公開日 2014/06/13 11:00
日本上陸!仏「Cabasse」のスピーカーが実現する高CPなマルチchサウンド
【特別企画】
映画館であれば「特報!」の文字が踊るにちがいない。これを聴き逃せばサウンドの徳が逃げていくやも知れぬ、これぞ必聴、驚きの小型スピーカーの登場である。
注目のブランド名は、Cabasse(キャバス)。1950年にフランスで誕生した老舗スピーカーメーカーである。前身は1740年(江戸時代中期にあたる!)に産声を上げた、バイオリンやチェロなどの弦楽器メーカーだ。
キャバスのセールスポイントは、なんと言っても高い評価を得ている同軸ドライバー技術。家庭用から業務用に至るまで、ヨーロッパを中心に海外では高い信頼を得ている総合スピーカーブランドであるが、残念ながら日本ではしばらく輸入が途切れていた。そして今回、キャバスの技術と実力に注目し、国内導入に踏み切ったのがオンキヨーマーケティングジャパン株式会社である。
この英断を高く評価したい。思えばオンキヨーには、ギターと同じ構造のキャビネットを採用した、世界初のギターアコースティック・スピーカーシステムである名器D-TK10がある。270年以上もさかのぼる歴史における弦楽器の響き追求と、オンキヨーの歴史が交錯してニヤリとしてしまった。
さて、キャバスの基幹技術を形成するのは、「SCS(Spatial Coherent Source)」と呼ばれるテクノロジーである。これは「直接音と反射音の音場を、一貫性を持ってコントロールすることがスピーカー設計で重要である」という、キャバスの理念を実現するための技術。直接音と反射音の特性を突き詰め近似させていくことで、従来の同軸スピーカーを超える広いスイートスポットを確保している。
その実現のために採用されているのが、帯域分割されたユニットを同軸上に配列する「TC22構造」だ。帯域ごとの時間差を徹底的に抑えて点音源を統一、従来の同軸スピーカーにも増してスムーズな音の広がりを実現している。キャバスの製品ラインナップには一般的な同軸2ウェイから、同軸ユニットを使用した4ウェイ・スピーカーまでが揃うが、SCSの理念がぶれることはまったくない。ステレオ再生からマルチチャンネル再生に至るまで、スピーカーサイズをまったく感じさせないパフォーマンスが魅力と言えよう。
今回リリースされる製品は、球形ボディに同軸2ウェイユニット搭載の「IO2」(アイオー2)と「EOLE3」(イオル3)、フルレンジユニット搭載の「ALCYONE2」(アルシオーネ2)の3モデル。オンキヨーではイオル3を主軸としたセールスを展開していく予定だが、同軸ユニットと17cmウーファーを組み合わせた、コンパクトなブックシェルフ型3ウェイ「MINORCA」(ミノルカ)も同時リリースとなる。
実は中核モデルとなるイオル3に関しては、昨年から参考出品形式でイベント実演を重ねてきた。驚くのはその鳴りっぷりのよさだ。とりわけ声が持つ存在感や力感、音楽性や息づかいの再現が素晴らしい。あらゆるジャンルのソフトへの対応力にも優れており、来場者がそのパフォーマンスに毎回一様に驚かれる。
なにしろ軽量なため、取り扱いも苦にならないのが嬉しい。本体とスタンドはマグネットで固定されており、上下左右の角度調整もセッティングフリーとなっている。画面下に設置されるセンタースピーカー、マルチプルなサラウンド・スピーカーの設置自由度が拡大される点も特筆に値しよう。
イオル3とアイオー2の再生周波数帯域における低域の最下限は150Hz(アルシオーネ2は160Hz)となっており、低域再生をサブウーファーに受け持たせるのが絶対条件だ。マルチチャンネル再生では、全チャンネルの低域信号をサブウーファーに受け持たせることとなる。サブウーファーの使いこなしが大切なポイントとなり、室内角面への設置は避けた方がよいが、基本的に設置や調整の追い込みは神経質なものとはならない。
まずはイオル3と40インチ液晶テレビと組み合わせてみたが、鳴りっぷりのよさはそのままに、映像品位も向上する印象となる。音質的な注文の多いテレビ内蔵スピーカーを使わず、コンパクトな2.1ch再生に挑戦してもらいたい(イオル3の推奨サブウーファーであるオンキヨーSL-D501を使用)。
CD、SACD、ハイレゾ音源の試聴から、ハイビジョン録画やブルーレイ・ソフトまでも視聴したが、明らかに価格以上のパフォーマンスを聴取できる。小音量再生においても同軸スピーカーならではの特長が生かされ、奏でられる音彩もまったく揺らぐことがない。
ミノルカによる2ch再生も行ったが、中高域の伸びが実に鮮やか。量感よりタイトなスピード感を重視した低域再生にも好感が持てる。舌に湿り気をくれて精気溌剌としたヴォーカル、引き締まった輪郭ながら豊かな響きを持つ弦楽器の再現性は必聴である。
イオル3による5.1ch再生では、さらに心が踊る。SACDマルチやマルチチャンネル配信音源の音像と空間表現の的確さはもちろんだが、映画や音楽ブルーレイ視聴では一聴して画面サイズを拡大したい衝動に駆られた。65インチ・クラスの4Kテレビとの組み合わせによる、高品位な音響再生は絶対のお薦めだ。
圧巻は100インチ超のスクリーンとの組み合わせ。さぁどんなものかとキツイ顔で構えてみても、すぐに唇に微笑が浮かんでしまう。芯の通った音像を描きつつ、広大な音場空間を構築してみせるのだ。視聴ソフトのひとつに聴き慣れた「9<ナイン> 9番目の奇妙な人形」を用意したが、スリリングな声のオーケストラが見事で、効果音の浸透力、継ぎ目のないアンビエント、劇伴の高鳴りに圧倒される。
家庭劇場に焚き染めるシネソニックの芳香。ここにイオル3の真骨頂がある。自宅では大型スピーカーを使用しているが、イオル3による9.1ch、11.1ch再生に挑戦してみたくなった。置き場所を確認してみたところ、意外なほど簡単にサブシステムとしての設置ができそう。これはやらねばなるまい。
注目のブランド名は、Cabasse(キャバス)。1950年にフランスで誕生した老舗スピーカーメーカーである。前身は1740年(江戸時代中期にあたる!)に産声を上げた、バイオリンやチェロなどの弦楽器メーカーだ。
キャバスのセールスポイントは、なんと言っても高い評価を得ている同軸ドライバー技術。家庭用から業務用に至るまで、ヨーロッパを中心に海外では高い信頼を得ている総合スピーカーブランドであるが、残念ながら日本ではしばらく輸入が途切れていた。そして今回、キャバスの技術と実力に注目し、国内導入に踏み切ったのがオンキヨーマーケティングジャパン株式会社である。
この英断を高く評価したい。思えばオンキヨーには、ギターと同じ構造のキャビネットを採用した、世界初のギターアコースティック・スピーカーシステムである名器D-TK10がある。270年以上もさかのぼる歴史における弦楽器の響き追求と、オンキヨーの歴史が交錯してニヤリとしてしまった。
さて、キャバスの基幹技術を形成するのは、「SCS(Spatial Coherent Source)」と呼ばれるテクノロジーである。これは「直接音と反射音の音場を、一貫性を持ってコントロールすることがスピーカー設計で重要である」という、キャバスの理念を実現するための技術。直接音と反射音の特性を突き詰め近似させていくことで、従来の同軸スピーカーを超える広いスイートスポットを確保している。
その実現のために採用されているのが、帯域分割されたユニットを同軸上に配列する「TC22構造」だ。帯域ごとの時間差を徹底的に抑えて点音源を統一、従来の同軸スピーカーにも増してスムーズな音の広がりを実現している。キャバスの製品ラインナップには一般的な同軸2ウェイから、同軸ユニットを使用した4ウェイ・スピーカーまでが揃うが、SCSの理念がぶれることはまったくない。ステレオ再生からマルチチャンネル再生に至るまで、スピーカーサイズをまったく感じさせないパフォーマンスが魅力と言えよう。
今回リリースされる製品は、球形ボディに同軸2ウェイユニット搭載の「IO2」(アイオー2)と「EOLE3」(イオル3)、フルレンジユニット搭載の「ALCYONE2」(アルシオーネ2)の3モデル。オンキヨーではイオル3を主軸としたセールスを展開していく予定だが、同軸ユニットと17cmウーファーを組み合わせた、コンパクトなブックシェルフ型3ウェイ「MINORCA」(ミノルカ)も同時リリースとなる。
実は中核モデルとなるイオル3に関しては、昨年から参考出品形式でイベント実演を重ねてきた。驚くのはその鳴りっぷりのよさだ。とりわけ声が持つ存在感や力感、音楽性や息づかいの再現が素晴らしい。あらゆるジャンルのソフトへの対応力にも優れており、来場者がそのパフォーマンスに毎回一様に驚かれる。
なにしろ軽量なため、取り扱いも苦にならないのが嬉しい。本体とスタンドはマグネットで固定されており、上下左右の角度調整もセッティングフリーとなっている。画面下に設置されるセンタースピーカー、マルチプルなサラウンド・スピーカーの設置自由度が拡大される点も特筆に値しよう。
イオル3とアイオー2の再生周波数帯域における低域の最下限は150Hz(アルシオーネ2は160Hz)となっており、低域再生をサブウーファーに受け持たせるのが絶対条件だ。マルチチャンネル再生では、全チャンネルの低域信号をサブウーファーに受け持たせることとなる。サブウーファーの使いこなしが大切なポイントとなり、室内角面への設置は避けた方がよいが、基本的に設置や調整の追い込みは神経質なものとはならない。
まずはイオル3と40インチ液晶テレビと組み合わせてみたが、鳴りっぷりのよさはそのままに、映像品位も向上する印象となる。音質的な注文の多いテレビ内蔵スピーカーを使わず、コンパクトな2.1ch再生に挑戦してもらいたい(イオル3の推奨サブウーファーであるオンキヨーSL-D501を使用)。
CD、SACD、ハイレゾ音源の試聴から、ハイビジョン録画やブルーレイ・ソフトまでも視聴したが、明らかに価格以上のパフォーマンスを聴取できる。小音量再生においても同軸スピーカーならではの特長が生かされ、奏でられる音彩もまったく揺らぐことがない。
ミノルカによる2ch再生も行ったが、中高域の伸びが実に鮮やか。量感よりタイトなスピード感を重視した低域再生にも好感が持てる。舌に湿り気をくれて精気溌剌としたヴォーカル、引き締まった輪郭ながら豊かな響きを持つ弦楽器の再現性は必聴である。
イオル3による5.1ch再生では、さらに心が踊る。SACDマルチやマルチチャンネル配信音源の音像と空間表現の的確さはもちろんだが、映画や音楽ブルーレイ視聴では一聴して画面サイズを拡大したい衝動に駆られた。65インチ・クラスの4Kテレビとの組み合わせによる、高品位な音響再生は絶対のお薦めだ。
圧巻は100インチ超のスクリーンとの組み合わせ。さぁどんなものかとキツイ顔で構えてみても、すぐに唇に微笑が浮かんでしまう。芯の通った音像を描きつつ、広大な音場空間を構築してみせるのだ。視聴ソフトのひとつに聴き慣れた「9<ナイン> 9番目の奇妙な人形」を用意したが、スリリングな声のオーケストラが見事で、効果音の浸透力、継ぎ目のないアンビエント、劇伴の高鳴りに圧倒される。
家庭劇場に焚き染めるシネソニックの芳香。ここにイオル3の真骨頂がある。自宅では大型スピーカーを使用しているが、イオル3による9.1ch、11.1ch再生に挑戦してみたくなった。置き場所を確認してみたところ、意外なほど簡単にサブシステムとしての設置ができそう。これはやらねばなるまい。