「映画館で観るのと遜色ない」
『この世界の片隅に』BD/DVD本日発売! 片渕須直監督 単独ロングインタビュー
公開時期は、ほぼ予定通りでした。アニメーションはつくるのに時間がかかるので、公開ぎりぎりで完成する場合もあります。でも少なくとも何週間、何カ月かは多くの方に試写を見ていただきたいと思ってたので、一応、9月9日に0号という形で試写をしました。それから10月に完成版の初号をつくって、それを劇場公開にまでもっていきました。
マスコミ試写ではかなりの方にご覧いただきましたね。満席どころか人数オーバーで帰っていただかなければならないこともあったので、途中から試写の回数を増やしたりしました。
―― 観客が増えて、公開館数も増えて行ったということについて、どう思われていましたか?
片渕氏 普通はまず分かりやすいお話、内容はこういうものなんだ、と表面に打ち出したような主人公が求められるような気もするのですが、でもこの作品はそうではなくて。ストーリーそのものより、当時の時代に行った気がする、あるいは実在するすずさんとその中で会っていたような気持ちを大事にしたい。そういう、ある意味高度な観方をするお客さんが増えてくださったんですね。これはいままでの映画の観られ方の常識とぜんぜん違っていたんじゃないかなと思うんです。
ただ僕は、そういう風に体験的に映画を観てもらいたいと思って何本も映画をつくってきたつもりだったので、ようやくお客さんたちと出会えたという気持ちはあります。
―― 公開後、いろいろな賞を受賞されました。
片渕氏 劇場公開が11月12日だったんで、初日は東京で舞台挨拶して、翌日13日には広島で舞台挨拶をしていたんです。その日が広島国際映画祭の最終日で、その場で「ヒロシマ平和映画賞」を受賞してしまったんです。公開2日目ですよ(笑)
―― それはすごいことですね(笑)
片渕氏 もちろんそれ以前から試写をご覧いただいて、審査してもらったわけなんですけれども、最初の最初から世の中に受け入れていただけた、というのはすごくありがたい気がしました。それ以前の作品は、こういうものなら観ていただいたら何かを感じていただけるはずだと作ったものが、なかなか観ていただくところまで届けられなかったんですね。なので、2日目にいきなり賞をいただいたのは、ひとつの届いた証になったんです。
―― その後キネ旬のベストテンでも1位になりました。
片渕氏 キネ旬も審査員の方が決めていかれるんですけど、それ以前にキネ旬に書いていらっしゃる編集の方々が、こういう映画が埋もれていくようだったら、もうだめだという風に言ってくださっていました。そういうところが一つ一つ、一人一人に確実に届いたという感じで受け止めていたんです。気が付いてみたら、ああこんなにたくさんの授賞を、という感じですね。一人、また一人と仲間が得られていったような感じです(笑)
―― 輪が広がったような感じですかね。
片渕氏 そうです。だから、今でもたくさん公開されている劇場で舞台あいさつを行って、ただ舞台からお客さんを眺めるだけではなくて、その後にサイン会っていうものをさせていただいているんです。サイン会というのは、お客さん一人一人とお話出来たりもするので、そのことが大事で、どんなふうに受け止めていただけているのかな、というのは一つずつ実感として得ている感じですね。
―― それがまたいろいろな力になっていっていく。
片渕氏 最初に言ったように、出会いがあれば思いもしなかった世界へ拡がっていくという、まさにその実感ですね。
―― 音楽を担当されたコトリンゴさんは、前作に引き続いての起用ですね。フィーリングが合ったのでしょうか?
片渕氏 コトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」を『picnic album 1』で最初に聴いて、『この世界の片隅に』ってこういう雰囲気なんだな、とこの映画を作るための気持ちの基本になった気がするんです。のどかでのんきなすずさんなんだけど、悲しくてやりきれない。
マスコミ試写ではかなりの方にご覧いただきましたね。満席どころか人数オーバーで帰っていただかなければならないこともあったので、途中から試写の回数を増やしたりしました。
―― 観客が増えて、公開館数も増えて行ったということについて、どう思われていましたか?
片渕氏 普通はまず分かりやすいお話、内容はこういうものなんだ、と表面に打ち出したような主人公が求められるような気もするのですが、でもこの作品はそうではなくて。ストーリーそのものより、当時の時代に行った気がする、あるいは実在するすずさんとその中で会っていたような気持ちを大事にしたい。そういう、ある意味高度な観方をするお客さんが増えてくださったんですね。これはいままでの映画の観られ方の常識とぜんぜん違っていたんじゃないかなと思うんです。
ただ僕は、そういう風に体験的に映画を観てもらいたいと思って何本も映画をつくってきたつもりだったので、ようやくお客さんたちと出会えたという気持ちはあります。
―― 公開後、いろいろな賞を受賞されました。
片渕氏 劇場公開が11月12日だったんで、初日は東京で舞台挨拶して、翌日13日には広島で舞台挨拶をしていたんです。その日が広島国際映画祭の最終日で、その場で「ヒロシマ平和映画賞」を受賞してしまったんです。公開2日目ですよ(笑)
―― それはすごいことですね(笑)
片渕氏 もちろんそれ以前から試写をご覧いただいて、審査してもらったわけなんですけれども、最初の最初から世の中に受け入れていただけた、というのはすごくありがたい気がしました。それ以前の作品は、こういうものなら観ていただいたら何かを感じていただけるはずだと作ったものが、なかなか観ていただくところまで届けられなかったんですね。なので、2日目にいきなり賞をいただいたのは、ひとつの届いた証になったんです。
―― その後キネ旬のベストテンでも1位になりました。
片渕氏 キネ旬も審査員の方が決めていかれるんですけど、それ以前にキネ旬に書いていらっしゃる編集の方々が、こういう映画が埋もれていくようだったら、もうだめだという風に言ってくださっていました。そういうところが一つ一つ、一人一人に確実に届いたという感じで受け止めていたんです。気が付いてみたら、ああこんなにたくさんの授賞を、という感じですね。一人、また一人と仲間が得られていったような感じです(笑)
―― 輪が広がったような感じですかね。
片渕氏 そうです。だから、今でもたくさん公開されている劇場で舞台あいさつを行って、ただ舞台からお客さんを眺めるだけではなくて、その後にサイン会っていうものをさせていただいているんです。サイン会というのは、お客さん一人一人とお話出来たりもするので、そのことが大事で、どんなふうに受け止めていただけているのかな、というのは一つずつ実感として得ている感じですね。
―― それがまたいろいろな力になっていっていく。
片渕氏 最初に言ったように、出会いがあれば思いもしなかった世界へ拡がっていくという、まさにその実感ですね。
―― 音楽を担当されたコトリンゴさんは、前作に引き続いての起用ですね。フィーリングが合ったのでしょうか?
片渕氏 コトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」を『picnic album 1』で最初に聴いて、『この世界の片隅に』ってこういう雰囲気なんだな、とこの映画を作るための気持ちの基本になった気がするんです。のどかでのんきなすずさんなんだけど、悲しくてやりきれない。
次ページできるだけ本物の兵器の音を集めたり、あるいは録音して作り上げた