公開日 2013/10/31 00:00
振動制御トップメーカーによるオーディオブランド『Wind Bell』が登場
【特別企画】音質向上コンポーネント『Wind Bell』徹底解剖
■防振・制振・除振のトップメーカーが新ブランドでオーディオ分野参入 |
この度、特許機器株式会社が新ブランド『Wind Bell(ウィンドベル)』を起ち上げてオーディオ分野に参入。第1弾製品「WB-30」(5万円/税抜・4個/1組))を11月21日より発売する。同社は、防振・除振装置の開発・製造・販売の他、振動・固体音・磁場計測と解析など技術コンサルティングで、振動に関わるトータルソリュションを提供するトップメーカーだ。
「特許機器」という少々変わった社名は、「変貌を常とする社会」も、「社会的存在形態の我々」も、「森羅万象・モノは全て振動性状で捉えられる」という公理から、振動の課題は湧きいずる泉の如く尽きることはない。従って、ニーズの「発見」、技術の「発明」、商品の「開発」は社員の「意識」にかかっており、全員経営の「創造の気概」を託して名付けられたという。
同社は1969年に設立。日本の初期超高層ビルとなる新宿住友ビルへ防振装置納入、また国宝展示に三次元免震装置開発など、その40年強の歴史のなかで様々な実績を持っており、近年のトピックでは東京スカイツリーにも制振ユニットを供給している。日本のみならず海外にも拠点を持ち、パッシブ・アクティブによる防振・制振・除振の他、また磁場の制御なども展開する、まさに振動制御のトップメーカなのだ。
そして振動対策はオーディオ機器にとって、非常に重要なポイントであることはオーディオファンも周知のところである。一見すると畑違いに見える分野で活動していた同社だが、オーディオ分野に目を向けてくるのも、時の問題で必然性をもっていたと言える。
振動に対する同社の考え方で特徴的なのが、物質の最小単位=原子の運動を静止できないように、様々な構造物の合成が振動系となっており、その振動現象が障害となるとき、その構造の目的にとって許容できる振動範囲に低減させる考え方にあるという点。「ある振動エネルギーを、別な許容できる振動に転化する」ことによって、障害を回避させるという技術にある。例えば「震度7の地震で大きなダメージを受けてしまうビルの揺れを、震度6弱〜5程度まで低減させる」などといったように、目的の許容値を設定し、条件範囲に加工しているわけだ。
そして同社では、この振動制御技術の方法論で、技術隣接分野ともいうべきオーディオにアプローチする、ちょっとした偶然の切っ掛けから、今までになかった新機軸が切り開かれるのではないかと考えたという。
■ブランド名『Wind Bell』の由来 |
『Wind Bell』というブランド名は、第一弾製品「WB-30」の構造に由来している。同製品では、スプリングコイルを用いた防振ユニットをスリーブ(風鈴)に収納した構造を採用。この構造により、オーディオ機器から伝搬される主振動の伝達経路に対して、 風鈴の振動系は並列に形成されるという。そして、その風鈴の振動特性(共振・余韻・ゆらぎ)が主振動に重畳されることで、音響特性を向上させる「風鈴効果」が得られるといい、この『風鈴』の英訳である『ウィンドベル』がブランド名になったのだ。
スプリングコイルを用いて防振器・除振器を構成する場合に問題になるのが「サージング共振現象」と呼ばれる現象だ。「サージング」とは、コイル素線に沿って伝搬される衝撃波が、 バネの両端部を往復するときのサージ速度から決まるという共振現象で、基本振動数に対する複数の高調波振動が広い周波数領域で発生する。このサージングをいかに解決するかが防振・除振にとって重要な問題なのだ。
この問題に対し同社では、長い年月をかけて特殊な制振材料を用いたサージング防止技術を開発。本製品にもこのサージング防止技術を適用することにより、オーディオ用インシュレーターに適した振動遮断性能を実現させている。
すなわち、スプリング+サージング共振防止部材により低周波の振動を遮断。そして高周波においては、風鈴の振動特性が重畳された高周波振動がスプリングコイル内を伝播することで音響特性を向上させるという。
もちろん、この風鈴効果は経験からくる勘などによるものではなく、理論と実験によってキチンと裏打ちされたもの。「振動を科学する会社」と自社を表現する同社らしく、今回の製品も徹底した解析を行っており、低域の振動遮断と高域のサウンド・チューニング作用を併せ持つ特性を有する製品であることが数値として確認されている。
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