公開日 2013/12/17 14:03
マランツ「SA-14S1」「PM-14S1」レビュー - 11のエッセンスを盛り込んだ新シリーズ
マランツは、USB-DAC/SACDプレーヤー「SA-14S1」とプリメインアンプ「PM-14S1」を発売した。最上位機の11シリーズで採用されているフルディスクリート電流帰還型アンプや高精度なメカエンジンなどをそのまま継承しており、準フラグシップの名に相応しい新シリーズが誕生した。
■後継という範疇を超えた完全な新作「SA-14S1」
マランツは昨年から今年にかけてトップモデルを一新、ネットワークプレーヤーを含む3機種はいずれも高級機としては異例と言えるほどの人気が続いている。そこで同社はフラグシップ群の開発プロセスで得た技術やノウハウを活かし、ミドルクラスに新たに14シリーズを導入することになった。現在、ミドルクラスには13S2と15S2の2ラインを揃えているが、その2系列4モデルがSA-14S1とPM-14S1の2機種に統合される。11シリーズのヒットを受け、プレミアム志向をさらに強める狙いもありそうだ。
フラグシップ機との共通点を中心にSA-14S1から概要を見ていこう。まず、本機はディスク再生とデータ再生を同格に位置付けたマランツ初の製品という点がポイントだ。USB入力はたんなる付加機能ではなく、パソコンもディスクと同様にメインソースの一つとみなす。そのコンセプトを具現化するため、NA-11S1の基幹技術から「コンプリート・アイソレーション・システム」や「ディアル・クリスタルクロック」をそのまま継承し、PCMに加えて最大5.6MHzのDSD再生にも正式対応を果たした。
ディスクメカニズムはSA-11S3と同じもので、トレイも含め低重心&高剛性を徹底している。DACも11S3と同じ電流出力型のDSD1792Aを搭載し、DAC以降のアナログ回路を2段構成のフルディスクリート回路で組んだ点も新しい。同回路にHDAMとHDAM-SAを複数組み込み、音質を追い込んでいることはいうまでもない。
以上のポイントからわかるように、SA-14S1はディスクプレーヤーとネットワークプレーヤーそれぞれのフラグシップ機からエッセンスを抽出して組み合わせている。その贅沢な構成は前作の後継という範疇を越えており、完全な新作とみなすべきだ。
■11譲りの回路と電源を備えたプリメインのPM-14S1
プリメインアンプのPM-14S1にもPM-11S3の技術が数多く投入されている。パワーアンプ部の回路構成はV/Iサーボ方式の電流帰還型で、入力段にHDAM-SA3を積む点もフラグシップと共通だ。電源部に採用したOFC巻線のトロイダルトランスもPM-11S3から継承。電源回路ではブリッジダイオードやリレーの電流容量を大幅に拡大して低インピーダンス化を図っており、音質向上への効果が期待できる。
音質に関わる新フィーチャーとして、プリアンプ初段の回路を構成するHDAM-SA3にフェアチャイルド社製のローノイズ型トランジスタを採用した点が注目される。このパーツが音質に与える影響はきわめて大きいとのことなので、試聴が楽しみだ。部品レベルでの注目点はもう一つある。やはりPM-11S3のために開発された銅ブロック削り出しタイプのスピーカーターミナルを本機にも採用。この端子の音の良さはすでに実証済みだ。
■11で培った技術の投入が音質の向上に大きく寄与
まずSA-14S1のディスク再生から聴いていこう。ソースコンポーネントに求められる最も重要な資質は、ソースに入っている情報量を忠実に引き出すことだ。その点で本機はフラグシップ機に肉迫する余裕があり、特に奥行きや左右に広がる余韻の密度感など、空間情報を忠実に再現することに感心した。独奏楽器とオーケストラの対比と自然なブレンド感、ジャズボーカルの息遣いやリズム楽器の生々しい実在感など、アコースティック情報を正確に描き出す実力がきわめて高いことがわかる。
ハイレゾ音源を聴くと、澄み渡った透明な音場とスピード感のあるサウンドがNA-11S1の再生音を彷彿とさせる。次元の高い質感を獲得した背景には、パソコンとオーディオ機器の間のノイズ伝搬や相互干渉を徹底して抑え込んだ成果をうかがうことができる。本機にはメディアの違いを越えて演奏の本質を引き出す力がそなわっている。
PM-14S1の再生音は、静と動の対比にクラスを超えた余裕を感じさせ、オーケストラの全奏から引き出すスケールの大きさに感心させられた。大型のフロア型スピーカーと組み合わせたにも関わらず、瞬発力のある低音を引き出し、制動にも不安はない。価格は前作のPM-13S2とほぼ同等だが、アンプの格としては本機の方が一段階上がっていることは間違いないだろう。SA-14S1にも当てはまることだが、フラグシップで培った技術の投入が大きな成果を生んでいることは明らかだ。
■後継という範疇を超えた完全な新作「SA-14S1」
マランツは昨年から今年にかけてトップモデルを一新、ネットワークプレーヤーを含む3機種はいずれも高級機としては異例と言えるほどの人気が続いている。そこで同社はフラグシップ群の開発プロセスで得た技術やノウハウを活かし、ミドルクラスに新たに14シリーズを導入することになった。現在、ミドルクラスには13S2と15S2の2ラインを揃えているが、その2系列4モデルがSA-14S1とPM-14S1の2機種に統合される。11シリーズのヒットを受け、プレミアム志向をさらに強める狙いもありそうだ。
フラグシップ機との共通点を中心にSA-14S1から概要を見ていこう。まず、本機はディスク再生とデータ再生を同格に位置付けたマランツ初の製品という点がポイントだ。USB入力はたんなる付加機能ではなく、パソコンもディスクと同様にメインソースの一つとみなす。そのコンセプトを具現化するため、NA-11S1の基幹技術から「コンプリート・アイソレーション・システム」や「ディアル・クリスタルクロック」をそのまま継承し、PCMに加えて最大5.6MHzのDSD再生にも正式対応を果たした。
ディスクメカニズムはSA-11S3と同じもので、トレイも含め低重心&高剛性を徹底している。DACも11S3と同じ電流出力型のDSD1792Aを搭載し、DAC以降のアナログ回路を2段構成のフルディスクリート回路で組んだ点も新しい。同回路にHDAMとHDAM-SAを複数組み込み、音質を追い込んでいることはいうまでもない。
以上のポイントからわかるように、SA-14S1はディスクプレーヤーとネットワークプレーヤーそれぞれのフラグシップ機からエッセンスを抽出して組み合わせている。その贅沢な構成は前作の後継という範疇を越えており、完全な新作とみなすべきだ。
■11譲りの回路と電源を備えたプリメインのPM-14S1
プリメインアンプのPM-14S1にもPM-11S3の技術が数多く投入されている。パワーアンプ部の回路構成はV/Iサーボ方式の電流帰還型で、入力段にHDAM-SA3を積む点もフラグシップと共通だ。電源部に採用したOFC巻線のトロイダルトランスもPM-11S3から継承。電源回路ではブリッジダイオードやリレーの電流容量を大幅に拡大して低インピーダンス化を図っており、音質向上への効果が期待できる。
音質に関わる新フィーチャーとして、プリアンプ初段の回路を構成するHDAM-SA3にフェアチャイルド社製のローノイズ型トランジスタを採用した点が注目される。このパーツが音質に与える影響はきわめて大きいとのことなので、試聴が楽しみだ。部品レベルでの注目点はもう一つある。やはりPM-11S3のために開発された銅ブロック削り出しタイプのスピーカーターミナルを本機にも採用。この端子の音の良さはすでに実証済みだ。
■11で培った技術の投入が音質の向上に大きく寄与
まずSA-14S1のディスク再生から聴いていこう。ソースコンポーネントに求められる最も重要な資質は、ソースに入っている情報量を忠実に引き出すことだ。その点で本機はフラグシップ機に肉迫する余裕があり、特に奥行きや左右に広がる余韻の密度感など、空間情報を忠実に再現することに感心した。独奏楽器とオーケストラの対比と自然なブレンド感、ジャズボーカルの息遣いやリズム楽器の生々しい実在感など、アコースティック情報を正確に描き出す実力がきわめて高いことがわかる。
ハイレゾ音源を聴くと、澄み渡った透明な音場とスピード感のあるサウンドがNA-11S1の再生音を彷彿とさせる。次元の高い質感を獲得した背景には、パソコンとオーディオ機器の間のノイズ伝搬や相互干渉を徹底して抑え込んだ成果をうかがうことができる。本機にはメディアの違いを越えて演奏の本質を引き出す力がそなわっている。
PM-14S1の再生音は、静と動の対比にクラスを超えた余裕を感じさせ、オーケストラの全奏から引き出すスケールの大きさに感心させられた。大型のフロア型スピーカーと組み合わせたにも関わらず、瞬発力のある低音を引き出し、制動にも不安はない。価格は前作のPM-13S2とほぼ同等だが、アンプの格としては本機の方が一段階上がっていることは間違いないだろう。SA-14S1にも当てはまることだが、フラグシップで培った技術の投入が大きな成果を生んでいることは明らかだ。