公開日 2013/07/01 12:03
【レビュー】録画番組をスマホで快適視聴、新「RECBOX +REMOTE」を試す
モバイル回線で“使える”レベルか?
レコーダーやテレビなどに録画した番組をダビング/ムーブして保存し、その番組をネットワーク経由で外出先から視聴できるアイ・オー・データ機器製NAS「RECBOX +REMOTE」。販売が開始されたばかりの同製品を海上忍氏がハンドリング。その実力に迫った。
■スマホ時代の「ロケフリ」 − 自宅で録画した番組を外出先からスマホで観る
かつて「ロケフリ」が注目されたように、通勤・通学の車内で過ごす時間をテレビ視聴に充てたい、それも可能であれば自宅で録画したものを、というニーズは確実に存在する。スマートフォン保有率が50%に迫ろうという現在、ロケフリをスマホで手軽に実現できればいいが、従来のDLNA/DTCP-IP環境ではそれが許されなかった。
そのようなニーズを考慮してか、DTCPの最新規格DTCP v1.4、通称「DTCP+(プラス)」では従来の運用制限が緩和され、インターネット経由で著作権保護付きコンテンツを配信することが可能になった。この動きにいち早くキャッチアップしたのがアイ・オー・データであり、2月下旬にはDTCP+対応のNAS「RECBOX(レックボックス)+REMOTE HVL-Aシリーズ」3モデルを発売している。
そのHVL-Aシリーズの後継に当たる製品が、今回取りあげる「RECBOX +REMOTE HVL-ATシリーズ」だ。DTCP+をサポートすることに変わりはないが、HVL-ATシリーズではMPEG-4 AVC/H.264対応のトランスコーダー「Smartplaying Engine」を新たに搭載、再生可能な機器が一気に増加した。
H.264対応トランスコーダーの有無は、特にスマートフォンでの視聴に影響する。ビデオレコーダーに録画する場合、空き容量に余裕があればMPEG-2 TS(DRモード)やH.264/AVCの高画質モードで録画するものだが、そうなるとモバイル回線では帯域が狭いうえに、膨大な量のデータ転送が必要となるため、携帯電話会社から速度制限を受けかねない。快適な再生環境を得ようとすれば、どのようなモードで録画したか意識せず再生できるほうがベターで、そうなると適切なビットレートに調整するトランスコーダーが欠かせないのだ。
従来のHVL-Aシリーズはトランスコーダーを内蔵していなかったため、低めのビットレートに変換したうえでビデオレコーダからダビングする必要があった。なお、HVL-AシリーズにSmartplaying Engineトランスコーダーを追加するUSB機器「GV-TRC/USB」も用意されており、同製品を利用することで既存ユーザーも今回の新製品同様の体験が得られる。
■nasneからダウンロードムーブ
RECBOX +REMOTE HVL-ATシリーズのセットアップは、前モデルのHVL-Aシリーズとほぼ同じ。DHCPサーバー搭載のルーターを導入済であれば、同じLAN回線に接続するだけで完了する。筆者の場合、2月にHVL-Aシリーズをレビューした経緯もあり(関連記事)、レコーダーには同じくnasneを利用することにした。こちらも設定変更は不要、同じLANに接続されていればいい。
HVL-ATシリーズにはトランスコーダー「Smartplaying Engine」が搭載されているので事前の変換作業は不要。nasneで録画しておいた番組をそのままHVL-ATへダビングすればいい。ウェブブラウザーでHVL-ATにログインし、nasneからDLNAムーブ(ダウンロードムーブ)する方法がわかりやすいだろう。ブラウザーは特定のハードウェアに限定されないので、WindowsやMacはもちろん、iPhoneを含むスマートフォンでも構わない。しかもページデザインはスマートフォンに最適化されているので、画面を拡大せずに済む。
nasne以外にもダウンロードムーブ対応のレコーダー(DIGAやAQUOSブルーレイなど)であれば、自動でHVL-ATへムーブすることが可能だ。連続ドラマなど定期的に放送されるコンテンツに適用しておけば、外出先でダビングし忘れたことに気付く、といったこともない。なお、自動ダウンロードだけでなくダビングを実行する日時も指定できるので、いますぐレコーダーを使いたいがダビングも済ませておきたい、といったときにも役に立つ。
■モバイル回線でも快適再生 - 外出先からの視聴は“使える”レベルか?
外出先からDTCP+経由でRECBOX +REMOTEにアクセスし、録画済番組を視聴するテストも行った。利用した回線は3Gと公衆無線LAN、実効速度はそれぞれ1.5〜2.5Mbps前後で、良好とはいえないが最悪でもない、といった水準だ。LTE基地局の設置状況など現在の通信環境を踏まえると、これくらいが"よくある"携帯端末の通信速度といえるだろう。
視聴には、富士通のソフトバンクモバイル向け2013年夏モデル「ARROWS A SoftBank 202F」を利用した。この端末には、DTCP+に対応した動画再生アプリ「DiXiM Player」がプリインストールされているため、事前にDiXiM.NET(デジオンが運用するDTCP+の認証サーバー)に端末を登録しておくだけで利用できる。Windows PC向けにも、DCP+対応の動画再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」が無償配布されているので、そちらを利用してもいい。
再生の手順はとてもシンプル。DiXiM Playerを起動し、認証済のRECBOX +REMOTE(黄色い家のアイコンが表示される)をタップ、あとは自宅LANと同じ要領でフォルダをブラウズすればいい。目的の番組をタップし、データがある程度バッファされるまで数秒〜数十秒ほど待てば、いよいよ動画の再生がスタートする。
前述したとおり、動画データはRECBOX +REMOTE側でトランスコード処理されるため、端末側で録画モードやビットレートを意識する必要はない。初期設定では、そのときの回線状況にあわせ再生品質を自動調整するので、最適の条件で視聴できるというわけだ。
試しにDRモードで録画した地デジ番組を再生したところ、自宅LANでDRモードのまま(ビットレートは約13Mbps)見るときより精細感は低下するものの、コンテンツを楽しめるかどうかという点ではまったく気にならない。
再生時のビットレートは手動で調整することも可能なため、720p/1.2Mbpsという条件にしたところ、自動調整とほぼ同等の画質を得られた。もう一段下のVGA/0.7Mbpsにすると、さすがにブロックノイズが目立つようになり、画質低下は免れなかったが、報道系の番組をチェックする用途には支障ないだろう。
課題があるとすれば、やはり「データ通信プランとの兼ね合い」だろうか。これはRECBOX側の問題ではないが、現在携帯電話各社が提供するデータ通信プランでは、長時間番組を高画質で鑑賞することを繰り返すと通信制限を受けかねない。公衆無線LANを活用するなど、利用者側でのノウハウ構築も必要になりそうだ。
■スマホ時代の「ロケフリ」 − 自宅で録画した番組を外出先からスマホで観る
かつて「ロケフリ」が注目されたように、通勤・通学の車内で過ごす時間をテレビ視聴に充てたい、それも可能であれば自宅で録画したものを、というニーズは確実に存在する。スマートフォン保有率が50%に迫ろうという現在、ロケフリをスマホで手軽に実現できればいいが、従来のDLNA/DTCP-IP環境ではそれが許されなかった。
そのようなニーズを考慮してか、DTCPの最新規格DTCP v1.4、通称「DTCP+(プラス)」では従来の運用制限が緩和され、インターネット経由で著作権保護付きコンテンツを配信することが可能になった。この動きにいち早くキャッチアップしたのがアイ・オー・データであり、2月下旬にはDTCP+対応のNAS「RECBOX(レックボックス)+REMOTE HVL-Aシリーズ」3モデルを発売している。
そのHVL-Aシリーズの後継に当たる製品が、今回取りあげる「RECBOX +REMOTE HVL-ATシリーズ」だ。DTCP+をサポートすることに変わりはないが、HVL-ATシリーズではMPEG-4 AVC/H.264対応のトランスコーダー「Smartplaying Engine」を新たに搭載、再生可能な機器が一気に増加した。
H.264対応トランスコーダーの有無は、特にスマートフォンでの視聴に影響する。ビデオレコーダーに録画する場合、空き容量に余裕があればMPEG-2 TS(DRモード)やH.264/AVCの高画質モードで録画するものだが、そうなるとモバイル回線では帯域が狭いうえに、膨大な量のデータ転送が必要となるため、携帯電話会社から速度制限を受けかねない。快適な再生環境を得ようとすれば、どのようなモードで録画したか意識せず再生できるほうがベターで、そうなると適切なビットレートに調整するトランスコーダーが欠かせないのだ。
従来のHVL-Aシリーズはトランスコーダーを内蔵していなかったため、低めのビットレートに変換したうえでビデオレコーダからダビングする必要があった。なお、HVL-AシリーズにSmartplaying Engineトランスコーダーを追加するUSB機器「GV-TRC/USB」も用意されており、同製品を利用することで既存ユーザーも今回の新製品同様の体験が得られる。
■nasneからダウンロードムーブ
RECBOX +REMOTE HVL-ATシリーズのセットアップは、前モデルのHVL-Aシリーズとほぼ同じ。DHCPサーバー搭載のルーターを導入済であれば、同じLAN回線に接続するだけで完了する。筆者の場合、2月にHVL-Aシリーズをレビューした経緯もあり(関連記事)、レコーダーには同じくnasneを利用することにした。こちらも設定変更は不要、同じLANに接続されていればいい。
HVL-ATシリーズにはトランスコーダー「Smartplaying Engine」が搭載されているので事前の変換作業は不要。nasneで録画しておいた番組をそのままHVL-ATへダビングすればいい。ウェブブラウザーでHVL-ATにログインし、nasneからDLNAムーブ(ダウンロードムーブ)する方法がわかりやすいだろう。ブラウザーは特定のハードウェアに限定されないので、WindowsやMacはもちろん、iPhoneを含むスマートフォンでも構わない。しかもページデザインはスマートフォンに最適化されているので、画面を拡大せずに済む。
nasne以外にもダウンロードムーブ対応のレコーダー(DIGAやAQUOSブルーレイなど)であれば、自動でHVL-ATへムーブすることが可能だ。連続ドラマなど定期的に放送されるコンテンツに適用しておけば、外出先でダビングし忘れたことに気付く、といったこともない。なお、自動ダウンロードだけでなくダビングを実行する日時も指定できるので、いますぐレコーダーを使いたいがダビングも済ませておきたい、といったときにも役に立つ。
■モバイル回線でも快適再生 - 外出先からの視聴は“使える”レベルか?
外出先からDTCP+経由でRECBOX +REMOTEにアクセスし、録画済番組を視聴するテストも行った。利用した回線は3Gと公衆無線LAN、実効速度はそれぞれ1.5〜2.5Mbps前後で、良好とはいえないが最悪でもない、といった水準だ。LTE基地局の設置状況など現在の通信環境を踏まえると、これくらいが"よくある"携帯端末の通信速度といえるだろう。
視聴には、富士通のソフトバンクモバイル向け2013年夏モデル「ARROWS A SoftBank 202F」を利用した。この端末には、DTCP+に対応した動画再生アプリ「DiXiM Player」がプリインストールされているため、事前にDiXiM.NET(デジオンが運用するDTCP+の認証サーバー)に端末を登録しておくだけで利用できる。Windows PC向けにも、DCP+対応の動画再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」が無償配布されているので、そちらを利用してもいい。
再生の手順はとてもシンプル。DiXiM Playerを起動し、認証済のRECBOX +REMOTE(黄色い家のアイコンが表示される)をタップ、あとは自宅LANと同じ要領でフォルダをブラウズすればいい。目的の番組をタップし、データがある程度バッファされるまで数秒〜数十秒ほど待てば、いよいよ動画の再生がスタートする。
前述したとおり、動画データはRECBOX +REMOTE側でトランスコード処理されるため、端末側で録画モードやビットレートを意識する必要はない。初期設定では、そのときの回線状況にあわせ再生品質を自動調整するので、最適の条件で視聴できるというわけだ。
試しにDRモードで録画した地デジ番組を再生したところ、自宅LANでDRモードのまま(ビットレートは約13Mbps)見るときより精細感は低下するものの、コンテンツを楽しめるかどうかという点ではまったく気にならない。
再生時のビットレートは手動で調整することも可能なため、720p/1.2Mbpsという条件にしたところ、自動調整とほぼ同等の画質を得られた。もう一段下のVGA/0.7Mbpsにすると、さすがにブロックノイズが目立つようになり、画質低下は免れなかったが、報道系の番組をチェックする用途には支障ないだろう。
課題があるとすれば、やはり「データ通信プランとの兼ね合い」だろうか。これはRECBOX側の問題ではないが、現在携帯電話各社が提供するデータ通信プランでは、長時間番組を高画質で鑑賞することを繰り返すと通信制限を受けかねない。公衆無線LANを活用するなど、利用者側でのノウハウ構築も必要になりそうだ。