公開日 2024/04/10 06:30
ゲーミングに特化した映像モードをマスターモニターと比較!
BenQがゲーミングプロジェクターを牽引、台湾本社に新設された開発拠点「ゲーミングルーム」に潜入取材
鴻池賢三
DLPプロジェクターで世界No.1の出荷数を誇るBenQ(ベンキュー)。ビジネス用とホームシアター用に続き、新たな軸として積極的に打ち出しているのが「ゲーミング」だ。近年は低遅延表示といった機能だけでなく、世界観を体現するデザインや機能を強化し、市場でも目を惹く存在になっている。こうした点はオーディオビジュアルの総合アワード「VGP」のライフスタイル分科会においても、高く評価されてきた。
今回はそんなプロジェクター界に新風を巻き起こすBenQに注目。台湾本社オフィスを訪問し、関係者にインタビューを敢行した。製品への深いこだわりを知ると、ヒットの秘密とプロジェクターの未来が見えてきた。
まずBenQついて簡単に説明しておこう。日本ではプロジェクターやディスプレイですっかりお馴染みのブランドだが、台湾に拠点を置き、グループ全体で250億USドル以上の売上げを誇るグローバル企業。本社は台北松山空港に近いハイテク企業が集積するオフィス街(内湖科学園区)に重厚なビルを構え、隣がNVIDIA(台湾支社)と鴻海精密工業という立地からも、ポジションを想像いただけるだろう。
筆者にとってBenQ本社訪問は6年ぶり(2018年BenQ台湾本社訪問記事)になるが、大きく変わったのは、オフィス内に新設された「ゲーミングルーム」。本稿のハイライトのひとつだが、BenQのゲーミングプロジェクターへの意気込みを感じる上で外せないので、真っ先に紹介したい。
BenQはゲーミングプロジェクター製品を本格化するにあたり、ユーザーの利用環境を再現し、その中で企画を練ったり、製品の確認を行う必要も感じたという。確かに、壁面が真っ黒な研究・実験環境だけでは、ユーザーの気持ちを深く理解するのは難しいだろう。
今回訪問した「ゲーミングルーム」は、照明の明るさが調整できるのはもちろん、高度にインストールされたゲーミングルームを想定した装飾ライティングや、そうした部屋にありがちな小物類までも配置。当然、人気ゲーム機が実際にプレイできる状態で設置されており、PlayStation5、Xbox、Nintendo Switch、PCが用意されていた。ドライビングゲーム用のフレーム付きハンドルコントローラーも置いており本格的だ。
単に映像機器のひとつとして机上で性能や機能を考えるのではなく、本質と言える「遊び心」も汲み取ろうとする姿勢は、一般的な電子機器メーカーではあまり見かけない光景で、同社のゲーミング市場への真摯な取り組み姿勢が窺えた。
今回は本社訪問ということもあり、部門責任者からもお話を伺うことができた。ゲーミングプロジェクタービジネスを統括するRick Yan氏によると、同社のゲーミングプロジェクターは、従来のビジネス向けやホームシアター向けは継続しつつ、新しいカテゴリーとして位置付けているという。厳密には、「ゴルフシミュレーター用」と「家庭用ゲーミング用」が成長中で、この分野に注力することでさらなる飛躍を狙う戦略のようだ。
時系列では、2016年までは従来のホームプロジェクターに低遅延表示機能を盛り込むことでゲーミング用途に対応したことを第1段階、2019年から2021年は「ゲーミング」というカテゴリーを確立すべく、筐体デザインなども含めゲーミングに特化した「X Series」を投入したことが第2段階、2022年からはX Seriesのラインナップを増やし、カテゴリーの定着期として第3段階と捉えているという。
ゲーミングにプロジェクターを導入すべき理由、そしてBenQを選ぶ理由について、Rick氏の回答は明瞭で、1つ目はプロジェクターなら100型以上も現実的、2つ目はゲーミングプロジェクターなら遅延が4K/60Hzで16m以下、そして3つ目にBenQが長年培ってきた映像技術とサウンド機能により「Details & Immersive」(高画質・高音質&没入感)を実現、これらに集約されるという。その背景には、LED光源が登場し、映像がより明るく、また筐体をコンパクトにできるという技術の進化もあるようだ。
ちなみにBenQの「Immersive Gaming Projector」第1号である「X3000i」(2021-2023年)は、性能と機能を充実させ、販売価格もおおよそUS$1,999とプレミアムな設定だったが、販売数量として充分に手応えがあったという。
なおBenQでは、ゲーム機の全世界販売台数において、日本が上位に位置する重要な市場と認識して注力。2023年の東京ゲームショーでBenQはゲーミングプロジェクターを展示したのは記憶に新しいが、多くの来場者に気づきを与えることができたと感じているという。認知度が高まれば、日本でさらにブレークする可能性も高そうだ。
今回はそんなプロジェクター界に新風を巻き起こすBenQに注目。台湾本社オフィスを訪問し、関係者にインタビューを敢行した。製品への深いこだわりを知ると、ヒットの秘密とプロジェクターの未来が見えてきた。
■「ゲーミングルーム」を備える程の本格的な取り組み
まずBenQついて簡単に説明しておこう。日本ではプロジェクターやディスプレイですっかりお馴染みのブランドだが、台湾に拠点を置き、グループ全体で250億USドル以上の売上げを誇るグローバル企業。本社は台北松山空港に近いハイテク企業が集積するオフィス街(内湖科学園区)に重厚なビルを構え、隣がNVIDIA(台湾支社)と鴻海精密工業という立地からも、ポジションを想像いただけるだろう。
筆者にとってBenQ本社訪問は6年ぶり(2018年BenQ台湾本社訪問記事)になるが、大きく変わったのは、オフィス内に新設された「ゲーミングルーム」。本稿のハイライトのひとつだが、BenQのゲーミングプロジェクターへの意気込みを感じる上で外せないので、真っ先に紹介したい。
BenQはゲーミングプロジェクター製品を本格化するにあたり、ユーザーの利用環境を再現し、その中で企画を練ったり、製品の確認を行う必要も感じたという。確かに、壁面が真っ黒な研究・実験環境だけでは、ユーザーの気持ちを深く理解するのは難しいだろう。
今回訪問した「ゲーミングルーム」は、照明の明るさが調整できるのはもちろん、高度にインストールされたゲーミングルームを想定した装飾ライティングや、そうした部屋にありがちな小物類までも配置。当然、人気ゲーム機が実際にプレイできる状態で設置されており、PlayStation5、Xbox、Nintendo Switch、PCが用意されていた。ドライビングゲーム用のフレーム付きハンドルコントローラーも置いており本格的だ。
単に映像機器のひとつとして机上で性能や機能を考えるのではなく、本質と言える「遊び心」も汲み取ろうとする姿勢は、一般的な電子機器メーカーではあまり見かけない光景で、同社のゲーミング市場への真摯な取り組み姿勢が窺えた。
■培ってきた高音質・高画質技術が没入感の高いゲームプレイを実現
今回は本社訪問ということもあり、部門責任者からもお話を伺うことができた。ゲーミングプロジェクタービジネスを統括するRick Yan氏によると、同社のゲーミングプロジェクターは、従来のビジネス向けやホームシアター向けは継続しつつ、新しいカテゴリーとして位置付けているという。厳密には、「ゴルフシミュレーター用」と「家庭用ゲーミング用」が成長中で、この分野に注力することでさらなる飛躍を狙う戦略のようだ。
時系列では、2016年までは従来のホームプロジェクターに低遅延表示機能を盛り込むことでゲーミング用途に対応したことを第1段階、2019年から2021年は「ゲーミング」というカテゴリーを確立すべく、筐体デザインなども含めゲーミングに特化した「X Series」を投入したことが第2段階、2022年からはX Seriesのラインナップを増やし、カテゴリーの定着期として第3段階と捉えているという。
ゲーミングにプロジェクターを導入すべき理由、そしてBenQを選ぶ理由について、Rick氏の回答は明瞭で、1つ目はプロジェクターなら100型以上も現実的、2つ目はゲーミングプロジェクターなら遅延が4K/60Hzで16m以下、そして3つ目にBenQが長年培ってきた映像技術とサウンド機能により「Details & Immersive」(高画質・高音質&没入感)を実現、これらに集約されるという。その背景には、LED光源が登場し、映像がより明るく、また筐体をコンパクトにできるという技術の進化もあるようだ。
ちなみにBenQの「Immersive Gaming Projector」第1号である「X3000i」(2021-2023年)は、性能と機能を充実させ、販売価格もおおよそUS$1,999とプレミアムな設定だったが、販売数量として充分に手応えがあったという。
なおBenQでは、ゲーム機の全世界販売台数において、日本が上位に位置する重要な市場と認識して注力。2023年の東京ゲームショーでBenQはゲーミングプロジェクターを展示したのは記憶に新しいが、多くの来場者に気づきを与えることができたと感じているという。認知度が高まれば、日本でさらにブレークする可能性も高そうだ。
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