公開日 2023/04/11 06:35
大スケールで聴かせるティグロン最高峰ケーブル「2000シリーズ」。電源からスピーカーまでフルラインナップをチェック!
【特別企画】「オーディオアクセサリー銘機賞」“グランプリ”4年連続受賞
日本が誇るケーブルブランドにして、世界でも高い評価を得るティグロン。その最高峰ケーブルがプレミアムライン「2000シリーズ」である。今回は、改めてそのシリーズの軌跡を探るとともに、新たに加わったスピーカーケーブルまで含め、炭山アキラ氏がトータルでの音の魅力に迫る。
ティグロンの沖野賢太郎代表は、まぁいつもあんなに忙しい人もないなと思うくらい国内外を走り、飛び回っている印象がある。それなのに、一体いつこれほどの商品ラインナップを開発なさっているのだろうと不思議になることすらある。それも、結構な数を誇る同社製品は、当然のことながら「納期があるから急いでまとめた」という印象のものが一つとしてない。
ラックが代表的だと思うが、見た目はごくシンプルな製品にしか見えないのに、支柱は同社の独自技術たるマグネシウム製で、しかもそれは二重円筒になっており、すき間に目の細かい砂が充填されている。これは非常に手がかかる処理である。棚板も強度高く響きの良い、よく吟味されたバーチ合板だ。かくの如し、こうすれば良いとなったらコストがかかろうが手がかかろうがやってしまう、それが沖野代表だと考えている。
ケーブルはさらに輪をかけて、工数のかかる作りをあえてやっている印象が強い。他でもない、同社のフラグシップ2000シリーズだ。「オーディオアクセサリー銘機賞」で“グランプリ”を軒並み獲得している感のある、驚異の高音質ケーブル群である。
同社が他に先駆けて採用したディップフォーミングOFC(DF-OFC)にマグネシウム・シールド、使い始めから圧倒的なエージング効果を備えるH.S.E.処理など、ひとつひとつのパーツやエフェクトも優れたものだが、それらがただ合わさっても決してそのまま2000シリーズの音になることはない、ということは、ケーブルを自作する者のひとりとして痛いほど分かる。
導体はどの細さの芯線を何本合わせどのような撚り方にして、マグネシウム・シールドはどれくらいの厚さと密度で使って、網スリーブはどれくらいの力で絞って、などなど、開発者にしか分からない膨大な道筋とノウハウが2000シリーズには詰まっている、ということが再生音からひしひしと伝わってくる。凄い作品群である。
改めて各ケーブルの内容を簡単に触れておこうか。インターコネクトケーブルはDF-OFCにマグネシウム・シールド、外装ジャケットには航空産業にも使用される特殊チューブへ帯電防止処理を施してある。RCAとXLRがあり、前者は素直な音で有名なバレット・プラグ、後者は高信頼のノイトリック製プラグが用いられている。
昨年、2000シリーズの最後にラインナップとして加わったスピーカーケーブルのTPL-2000SPは0.18mmの細いDF-OFC導体216本を、ファイバー製コアを中心として6組撚り合わせる、同社考案のリボルバー撚りとし、絶縁体はスーパークリアアイソレーターと名付けられた特殊素材。そこから中間シースを介して0.1mm厚6mm幅のマグネシウムテープによるシールドが配され、外シースは帯電防止素材、その外側に白い網スリーブがかけられている。両端プラグはバナナとYラグが選べる。
電源ケーブルTPL-2000AももちろんDF-OFC導体とマグネシウム・シールドが採用され、両端プラグの根元近くに配されたマグネシウム・フィルターは第2世代となった。特殊素材の外装チューブは高周波シールド性能に優れる。両端プラグは世界の最高級品、フルテックFI-50(R)NCFが採用されている。
LANケーブルTPL-2000L Professionalは自宅でも使用しているケーブルだ。ベースとなったTPL-2000Uから導体の基本構造や伝送特性を改良したモデルで、2000Lも素晴らしい再現性に惚れ込んだものだが、Professionalと聴き比べた瞬間、さらなる向上幅の大きさに茫然としたものだ。
幸い私はすべての製品を聴いているが、このたびはすべて2000シリーズにしたら自宅リファレンスのサウンドはどうなるか? という楽しくも恐ろしい取材を敢行することとした。といっても、LANケーブルのTPL-2000L Professionalは、既にわがリファレンスとして一体不可分となっている。というわけで、残りのインターコネクトケーブルとスピーカー、そして電源ケーブルをすべて2000シリーズに染め上げてみよう。電源ケーブルは1本をディスクプレーヤーにつないだ。
クラシックは最初の一音が出た瞬間からもう引っくり返るような音である。リファレンスのケーブル群では、割合とパワフルでありながらよく広がる、どこか高貴な雰囲気も持たせた音作りをしていると自負していたのだが、このド迫力でありながらまったく肩の凝るところがない、一切の抵抗感なく耳へスルリと入ってくるサウンドはどうだ!
弦は太く艶やかで金管も黄金の輝きを聴かせつつ一切耳に刺さらない。ピアノは一歩引いた音像でもコンサートグランドのスケール感を悠然と表現する。また声の堂々、朗々たるところはこのセット最大の魅力ではないか。惹き込まれるような音である。
ジャズもやはり大スケールでまったく肩の凝らないところは共通している。とてつもない情報量で大音場を展開しているのに、かなりの音量でも会話ができそうなくらいのS/Nを保ち、ゆっくりコーヒーか水割りでもかたむけたくなるサウンドである。とかく攻撃的な音作りに走りがちのわがシステムからこういう音が出てくるとは、呆気にとられるような気分だ。
ポップスもほぼ同様、緊張感を巧みに緩めつつ、大スケールの音場へ素直な歌声の歌手が乗っていく。わがリファレンスでこんな寛ぎが演出できるなど、これまで考えたこともなかった。というか、装置そのものの持ち味を引き出す力を持つケーブル群といえそうだ。そして、この持ち味と共鳴する人にとっては人生でかけがえのない友となることであろう。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー188号』からの転載です。
工数のかかる作りにあえて挑戦するティグロンのモノづくり
ティグロンの沖野賢太郎代表は、まぁいつもあんなに忙しい人もないなと思うくらい国内外を走り、飛び回っている印象がある。それなのに、一体いつこれほどの商品ラインナップを開発なさっているのだろうと不思議になることすらある。それも、結構な数を誇る同社製品は、当然のことながら「納期があるから急いでまとめた」という印象のものが一つとしてない。
ラックが代表的だと思うが、見た目はごくシンプルな製品にしか見えないのに、支柱は同社の独自技術たるマグネシウム製で、しかもそれは二重円筒になっており、すき間に目の細かい砂が充填されている。これは非常に手がかかる処理である。棚板も強度高く響きの良い、よく吟味されたバーチ合板だ。かくの如し、こうすれば良いとなったらコストがかかろうが手がかかろうがやってしまう、それが沖野代表だと考えている。
ケーブルはさらに輪をかけて、工数のかかる作りをあえてやっている印象が強い。他でもない、同社のフラグシップ2000シリーズだ。「オーディオアクセサリー銘機賞」で“グランプリ”を軒並み獲得している感のある、驚異の高音質ケーブル群である。
同社が他に先駆けて採用したディップフォーミングOFC(DF-OFC)にマグネシウム・シールド、使い始めから圧倒的なエージング効果を備えるH.S.E.処理など、ひとつひとつのパーツやエフェクトも優れたものだが、それらがただ合わさっても決してそのまま2000シリーズの音になることはない、ということは、ケーブルを自作する者のひとりとして痛いほど分かる。
導体はどの細さの芯線を何本合わせどのような撚り方にして、マグネシウム・シールドはどれくらいの厚さと密度で使って、網スリーブはどれくらいの力で絞って、などなど、開発者にしか分からない膨大な道筋とノウハウが2000シリーズには詰まっている、ということが再生音からひしひしと伝わってくる。凄い作品群である。
インターコネクト、スピーカー、電源とあらゆるジャンルのケーブルを網羅する
改めて各ケーブルの内容を簡単に触れておこうか。インターコネクトケーブルはDF-OFCにマグネシウム・シールド、外装ジャケットには航空産業にも使用される特殊チューブへ帯電防止処理を施してある。RCAとXLRがあり、前者は素直な音で有名なバレット・プラグ、後者は高信頼のノイトリック製プラグが用いられている。
昨年、2000シリーズの最後にラインナップとして加わったスピーカーケーブルのTPL-2000SPは0.18mmの細いDF-OFC導体216本を、ファイバー製コアを中心として6組撚り合わせる、同社考案のリボルバー撚りとし、絶縁体はスーパークリアアイソレーターと名付けられた特殊素材。そこから中間シースを介して0.1mm厚6mm幅のマグネシウムテープによるシールドが配され、外シースは帯電防止素材、その外側に白い網スリーブがかけられている。両端プラグはバナナとYラグが選べる。
電源ケーブルTPL-2000AももちろんDF-OFC導体とマグネシウム・シールドが採用され、両端プラグの根元近くに配されたマグネシウム・フィルターは第2世代となった。特殊素材の外装チューブは高周波シールド性能に優れる。両端プラグは世界の最高級品、フルテックFI-50(R)NCFが採用されている。
LANケーブルTPL-2000L Professionalは自宅でも使用しているケーブルだ。ベースとなったTPL-2000Uから導体の基本構造や伝送特性を改良したモデルで、2000Lも素晴らしい再現性に惚れ込んだものだが、Professionalと聴き比べた瞬間、さらなる向上幅の大きさに茫然としたものだ。
コンサートのスケール感を悠然と表現。装置そのものの持ち味を引き出す
幸い私はすべての製品を聴いているが、このたびはすべて2000シリーズにしたら自宅リファレンスのサウンドはどうなるか? という楽しくも恐ろしい取材を敢行することとした。といっても、LANケーブルのTPL-2000L Professionalは、既にわがリファレンスとして一体不可分となっている。というわけで、残りのインターコネクトケーブルとスピーカー、そして電源ケーブルをすべて2000シリーズに染め上げてみよう。電源ケーブルは1本をディスクプレーヤーにつないだ。
クラシックは最初の一音が出た瞬間からもう引っくり返るような音である。リファレンスのケーブル群では、割合とパワフルでありながらよく広がる、どこか高貴な雰囲気も持たせた音作りをしていると自負していたのだが、このド迫力でありながらまったく肩の凝るところがない、一切の抵抗感なく耳へスルリと入ってくるサウンドはどうだ!
弦は太く艶やかで金管も黄金の輝きを聴かせつつ一切耳に刺さらない。ピアノは一歩引いた音像でもコンサートグランドのスケール感を悠然と表現する。また声の堂々、朗々たるところはこのセット最大の魅力ではないか。惹き込まれるような音である。
ジャズもやはり大スケールでまったく肩の凝らないところは共通している。とてつもない情報量で大音場を展開しているのに、かなりの音量でも会話ができそうなくらいのS/Nを保ち、ゆっくりコーヒーか水割りでもかたむけたくなるサウンドである。とかく攻撃的な音作りに走りがちのわがシステムからこういう音が出てくるとは、呆気にとられるような気分だ。
ポップスもほぼ同様、緊張感を巧みに緩めつつ、大スケールの音場へ素直な歌声の歌手が乗っていく。わがリファレンスでこんな寛ぎが演出できるなど、これまで考えたこともなかった。というか、装置そのものの持ち味を引き出す力を持つケーブル群といえそうだ。そして、この持ち味と共鳴する人にとっては人生でかけがえのない友となることであろう。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー188号』からの転載です。