入り、外部入力はレコーダーを接続しているHDMIに変更され、アンプの音場モードも選択されるという便利な機能だ。プリセット内容は任意で変更可能なので、巧く使いこなしたい。
そして低消費電力設計もRX-V373と共通だ。待機時消費電力を抑えているほか、新機能「ECOモード」を有効にすることで、使用時の消費電力を同モードOFF時と比べて約20%も削減できる。
■「RX-V473」と「RX-V573」の音質は? 2機種まとめてチェック!
最後に、RX-V473とRX-V573の違いだが、まず前者が5.1ch機で後者は7.1ch機となる。それに伴いRX-V573のみ、メインの5.1chの他にもう一組の2chスピーカーに同時に音声を出力できる「Zone B」機能、フロントスピーカーを左右各2chのアンプで駆動する「フロントバイアンプ」機能に対応する。
さて音だが、まずは共通の印象から述べよう。
『ロスト・ワールド』のティラノサウルスの唸り声は、骨太で張りのある声でゴロゴロと深く響き、その大きさと怖さがしっかりと表現されている。雨に打たれるトレーラーハウスの扉が開いた瞬間には、雨音や気配が大きく広がり、音場の密閉感と開放感の対比も再現される。スコアも厚みのある音色で、大作映画らしいスケール感をさらに高めている。
また、音楽再生にも力を発揮。音調はややウォームな印象だ。ベースやドラムスなど低音を引き締めすぎていないために、リラックスしたグルーブ感が生まれている。女性ボーカルの適度にふくよかでダイナミックな歌いっぷりも好印象だ。
それをベースに、RX-V573の方が中低音の明確さに多少優れる。台詞や唸り声、トレーラーハウスの軋みがよりクリアだ。しかしそれほど大きな差ではないので、両機の選び分けはch数や機能面で行って良いだろう。
2モデルとも、ネットワーク機能の充実を筆頭に、エントリークラスのコストパフォーマンスを一気に高めた新製品である。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。