公開日 2021/07/05 06:35
見事なデビューモデル、傑作の予感。新ブランドclariarのイヤホン「i640」に驚かされた
【PR】目指す“タイトな低域、明瞭な中高域”をそのまま実現
国内カスタムIEMブランドで経験を積んだエンジニアの佐々木瞭氏が、「自らが理想とする音を作り上げ、それをより多くの人に聴いてもらいたい」と立ち上げたユニバーサルイヤーモニターブランド「clariar(クラリア)」。その第一弾モデルがここで紹介する「i640(アイロクヨンレイ)」だ。
今回取材するにあたり、まずサンプル機を試聴。その後に製品資料に目を通し、佐々木氏からもお話も聞かせていただいたのだが、そこで驚かされた。佐々木氏が意図していたというサウンド設計「現代の楽曲の音作りにも対応した、タイトで応答性の高い低域と見通しの良い明瞭な中高域を両立させたサウンド」というのがほとんど、筆者が実機から受けた印象そのままだったのだ。
すなわちこの新ブランドは、目指すサウンドの明確なイメージと、そのサウンドをイヤホンとして具現化する技術、その両方を驚かされるほどのレベルで高度に備えているといえる。本記事ではその驚きの「i640」の実力について紹介しよう。
■タイトな低域への惜しみない探究が、中高域の明瞭度向上にも寄与
まず、理想のサウンドを現実のものとした技術面からチェックしていこう。ドライバー構成は以下の通りで、6BA/4wayのBAマルチ構成を採用している。
●高域 :BA×2(空気感に優れるKnowles製デュアル)
●中域 :BA×1(カスタマイズされたKnowles製)
●中低域:BA×1(質感に優れるSonion製)
●低域 :BA×2(Knowles製ベントホール付きデュアル)
これまでの経験からこれが最も過不足なく、またサイズ的な制約も少なく、各帯域ドライバーの選択の自由度も高いということで、佐々木氏は「迷いなくこの構成を採用した」と語る。
大きなポイントは低域にベントホール付きのBAドライバーを採用していること。タイトな低域を望むだけなら、そもそもタイトな特性を出しやすい通常の密閉型BAを使う方が手っ取り早い。
しかし、clariarが理想とする低域は、より詳しく言えば「タイトで深みのある応答性の良い低域」。そこでベントホール付きドライバーであれば、密閉パッケージ内の空気圧に振動板の動きを抑制されることなく、超低域までの深みを得ることができる。
ただしベントホールがあることで、その振動板は、今度はハウジング内の空気圧の影響を受ける。そこでそれを調整する機構として「rear cavity pressure optimizer」を搭載。振動板の振幅を最適化し、高い応答性や低歪みといった特性も確保した。
低域ドライバー周りでもうひとつ重要なのは、この良質な低域ドライバーからその低域成分だけをクリアに抽出する手法。低域ドライバーから中低域以上の帯域への被りをなくすことが、低域と中低域以上、どちらの帯域の明瞭度確保にも必要なことだからだ。
しかしそれは、ネットワーク回路により中高域を減衰させる電気的なローパスフィルターだけでは難しい。イヤホンに組み込めるサイズの電子パーツでは十分な特性を確保できず、位相の遅れなども起きてしまう。
そこでこのモデルではアコースティックな手法によるローパスフィルターを強化。一般的な繊維状の音響抵抗に加え、高密度特殊多孔質素材による「high density porous filter」を設置する多段構成で、低域用ドライバーから出力される中高域以上の成分のより強力な減衰を実現した。
ここまでの情報をまとめると、このモデルの低域周りは、
●超低域までの伸びと高い応答性を兼ね備える低域ドライバー
●そのドライバーの性能を引き出すための機構
●そのドライバーから必要な低域成分だけを抽出するための機構
の組み合わせで構築されているわけだ。料理に喩えるなら「贅沢な素材を丁寧に下ごしらえした上で、いちばん美味しい特定の部位だけを使う」といった感じだろうか。
低域ドライバーも含めて、ドライバーは低・中・高域の各帯域ごとの音導管を備えるドライバーユニットホルダーにマウント。そしてそのホルダーごと制振効果のあるシリコン材で筐体の金属製ステムに固定される。「composite housing structure」と名付けられた本構造は、音質面での優位に加え、組み込みの作業性向上、クオリティの均一化にも貢献するという。
今回取材するにあたり、まずサンプル機を試聴。その後に製品資料に目を通し、佐々木氏からもお話も聞かせていただいたのだが、そこで驚かされた。佐々木氏が意図していたというサウンド設計「現代の楽曲の音作りにも対応した、タイトで応答性の高い低域と見通しの良い明瞭な中高域を両立させたサウンド」というのがほとんど、筆者が実機から受けた印象そのままだったのだ。
すなわちこの新ブランドは、目指すサウンドの明確なイメージと、そのサウンドをイヤホンとして具現化する技術、その両方を驚かされるほどのレベルで高度に備えているといえる。本記事ではその驚きの「i640」の実力について紹介しよう。
■タイトな低域への惜しみない探究が、中高域の明瞭度向上にも寄与
まず、理想のサウンドを現実のものとした技術面からチェックしていこう。ドライバー構成は以下の通りで、6BA/4wayのBAマルチ構成を採用している。
●高域 :BA×2(空気感に優れるKnowles製デュアル)
●中域 :BA×1(カスタマイズされたKnowles製)
●中低域:BA×1(質感に優れるSonion製)
●低域 :BA×2(Knowles製ベントホール付きデュアル)
これまでの経験からこれが最も過不足なく、またサイズ的な制約も少なく、各帯域ドライバーの選択の自由度も高いということで、佐々木氏は「迷いなくこの構成を採用した」と語る。
大きなポイントは低域にベントホール付きのBAドライバーを採用していること。タイトな低域を望むだけなら、そもそもタイトな特性を出しやすい通常の密閉型BAを使う方が手っ取り早い。
しかし、clariarが理想とする低域は、より詳しく言えば「タイトで深みのある応答性の良い低域」。そこでベントホール付きドライバーであれば、密閉パッケージ内の空気圧に振動板の動きを抑制されることなく、超低域までの深みを得ることができる。
ただしベントホールがあることで、その振動板は、今度はハウジング内の空気圧の影響を受ける。そこでそれを調整する機構として「rear cavity pressure optimizer」を搭載。振動板の振幅を最適化し、高い応答性や低歪みといった特性も確保した。
低域ドライバー周りでもうひとつ重要なのは、この良質な低域ドライバーからその低域成分だけをクリアに抽出する手法。低域ドライバーから中低域以上の帯域への被りをなくすことが、低域と中低域以上、どちらの帯域の明瞭度確保にも必要なことだからだ。
しかしそれは、ネットワーク回路により中高域を減衰させる電気的なローパスフィルターだけでは難しい。イヤホンに組み込めるサイズの電子パーツでは十分な特性を確保できず、位相の遅れなども起きてしまう。
そこでこのモデルではアコースティックな手法によるローパスフィルターを強化。一般的な繊維状の音響抵抗に加え、高密度特殊多孔質素材による「high density porous filter」を設置する多段構成で、低域用ドライバーから出力される中高域以上の成分のより強力な減衰を実現した。
ここまでの情報をまとめると、このモデルの低域周りは、
●超低域までの伸びと高い応答性を兼ね備える低域ドライバー
●そのドライバーの性能を引き出すための機構
●そのドライバーから必要な低域成分だけを抽出するための機構
の組み合わせで構築されているわけだ。料理に喩えるなら「贅沢な素材を丁寧に下ごしらえした上で、いちばん美味しい特定の部位だけを使う」といった感じだろうか。
低域ドライバーも含めて、ドライバーは低・中・高域の各帯域ごとの音導管を備えるドライバーユニットホルダーにマウント。そしてそのホルダーごと制振効果のあるシリコン材で筐体の金属製ステムに固定される。「composite housing structure」と名付けられた本構造は、音質面での優位に加え、組み込みの作業性向上、クオリティの均一化にも貢献するという。
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