公開日 2017/10/24 10:00
【特別企画】ネットワークオーディオでさらなるオーディオの高みへ
貝山知弘がDELAのミュージックサーバー「N1ZS/2」を自宅試聴室に導入。そのサウンドをレポート
貝山知弘
音源入手のインフラ整備のために、ファイル再生をしばらくお休みしていた貝山氏が、ここへきてDELAのミュージックサーバーの最高峰モデルを導入し、ネットワークオーディオの復活を図った。操作性の良さが何かと話題となるネットワークオーディオであるが、「利便性には興味はない。何より音だ」と語られた熱いレポートをお届けする。
■ファイル再生とSACD再生、初心を貫く設計図
私の試聴室『ボワ・ノアール』のハイレゾリューション・システムが整った。今年に入った時から目標にしていたことである。
私がハイレゾリューション再生に求めるのはディスクを超えた高音質のサウンドだ。再生システムの利便を求める気はまったくない。いままではディスク再生の頂点を目指した努力を重ねてきたが、最近、それが限界に近くなったことを意識し出したのだ。考え込んだ末に聞こえたのは、いまある完成度の高いアナログ回路にハイレゾリューションの再生機器を加えればいいという自分の声だった。
■まずはベースとなるディスク再生環境を試聴する
アキュフェーズ最新のセパレートプレーヤー「DP-950」+「DC-950」のCD/SACD再生時のサウンドについてはすでに他でも書いているが、今回も再度試聴している。システムのアナログ回路で気になっていた箇所を修正したからだ。スピーカーケーブル両端の端子が全て同じではなかったからで、それを均一にしたのだ。
DP-950+DC-950の再生でひときわ輝くのは最新のSACD再生だ。私の試聴ではその次元で最も好ましいと思ったディスクを聴くことに決めている。SACDでの試聴はモーツァルト/ピアノ・ソナタ第11番、ピアノ協奏曲第23番。田部京子(TRITON OVCT-00125)で行った。聴いたのは協奏曲23番の第2楽章である。
シチリアーノのリズムで静かに始まるピノ・ソロは透明度が高く美しい。田部の演奏は澄み切った響きで心に染みる。センチメンタルになりやすいメロディだが、それには沈まず透明な響きに徹したクールな演奏だ。前作のプレーヤーで聴いた時には、このソロに絡んでくる第2ヴァイオリンの分散和音の響きがやや曇りがちだったが、本機ではその現象が皆無で澄み切ったピアノの響きを活かしている。
■DELA「N1ZS/2」でファイル再生。際立つ低音域の向上
次にDELAのミュージックサーバー「N1ZS/2」とDC-950を使用し、ハイレゾリューション・ソースの試聴を行った。アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響曲団によるムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲『展覧会の絵』(96kHz/24bit)を中心に行った。このソースを選んだのはハイレゾリューション・ソースでは音域とダイナミックレンジがどこまで広がったかを探りたかったからだ。
一聴して驚いたのは、低音域の伸びと力感の増大である。第15曲「バーバ・ヤガー」では狂ったようにパーカッションが鳴り響き、締まりの強い低音が恐ろしいほどの力強さで体感できるのだ。私が愛用しているスピーカー、フォステクス「G2000a」の左右2基ずつのウーファーをここまでの大音量で鳴らしたことはなかっただけに、歪みのない大音量が得られている愛機を誇りたくなってきた。
これは通常の再生では得難い体験だった。ハイレゾリューションのファイル再生ではダイナミックレンジの向上が得られ、特に低音域での向上が際立つのだ。
この現象は、CDで発売されているものと同じ作品のハイレゾリューションファイル再生でも同様の結果が得られた。今回は、リサ・バティアシュヴィリのチャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲でその効果を聴くことができた。特に96kHz/24bit版で目立ったのは、バックのオーケストラの低音域での力感増だ。その効果は『展覧会の絵』の場合ほど大きくはないが、演奏全体のスケールがはっきり増していることが分かった。
■ミュージックサーバーの重要性そして私の未来予想図
今回の試聴で実感できたのは、ミュージックサーバーの重要性だ。私が選択したDELAのN1ZS/2は、市場で評判が高かったサーバー全てを試聴し、その中から選んだ製品だ。私が重視したのは、自分の好みにできるだけ近い音質だったが、このN1ZS/2はその条件を全て満たしていた。重視したのは、一に低音と高音のエネルギー・バランスが整っていること、二に細部の解像度が高いことであった。全ては高音質を得るための性能だ。今回の試聴で得られた低音域の充実は予想以上に好ましいものだった。
私のハイレゾリューション探索の旅は始まったばかり。新たに加えた機器ではノイズへの対策、適合するアクセサリーの選択など、しなければならぬ仕事は多い。その結果は、そのつどレポートしていくつもりだ。
(貝山知弘)
【問い合わせ先】
バッファローサポートセンター
TEL/0570-086-086
本記事は、季刊『Audio Accessory』166号からの転載です。Audio Accessory誌の詳細はこちら。
■ファイル再生とSACD再生、初心を貫く設計図
私の試聴室『ボワ・ノアール』のハイレゾリューション・システムが整った。今年に入った時から目標にしていたことである。
私がハイレゾリューション再生に求めるのはディスクを超えた高音質のサウンドだ。再生システムの利便を求める気はまったくない。いままではディスク再生の頂点を目指した努力を重ねてきたが、最近、それが限界に近くなったことを意識し出したのだ。考え込んだ末に聞こえたのは、いまある完成度の高いアナログ回路にハイレゾリューションの再生機器を加えればいいという自分の声だった。
■まずはベースとなるディスク再生環境を試聴する
アキュフェーズ最新のセパレートプレーヤー「DP-950」+「DC-950」のCD/SACD再生時のサウンドについてはすでに他でも書いているが、今回も再度試聴している。システムのアナログ回路で気になっていた箇所を修正したからだ。スピーカーケーブル両端の端子が全て同じではなかったからで、それを均一にしたのだ。
DP-950+DC-950の再生でひときわ輝くのは最新のSACD再生だ。私の試聴ではその次元で最も好ましいと思ったディスクを聴くことに決めている。SACDでの試聴はモーツァルト/ピアノ・ソナタ第11番、ピアノ協奏曲第23番。田部京子(TRITON OVCT-00125)で行った。聴いたのは協奏曲23番の第2楽章である。
シチリアーノのリズムで静かに始まるピノ・ソロは透明度が高く美しい。田部の演奏は澄み切った響きで心に染みる。センチメンタルになりやすいメロディだが、それには沈まず透明な響きに徹したクールな演奏だ。前作のプレーヤーで聴いた時には、このソロに絡んでくる第2ヴァイオリンの分散和音の響きがやや曇りがちだったが、本機ではその現象が皆無で澄み切ったピアノの響きを活かしている。
■DELA「N1ZS/2」でファイル再生。際立つ低音域の向上
次にDELAのミュージックサーバー「N1ZS/2」とDC-950を使用し、ハイレゾリューション・ソースの試聴を行った。アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響曲団によるムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲『展覧会の絵』(96kHz/24bit)を中心に行った。このソースを選んだのはハイレゾリューション・ソースでは音域とダイナミックレンジがどこまで広がったかを探りたかったからだ。
一聴して驚いたのは、低音域の伸びと力感の増大である。第15曲「バーバ・ヤガー」では狂ったようにパーカッションが鳴り響き、締まりの強い低音が恐ろしいほどの力強さで体感できるのだ。私が愛用しているスピーカー、フォステクス「G2000a」の左右2基ずつのウーファーをここまでの大音量で鳴らしたことはなかっただけに、歪みのない大音量が得られている愛機を誇りたくなってきた。
これは通常の再生では得難い体験だった。ハイレゾリューションのファイル再生ではダイナミックレンジの向上が得られ、特に低音域での向上が際立つのだ。
この現象は、CDで発売されているものと同じ作品のハイレゾリューションファイル再生でも同様の結果が得られた。今回は、リサ・バティアシュヴィリのチャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲でその効果を聴くことができた。特に96kHz/24bit版で目立ったのは、バックのオーケストラの低音域での力感増だ。その効果は『展覧会の絵』の場合ほど大きくはないが、演奏全体のスケールがはっきり増していることが分かった。
■ミュージックサーバーの重要性そして私の未来予想図
今回の試聴で実感できたのは、ミュージックサーバーの重要性だ。私が選択したDELAのN1ZS/2は、市場で評判が高かったサーバー全てを試聴し、その中から選んだ製品だ。私が重視したのは、自分の好みにできるだけ近い音質だったが、このN1ZS/2はその条件を全て満たしていた。重視したのは、一に低音と高音のエネルギー・バランスが整っていること、二に細部の解像度が高いことであった。全ては高音質を得るための性能だ。今回の試聴で得られた低音域の充実は予想以上に好ましいものだった。
私のハイレゾリューション探索の旅は始まったばかり。新たに加えた機器ではノイズへの対策、適合するアクセサリーの選択など、しなければならぬ仕事は多い。その結果は、そのつどレポートしていくつもりだ。
(貝山知弘)
【問い合わせ先】
バッファローサポートセンター
TEL/0570-086-086
本記事は、季刊『Audio Accessory』166号からの転載です。Audio Accessory誌の詳細はこちら。