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公開日 2019/02/01 06:00
ビンテージと最先端の融合

デジタルの先端、クアルコム幹部がアナログオーディオに魅了された理由。超こだわりシステムを拝見!

季刊・アナログ編集部/ファイルウェブ編集部:小澤

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クアルコムといえば、Bluetoothの高品質コーデック「aptX」や、先進的なデジタルアンプ「DDFA」などに技術を供給する、通信技術や半導体分野の世界最大手企業。まさにデジタルオーディオ界になくてはならない存在だが、同社のシニアヴァイスプレジデント&プレジデント グローバルビジネスであるジェームス・キャシー(James Cathey)さんは、真空管アンプを中心に据えたアナログオーディオシステムを自室に構築するアナログオーディオマニアなのだ。今回は、キャシーさんこだわりのアナログシステムについて伺った。

クアルコム シニアヴァイスプレジデント&プレジデント クアルコムグローバルビジネス ジェームス・キャシーさん(James Cathey:Qualcomm SVP and President, Qualcomm Global Business)

マッキントッシュと真空管ヴィンテージへのこだわり

読者の皆様は「クアルコム」という企業をご存じだろうか? 数多くのスマートフォンで採用されているSoC「Snapdragon」をはじめ、通信技術やそれに関連する半導体の分野における世界最大手の企業である。いま巷を賑わせるBluetoothの高品質コーデック「aptX」や、先進的なデジタルアンプ「DDFA」などもこのクアルコムの技術によるもので、デジタルオーディオの世界では文字通り「なくてはならない」企業として日々音楽ファン達を楽しませている。今回ご登場いただくジェームス・キャシー(James Cathey)さんは、そんなクアルコムにおいて、グローバルビジネスにおけるシニアヴァイスプレジデントという要職に就いている人物だ。

さて、「なんでそんな人が『analog』誌に?」と思う方もいるかもしれない。実はこのキャシーさん、オーディオに対して並々ならぬ想いをお持ちの方なのだ。キャシーさんが東京の住居に滞在できるのは月に数日とのこと。そんな貴重なある日、キャシーさんのリスニングルームへお邪魔することができた。そこには真空管アンプを中心に据えた、驚くべきアナログオーディオシステムが構築されていた。

30畳はあろうというリスニングルーム。スピーカーはATCのラージモニター「ATC150」に、Lyecoのスーパートゥイーター「ST-777」を組み合わせている

高層マンションの、ゆうに30畳はある部屋には、ATCのプロ用ラージモニタースピーカーSCM150ASLやマッキントッシュのヴィンテージ真空管アンプ群、そして大量のレコードが整然と並ぶ。システムは大規模だが佇まいは実に美しく、置き方ひとつにもセンスの良さが表れている。多忙を極めるキャシーさんにとって貴重な癒やしとなる時間は、この部屋でアナログレコード、オープンリールのテープを聴いて過ごすことだそうだ。

アナログプレーヤーはマッキントッシュ「MT5」を使用。ASAIのマグネシウム製ターンテーブルシート「AMG2000」を組み合わせているが、これの効果の大きさには驚いたという

Otariのオープンリールデッキ「MX5050BII」は特別仕様にカスタマイズされたもの

システムの核となっているのは、マッキントッシュのプリアンプC22とパワーアンプMC275。これらをいかに鳴らし込むかが、キャシーさんの最大の目標なのだそうだ。「懐古主義的ヴィンテージアンプに惚れ込んでいるわけではなくて、そこに普遍的な、そして不変の魅力があると思っているんです」という言葉は、現在の最先端のオーディオを支えるキャシーさんだからこそ説得力がある。

ATCの大型モニターは、ただでさえ鳴らしにくいと言われる。それをこのヴィンテージアンプで鳴らし切るために、さまざまな試行錯誤を行ったそうだ。MC275は全部で6台を所有しているそうで、各ユニットに1台ずつ割り当ててマルチアンプでも駆動していた時期もあるそうだが、結果として行き着いたのが、MC275をブリッジ使用×2、ステレオ使用×2台、合計4台を使って鳴らす現在の構成だ。キャシーさんは「ヴィンテージと最新鋭の機器のそれぞれの良さをフュージョンさせて、理想的なサウンドを作り上げることが私のテーマなのです」と語る。

キャシー氏がシステムの要だと語るマッキントッシュのパワーアンプ「MC275」。左右のウーファー用にモノ仕様を1台ずつ、左右のミッドレンジ用にステレオ仕様を1台、左右のトゥイーター&スーパートゥイーター用にステレオ仕様を1台と合計4台を用いて2本のスピーカーを鳴らしている

もうひとつの要、マッキントッシュのプリアンプ「C22」。本来木箱に入っていたが、木箱から取りだしたほうが音がよかったために現在のようなかたちになっているという

世界中から収集した真空管を自らの手で測定するこだわり

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