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公開日 2023/05/23 06:30

CD再生はまだまだ面白い! ティアックの最新プレーヤー「VRDS-701」でCDはここまで楽しめる!

【特別企画】21世紀に新設計されたCDプレーヤーの凄み
飯田有抄
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ティアックの“700番台”シリーズとして、新たに登場したCDプレーヤー「VRDS-701」。VRDSメカを搭載、ディスクリートDACで構成されており、ティアックが培ってきたデジタル再生の技術の粋が込められたモデルだ。本機のサウンドを、クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが体験。いまも「特にクラシックの世界ではCD需要はまだまだ高い!」と語る飯田さんが、「VRDS-701」を通じて改めてCDの楽しみを探ります。

TEAC CDプレーヤー「VRDS-701」382,800円/税込 ※写真のシルバーのほかブラック仕上げもラインナップ

「VRDS-701」を訪ねて -ティアックの“CD祭り”に乗りたい!



4月某日、東京は多摩市にあるティアックの試聴室を訪れました。試聴室といってもここは、SACDのマスタリングも行うことのできる重要秘密基地のようなお部屋で、多様な機材がフルラインナップで並んでおります。

さて、今回訪問したのは他でもない、CDプレーヤー「VRDS-701」を試聴するためです。ティアックの伝統的な設計を20年ぶりに復活させた渾身のメカニズムを、じっくり堪能しに来ました。ティアック株式会社は今年で70周年。その記念モデルとして打ち出した製品のひとつがこのCDプレーヤーとのこと。「今年はCD祭り!」と、ティアックのみなさんも盛り上がっております。

「VRDS-701」(上)と「AP-701」(下)にティアックの試聴室にて初対面!

オーディオファンなら「CD祭り!? そうかそうか!」というノリはわかってもらえると思います。しかし、一歩オーディオの世界から外に出てみると……もはや若い世代にはCDなんて見たことも触ったこともない人がいるとかいないとか。ネットのストリーミング再生がすっかり中心となり、はたまた昨今のブームに乗ってレコード再生に関心が向いている層も増えてきているものの、「CD離れ」が進みつつあるというのは、目をそらしがたい現実。

やっぱりCDって素晴らしいじゃないか



しかしですよ。VRDS-701のポイントに入るに先立ち、今一度ここで、やっぱりCDはいいじゃないか!という点を確認しておきたいです。

ストリーミング再生はもちろん便利です。しかし、ネット上の膨大なソースの中から目当てのものが見つかりにくかったりもします。特にクラシックでは “あるある”で、作曲家・作品・演奏家といった要素が整理整頓されずに登録されてしまうこともあり、楽章情報や演奏家情報が完全無視されていることもあったりして、先日聴いた音源に今日は辿り着けない、なんていうことも起こるのです。

アナログ再生は工夫して音を自分好みにするおもしろさが無限にありますが、レコードは裏を返せば手間のかかるメディアです。汚れや静電気との格闘は日常茶飯事。繊細なカートリッジの扱いなどに気を使う場面も多いので、心と時間に余裕がないと楽しめなかったりもします。

ハイレゾ音源とレコードという、デジタルとアナログの両極端のメディアを知ったあとで、あらためてCDと向き合うと、しみじみ「優秀じゃないか!」という思いに至ります。安定(=安心)感のある音質ながら、神経質に取り扱わなくてもよいモノとしての魅力。手に取ることのできるライナーノートを含め、しっかりとした音源・作品情報などが得られる。自分のライブラリから勝手に姿をくらますことはなく、聴きたいときにスッと手にとり、スッと一定のクオリティで鳴り響く。これですよ。CDってやっぱり素晴らしい。

おっと。CD礼賛が止まらなくなりそうなので、ここではまず、ティアックの「VRDS-701」を体験したその印象からご報告していきましょう。

さっそく試聴開始! -「スッキリ」という言葉がふさわしい美しい響き



古楽器、室内楽、ピアノ独奏、室内楽、エレクトロニクスの入ったポスト・クラシカル、そしてオーケストラと、多様なジャンルのアルバムを試聴してみました。この日の試聴では、パワーアンプ「AP-701」を使用。デザイン設計もピッタリの理想的な組み合わせです。

B&Wの「800 D3」をスピーカーとして組み合わせて試聴開始!

■試聴音源:實川風(ピアノ)「實川風バッハ」

全体的にまず印象付けられたのは、そのスッキリとした音質です。現代のピアノなどは、再生によっては高音域や低音域に歪みが出てしまったり、音数の多い複雑な作品では全体に音がこもりがちになってしまいます。ですが、VRDS-701で再生すると、J.S.バッハのオルガン作品をモダンピアノ用にアレンジした演奏も、すっきりと各声部が際立ち、見晴らしがよく立体感にあふれる演奏が楽しめました。淀みない響きには圧倒されます。スッキリといっても決して味気ないわけではなく、音の減衰過程には残響も空気感をふんわりと感じさせてくれます。

實川風(ピアノ)「實川風バッハ」(キングレコード KICC 1606)

■「ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68」

またオーケストラの演奏もやはりスッキリと楽器セクションごとの音色が届けられ、とりわけフルートやオーボエ、ヴァイオリンの独奏パートなどの奏者の表現が浮き彫りになります。トゥッティ(全楽器による合奏)後の休符では、ふわりと芳しい残響に包まれます。 やはり音の立ち上がりも減衰も、真っ直ぐに濁ることなく伝えてくれるので、実に気持ちがいい!

「ブラームス:交響曲全集」ミヒャエル・ザンデルリンク指揮、ルツェルン交響楽団(ワーナーミュージックジャパン 5419.748237)

■マックス・リヒター「ブルー・ノートブック」

試聴しながら一同興奮してしまったのは、ポスト・クラシカルと呼ばれるジャンルの一枚。マックス・リヒターの名作「ブルー・ノートブック」です。電子的に残響を付加したピアノ、タイプライターを打つ音、そしてテクストを語る人の声。重なり合うそれぞれの音色の圧倒的な違いをおどろくほどクリアに表現し、音場的なディスタンスを形成しながら再現されました。これこそ、歪みなくスッキリと音を届けるプレーヤーでなければ、こうした録音作品は楽しみ切ることのできないたぐいのものかもしれません。

マックス・リヒター「ブルー・ノートブック」(UCCH-1050)

VRDS-701のココが新時代! 2大ポイントを解説



まさにCD文化の豊かさを改めて感じさせてくれる「VRDS-701」。CDというメディアの発売から40年あまり。21世紀にあって「新発売」されるCDプレーヤーには、いったいどんな技術革新があるのでしょうか。

ティアックの景井さんにVRDS-701の内部技術を教えてもらいます

実は密かに「基本的にはそんなに仕組みも音も変わらないのでは?」なんて思っていたのですが、これが大間違いであることは、実際の試聴からも伝わってきました! VRDS-701には、まさにティアックの技術の粋が結集されているのです。そのうちの、2大柱となるポイントをお伝えします。

■徹底的に振動をなくしていこう! それが新設計のV.R.D.S.メカニズム

「V.R.D.S.」とはなんぞや? といいますと、実はティアックが自社開発で打ち出している技術で、「Vibration-Free Rigid Disc-Clamping System」の略(←覚えなくていい)であります。あえて日本語に訳せば「振動をなくして、ディスクをしっかり挟み込むシステム」。つまり、徹底的に振動を制御し、それによって高い音質が得るティアックならではの機構です。

VRDS-701に搭載されるVRDSメカニズム

具体的には、アルミニウム製のターンテーブルがドライブ(放送局でも用いられている信頼と実績のある5020Aというメカ)上のCDを挟み込んで回転する仕組み。ターンテーブルによって回転が安定し、情報の読み取り精度もアップします。

丸い銀色のターンテーブルでCDをしっかり押さえ込み、読み取り精度をアップさせる(※写真は試作機のもの)

ターンテーブルを保持しているブリッジは、丈夫で軽い素材でできています。こうしたブリッジや、ドライブ自体も、実はネジでがっちり固定してしまうのではなく、あえて振動を逃すように緩やかにとりつけられています。この「セミフローティングマウント」によって、歪みのない自然な音質が得られるとのこと。これこそがこの20年の間に開発された新設計で、これまでのVRDSメカからは大きく飛躍したポイントです。

■ディスクリートDACが、理想の音質を実現

CDのデジタル音源をスピーカーで鳴らすには「アナログ変換」する必要がありますが、その変換部分がDAC(Digital Analog Converter)です。実は音質の決め手ともなる重要な部品なのですが、通常CDプレーヤーに搭載されるDACは、市販のチップを載せることがほとんど。しかし、VRDS-701にはティアックが新たに開発し、自社で回路を組んだディスクリートDACを積んでいます。そのため、ティアックが追求した妥協のない理想の音質が実現されています。

なお、VRDS-701にはプリアンプの機能が入っています。パワーアンプをお持ちの方はバランス接続ですぐに使用することができます。プリメインアンプをお使いの人は、出力の設定を「VARIABLE」から「FIXED」に切り替えて使用します。

VRDS-701の背面端子。RCA/XLRのアナログ出力を各1系統ずつ搭載。またDACとしての利用も可能で、Coaxial、Optical出力を搭載するほか、10MHzクロックの外部入力でグレードアップも可能

デジタルのOpticalやUSB入力端子もついているので、PCオーディオにも対応可能。奥行きが浅く、コンパクトなサイズ感も魅力的。テレビボードなどにも置けるサイズ感なので、リビングにもよく馴染むデザインです。

ジョグダイヤルの回し具合もいい感じ

スイッチの触り心地もチェック。電源スイッチのカチっとした質感もたまりません



振動を逃すべく、ゆったりと組まれたV.R.D.S.メカニズム、オリジナルのディスクリートDAC搭載のVRDS-701。21世紀に新たに設計されたCDプレーヤーの凄みとはこれか!と、試聴タイムを通じて実感することができました。CD文化を見直したい方必聴のプレーヤー誕生です。

(提供:ティアック)

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