公開日 2012/11/26 12:30
レグザ“Z7”の新機能「TimeOn」を試す ー 進化した「タイムシフトマシン」を徹底検証
新製品ハンドリングレポート
東芝の液晶テレビ“REGZA”の最上位シリーズの新機種として登場した「Z7」。外付けHDDを増設して「タイムシフトマシン」が活用できるようになったことで、録画機の購入分も一手にまかなえるテレビとして、購入を検討している方も多いだろう。
今回は55V型のREGZA「55Z7」を約一週間に渡って試用できた。新機能の「ざんまいプレイ」、そして東芝がスタートさせたテレビ録画と連動するクラウド型サービス「TimeOn」を中心に、その使用感をレポートしていきたい。
純正HDDの設置はとても簡単 ー 録画機能をセットアップ
「55Z7」はHDDを内蔵していないため、「タイムシフトマシン」をはじめとする録画機能を活用するためには外付HDDを別途購入する必要がある。増設用HDDには、東芝のレグザ純正モデル「THD-250T1」が同時発売されており、テレビ本体の背面にスマートに配置できて使い勝手がよい。ほかにもバッファロー、アイ・オー・データなど周辺機器メーカーから「タイムシフトマシン」のために使えるUSB 3.0対応の外付HDDが発売されている。
今回は東芝純正HDD「THD-250T1」でテストを行った。テレビ本体の背面にマウントして、USBケーブルをつなぐ。本体の奥行きサイズを過度に太らせることなくスリムに置けるのが良い。テレビとしての一体感を損なわずに「タイムシフトマシン」対応の録画テレビに早変わりできるよう、よく考えられていると感じた。
「タイムシフトマシン」については、遡れば2009年発売の“CELL REGZA”以来、東芝が様々な機種で展開してきた機能であり、24時間の全録を実現する録画機能として注目度も高い。これまで「タイムシフトマシン」採用のレグザは本体内蔵HDD(あるいは別筐体のメディアボックス)にキャッシュ録画を行っていたが、「55Z7」では初めて外付けUSB-HDD対応としたことで、使うHDDのタイプや録画容量をユーザーが自由に選べるようになった。
キャッシュ録画した番組は、すべてリモコンの「タイムシフトマシン」ボタンを押して「過去番組表」を表示し、見たい番組を選んで再生という使い勝手そのものに変更はない。「過去番組表」の表示までのレスポンス、番組表のページ送りも非常に軽快なレスポンスを実現している。例えば夜遅くに帰宅しても、今日のニュース番組や前日夜のゴールデンタイムのドラマなどを、好きなときに呼び出して視聴できる「タイムシフトマシン」の便利さに、誰もがはじめは驚き、そのうちすぐに手放せなくなるはずだ。
「タイムシフトマシン」のアーカイブ番組が効率よく見られるようになる「ざんまいプレイ」
「55Z7」の「タイムシフトマシン」がREGZAの従来モデルよりも進化した第一のポイントは「ざんまいプレイ」という新機能にある。ざんまいプレイの目的は、今まで「タイムシフトマシン」で録りためた過去番組を、ユーザーがより効率よく視聴できるようにすることにある。
「ざんまいプレイ」を使ってみて、最初に魅力を感じた機能が「ほかにもこんな番組」だ。本機能ではライブ視聴中の放送、「タイムシフトマシン」の過去録画番組を問わず、今視聴中の番組に関連度の高い番組を独自のアルゴリズムによりピックアップ。メイン画面の隣にサブ画面表示して、最大30件まで推薦してくれるものだ。
例えば、日本代表のサッカーの試合を観戦していたら、サッカー情報番組やJリーグの試合もピックアップしてくれる。テレビ放送の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』の録画タイトルで試してみたところ、関連する番組として他のアニメ番組が一覧表示された。
関連番組はEPGのジャンル情報からピックアップされることが多いようだが、野球のWBCの試合中継でテストしてみたところ、キーワードも上手く機能して、スポーツニュースのWBC情報コーナーもヒットした。キーワードで一致した番組は、ジャンルで合致した番組より上位に表示されるため見逃す心配もない。特にスポーツ中継では試合直前の特番もヒットしたりと、関連番組を逃さずチェックできる。単体BDレコーダー上位モデルに搭載されている高精度な学習型自動録画機能に似た便利さが実感できた。
「ほかにもこんな番組」機能で関連番組を選択すると、「タイムシフトマシン」からすぐに番組の再生がスタートする。連続して「ほかにもこんな番組」機能を走らせると、今度はその番組を起点に関連番組が呼び出され、といった具合に面白そうな番組をジャンルやキーワードの繋がりで手繰って行くことができる。まるでYouTubeなどインターネットの動画ファイルを視聴するような感覚で、「タイムシフトマシン」で録画したテレビ番組の中から、これまでは見逃しがちだった魅力的な番組と簡単に出会える面白さがある。
「ざんまいプレイ」ではほかにも「急上昇ワード」に注目した。これはEPG情報に出現頻度が急上昇したキーワードをピックアップしてくれる機能だが、「タイムシフトマシン」の過去番組から手っ取り早くいま話題になっている番組を見つけられるのが便利だ。もちろんユーザーが任意に検索条件やキーワードを登録して検索することも可能だが、「急上昇ワード」が加わったことで、いま巷で話題のトピックスにどんなものがあるのかも知ることができ、友人などと共有できる情報を調べるツールとして、テレビをより積極的に使えるようになる手応えを得た。
“シーン単位”でのスタイルにテレビ録画・視聴のスタイルを変える「TimeOn」
REGZA Z7/J7シリーズの登場ととも東芝のテレビ向けクラウド型サービス「TimeOn」が始まった。このサービスの大きな特徴のひとつは番組シーン情報を使った録画番組の視聴機能に対応したことだ。「TimeOn」のサービスを利用するためにはテレビをインターネットに接続して、サービスのユーザー登録が必要だ。なお、Z7シリーズからテレビ本体にWiFi機能が内蔵されるようになった。初期設定を済ませた後に、リモコンの「クラウドメニュー」のボタンを押せば「TimeOn」のサーバーにアクセスしてトップメニューが表示される。
シーン視聴機能の一つである「みどころシーン再生」は、タイムシフトマシン/通常録画した地上デジタル放送の番組一覧から放送局をまたいで見たいシーンが検索できる機能。TimeOnのトップメニュー画面の左下に配置されているアイコンからアクセスできる。単一の録画番組をシーン単位で視聴できる機能である「気になる!シーンリスト」も用意されている。
実際にシーン再生の視聴機能を使ってみるとその便利さはすぐに実感できる。例えば、朝の情報番組の視聴時ならば、見出し単位ですぐにトピックスが一覧でき、気になる箇所だけ飛ばし見ができる。当然ながらCMにもシーン情報が埋め込まれているので、気になるCMを中心にチェックすることもできる。自動チャプター機能をシーン単位で利用できる使い心地と表現できるかもしれない。
シーン再生と相性が良いのは、やはりニュースや情報番組など数多くのトピックスが含まれる番組だ。歌番組でも歌手別の頭出しが快適に行えるようになる。実際にこの機能を使い込んでいくうち、次第に番組の先頭から再生を始めて、目当てのシーンをサーチやチャプター送りで頭出しするという、いままで当たり前に行っていた操作がとても面倒に感じるようになった。「みどころシーン再生」によって番組の視聴効率がぐっと高まる。
反対にアニメや映画、ドラマなどストーリーものの番組やスポーツ中継ではシーン再生機能を使う機会はあまりないかもしれない。これらジャンルの番組では本編とCM区切りといった必要最低限のシーン情報だけが提供される。これは番組内容として細かく分割することでかえってストーリーを追いづらくなったり、そもそもシーンリストを見てしまったことで“ネタバレ”してしまうことを避けるための配慮でもあると思う。
なお、「みどころシーン再生」で利用している番組のメタデータは、関東と東海地方(静岡を除く)、関西、及び他地域でもキー局提供の番組であれば放送後2〜3時間で利用可能になる。実際に都内の筆者宅でテストしたところ、放送から概ね2時間半後程度で利用できるようになった。
「気になる!シーンリスト」はリモコンの「気になる!」ボタンを押してから、リストが表示されるまでのレスポンスもよく、一瞬の画面暗転がある以外は視聴中の番組を表示したままシーン一覧を表示するので、使い心地に問題はない。これもいったん使い始めたら、ふだんのテレビ視聴に欠かせない機能になりそうだ。
キーワードによるシーン情報検索にも対応した
クラウド情報と連携した「みどころシーン再生」のような録画番組の視聴機能であれば他社のレコーダー製品にも採用例はあるが、東芝REGZA Z7シリーズの「TimeOn」ならではの機能が、キーワードによるシーン情報の逆引きにあたる「シーン検索」だ。
リモコンから「クラウドメニュー」のボタンで「TimeOn」にアクセスし、「みどころシーン再生」を選択すると、「シーン検索」の画面が表示される。「みどころシーン再生」はクラウドサーバー上で番組のシーン情報データベースから検索を行う機能で、検索結果とローカルの「タイムシフトマシン」による録画内容を付き合わせて、番組内に存在する「シーン」の検索を実現してくれるというものだ。その便利さを伝えるためには実例を挙げて紹介するのがわかりやすいはずだ。
今回、「55Z7」のテストを行った11月第3週はサッカーW杯予選、野球の“侍ジャパン”のWBCテストマッチが行われた時期のため、「日本代表」でシーン検索をするとスポーツやニュースの中で日本代表が取り上げられたシーンだけでニュースや情報番組などが20件以上がヒットした。一覧から見たいシーンを選ぶだけで、自動的に小画面で番組の中の該当コーナーから再生がスタートするのでザッピング視聴もしやすい。
試合前後で3日分も録画してあれば、中継は勿論のこと試合前にニュースや情報番組で紹介される合宿情報、現地取材、さらに放送終了後にはインタビューなど追跡情報も含めて、ワイドショーやニュースで細切れに取り上げられる情報が一網打尽にチェックできるわけだ。
このシーン検索がどれほど便利かと言えば、筆者の場合は「サッカーW杯最終予選オマーン×日本代表の試合で決勝ゴールを決めた清武選手の試合後のインタビューを見たい」というマニアックな要求でも、「清武」で探してヒットした番組一覧から「インタビュー」「会見」のキーワードが含まれているシーンを探して無事視聴することができた。この「シーン単位」での検索は機能は、特定のスポーツ選手やアーティストなどの情報を逃さず横断的にチェックしたいという人にとって、非常に便利に感じられるはずだ。
他にも「検索急上昇ワード powered by Yahoo!検索」の機能も提供されている。こちらはインターネット上で話題のキーワードをYahoo!検索の機能と連動して表示するというもので、現在巷で注目されているキーワードを拾いながらテレビ視聴が楽しめる。テストの際には、ピックアップされた劇場版映画公開直前の「ヱヴァンゲリヲン」のキーワードで検索すると、映画の予告だけでなく、ワイドショーで「ヱヴァンゲリヲン」に関連付けて紹介されたコーナーまでもがヒット。いくら「ヱヴァンゲリヲン」ファンでも普通にテレビを視聴しているだけでは気付けなかった番組コーナーがピンポイントで発見できる視聴スタイルは、画期的というほかないだろう。
今後も進化を続ける「TimeOn」のサービスには要注目
REGZA「55Z7」を実際に1週間試用してみて、「タイムシフトマシン」の本当の実力が体感できる製品が遂に登場したという実感を得た。従来の「タイムシフトマシン」よりも、”全録”したコンテンツを効率よく快適に視聴するための機能が、「ざんまいプレイ」を搭載し、「TimeOn」のクラウドサービスと連携したことで追加され、さらに多くのユーザーに使いやすいインターフェースで利用できるようになった。「タイムシフトマシン」の魅力がいっそう顕在化したと言えるだろう。
さらに「みどころシーン再生」が実現した機能は、録画対応テレビとしての使い勝手だけでなく、テレビそのものの視聴スタイルを変えるほどに革命的なものだ。今回、他社のレコーダーに先駆けて東芝のREGZA Z7シリーズが「TimeOn」として遂にシーン単位の逆引き検索を可能にして、しかも実用性の高い機能に仕上げてきたことを大いに歓迎したい。今回の取材時点ではまだ「TimeOn」のすべてのサービスが開始されていなかった。今後もさらにその進化を注目しながら追いかけて行きたいと思う。
(折原一也)
今回は55V型のREGZA「55Z7」を約一週間に渡って試用できた。新機能の「ざんまいプレイ」、そして東芝がスタートさせたテレビ録画と連動するクラウド型サービス「TimeOn」を中心に、その使用感をレポートしていきたい。
純正HDDの設置はとても簡単 ー 録画機能をセットアップ
「55Z7」はHDDを内蔵していないため、「タイムシフトマシン」をはじめとする録画機能を活用するためには外付HDDを別途購入する必要がある。増設用HDDには、東芝のレグザ純正モデル「THD-250T1」が同時発売されており、テレビ本体の背面にスマートに配置できて使い勝手がよい。ほかにもバッファロー、アイ・オー・データなど周辺機器メーカーから「タイムシフトマシン」のために使えるUSB 3.0対応の外付HDDが発売されている。
今回は東芝純正HDD「THD-250T1」でテストを行った。テレビ本体の背面にマウントして、USBケーブルをつなぐ。本体の奥行きサイズを過度に太らせることなくスリムに置けるのが良い。テレビとしての一体感を損なわずに「タイムシフトマシン」対応の録画テレビに早変わりできるよう、よく考えられていると感じた。
「タイムシフトマシン」については、遡れば2009年発売の“CELL REGZA”以来、東芝が様々な機種で展開してきた機能であり、24時間の全録を実現する録画機能として注目度も高い。これまで「タイムシフトマシン」採用のレグザは本体内蔵HDD(あるいは別筐体のメディアボックス)にキャッシュ録画を行っていたが、「55Z7」では初めて外付けUSB-HDD対応としたことで、使うHDDのタイプや録画容量をユーザーが自由に選べるようになった。
キャッシュ録画した番組は、すべてリモコンの「タイムシフトマシン」ボタンを押して「過去番組表」を表示し、見たい番組を選んで再生という使い勝手そのものに変更はない。「過去番組表」の表示までのレスポンス、番組表のページ送りも非常に軽快なレスポンスを実現している。例えば夜遅くに帰宅しても、今日のニュース番組や前日夜のゴールデンタイムのドラマなどを、好きなときに呼び出して視聴できる「タイムシフトマシン」の便利さに、誰もがはじめは驚き、そのうちすぐに手放せなくなるはずだ。
「タイムシフトマシン」のアーカイブ番組が効率よく見られるようになる「ざんまいプレイ」
「55Z7」の「タイムシフトマシン」がREGZAの従来モデルよりも進化した第一のポイントは「ざんまいプレイ」という新機能にある。ざんまいプレイの目的は、今まで「タイムシフトマシン」で録りためた過去番組を、ユーザーがより効率よく視聴できるようにすることにある。
「ざんまいプレイ」を使ってみて、最初に魅力を感じた機能が「ほかにもこんな番組」だ。本機能ではライブ視聴中の放送、「タイムシフトマシン」の過去録画番組を問わず、今視聴中の番組に関連度の高い番組を独自のアルゴリズムによりピックアップ。メイン画面の隣にサブ画面表示して、最大30件まで推薦してくれるものだ。
例えば、日本代表のサッカーの試合を観戦していたら、サッカー情報番組やJリーグの試合もピックアップしてくれる。テレビ放送の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』の録画タイトルで試してみたところ、関連する番組として他のアニメ番組が一覧表示された。
関連番組はEPGのジャンル情報からピックアップされることが多いようだが、野球のWBCの試合中継でテストしてみたところ、キーワードも上手く機能して、スポーツニュースのWBC情報コーナーもヒットした。キーワードで一致した番組は、ジャンルで合致した番組より上位に表示されるため見逃す心配もない。特にスポーツ中継では試合直前の特番もヒットしたりと、関連番組を逃さずチェックできる。単体BDレコーダー上位モデルに搭載されている高精度な学習型自動録画機能に似た便利さが実感できた。
「ほかにもこんな番組」機能で関連番組を選択すると、「タイムシフトマシン」からすぐに番組の再生がスタートする。連続して「ほかにもこんな番組」機能を走らせると、今度はその番組を起点に関連番組が呼び出され、といった具合に面白そうな番組をジャンルやキーワードの繋がりで手繰って行くことができる。まるでYouTubeなどインターネットの動画ファイルを視聴するような感覚で、「タイムシフトマシン」で録画したテレビ番組の中から、これまでは見逃しがちだった魅力的な番組と簡単に出会える面白さがある。
「ざんまいプレイ」ではほかにも「急上昇ワード」に注目した。これはEPG情報に出現頻度が急上昇したキーワードをピックアップしてくれる機能だが、「タイムシフトマシン」の過去番組から手っ取り早くいま話題になっている番組を見つけられるのが便利だ。もちろんユーザーが任意に検索条件やキーワードを登録して検索することも可能だが、「急上昇ワード」が加わったことで、いま巷で話題のトピックスにどんなものがあるのかも知ることができ、友人などと共有できる情報を調べるツールとして、テレビをより積極的に使えるようになる手応えを得た。
“シーン単位”でのスタイルにテレビ録画・視聴のスタイルを変える「TimeOn」
REGZA Z7/J7シリーズの登場ととも東芝のテレビ向けクラウド型サービス「TimeOn」が始まった。このサービスの大きな特徴のひとつは番組シーン情報を使った録画番組の視聴機能に対応したことだ。「TimeOn」のサービスを利用するためにはテレビをインターネットに接続して、サービスのユーザー登録が必要だ。なお、Z7シリーズからテレビ本体にWiFi機能が内蔵されるようになった。初期設定を済ませた後に、リモコンの「クラウドメニュー」のボタンを押せば「TimeOn」のサーバーにアクセスしてトップメニューが表示される。
シーン視聴機能の一つである「みどころシーン再生」は、タイムシフトマシン/通常録画した地上デジタル放送の番組一覧から放送局をまたいで見たいシーンが検索できる機能。TimeOnのトップメニュー画面の左下に配置されているアイコンからアクセスできる。単一の録画番組をシーン単位で視聴できる機能である「気になる!シーンリスト」も用意されている。
実際にシーン再生の視聴機能を使ってみるとその便利さはすぐに実感できる。例えば、朝の情報番組の視聴時ならば、見出し単位ですぐにトピックスが一覧でき、気になる箇所だけ飛ばし見ができる。当然ながらCMにもシーン情報が埋め込まれているので、気になるCMを中心にチェックすることもできる。自動チャプター機能をシーン単位で利用できる使い心地と表現できるかもしれない。
シーン再生と相性が良いのは、やはりニュースや情報番組など数多くのトピックスが含まれる番組だ。歌番組でも歌手別の頭出しが快適に行えるようになる。実際にこの機能を使い込んでいくうち、次第に番組の先頭から再生を始めて、目当てのシーンをサーチやチャプター送りで頭出しするという、いままで当たり前に行っていた操作がとても面倒に感じるようになった。「みどころシーン再生」によって番組の視聴効率がぐっと高まる。
反対にアニメや映画、ドラマなどストーリーものの番組やスポーツ中継ではシーン再生機能を使う機会はあまりないかもしれない。これらジャンルの番組では本編とCM区切りといった必要最低限のシーン情報だけが提供される。これは番組内容として細かく分割することでかえってストーリーを追いづらくなったり、そもそもシーンリストを見てしまったことで“ネタバレ”してしまうことを避けるための配慮でもあると思う。
なお、「みどころシーン再生」で利用している番組のメタデータは、関東と東海地方(静岡を除く)、関西、及び他地域でもキー局提供の番組であれば放送後2〜3時間で利用可能になる。実際に都内の筆者宅でテストしたところ、放送から概ね2時間半後程度で利用できるようになった。
「気になる!シーンリスト」はリモコンの「気になる!」ボタンを押してから、リストが表示されるまでのレスポンスもよく、一瞬の画面暗転がある以外は視聴中の番組を表示したままシーン一覧を表示するので、使い心地に問題はない。これもいったん使い始めたら、ふだんのテレビ視聴に欠かせない機能になりそうだ。
キーワードによるシーン情報検索にも対応した
クラウド情報と連携した「みどころシーン再生」のような録画番組の視聴機能であれば他社のレコーダー製品にも採用例はあるが、東芝REGZA Z7シリーズの「TimeOn」ならではの機能が、キーワードによるシーン情報の逆引きにあたる「シーン検索」だ。
リモコンから「クラウドメニュー」のボタンで「TimeOn」にアクセスし、「みどころシーン再生」を選択すると、「シーン検索」の画面が表示される。「みどころシーン再生」はクラウドサーバー上で番組のシーン情報データベースから検索を行う機能で、検索結果とローカルの「タイムシフトマシン」による録画内容を付き合わせて、番組内に存在する「シーン」の検索を実現してくれるというものだ。その便利さを伝えるためには実例を挙げて紹介するのがわかりやすいはずだ。
今回、「55Z7」のテストを行った11月第3週はサッカーW杯予選、野球の“侍ジャパン”のWBCテストマッチが行われた時期のため、「日本代表」でシーン検索をするとスポーツやニュースの中で日本代表が取り上げられたシーンだけでニュースや情報番組などが20件以上がヒットした。一覧から見たいシーンを選ぶだけで、自動的に小画面で番組の中の該当コーナーから再生がスタートするのでザッピング視聴もしやすい。
試合前後で3日分も録画してあれば、中継は勿論のこと試合前にニュースや情報番組で紹介される合宿情報、現地取材、さらに放送終了後にはインタビューなど追跡情報も含めて、ワイドショーやニュースで細切れに取り上げられる情報が一網打尽にチェックできるわけだ。
このシーン検索がどれほど便利かと言えば、筆者の場合は「サッカーW杯最終予選オマーン×日本代表の試合で決勝ゴールを決めた清武選手の試合後のインタビューを見たい」というマニアックな要求でも、「清武」で探してヒットした番組一覧から「インタビュー」「会見」のキーワードが含まれているシーンを探して無事視聴することができた。この「シーン単位」での検索は機能は、特定のスポーツ選手やアーティストなどの情報を逃さず横断的にチェックしたいという人にとって、非常に便利に感じられるはずだ。
他にも「検索急上昇ワード powered by Yahoo!検索」の機能も提供されている。こちらはインターネット上で話題のキーワードをYahoo!検索の機能と連動して表示するというもので、現在巷で注目されているキーワードを拾いながらテレビ視聴が楽しめる。テストの際には、ピックアップされた劇場版映画公開直前の「ヱヴァンゲリヲン」のキーワードで検索すると、映画の予告だけでなく、ワイドショーで「ヱヴァンゲリヲン」に関連付けて紹介されたコーナーまでもがヒット。いくら「ヱヴァンゲリヲン」ファンでも普通にテレビを視聴しているだけでは気付けなかった番組コーナーがピンポイントで発見できる視聴スタイルは、画期的というほかないだろう。
今後も進化を続ける「TimeOn」のサービスには要注目
REGZA「55Z7」を実際に1週間試用してみて、「タイムシフトマシン」の本当の実力が体感できる製品が遂に登場したという実感を得た。従来の「タイムシフトマシン」よりも、”全録”したコンテンツを効率よく快適に視聴するための機能が、「ざんまいプレイ」を搭載し、「TimeOn」のクラウドサービスと連携したことで追加され、さらに多くのユーザーに使いやすいインターフェースで利用できるようになった。「タイムシフトマシン」の魅力がいっそう顕在化したと言えるだろう。
さらに「みどころシーン再生」が実現した機能は、録画対応テレビとしての使い勝手だけでなく、テレビそのものの視聴スタイルを変えるほどに革命的なものだ。今回、他社のレコーダーに先駆けて東芝のREGZA Z7シリーズが「TimeOn」として遂にシーン単位の逆引き検索を可能にして、しかも実用性の高い機能に仕上げてきたことを大いに歓迎したい。今回の取材時点ではまだ「TimeOn」のすべてのサービスが開始されていなかった。今後もさらにその進化を注目しながら追いかけて行きたいと思う。
(折原一也)