公開日 2018/06/06 08:30
同社アンプとの組み合わせ試聴も
ラックスマンの旗艦ケーブル「15000シリーズ」レビュー。無色ゆえにソースの色彩を引き出せる
井上千岳
ラックスマンのケーブルはアンプ・メーカーの余技というようなものではなく、しっかりした目的を持って作られたものだ。アンプの技術を生かすという意味もあるだろうが、それ以上に同社の製品をより自然な形で鳴らすということに重点が置かれているように思えるのである。
世の中には音のいいケーブルもたくさんあるし、ハイエンドと呼ばれるブランドにはアンプの価格を越えるような製品も珍しくない。しかしそれらはそれらの音であって、自社の製品の性能・音質を素直に引き出すという見方からすれば、ややポイントがズレてくるのも確かである。ラックスマンとしての標準品、つまりリファレンスとなるケーブルを開発しようと考えたのは、大いに意味のあることだったと言っていい。
このためか、ラックスマンのユーザーでなくても、同社のケーブルを選択する人は少なくない。アンプ・メーカーのケーブルという安心感と、無理な個性や再現性の誇示がない自然な音調という点に信頼が寄せられるのであろう。
現行品としては「JPC/JPR-10000」というライン・ケーブルがあり、スピーカー・ケーブルの「JPS-10000」は生産終了となっている。これらの上位モデルとして開発されたのが、ここで紹介する『15000シリーズ』である(関連ニュース)。
■最大の特徴は「ノンツイスト構造」。高/低域の伸びや歪みを解消
ラックマンのケーブルにおける第一の特徴は、“ノンツイスト構造”にある。ホット・コールドの導体は単線でないかぎり、撚り合わせてあるのが一般的である。これによって曲げ伸ばしがしやすく、取り回しが楽になる。また引き回した時にも内部の状態に変化がなく、音質への影響を避けることができるなどの利点がある。だから一概に撚線といっても、撚りの方向を変えて何層にも重ねることさえあり、メーカーそれぞれに工夫を凝らしているわけである。
ラックマンでは、ホット・コールド導体の撚りを最小限に抑え、ホット・コールドを平行のまま束ねることでインダクタンス成分を排除するノンツイスト構造を採用した。
撚線ケーブルには必ず、何がしかのインダクタンス成分が存在し、レスポンスに影響を与えている。またもう一つには静電容量という要素もあって、これも高域特性に影響する。いずれにしてもケーブルには単純な直流抵抗以外の要素も存在するので、この点に関しても考慮しなければならない。
ノンツイスト構造にするとインダクタンス成分が低減され、周波数特性への影響が軽くなる。特に高低両端での伸びや歪みっぽさが解消されるようで、それが多くのユーザーに受け入れられている要因の一つと言えるだろう。
先に触れた静電容量(ホット/コールド間に生じる容量で、線間容量ともいう)についても、対策が採られている。ライン・ケーブルの場合だが、導体のホット側とコールド側を別々にシールドすることで線間容量を半減させたのがそれだ。導体の周囲にシールド線があると、導体間の容量は遮断されて減少するという仕組みである。
こういった電気的な成分や現象に対する配慮が、アンプ・メーカーとしての特徴を表していると言っていいのかもしれない。アンプの内部でいくら低インピーダンス化や広帯域化を図っても、ケーブルの段階でそれを台無しにされては元も子もないからである。
世の中には音のいいケーブルもたくさんあるし、ハイエンドと呼ばれるブランドにはアンプの価格を越えるような製品も珍しくない。しかしそれらはそれらの音であって、自社の製品の性能・音質を素直に引き出すという見方からすれば、ややポイントがズレてくるのも確かである。ラックスマンとしての標準品、つまりリファレンスとなるケーブルを開発しようと考えたのは、大いに意味のあることだったと言っていい。
このためか、ラックスマンのユーザーでなくても、同社のケーブルを選択する人は少なくない。アンプ・メーカーのケーブルという安心感と、無理な個性や再現性の誇示がない自然な音調という点に信頼が寄せられるのであろう。
現行品としては「JPC/JPR-10000」というライン・ケーブルがあり、スピーカー・ケーブルの「JPS-10000」は生産終了となっている。これらの上位モデルとして開発されたのが、ここで紹介する『15000シリーズ』である(関連ニュース)。
■最大の特徴は「ノンツイスト構造」。高/低域の伸びや歪みを解消
ラックマンのケーブルにおける第一の特徴は、“ノンツイスト構造”にある。ホット・コールドの導体は単線でないかぎり、撚り合わせてあるのが一般的である。これによって曲げ伸ばしがしやすく、取り回しが楽になる。また引き回した時にも内部の状態に変化がなく、音質への影響を避けることができるなどの利点がある。だから一概に撚線といっても、撚りの方向を変えて何層にも重ねることさえあり、メーカーそれぞれに工夫を凝らしているわけである。
ラックマンでは、ホット・コールド導体の撚りを最小限に抑え、ホット・コールドを平行のまま束ねることでインダクタンス成分を排除するノンツイスト構造を採用した。
撚線ケーブルには必ず、何がしかのインダクタンス成分が存在し、レスポンスに影響を与えている。またもう一つには静電容量という要素もあって、これも高域特性に影響する。いずれにしてもケーブルには単純な直流抵抗以外の要素も存在するので、この点に関しても考慮しなければならない。
ノンツイスト構造にするとインダクタンス成分が低減され、周波数特性への影響が軽くなる。特に高低両端での伸びや歪みっぽさが解消されるようで、それが多くのユーザーに受け入れられている要因の一つと言えるだろう。
先に触れた静電容量(ホット/コールド間に生じる容量で、線間容量ともいう)についても、対策が採られている。ライン・ケーブルの場合だが、導体のホット側とコールド側を別々にシールドすることで線間容量を半減させたのがそれだ。導体の周囲にシールド線があると、導体間の容量は遮断されて減少するという仕組みである。
こういった電気的な成分や現象に対する配慮が、アンプ・メーカーとしての特徴を表していると言っていいのかもしれない。アンプの内部でいくら低インピーダンス化や広帯域化を図っても、ケーブルの段階でそれを台無しにされては元も子もないからである。