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公開日 2014/04/30 12:00

B&O PLAY「H6」レビュー − 使うほどに深みが増す美しい外観とサウンドが特徴の旗艦ヘッドホン

山本 敦
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ブランドネーム「B&O PLAY」の「PLAY」に込められたテーマは“遊び心”であるという。Bang&Olufsenというプレミアムブランドのカチっとしたイメージを解き放って、ユーザーの側に寄り沿ったオープンなプロダクトをテーマに、新しいブランド「B&O PLAY」が誕生した。

ブランドのフラグシップ・ヘッドホン「BeoPlay H6」のデザインは、デンマークのインダストリアルデザイナーであるJakob Wagner氏の手によるもの。メガネやジュエリーのように、ヘッドホンは毎日身につけるものだから、使う人のルックスやパーソナリティを決定付ける重要なアイテムであるというWagner氏のフィロソフィーのもとに、外観のディティールから使い勝手、“経年変化後の美しさ”にまで気を配りながらプロダクト全体の完成度が追い込まれた。

選び抜かれたレザーとアルミニウムを組み合わせた完成度の高いフラグシップヘッドホンだ

ニュージーランドの優良な飼育環境で育てられた牛の中から、最高品質の原皮だけをセレクトしたレザー素材をヘッドバンドに使用。“タンニンなめし”により色合いを温かく仕上げる。カラーバリエーションにはエレガントなブラックと、明るく華やかな印象のナチュラルが揃う。表面を指でなぞってみると、仕上げのきめ細かさがよくわかる。そもそも傷が付きにくいように仕上げられているのだが、使い込むほどに素材が馴染んで味わいを深めていきそうだ。

ヘッドバンド部には選び抜かれた牛皮を使用。

内側はメモリーフォームで、頭に柔らかにフィットする。

イヤーパッドは内部のメモリーフォームを柔らかな羊皮で覆い、極上のフィット感を実現。音を聴く以前に、まず初めて頭部に装着した際の気持ち良さに心が躍る。本体のウェイトは230g。このクラスの一般的なヘッドホンと変わらない質量なのだが、少し大げさな言い方になってしまうけれども、ヘッドホンを着けている感覚を忘れてしまうほど、軽くて心地良い装着感だ。

イヤーパッドは柔らかなラムスキン製で、心地よい装着感を実現する。

本体に使っている革素材は、天日に晒して色味の変化を試したり、スキンローションや日焼け止め、香水、そして汗の付着による変化など、デイリーライフのユースケースを想定した上で起こりうる事例を元に、開発段階で入念な耐久テストを行っている。全てはエージングを重ねた後にも、長く使い続けたくなるような“格好いいヘッドホン”をユーザーに届けるためのこだわりであるという。


ここで「BeoPlay H6」の音響スペックを確認しておこう。密閉型のハウジングには、ネオジウムマグネットを採用する40mm口径のカスタムドライバーを搭載。再生周波数帯域は20Hz〜22kHzをカバーしている。

ハウジングには低域のサウンドを調整するためのベースポートを配置。音抜けが良くシャープな低音再生を実現している。イヤーカップの内側にドライバーユニットを斜めに配置することで、耳と向き合った時の距離感を最適化している。

ハウジングには低域のサウンドを調整するためのベースポートを配置(写真左、ケーブルコネクターの右下)。

1.2mの付属ケーブルは3ボタンのマイクコントローラーを搭載。片出しタイプの着脱方式を採用しており、本体左右のどちら側にも付けられる。3.5mmのミニプラグだからリケーブルも色々と楽しめそうだ。

1.2mの付属ケーブルは3ボタンのマイクコントローラーを備えている。

プラグ部は堅牢なつくりになっている。


それでは続いてサウンドのインプレッションに移ろう。今回はAstell&Kernのポータブルプレーヤー「AK100MK2」をリファレンスにして音を聴いた。

クリアで力強いミッドレンジを基準に、高域と低域をナチュラルにバランスよく束ねた音づくりだ。密閉型のヘッドホンにありがちな窮屈さが一切なく、スピーカーで音楽を聴いているかのような開放的な音場感も特徴としている。

ジェーン・モンハイトのアルバム「The Heart Of The Matter」から『Sing』を聴く。温かくスムーズなボーカルに、ふくよかで肉厚なアコースティックギターの音色が重なる。けれども余分な演出っぽい残響は一切きこえない。躍動するパーカッションやベースなどリズムセクションの音色は生命力に満ちている。暗闇の夜空に光る満点の星空のように、透明な輝きを放つ演奏だ。

ダフトパンクのアルバム「Random Access Memories」から『Doin' It Right』を試聴する。強烈な低域をしっかりと制動しながらタイトに鳴らす。ボコーダーのループとメインボーカル、シンセサイザーの音色が複雑に重なり合う中盤のダイナミックな演奏も、各パートのレイヤーや強弱を丁寧に描き分ける。レンジを欲張ることなく、むしろ各帯域のバランスを重視しながら、敢えてまとまったレンジの中でリアリティを追求した音づくりと言えるのではないだろうか。

本機の音と使い心地に魅了され、貸し出しを受けてからというもの気がついたら四六時中このヘッドホンで音楽を聴いていた。身につけていない間も音楽を鳴らし続けて少しエージングを試みたところ、高域の伸びと低域の量感がさらに豊かさを増していった。本機のキャパシティにはまだまだ広がる余地があるのではないだろうか。本機のオーナーになれば、外観のレザー素材だけでなく、使い込むほどにサウンドの味わいも深まっていく楽しみが得られると思う。B&O PLAYの魅力はプロダクトデザインだけにあらず。音づくりにおいても、音楽の魅力を知り尽くした一流のブランドだ。



BeoPlay H6 Product Data
・価格:¥41,715(税抜)
・カラー:ブラックレザー/ナチュラルレザー
・ダイナミック密閉型 
・ドライバー:40mm 
・周波数特性:20Hz - 22.000Hz 
・インピーダンス:30Ω 
・コード長:1.2m 
・質量:230g

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