公開日 2018/07/27 07:30
USBやUPnPより圧倒的に音が良い「LAN DAC」とは何か? スフォルツァートの最新アップデートで検証
Roonとも比較した
SFORZATO(スフォルツァート)のネットワークプレーヤーが、最新のアップデートで「LAN DAC」機能に対応した。これはWindows PC上で再生した音楽をネットワーク経由でスフォルツァートのプレーヤーから再生できるという機能だ。逆木氏は、自身が所有する同ブランドの「DSP-Dorado」でLAN DACとして再生した音が、同機のUPnPネットワーク再生やUSB-DAC再生と比べても明確に音質が良いことに驚いたのだという。
なぜLAN DACはここまで音が良いのか? 従来のUPnPネットワーク再生やUSB-DAC再生に対してどのような可能性を持っているのか。同時にスフォルツァートのプレーヤーがアップデート対応したNOS機能と合わせて、逆木一氏がレポートする。
■ES9038ProによるNOS(ノンオーバーサンプリング)再生に対応
7月上旬にスフォルツァートのプレーヤーの最新アップデートが公開された。ネットワークプレーヤーは各種機能の追加や操作性の改善のためにアップデートを行うことがままあり、スフォルツァートの製品もその例に漏れない。ブランド初号機のネットワークトランスポート「DST-01」の登場から今に至るまでアップデートが続けられ、その過程ではOpenHome対応など、製品の性格を一変させるような進化もあった。
今回のアップデートでは、単なる“改善”にとどまらない重大な機能がふたつ追加された。「NOS」と「Diretta」である。
「NOS」はNo Over Sample、いわゆる「ノンオーバーサンプリング」と呼ばれているもの。NOSモードではリニアPCMの音源をD/A変換する際、昨今のDACでは一般的なデジタルフィルターによる補完が行われない。そのため、「演算の過程で生じた本来存在しない音」であるポストエコーやプリエコーが発生せず、より自然な再生音が実現できるとされている。NOSモードは先日発表されたSOULNOTEのUSB-DAC「D-2」にも搭載され、話題となっている。
スフォルツァートのプレーヤーにおけるNOSモードは、ESS TechnologyのDACチップ「ES9038PRO」を使いこなす形で実装しており、現状ではDSP-Vela/Dorado/Pavoの3機種で使用できる。NOSモードでは使用するアナログフィルターも控えめにすることで、音の鮮度を追求しているとのことだ。
「PCM Oversample」をオフにして聴いた瞬間、音の輪郭の曖昧さが消滅したことがわかる。とにかく瞬間的に音が立ち上がってくる印象で、ボーカルのリアルさ、パーカッションの弾ける鮮度の向上が著しい。空間の見通しの良さも改善され、コーラスが重なり合う様が克明に見えるようになる。全体として「音楽が鳴っている」という感覚から、「そこで演奏している/歌っている」という感覚が強くなる。
今までDSP-Doradoで聴いていた音に不満があるわけでは決してなかった。しかしNOSモードの音を聴いて去来するのは、「今まで聴いていた音は何だったのか」という思いである。
再生ソフトやハードの機能を使ってアップサンプリングを行うと、空気感が濃くなり、響きが豊かになると感じることが多い。しかし、もしかしたらそれは、演算によって生じたプリエコーとポストエコーを聴いていただけなのではないか。NOSモードの生々しく鮮烈な音は、そんな思いさえ抱かせた。
NOSモードでは全体的に音が引き締まる。同時に響き(あるいは、今まで響きだと思っていたもの)は減る傾向になる。今までの音を完全に気に入っていた場合は好みとずれる可能性もあるが、トータルでは大きな音質改善になると感じられる。
■LAN DAC化を可能にする「Diretta」とは?
今回のアップデートはこれで終わらない。続けて「Diretta」を取り上げる。これは“ディレッタ”と読む。
Direttaとは、スフォルツァートのプレーヤーをUSB-DACならぬ「LAN DAC」として使うための機能/モード、およびそれを実現するための通信プロトコルである。LAN DACという名称だが、USB-DACがパソコン(トランスポート)で再生した音源をUSB経由で受けるDACである一方、LAN DACはパソコンで再生した音源をLAN経由で受けるDACと考えるとわかりやすいだろう。もちろん、NOSとDirettaを同時に使うことも可能だ。
Direttaの実装により、Diretta用ドライバーをインストールしたPCで再生した音を、LANケーブルで接続したスフォルツァートのプレーヤーから出すことが可能になる。これは元々オプションのUSB入力と同じような発想で、Prime Seatなど、PCでしか使えないサービスをスフォルツァートのプレーヤーでも楽しめるように、というのがスタートだったそうだ。
おさらいすると、今回のアップデートにより、スフォルツァートのプレーヤーにはオプションまで含めると4通りの使い方ができるようになった。
なぜLAN DACはここまで音が良いのか? 従来のUPnPネットワーク再生やUSB-DAC再生に対してどのような可能性を持っているのか。同時にスフォルツァートのプレーヤーがアップデート対応したNOS機能と合わせて、逆木一氏がレポートする。
■ES9038ProによるNOS(ノンオーバーサンプリング)再生に対応
7月上旬にスフォルツァートのプレーヤーの最新アップデートが公開された。ネットワークプレーヤーは各種機能の追加や操作性の改善のためにアップデートを行うことがままあり、スフォルツァートの製品もその例に漏れない。ブランド初号機のネットワークトランスポート「DST-01」の登場から今に至るまでアップデートが続けられ、その過程ではOpenHome対応など、製品の性格を一変させるような進化もあった。
今回のアップデートでは、単なる“改善”にとどまらない重大な機能がふたつ追加された。「NOS」と「Diretta」である。
「NOS」はNo Over Sample、いわゆる「ノンオーバーサンプリング」と呼ばれているもの。NOSモードではリニアPCMの音源をD/A変換する際、昨今のDACでは一般的なデジタルフィルターによる補完が行われない。そのため、「演算の過程で生じた本来存在しない音」であるポストエコーやプリエコーが発生せず、より自然な再生音が実現できるとされている。NOSモードは先日発表されたSOULNOTEのUSB-DAC「D-2」にも搭載され、話題となっている。
スフォルツァートのプレーヤーにおけるNOSモードは、ESS TechnologyのDACチップ「ES9038PRO」を使いこなす形で実装しており、現状ではDSP-Vela/Dorado/Pavoの3機種で使用できる。NOSモードでは使用するアナログフィルターも控えめにすることで、音の鮮度を追求しているとのことだ。
「PCM Oversample」をオフにして聴いた瞬間、音の輪郭の曖昧さが消滅したことがわかる。とにかく瞬間的に音が立ち上がってくる印象で、ボーカルのリアルさ、パーカッションの弾ける鮮度の向上が著しい。空間の見通しの良さも改善され、コーラスが重なり合う様が克明に見えるようになる。全体として「音楽が鳴っている」という感覚から、「そこで演奏している/歌っている」という感覚が強くなる。
今までDSP-Doradoで聴いていた音に不満があるわけでは決してなかった。しかしNOSモードの音を聴いて去来するのは、「今まで聴いていた音は何だったのか」という思いである。
再生ソフトやハードの機能を使ってアップサンプリングを行うと、空気感が濃くなり、響きが豊かになると感じることが多い。しかし、もしかしたらそれは、演算によって生じたプリエコーとポストエコーを聴いていただけなのではないか。NOSモードの生々しく鮮烈な音は、そんな思いさえ抱かせた。
NOSモードでは全体的に音が引き締まる。同時に響き(あるいは、今まで響きだと思っていたもの)は減る傾向になる。今までの音を完全に気に入っていた場合は好みとずれる可能性もあるが、トータルでは大きな音質改善になると感じられる。
■LAN DAC化を可能にする「Diretta」とは?
今回のアップデートはこれで終わらない。続けて「Diretta」を取り上げる。これは“ディレッタ”と読む。
Direttaとは、スフォルツァートのプレーヤーをUSB-DACならぬ「LAN DAC」として使うための機能/モード、およびそれを実現するための通信プロトコルである。LAN DACという名称だが、USB-DACがパソコン(トランスポート)で再生した音源をUSB経由で受けるDACである一方、LAN DACはパソコンで再生した音源をLAN経由で受けるDACと考えるとわかりやすいだろう。もちろん、NOSとDirettaを同時に使うことも可能だ。
Direttaの実装により、Diretta用ドライバーをインストールしたPCで再生した音を、LANケーブルで接続したスフォルツァートのプレーヤーから出すことが可能になる。これは元々オプションのUSB入力と同じような発想で、Prime Seatなど、PCでしか使えないサービスをスフォルツァートのプレーヤーでも楽しめるように、というのがスタートだったそうだ。
おさらいすると、今回のアップデートにより、スフォルツァートのプレーヤーにはオプションまで含めると4通りの使い方ができるようになった。
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