公開日 2017/12/25 14:08
【特別企画】英国ブランドならではの音作り
19,800円でこの音質 ー Cambridge AudioのCD&プリメイン「CD5/AM5」を聴く
大橋伸太郎
■破格のハイC/Pを実現したCDプレーヤーとプリメインアンプ
2017年も残りわずかだが、エントリークラスのオーディオ製品で今年のハイC/P賞を選ぶなら、CAMBRIDGE AUDIO(ケンブリッジオーディオ)のCDプレーヤー「CD5」とプリメインアンプ「AM5」に差し上げたい。
事実、CD5はオーディオ&ビジュアルアワード「VGP2018」のオーディオプレーヤー部門5万円未満のクラスで、並みいる国産ブランドを押しのけて金賞を獲得。AM5も同様にプリメインアンプ部門5万円未満のクラスで金賞を受賞した。
両機は新製品ではなく、同社エントリークラス“Topaz(トパーズ)”シリーズのボトムを担う製品。同社の輸入販売権がバリュートレードに移り、従来の輸入販売元が導入していなかったロープライス機が日本市場初見参した次第だ。
試聴印象記に入る前に両機のプロフィールを簡単に紹介しておく。CDプレーヤー「CD5」は、心臓部となるDACにウォルフソン「WM8725」を搭載。デジタル入出力は非搭載だが、CDのほかにもCD-R/RWに記録されたMP3・MWAのファイル再生ができる。
「AM5」は25W+25W(8Ω定格出力)のアナログ構成プリメインアンプで、5系統のアナログ入力を備えている。うち4系統は背面のRCA端子で、1系統は本体前面にステレオミニ端子を搭載。ポータブルプレーヤーなどからの入力を想定している。
■実直なアナログ回路をベースに、高い音楽性を備える
CD5とAM5を組み合わせての音質を紹介しよう。試聴は音元出版の試聴室で行ったが、これに先だって自宅のリスニングルームでも音質を確認している。
Topaz「CD5」+「AM5」の音質を一言に集約すると、実直なアナログ構成によるイギリス製品らしいミュージカリティ(音楽性)を重視した正統派の音である。これは当たり前のようでいて、実はかなり稀なことだ。
プリメインアンプの「AM5」は、定価19,800円という価格ながら、フルサイズの筐体にオーソドックスな電源トランス+コンデンサーのアナログアンプという実直な構成を備え、それが音質に反映されている。
AM5の出力は必要最小限だ。CD5とAM5のいずれも、さすがに帯域や分解能は同社の上位機種には及ばない。しかし、いずれも2万円を切る価格でありながら、一般の音楽ファンが家庭でCDを楽しむためには不足のない音質を備えている。英国らしい「必要にして十分」という価値観が生んだ製品といえる。そして、クラシックからラテン、ジャズ、ロックまで一通り再生して得手不得手がないのは、音楽産業のメッカである英国の聴き上手の国民性の成せるわざか。
だからといって、例えばAM5が大型スピーカーを楽々とハンドリングする型破りのアンプというわけではなく、一定のバランスの中で音楽を楽しく美しく聴かせるアンプであることは断っておかねばならない。
筆者宅にて、プレイバックリファレンスであるB&W「802 Diamond」で限界値まで確認すると、CD5とAM5の素性の良さは一目瞭然である。ボリュームを最大近くまで上げていくと、さすがにこの大型スピーカーとの組み合わせは苦しくなる。続いてサブシステムで常用しているDALIのコンパクトスピーカー「MENTOR MENUET SE」を繋げると、帯域こそこじんまりするもののウェルバランスで美しく歌い出す。最後にサラウンド用に常用しているB&W「686 S2」にも繫ぎ替えてみたが、DALIより積極的な音調に変わりこちらも好結果が得られた。
このようにいくつかのスピーカーと組み合わせながら自宅視聴室で聴いて認識したのは、卓越したコストパフォーマンスを備えるCD5とAM5の組み合わせは、スピーカーをねじ伏せて鳴らすのではなく、スピーカーなりのニュアンスを引き出すタイプであるということだ。第一にシステム全体のバランスが大事であり、この点を考慮しながら組み合わせるスピーカーシステムを検討・吟味するといいだろう。
2017年も残りわずかだが、エントリークラスのオーディオ製品で今年のハイC/P賞を選ぶなら、CAMBRIDGE AUDIO(ケンブリッジオーディオ)のCDプレーヤー「CD5」とプリメインアンプ「AM5」に差し上げたい。
事実、CD5はオーディオ&ビジュアルアワード「VGP2018」のオーディオプレーヤー部門5万円未満のクラスで、並みいる国産ブランドを押しのけて金賞を獲得。AM5も同様にプリメインアンプ部門5万円未満のクラスで金賞を受賞した。
両機は新製品ではなく、同社エントリークラス“Topaz(トパーズ)”シリーズのボトムを担う製品。同社の輸入販売権がバリュートレードに移り、従来の輸入販売元が導入していなかったロープライス機が日本市場初見参した次第だ。
試聴印象記に入る前に両機のプロフィールを簡単に紹介しておく。CDプレーヤー「CD5」は、心臓部となるDACにウォルフソン「WM8725」を搭載。デジタル入出力は非搭載だが、CDのほかにもCD-R/RWに記録されたMP3・MWAのファイル再生ができる。
「AM5」は25W+25W(8Ω定格出力)のアナログ構成プリメインアンプで、5系統のアナログ入力を備えている。うち4系統は背面のRCA端子で、1系統は本体前面にステレオミニ端子を搭載。ポータブルプレーヤーなどからの入力を想定している。
■実直なアナログ回路をベースに、高い音楽性を備える
CD5とAM5を組み合わせての音質を紹介しよう。試聴は音元出版の試聴室で行ったが、これに先だって自宅のリスニングルームでも音質を確認している。
Topaz「CD5」+「AM5」の音質を一言に集約すると、実直なアナログ構成によるイギリス製品らしいミュージカリティ(音楽性)を重視した正統派の音である。これは当たり前のようでいて、実はかなり稀なことだ。
プリメインアンプの「AM5」は、定価19,800円という価格ながら、フルサイズの筐体にオーソドックスな電源トランス+コンデンサーのアナログアンプという実直な構成を備え、それが音質に反映されている。
AM5の出力は必要最小限だ。CD5とAM5のいずれも、さすがに帯域や分解能は同社の上位機種には及ばない。しかし、いずれも2万円を切る価格でありながら、一般の音楽ファンが家庭でCDを楽しむためには不足のない音質を備えている。英国らしい「必要にして十分」という価値観が生んだ製品といえる。そして、クラシックからラテン、ジャズ、ロックまで一通り再生して得手不得手がないのは、音楽産業のメッカである英国の聴き上手の国民性の成せるわざか。
だからといって、例えばAM5が大型スピーカーを楽々とハンドリングする型破りのアンプというわけではなく、一定のバランスの中で音楽を楽しく美しく聴かせるアンプであることは断っておかねばならない。
筆者宅にて、プレイバックリファレンスであるB&W「802 Diamond」で限界値まで確認すると、CD5とAM5の素性の良さは一目瞭然である。ボリュームを最大近くまで上げていくと、さすがにこの大型スピーカーとの組み合わせは苦しくなる。続いてサブシステムで常用しているDALIのコンパクトスピーカー「MENTOR MENUET SE」を繋げると、帯域こそこじんまりするもののウェルバランスで美しく歌い出す。最後にサラウンド用に常用しているB&W「686 S2」にも繫ぎ替えてみたが、DALIより積極的な音調に変わりこちらも好結果が得られた。
このようにいくつかのスピーカーと組み合わせながら自宅視聴室で聴いて認識したのは、卓越したコストパフォーマンスを備えるCD5とAM5の組み合わせは、スピーカーをねじ伏せて鳴らすのではなく、スピーカーなりのニュアンスを引き出すタイプであるということだ。第一にシステム全体のバランスが大事であり、この点を考慮しながら組み合わせるスピーカーシステムを検討・吟味するといいだろう。