• ブランド
    特設サイト
公開日 2015/12/15 13:05

ラックスマンの純A級プリメイン「L-590AXII」レビュー。生音本来の立ち上がりを再現

90周年第二弾となる一体型のトップエンド
井上千岳
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
今年90周年を迎えたラックスマンから満を持して登場した純A級プリメインアンプ「L-590AXII」は、一体型のトップエンドとして旗艦セパレート機から主要技術を継承。長年プリメインアンプを手がけ揺るぎない支持を得てきた同社の製品中でも、新たな高みを究めたモデルとなった。本機のサウンドを井上千岳氏がレビューする。

LUXMAN「L-590AXII」¥580,000(税抜)

旗艦セパレートから新LECUA1000やODNF4.0を継承した純A級プリメインアンプ

ラックスマンのプリメインアンプには2系統あって、ひとつが「L-509」に代表されるAB級ハイパワー・モデル、もうひとつがこの「L-590」を筆頭とする純A級モデルである。本機は2010年にL-590Aからモデルチェンジした新しいAXシリーズ、「L-590AX」の後継機となる。

ここで注目しなければならないのは、セパレートアンプのフラッグシップ「C-900u」/「M-900u」と、それに次ぐ「C-700u」/「M-700u」の後に登場した、初めてのプリメインだということである。この両者ではLECUAとODNFというラックスマンの基幹技術が、いずれも最新の形で搭載されている。本機はプリメインとしてそれを受け継いだ最初のモデルなのである。

LECUAは精密アッテネーターを電子制御する独自の音量調節機構だが、2006年のフラッグシップ「C-1000f」ではアンプ回路にダイレクトに接続した「LECUA1000」という形で登場した。これがC-900uではサイズも大幅に小型化され、88ステップでアンプ回路と一体化した新LECUA1000となり、C-700uにも採用された。本機ではこの新LECUA1000を引き継いで搭載。回路基板を立体配置とした3D構造によって信号経路を最短化し、アッテネーターと増幅回路を直接接続することで損失や劣化を抑えた構成である。

もうひとつのODNFは、信号の歪み成分を検出してこれだけをフィードバックする独自の帰還回路である。現在はバージョン4.0まで進化しているが、これもM-700uからそっくり受け継ぎ本機に採用された。

ODNFはフィードフォワードによってアンプ出力との間で歪みを検出し、これを入力にフィードバックするという形で動作する。バージョン4.0では誤差検出アンプの初段を3パラレルとして歪みの検出精度を向上させ、結果としてNFB量を減少させ音楽信号への影響を低減するのに成功した。

筐体内部

さらに出力段は、3段ダーリントンの3パラレル・プッシュプルという構成。これはM-700uの4パラレルよりひとつ少ないが、同様の構成をA級動作に応用して搭載したということになる。これらの結果ダンピングファクターは従来の240から320に向上した。また独自のOFC線による内部配線やラウンドパターンの基板などで、低インピーダンス化も徹底している。

もうひとつ触れておきたいのは、プリアンプ部の出力段にディスクリートのバッファー回路を搭載していることである。これはC-900uと同等ということで、パワーアンプ部への駆動力を高める効果が大きい。

このほか電源のブロックコンデンサーは、M-700uと同等の10,000μF×8という大容量としている。また電源トランスは1次巻線の線径を太くして、レギュレーションを高めた構造だ。またシャーシは独自のループレス構造として、アースインピーダンスの上昇を遮断し干渉を排除する。なお入力にはMM/MC対応のフォノ端子も装備。プリ/パワーのセパレート機能やヘッドフォン端子も搭載している。

次ページ圧倒的な“音の軽快さ”。現在最も生に近い出方をするアンプと言っても過言でない

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ヤマダデンキ、「ブラックフライデー」セールを11/16より開始。ベスト電器、マツヤデンキでも開催
2 iPhone買い換え、手持ちモデルを手放す際に必ずやっておくべきこととは?
3 ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
4 「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」11月23日・24日開催。出展メーカーや連続試聴イベントの内容はコチラ!
5 <Inter BEE>ゼンハイザー、国内未発売製品を初お披露目/NHK、“自由に変形する”ディスプレイ/コルグ「Live Extreme」試聴デモ
6 THIEAUDIO「Origin」は低音好き垂涎!骨伝導搭載・クアッドハイブリッド構成のイヤホンを聴く
7 B&Wの人気シリーズ、トゥイーター・オン・トップ式ブックシェルフ3機種の魅力を探る
8 ビクター“nearphones”「HA-NP1T」速攻レビュー! イヤーカフ型ながら聴きイヤホンを女性ライターが使ってみた
9 MUSE HiFi、真空管搭載ポータブルDAC/AMP「M5 ULTRA」。ESS社と独自回路を共同開発
10 スピーカーの“原音再生”をデジタルフィルターで解決!テレビや車に搭載広がるEilex PRISMの秘密に迫る
11/15 10:43 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX