公開日 2024/06/06 06:30
豊富なラインナップを揃える「ポークオーディオ」で始めるセカンドシステムのすゝめ
【特別企画】あらゆる生活空間に良い音をもたらす新提案
様々なシチュエーションに応じて、良質なサウンドが楽しめるオーディオ機器が登場している現代。そこで今回は、“学生でも購入できるスピーカー開発”をする米国の名門、POLK AUDIO(ポークオーディオ)のスピーカーを用いて、オーディオルーム以外の生活空間にオーディオファイルも納得のサウンドを手軽にもたらす提案を企画した。ぜひ「セカンドシステム」にチャレンジしてほしい。
オーディオ経験がそれなりに長くなると、年月とともに手持ちのコンポーネントが増えてくるものだ。ぎっしり並んだアンプやケーブルは眺めているだけでも楽しいものだが、それを独り占めするとなにかと面倒の原因になる。
複雑化したシステムは本人でなければ音を出せず、家族が良い音で音楽を聴きたいと思っても手が出せない。それは極端な例としても、同じ家の中にもう一つ手軽に音を出せるシステムがあれば、音楽生活が豊かになることは間違いない。
音楽は場所と時間に関係なく聴きたくなるものだ。リスニングルーム的な空間を所有していたとしても、リビングで気軽に聴きたくなることもあるだろうし、食事をしながらストリーミングで音楽をかけたり、プライベート空間で上質なサウンドに浸りたいと思うこともある。そんなシンプルな願いを叶えてくれる「セカンドシステム」を作ってみようというのが、この記事のテーマだ。
セカンドとはいえ、メインシステムの縮小版では面白くない。これまで使ったことのないコンポーネントや普段とは違う傾向の音を探してみるのもいいのではないか。そんな視点から今回はアメリカのブランドの中でも人気の高いポークオーディオに焦点を合わせ、小型スピーカーを中心にしたシステムを組んでみることにした。
リビングルームの主役はテレビという風景は少し昔のスタイルになりつつあるが、ゲームや動画ストリーミングで使う機会も増えているので、やはり大画面は必須だ。
だが、50型や65型のテレビに見合うスケールの大きなサウンドを求めるとテレビの内蔵スピーカーでは物足りないことがあったり、サウンドバーも音楽を聴くのに最適解とは言い難い。本格設計のプリメインアンプとスピーカーを導入して音のグレードアップを狙いたいものだが、少し前までそんな用途に使えるアンプはほとんど存在しなかった。
そんな状況にマランツが風穴を開けた。HDMI端子を装備するアンプを投入し、テレビやBDプレーヤーの音をハイファイグレードで楽しめる環境を提案したのだ。今回はそんな用途に向けた頼もしいモデルとしてSTEREO 70sを選択。HDMI端子は6系統と余裕があり、ネットワークオーディオにも対応する多機能機だが、アンプの設計に妥協はなく、出力も75Wを確保している。
組み合わせるスピーカーは、ポークオーディオのなかでトップレンジとなるRESERVEシリーズから、フロア型のR700とブックシェルフ型のR200を用意した。ポークオーディオが40年を超える歴史のなかで培ってきた基幹技術は、その一つひとつに重要な意味がある。
たとえばピナクル・リングラジエーター。指向性が広く歪みが少ないので、リビングルームで音楽に浸るときはもちろんのこと、家族と映画を楽しむときにも密度の高い音場が展開し、上質なサウンドを満喫できる。
立体形状が目を引くタービンコーンは中域の質感を高める効果があり、独自形状のバスレフポート「Power Port2.0」は気流の流れをスムーズにして低音の純度を高める役割を演じる。
R700は3ウェイ4スピーカーの本格的なユニット構成で、高さも1.1mを超えるので、画面サイズが大きく、ときには映画再生などで大きな音も出したいという用途に向くスピーカーだ。今回は50型のテレビの脇に設置したが、画面サイズは65型ぐらいがちょうどいいかもしれない。
アンネ=ゾフィー・ムターが参加したジョン・ウィリアムズのコンサート・ライヴをこのシステムで聴くと、ステージのスケール感が非常に大きく、奥行きの深さもコンサートホールを連想させるほどの深みがある。
音の広がりにゆとりがあるだけでなく、ヴォーカルやソロ楽器のイメージが積極的に前に出て、力強く定位することにも感心させられた。クイーンのライヴ動画で聴いた「ボヘミアン・ラプソディ」はスタジアムに居合わせたような臨場感があり、ステレオ再生なのに前後左右の広がりも広大、ステージとの距離感も適切だ。リアルな空間表現はハイファイスピーカーならではの説得力がある。
次にブックシェルフ型のR200をスタンドに載せ、テレビの脇にセッティングした。R700のミッドレンジとR200のウーファーの口径が同じで、見た目にはふたまわりぐらいコンパクトになった印象だが、50型テレビだとこれぐらいがジャストサイズ。画面との距離が近めという場合は、スピーカーから受ける威圧感も気にならないので、落ち着いて音楽や映像に集中することができそうだ。
このスピーカーではジョン・ウィリアムズがベルリン・フィルと共演したときの「オリンピック・ファンファーレ」を最初に聴いたが、耳を疑うほどの豊かな低音に支えられ、金管楽器群の響きが伸びやかに空中に放たれる。
勢いがあり、しかも重厚なサウンドという印象はコンパクトな外観からは想像できないかもしれないが、同じくアマゾンミュージックで再生したダイアナ・クラール「ス・ワンダフル」でも同じ印象を受けたので、これはR200の長所なのだろう。
力強くオープンな低音は映像コンテンツでも効果を発揮する。テイラー・スウィフト「ラヴェンダー・ヘイズ」は低音のビートが過剰にならない範囲で心地よいリズムを刻み、ヴォーカルと絶妙にマッチする。小さめの音量で聴いてもこのバランスがくずれないのも嬉しいポイントだ。
さらにダウンサイジングを進め、デスクの上で楽しめるサブシステムを組む。できるだけコンパクトなアンプを探した結果、デノンのオールインワン型ネットワークレシーバー「RCD-N12」に白羽の矢を立てた。
CD再生に加え、HDMI ARCを利用してテレビの音声も楽しめる多機能機だが、デスクトップではストリーミングをメインソースとするシンプルなシステムを狙う。
スピーカーはポークオーディオのSignature Eliteシリーズから最もコンパクトなES10を選んだ。見かけは小さいが仕上げが上質で、いい意味で存在感がある。しかも横幅は140mm未満、奥行きも160mmに満たないので、デスクを広々と使える良さがある。
近接試聴なので大きな音を出す必要はないが、このシステムで聴いたレイチェル・ポッジャーのモーツァルトは細部まで繊細なニュアンスを伝え、しかも刺激的な硬さは微塵もない。近い位置で聴くときはこの音色の優しさがとても重要なのだが、そうはいってもディテールが埋もれてしまうと音楽に集中できないので、そのバランスがカギを握る。
オラフソンのゴルトベルク変奏曲、ダイアナ・クラール「ス・ワンダフル」と連続してそれなりの音量で聴いても疲れないし、スーッと音楽に入り込める良さがある。パーソナル用途にはぴったりのシステムだ。
最後のシステムはポークオーディオのエントリーに位置するMONITOR XTシリーズのMXT15でミニマムかつ予算的にもリーズナブルなシステムを狙う。ES10よりも低価格だが、こちらは130mmウーファーを積み、キャビネットはひとまわり大きい。
ES10よりもさらにリラックスして楽しめる音調で、ベースやパーカッションがむやみに自己主張しないことに好感を持った。上位シリーズのようなハイファイ志向の音とは傾向が異なるが、高分解能のメインシステムの音に疲れたとき、ウォームなセカンドシステムで耳をリラックスさせるのもありだと思う。
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.193』からの転載です
手軽に音を出せるシステムがもう一つあれば音楽生活が豊かになる
オーディオ経験がそれなりに長くなると、年月とともに手持ちのコンポーネントが増えてくるものだ。ぎっしり並んだアンプやケーブルは眺めているだけでも楽しいものだが、それを独り占めするとなにかと面倒の原因になる。
複雑化したシステムは本人でなければ音を出せず、家族が良い音で音楽を聴きたいと思っても手が出せない。それは極端な例としても、同じ家の中にもう一つ手軽に音を出せるシステムがあれば、音楽生活が豊かになることは間違いない。
音楽は場所と時間に関係なく聴きたくなるものだ。リスニングルーム的な空間を所有していたとしても、リビングで気軽に聴きたくなることもあるだろうし、食事をしながらストリーミングで音楽をかけたり、プライベート空間で上質なサウンドに浸りたいと思うこともある。そんなシンプルな願いを叶えてくれる「セカンドシステム」を作ってみようというのが、この記事のテーマだ。
セカンドとはいえ、メインシステムの縮小版では面白くない。これまで使ったことのないコンポーネントや普段とは違う傾向の音を探してみるのもいいのではないか。そんな視点から今回はアメリカのブランドの中でも人気の高いポークオーディオに焦点を合わせ、小型スピーカーを中心にしたシステムを組んでみることにした。
「リビングオーディオ」にお薦めのRESERVEシリーズ
リビングルームの主役はテレビという風景は少し昔のスタイルになりつつあるが、ゲームや動画ストリーミングで使う機会も増えているので、やはり大画面は必須だ。
だが、50型や65型のテレビに見合うスケールの大きなサウンドを求めるとテレビの内蔵スピーカーでは物足りないことがあったり、サウンドバーも音楽を聴くのに最適解とは言い難い。本格設計のプリメインアンプとスピーカーを導入して音のグレードアップを狙いたいものだが、少し前までそんな用途に使えるアンプはほとんど存在しなかった。
そんな状況にマランツが風穴を開けた。HDMI端子を装備するアンプを投入し、テレビやBDプレーヤーの音をハイファイグレードで楽しめる環境を提案したのだ。今回はそんな用途に向けた頼もしいモデルとしてSTEREO 70sを選択。HDMI端子は6系統と余裕があり、ネットワークオーディオにも対応する多機能機だが、アンプの設計に妥協はなく、出力も75Wを確保している。
組み合わせるスピーカーは、ポークオーディオのなかでトップレンジとなるRESERVEシリーズから、フロア型のR700とブックシェルフ型のR200を用意した。ポークオーディオが40年を超える歴史のなかで培ってきた基幹技術は、その一つひとつに重要な意味がある。
たとえばピナクル・リングラジエーター。指向性が広く歪みが少ないので、リビングルームで音楽に浸るときはもちろんのこと、家族と映画を楽しむときにも密度の高い音場が展開し、上質なサウンドを満喫できる。
立体形状が目を引くタービンコーンは中域の質感を高める効果があり、独自形状のバスレフポート「Power Port2.0」は気流の流れをスムーズにして低音の純度を高める役割を演じる。
R700は3ウェイ4スピーカーの本格的なユニット構成で、高さも1.1mを超えるので、画面サイズが大きく、ときには映画再生などで大きな音も出したいという用途に向くスピーカーだ。今回は50型のテレビの脇に設置したが、画面サイズは65型ぐらいがちょうどいいかもしれない。
アンネ=ゾフィー・ムターが参加したジョン・ウィリアムズのコンサート・ライヴをこのシステムで聴くと、ステージのスケール感が非常に大きく、奥行きの深さもコンサートホールを連想させるほどの深みがある。
音の広がりにゆとりがあるだけでなく、ヴォーカルやソロ楽器のイメージが積極的に前に出て、力強く定位することにも感心させられた。クイーンのライヴ動画で聴いた「ボヘミアン・ラプソディ」はスタジアムに居合わせたような臨場感があり、ステレオ再生なのに前後左右の広がりも広大、ステージとの距離感も適切だ。リアルな空間表現はハイファイスピーカーならではの説得力がある。
次にブックシェルフ型のR200をスタンドに載せ、テレビの脇にセッティングした。R700のミッドレンジとR200のウーファーの口径が同じで、見た目にはふたまわりぐらいコンパクトになった印象だが、50型テレビだとこれぐらいがジャストサイズ。画面との距離が近めという場合は、スピーカーから受ける威圧感も気にならないので、落ち着いて音楽や映像に集中することができそうだ。
このスピーカーではジョン・ウィリアムズがベルリン・フィルと共演したときの「オリンピック・ファンファーレ」を最初に聴いたが、耳を疑うほどの豊かな低音に支えられ、金管楽器群の響きが伸びやかに空中に放たれる。
勢いがあり、しかも重厚なサウンドという印象はコンパクトな外観からは想像できないかもしれないが、同じくアマゾンミュージックで再生したダイアナ・クラール「ス・ワンダフル」でも同じ印象を受けたので、これはR200の長所なのだろう。
力強くオープンな低音は映像コンテンツでも効果を発揮する。テイラー・スウィフト「ラヴェンダー・ヘイズ」は低音のビートが過剰にならない範囲で心地よいリズムを刻み、ヴォーカルと絶妙にマッチする。小さめの音量で聴いてもこのバランスがくずれないのも嬉しいポイントだ。
「デスクトップオーディオ」にお薦めの小型モデル
さらにダウンサイジングを進め、デスクの上で楽しめるサブシステムを組む。できるだけコンパクトなアンプを探した結果、デノンのオールインワン型ネットワークレシーバー「RCD-N12」に白羽の矢を立てた。
CD再生に加え、HDMI ARCを利用してテレビの音声も楽しめる多機能機だが、デスクトップではストリーミングをメインソースとするシンプルなシステムを狙う。
スピーカーはポークオーディオのSignature Eliteシリーズから最もコンパクトなES10を選んだ。見かけは小さいが仕上げが上質で、いい意味で存在感がある。しかも横幅は140mm未満、奥行きも160mmに満たないので、デスクを広々と使える良さがある。
近接試聴なので大きな音を出す必要はないが、このシステムで聴いたレイチェル・ポッジャーのモーツァルトは細部まで繊細なニュアンスを伝え、しかも刺激的な硬さは微塵もない。近い位置で聴くときはこの音色の優しさがとても重要なのだが、そうはいってもディテールが埋もれてしまうと音楽に集中できないので、そのバランスがカギを握る。
オラフソンのゴルトベルク変奏曲、ダイアナ・クラール「ス・ワンダフル」と連続してそれなりの音量で聴いても疲れないし、スーッと音楽に入り込める良さがある。パーソナル用途にはぴったりのシステムだ。
最後のシステムはポークオーディオのエントリーに位置するMONITOR XTシリーズのMXT15でミニマムかつ予算的にもリーズナブルなシステムを狙う。ES10よりも低価格だが、こちらは130mmウーファーを積み、キャビネットはひとまわり大きい。
ES10よりもさらにリラックスして楽しめる音調で、ベースやパーカッションがむやみに自己主張しないことに好感を持った。上位シリーズのようなハイファイ志向の音とは傾向が異なるが、高分解能のメインシステムの音に疲れたとき、ウォームなセカンドシステムで耳をリラックスさせるのもありだと思う。
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.193』からの転載です