• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/08/04 16:42

【製品批評】B&W「800 D3」 ー 50周年記念モデルとして頂点を極めた旗艦スピーカー

ウーファーを802 D3からさらに進化させた
角田郁雄
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
製品批評


スピーカーシステム
B&W
800 D3
ローズナット=¥2,125,000(1本・税抜)
ピアノ・ブラック=¥2,250,000(1本・税抜)



50周年記念モデルとして頂点を極めたフラグシップスピーカー

B&Wの800 D3シリーズの最上位モデル「800 D3」は、同社の創業50周年記念モデルとして2016年に登場した。800 D3は、先行して登場した「802 D3」をスケールアップしただけでなく、そこからの進化さえ実現している。

まずは802 D3と共通する点を確認する。鮮度が高く澄み切った25mmダイヤモンド・トゥイーターは、アルミ無垢材を切削したテーパー状のソリッド・ボディに収められ、不要振動は皆無。長らくB&Wの象徴となっていたミッドレンジのケブラーコーンは、さらに色づけをなくした150mmコンティニュアム・コーンに変更された。

樹脂製のマーランヘッドも、より硬度の高いアルミ製のタービンヘッドと更新。実際に音量を上げて再生してもタービンヘッドの振動は皆無で、中域の解像度が飛躍的に高まった。ダイヤモンド・トゥイーターとも音色がそろい、中高域がまさに一点から放射される。

ウーファー・ユニットは、振幅による剛性を高めて振動板の歪みを低減するために、均一な厚さにせず厚みを連続的に変えたエアロフォイルコーン形状となった。このウーファーが、800 D3ではさらなる進化を遂げた。

エアロフォイル・コーン・ベースは、口径が802 D3が200mmなのに対して、800 D3は250mmへとスケールアップ。さらにセンターキャップや磁気回路、サスペンション、コーンを支えるダンパーなどが大幅に改良されている

800D3ではウーファーの250mm径と大型化しただけでなく、センターキャップの形状も802 D3から変更。駆動系についても、磁気回路およびサスペンションに改良が加えられた。結果、802 D3のウーファーよりも2次高調波を10dB、3次高調波を20dB低減。最低域再生でも歪みを極小として、より透明度の高い低域再生を可能とした。

サイズは802 D3と比較しても大きくなったが、幅/奥行きがそれぞれ23mm/28mm増、質量は1.5kg増と扱いやすさも考慮して大幅にはアップしていない。質量増を抑えられたのは台座の変更によるところが大きい。802 D3の亜鉛アルミ合金だった台座は、800 D3では無垢のアルミ製へと変更。台座の全面に特定の共振周波数を打ち消すダンピング材が施された。ネットワーク回路もより高品位化され、ミッドレンジのローカットフィルターには新たにムンドルフのM-Cap Supreme Oilコンデンサーが採用された。

ベース部も802 D3から大幅に変更された部分。802 D3が亜鉛アルミ合金製であったのに対し、800 D3では通常のアルミ合金を用いて軽量化。さらに台座の全面に特定の共振周波数を打ち消すダンピング材であるTMD(チューンマスダンパー)を施している

そのサウンドは、802 D3と比較すると明らかに中低域の量感が増し、ピラミッド型バランスの再生へと進化。交響曲のオルガンを聴くと驚くほどの音圧を示す一方で、不要振動が排除されているので低域の透明度も高い。

そして全帯域でのカラーレーションと歪みが抑えられたので、さらに空間性が高まり、奏者や歌い手が鮮明に音場に定位する。スピーカーの背後には奥行き深い空間が広がり、どんなジャンルを再生しても音源に内包する音を全て出し切っているような感覚が得られる。だからこそ、同時に自分のシステムの音を良くも悪くもストレートに表してしまう。800 D3は、長く愛用でき、かつオーディオ的にも取り組み甲斐のあるモデルである。

(角田郁雄)

Specifications
●形式:3ウェイ・バスレフ型●ドライブ・ユニット:1×25mmダイヤモンド・ドーム・トゥイーター、1×150mmコンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ、2×250mmエアロフォイル・コーン・ベース ●周波数レンジ:13Hz〜35kHz ●周波数レスポンス:15Hz〜28kHz(基準軸に対し±3dB) ●感度(軸上2.83Vrms):90dB ●高調波歪:2次及び3次高調波(90dB軸上1m)<1% 50Hz〜20kHz、<0.3% 70Hz〜20kHz ●公称インピーダンス:8Ω(最低3.0Ω) ●外形寸法:413W×1217H×611Dmm ●質量:96kg ●仕上げ:キャビネット=ローズナットorグロス・ブラック、グリル=ブラック ●取り扱い:(株)ディーアンドエムホールディングス


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」164号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX