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公開日 2016/10/27 16:35

GIGA MUSIC独占先行配信!ゴダイゴの代表的ヒット曲を収めた「GODIEGO GREAT BEST Vol.1/2」を聴く

連続企画:日本コロムビアのハイレゾ音源レビュー
大橋伸太郎
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音楽配信サイト「GIGA MUSIC」にて、名門・日本コロムビアが擁する選りすぐりの未ハイレゾ化音源が、続々とハイレゾで登場している。しかも独占先行配信。既に様々なアーティストの音源が配信中で、今後も多彩なラインナップが予定されている。

Phile-webではこのハイレゾ音源を連続レビューする企画を展開している。リリース当時のエピソードや、ハイレゾになったからこそ注目したい聴きどころをたっぷりとご紹介したい。





GODIEGO GREAT BEST Vol.1 -Japanese Version- / ゴダイゴ
96kHz/24bit FLAC
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GODIEGO GREAT BEST Vol.2 -English Version- / ゴダイゴ
96kHz/24bit FLAC
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GS(グループサウンズ)が果たせなかった革新をやってのけたバンド

フェイス・ワンダワークスから新たにハイレゾで配信が始まったのが、「GODIEGO GREAT BEST Vol.1」(日本語版/英語版)だ。ウーム、前回紹介したブルーコメッツに続いてゴダイゴとは、フェイス・ワンダワークスさんも味なはからいをするものだ、と筆者は唸ってしまった。その理由を挙げてみよう。

ブルコメの代表曲「ブルー・シャトウ」が150万枚を売り上げ、作曲者 井上忠夫(現・井上大輔)は内心複雑な思いだった。新しい音楽をやりたくてブルコメに加入したのに、この曲の大ヒットで他のGSまで雪崩を打ってコンサバ歌謡曲調をやり始めた結果GSの初心が失われ、いわば「元の木阿弥」になったからだ。

GS末期に地味ながら(主に男性層に)人気を博した横浜出身のバンドがザ・ゴールデン・カップスだ。現在に残る当時のカップスのライブ録音を聴くと、演奏が終わるたびに女の子のワーワーキャーキャーの代わりに整然とした拍手が巻き起きる。まさに現代のロックコンサートの情景だ。これは衝撃的だ。ファン層が他のGSと違っていた。音楽は演奏する側だけじゃ駄目で、聴衆があって成立するものなのだ。しかしそのカップスとてレコードのヒットといったらセンチメンタルな歌詞でマイナー調の「長い髪の少女」。歌謡曲の強大な牙城を破ることは出来なかった。

GSブームが衰えカップスは早々に解散、中心メンバー・ミッキー吉野は米バークリー音楽大学へ音楽を勉強し直しに旅立つ。1971年のことだ。新しい日本のポップスを目指して挫折したGSの蹉跌はそれほど深いものだったのだ。バークリーは秋吉敏子や渡辺貞夫を送り出した名門だ。3年後アメリカから帰国したミッキーは本物のロックを演奏する新バンド結成に着手する。そのミッキーの前に現れたのが武川行秀(タケカワユキヒデ)だった。

父はベートーヴェンについての著作で知られる音楽学者。母方曾祖父に鈴木バイオリン創始者やスズキ・メソードの考案者がいるというクラシック音楽一途の血筋に育ったタケカワは小学生時代にザ・ビートルズの音楽の虜になり、10歳で早くも作曲を始めた。この英才と出会ったことでミッキーのバンドの方向が見つかり新バンド、そう、ゴダイゴが誕生した。

1976年にファーストアルバム「GODIEGO 組曲:新創世記」を発表。ミッキーやタケカワがやりたかったのは、後期ピンクフロイドやジェネシスのようなビジョンを持ったスケールの大きい音楽だった。

しかし、音楽界は平行してソロ活動を進めるタケカワの、クラシックの素養から生まれる豊かな和声感覚プラス ビートルズの影響のポップでキャッチーな曲作りの才を見逃さなかった。かくしてゴダイゴにはCMソングやTVドラマ、アニメの主題曲の依頼が殺到する。従来の日本の音楽を吹っ切ったポジティブで躍動的な魅力のゴダイゴサウンドはシングル発売される都度必ずヒット、それ以後の天を翔るがごとくの活躍は誰もが知る通り。

そう、ゴダイゴはGSがついぞ果たすことの出来なかった日本のポップスの革新をやってしまったバンドなのだ。ゴダイゴと前後してサザン・オールスターズやYMO等が人気を博し、日本の音楽界で次第に主流感を得て「歌謡曲絶対」は変化の時を迎えるが、その先導役がミッキー吉野の夢とタケカワユキヒデの才能の出会いから生まれたゴダイゴだったといっていい。

そのゴダイゴとて「誤算」はあった。彼らの明るく躍動的なポップチューンが若年層、つまり子供たちの人気を博したことだった。スケールの大きな大人向きのロックをやりたかったのに…。しかし、タケカワユキヒデが子供時代にビートルズに出会い人生が変わったように、ゴダイゴに出会い音楽の道を目指す子供たちがいた。好循環が生まれ現代のJ-POP全盛があるのだから今となっては「嬉しい誤算」に違いない。

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