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公開日 2016/05/06 14:26

「音の良い部屋」をマンションで実現するポイントとは? 防音工事会社による試聴会を密着取材!

【特別企画】「Acoustic Audio Forum」取材レポート
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オーディオにとっての部屋の重要性を体感できる試聴会「Acoustic Audio Forum」の最新回が開催された。「マンションオーディオの限界と可能性」をテーマに様々な事例や理論が紹介された同イベントの模様をレポートする。


■断熱性などは上がったがオーディオ的なメリットは減った現代住宅

「Acoustic Audio Forum」は、防音工事会社のアコースティックラボが主催するオーディオファン向けイベント。なぜ防音工事会社がオーディオイベントを開催するのかといえば、それは“オーディオにおける部屋の重要性”を訴えるため。オーディオ機器の性能を十分に引き出すために、音を鳴らす大元である部屋がどれほど重要かが分かるように様々な説明やデモが行われる。

なお、同社は“音楽家のための防音工事専門会社”を謳っており、プロが使う音楽スタジオも数多く手がける。また、戸建て、マンションを問わずオーディオファン向けの物件も数多く手がけ、長年培った豊富なノウハウで“音の良い部屋”を構築している。

同社代表の鈴木氏は、“重厚長大”から“軽薄短小”へとトレンドが移ってきた世の中の流れを踏まえながら「建築もその例に漏れず、軽い建築材がどんどん使われるようになっている」とコメント。「断熱性や気密性、耐震性能は大きく進化し、普通に生活する分にはかなり暮らしやすくなっている」と語る。

アコースティックラボ 鈴木氏

ただその一方で、「オーディオや楽器で大きな音を出したいときは、反射音などいろいろな問題が出てくる」と、部屋の軽量化が音響的にはアドバンテージを産んでいないと説明。「大きい音を出すと音が濁ったり飽和感を感じたりすることもあるだろう。それは部屋が関係しているからだ」と、音楽再生における部屋の重要性を改めて紹介する。

そんな観点から設定されたのが、今回の「マンションオーディオの限界と可能性」というテーマ。「基本的な悩みは戸建てもマンションも同じだろうが、庭が無かったりするぶん、戸建てよりもマンションのほうが防音への悩みは大きいのではないか」と、テーマ設定の背景を語った。

■音の雑味や音痩せも部屋の環境が原因

“マンションオーディオの限界”についてイベントでは「日常生活よりも大きい音を出せない」「大きめの音に雑味感・飽和感がつきまとう」「音の厚み感が乏しい。音が痩せてしまう」「部屋の固有の響きがつきまとう(ブーミング現象)」という4点が主な問題点だろうと紹介。実際に音楽を再生したときの音圧レベルのデータを示して、日常生活での音と比べてオーディオ再生がいかにイレギュラーなレベルでの音なのかを紹介する。

マンションオーディオの“限界”として4点の問題を挙げた

オーディオでは日常生活よりもかなり高い音圧レベルで音楽を再生していることをデータを交えて紹介

音に雑味感や飽和感が感じられるという問題は、現代建築で一般的な中空構造によって起こる共振が大きな原因。中空構造は共振によって、床や天井、壁面が二次音源化しやすい構造だ。「実際に我々のお客様でも、『スピーカーに近づけばいい音なのに、離れると反射音の影響で雑味を感じてしまう』と相談にくる方も多い」という。

現代建築の中空構造は共振を発生させやすくオーディオにとっては不利な条件

例えば「石膏ボード・空気層・石膏ボード」という構造の壁であれば、石膏ボードを上から2枚張り重ねて3枚にして面密度を上げ振動しづらい面を作ることで、付帯歪音の抑制が可能。これにより音の雑味感や飽和感を抑制できる。

石膏ボードが1枚のみの場合と3枚張りにした場合の計測データ比較。大きな変化が現れていることがひと目で分かる

イベントではハイレゾ音源などでの音出しデモも行われるが、音の響きに配慮して作られた同社ショールームが会場であるため「小さい音でも大きい音でもそんなに雑味を感じるようなことはなかったのではないか」と鈴木氏はコメント。部屋づくりがオーディオ的な音質向上に大きく関係することを、参加者が身をもって実感できる一幕も展開された。

実際の壁の構造を解説するための模型も登場

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