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公開日 2015/12/04 11:00

【レビュー】ELACから登場、5.5万円〜のエントリー機「Debut LINE」は“あの名匠”の自信作

【特別企画】マルチチャンネル再生の音質を聴く
鴻池賢三
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ELAC「Debut LINE」は、あの名エンジニア アンドリュー・ジョーンズが同社移籍後に初めて手がけた、野心的なエントリースピーカー・シリーズだ。本機をマルチチャンネル/ステレオ再生のそれぞれから検証する本企画。第一回目は鴻池賢三氏がDebut LINEのマルチチャンネル再生やサブウーファーの性能をレポートする。


ELAC移籍後のアンドリュー・ジョーンズが最初に手がけたスピーカー

300 LINEや240 LINEをはじめとする数々の銘機によって、世界で確固たる地位を築き上げてきたスピーカーブランドの名門ELACの歴史に、新たな1ページが加わった。「Debut Line」の登場である。衝撃的なニュース故にすでにご承知の読者も多いだろうが、数々のハイエンドブランドで手腕を発揮してきたスピーカーエンジニアであるアンドリュー・ジョーンズ氏(以下A.ジョーンズ氏)が今年、ELACに移籍した。Debut LINEは、同氏がELACとして初めて手がける文字通りの“デビュー作”と言うわけだ。

ELAC製品におけるDebut LINEの位置づけは、ずばり名前が示す通りのエントリークラス。ハイエンドスピーカーの新境地を切り拓いてきたA.ジョーンズ氏が参画するとのことで、新フラッグシップクラスの豪級モデル登場を予想する向きが多かったこともあって、その意外性に注目が集まっているのも事実だ。

ELACに移籍したアンドリュー・ジョーンズ氏。これまでもKEFやTADで数々の銘機を手がけてきたスピーカー技術者だ

なぜA.ジョーンズ氏はELAC最初の製品としてこのエントリーモデルを選んだのか。「この価格帯の製品ではあり得ない素材の採用と設計力で、最高に正確な音を実現した」という彼のメッセージからは、Debut LINEへの自信のほどが窺える。エンジニアにとってはコストを度外視して最高の製品を生み出すのもチャレンジなのだが、知恵を絞ってより多くの消費者に手の届く価格でハイコストパフォーマンスな製品を作り上げるのもチャレンジなのである。同氏も新天地でまずは後者のチャレンジを選択し、多くのユーザーが恩恵を受けることができる製品を目指したのだ。こうした背景もあって、ELACとA.ジョーンズの初タッグによるDebut LINEがどのような音を聴かせてくれるのか、多くのオーディオ/AVファンからも注目が集まっている。

同一ユニットでマルチチャンネル構築が可能なラインナップを用意

Debut LINEはスピーカーシステムとして、ブックシェルフ型で5.25インチのウーファーを搭載するコンパクトな「B5」、同じくブックシェルフで6.5インチのウーファーを搭載し、低域の再現性を高めた「B6」、トールボーイ型で5.25インチのウーファーを3基搭載する「F5」、そして5.25インチのウーファーを2基搭載するセンタースピーカー「C5」をラインナップする。B5/F5/C5の組み合わせにより、同一トゥイーターと同一ウーファーを持つスピーカーによるマルチチャンネル・システムを構築することが可能だ。

「F5」¥125,000(ペア・税抜)

「C5」¥40,000(税抜)


「B6」¥70,000(ペア・税抜)

「B5」¥55,000(ペア・税抜)

トゥイーターとウーファーの両ドライバーは、A.ジョーンズ氏が自ら開発を手がけたもので、従来のELAC製品には見られなかったエッセンスが加わった。全モデルで共通して使用される「Woven Aramid-Fiber Woofer」(ウォーベン・アラミドファイバー・ウーファー)と呼ばれるウーファー・ユニットは、文字通りアラミド繊維を織った振動板を採用。アラミド繊維とは、同じ重量の鋼鉄に比べて5倍の引っ張り強度を持ち、軽く伸びにくい性質を持つ。さらに熱、摩擦、切創、衝撃にも強く、防弾チョッキにも利用される程のスーパー繊維だ。さらには従来のポリプロピレンやペーパー・コーンを上回る減衰特性を有するなど、コストを除けば、ウーファーとして最も理想的な素材のひとつと言える。

トゥイーターは1インチのクロスドームで、その前面は「Deep-Spheroid Custom Waveguide」と呼ばれるパンチングメタルで覆われている。カバーとして保護の役割を果たすだけでなく、深い楕円形にかたどられた形状の工夫により、音響的なコントロールも実現しているという。

次ページBluetoothによる音場補正対応のサブウーファーを用意

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