公開日 2015/11/20 14:59
オーディオテクニカ「ATH-ESW950」レビュー:ウッドの響きでハイレゾを楽しめるポータブルヘッドホン
オーディオテクニカのオンイヤーヘッドホン“EAR SUITシリーズ”には、ステンレス製ハウジングを採用する標準モデルに加えて、ウッドハウジングを採用するアッパーモデルもラインナップされている。その後継モデルとして久々のリニューアルを果たしたのがこの「ATH-ESW950」だ。
先代モデル「ATH-ESW9」は8年前に登場したモデルであり、その間に2製品のリミテッドモデル(2014年発売「ATH-ESW9LTD」や2012年発売「ATH-ESW11LTD」)なども発売されていることもあってか、ATH-ESW950の外観的なイメージはかなり変わっている。もちろん、オンイヤー型イヤーパッドや42mm口径ドライバー、ウッドハウジングなどの基本ディメンションは同じだ。しかし、随所のディテールが異なっていて、たとえばヘッドバンド廻りは「ATH-ESW9LTD」の印象に近い。
いっぽうで、同時発売となったステンレス製ハウジングを持つ新EAR SUITシリーズ「ATH-ES750」ともヘッドバンド廻り、特にハウジング支持部のデザインやスライド形状が異なっており、すべてのパーツにおいて専用設計が為されていることがうかがえる。この「ATH-ESW950」、なかなか凝った作りを持ち合わせているのだ。
もちろん、ウッドハウジングもオリジナルで、木材には、バイオリンやギターなどの楽器にも使われているシカモア材を使用。無垢の塊から削り出すことで、豊かな響きを実現しているという。その内部に収められるドライバーユニットは、42mmという口径こそ前モデルと変わらないものの、磁力を高めるなどの改良が行われたほか、再生周波数帯域を5〜40kHzとワイドレンジ化。ハイレゾ音源にもマッチしたサウンドを実現している。
また、同時発売の「ATH-ES750」と同様に、「ATH-ESW950」にもオーディオテクニカオリジナルの「A2DCコネクタ」を採用した着脱式ケーブルを採用する。ヘッドホン故障の原因がの8割がケーブルの断線(特に機器側コネクタの断線)といわれている状況のなかにあって、これは嬉しい限り。ちなみにこのA2DCコネクタ、一見するとMMCXコネクタに近い形状だが、口径も異なっていて互換性はない。耐久性や接触の確かさを考慮してこちらを採用した様子で、実際に何回か抜き差しを行ってみたが、しっかりとロックされるのに好感が持てた。
ウッドの心地よい響きと
オンイヤーならではのダイレクトサウンドを併せ持つ
オンイヤー型ヘッドホンというと、距離感の近いダイレクトなサウンド、その分ウォーミーでヴォーカルやギターなどのフロントラインが際立つ主観的なサウンド、というサウンドキャラクターを持つものが多いイメージがあるが、この「ATH-ESW950」はやや異なる印象を感じた。確かにヴォーカルもギターも距離感の近い、ダイレクトな音を聴かせてくれるのだが、演奏全体がしっかりと見渡せる客観性も持ち合わせていて、音場感がしっかりと感じ取られるのだ。
たとえばニルヴァーナ「Smells Like Teen Spirit」を聴くと、センターと右サイドのギターがそれぞれに個性を発揮した演奏をしている様子がうかがえるだけでなく、そのアンサンブル、音と音がぶつかり合うことでさらなる高揚感が生み出されている様子がしっかりと感じ取られて、とても楽しい。また、TMネットワーク「Get Wild 2015」を聴くと、きっちりと計算されレイアウトされた音像定位によって、広がり感の大きいサウンドを作り上げていることがとてもストレートに感じられる。
いっぽうで、とても自然で、かつ聴き心地の良い音色を持ち合わせているのもメリット。TMネットワークではアナログシンセとアコースティックギターの掛け合わせのユニークさがとても際立ってくれているし、なによりも、ソフトシンセではなくアナログシンセを使っているメリット、音の分厚さ、楽器の存在感の強さがしっかりと再現されている。
当然のごとく、アコースティック楽器は大の得意。溝口肇のチェロは、とても自然で、とても心地よい演奏が楽しめる。ボーイングの一回一回、響きの一つ一つが細かい部分までしっかりと拾い上げられているため、単に心地よいだけでなく、とてもリアルに感じられるのも好ましい。
このように「ATH-ESW950」は、ウッドハウジングならではの自然で心地よい響きと、オンイヤー型ならではのダイレクトなサウンドを併せ持つ、絶妙なサウンドキャラクターを持ち合わせているなかなかの優秀機。気持ちの良い音が楽しめるうえ、楽曲アレンジの意図もしっかりと感じさせてくれるなど、音楽をもっと深く楽しみたいという人にとっては、とても魅力的な製品だ。
先代モデル「ATH-ESW9」は8年前に登場したモデルであり、その間に2製品のリミテッドモデル(2014年発売「ATH-ESW9LTD」や2012年発売「ATH-ESW11LTD」)なども発売されていることもあってか、ATH-ESW950の外観的なイメージはかなり変わっている。もちろん、オンイヤー型イヤーパッドや42mm口径ドライバー、ウッドハウジングなどの基本ディメンションは同じだ。しかし、随所のディテールが異なっていて、たとえばヘッドバンド廻りは「ATH-ESW9LTD」の印象に近い。
いっぽうで、同時発売となったステンレス製ハウジングを持つ新EAR SUITシリーズ「ATH-ES750」ともヘッドバンド廻り、特にハウジング支持部のデザインやスライド形状が異なっており、すべてのパーツにおいて専用設計が為されていることがうかがえる。この「ATH-ESW950」、なかなか凝った作りを持ち合わせているのだ。
もちろん、ウッドハウジングもオリジナルで、木材には、バイオリンやギターなどの楽器にも使われているシカモア材を使用。無垢の塊から削り出すことで、豊かな響きを実現しているという。その内部に収められるドライバーユニットは、42mmという口径こそ前モデルと変わらないものの、磁力を高めるなどの改良が行われたほか、再生周波数帯域を5〜40kHzとワイドレンジ化。ハイレゾ音源にもマッチしたサウンドを実現している。
また、同時発売の「ATH-ES750」と同様に、「ATH-ESW950」にもオーディオテクニカオリジナルの「A2DCコネクタ」を採用した着脱式ケーブルを採用する。ヘッドホン故障の原因がの8割がケーブルの断線(特に機器側コネクタの断線)といわれている状況のなかにあって、これは嬉しい限り。ちなみにこのA2DCコネクタ、一見するとMMCXコネクタに近い形状だが、口径も異なっていて互換性はない。耐久性や接触の確かさを考慮してこちらを採用した様子で、実際に何回か抜き差しを行ってみたが、しっかりとロックされるのに好感が持てた。
ウッドの心地よい響きと
オンイヤーならではのダイレクトサウンドを併せ持つ
オンイヤー型ヘッドホンというと、距離感の近いダイレクトなサウンド、その分ウォーミーでヴォーカルやギターなどのフロントラインが際立つ主観的なサウンド、というサウンドキャラクターを持つものが多いイメージがあるが、この「ATH-ESW950」はやや異なる印象を感じた。確かにヴォーカルもギターも距離感の近い、ダイレクトな音を聴かせてくれるのだが、演奏全体がしっかりと見渡せる客観性も持ち合わせていて、音場感がしっかりと感じ取られるのだ。
たとえばニルヴァーナ「Smells Like Teen Spirit」を聴くと、センターと右サイドのギターがそれぞれに個性を発揮した演奏をしている様子がうかがえるだけでなく、そのアンサンブル、音と音がぶつかり合うことでさらなる高揚感が生み出されている様子がしっかりと感じ取られて、とても楽しい。また、TMネットワーク「Get Wild 2015」を聴くと、きっちりと計算されレイアウトされた音像定位によって、広がり感の大きいサウンドを作り上げていることがとてもストレートに感じられる。
いっぽうで、とても自然で、かつ聴き心地の良い音色を持ち合わせているのもメリット。TMネットワークではアナログシンセとアコースティックギターの掛け合わせのユニークさがとても際立ってくれているし、なによりも、ソフトシンセではなくアナログシンセを使っているメリット、音の分厚さ、楽器の存在感の強さがしっかりと再現されている。
当然のごとく、アコースティック楽器は大の得意。溝口肇のチェロは、とても自然で、とても心地よい演奏が楽しめる。ボーイングの一回一回、響きの一つ一つが細かい部分までしっかりと拾い上げられているため、単に心地よいだけでなく、とてもリアルに感じられるのも好ましい。
このように「ATH-ESW950」は、ウッドハウジングならではの自然で心地よい響きと、オンイヤー型ならではのダイレクトなサウンドを併せ持つ、絶妙なサウンドキャラクターを持ち合わせているなかなかの優秀機。気持ちの良い音が楽しめるうえ、楽曲アレンジの意図もしっかりと感じさせてくれるなど、音楽をもっと深く楽しみたいという人にとっては、とても魅力的な製品だ。